Stereo2016年8月号付録 口径8cmメタル振動板フルレンジ FOSTEX M800 使用 タンデム方式バスレフ型スピーカー製作 ~構想・設計編~

Stereo誌 2016年8月号付録 口径8cmメタル振動板フルレンジ FOSTEX M800 を使ったエンクロージャーを製作して行きます。



メタル振動板フルレンジユニット FOSTEX(フォステクス) M800

ステレオ2016年8月号(表紙)
Stereo(ステレオ) 2016年8月号
FOSTEX(フォステクス) M800 (表)
FOSTEX(フォステクス) M800 (裏)
FOSTEX(フォステクス) M800





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構想

エンクロージャーを設計するにあたり、FOSTEX M800 の使いこなしなども考慮しつつ構想を練ります。



今回制作するスピーカーに必要な要件を挙げて行くと・・・、

  • コンパクトに作りたい。

    毎度毎度言っていますが(汗)、部屋がスピーカーだらけで置き場所に余裕がありません。今まではブックシェルフ型で作っても、結局のところ設置にはスピーカースタンドが必要になってしまうため、それならスタンド部分もエンクロージャー容量とした方が音質的にも有利なのでフロア型にしていました。

    しかし、そんな悠長なことを言ってられない状態になってきたため、必ずブックシェルフ型で作り、スタンドは視聴するときに考えることにします。おそらく、既存のスピーカーの上に載せるだけになると思いますが・・・(汗)。




  • スピーカーユニットに背圧をあまりかけないようにしたい。

    FOSTEX M800 は薄膜アルミニウム振動板を採用したフルレンジユニットです。そのため、振動板の強度があまり高そうではありません。

    振動板の強度が低いユニットを空気バネの強いエンクロージャーで使用すると、空気バネの力に耐えきれず変形、分割振動を起こして音が歪む恐れがあります。

    そのため、空気バネの力をできる限り抑えた状態で鳴らしたほうが良いように感じました。エンクロージャー構造を工夫して空気バネの力をできる限り抑えます。

    その解決策として、兼ねてより動作に興味があった「タンデム方式エンクロージャー」を採用してみようと思います。




  • コストパフォーマンスを最優先とする(笑)。

    これも毎度言っていますが、コストパフォーマンス重要(笑)。




  • 何か実験的要素を入れる。

    タンデム方式採用も実験的要素の一つです。その他の実験的要素については後述。





タンデム方式エンクロージャーとは?

設計の前に構想で触れたタンデム方式エンクロージャーについて簡単に説明します。


ご注意!

このブログは素人が適当に書いているものです。内容については、参考程度にされますようお願いします。


  • 基本形: 密閉型エンクロージャー

密閉型エンクロージャー
密閉型エンクロージャー


まずは、上図のような密閉型エンクロージャーの動作を考えてみます。


空気には気温によって決まる一定の体積があります。

風船やビーチボールなどを想像してみると分かりやすいと思いますが、風船を手で押すと反発力が働き元の体積に戻ろうとします。また、手で引き伸ばすと今度は収縮する方向に力が働き、やはり元の体積に戻ろうとします。

このように、空気は一定の体積を保とうとする力が働きます。上図ではそれを空気バネと表現しています。





ユニット動作に影響する空気バネの力
ユニット動作に影響する空気バネの力


空気バネの力は、エンクロージャーに取り付けられたスピーカーユニットの動作にも影響します。上図はその影響をイラストにしたものです。


図中の赤線はユニット振動板が本来到達すべき振幅の位置、橙点線は実際の振幅の位置です。

空気バネが強く働くエンクロージャーで振動板が前方に振幅する場合、エンクロージャー内容量が増えることになるので、これを打ち消す方向に空気バネの力が働きます。

また、振動板が後方に振幅する場合、今度は逆にエンクロージャー内容量が減ることになるので、やはり振幅を打ち消す方向に空気バネの力が働きます。風船の例で説明した現象がスピーカーユニットを取り付けたエンクロージャーでも起こっているということです。

そのため、図の赤線で示した位置まで振動板が振幅することができず、結果として橙点線の波形になってしまいます。要するに歪んでしまうわけです。


図で示した空気バネの影響は振幅が大きくなる低域で最も強く表れますが、振動板が薄く弱いユニットの場合、振動板が変形、分割振動を起こし、中高域でも歪みとして音質に悪影響を及ぼします。

また、空気バネはユニットの共振尖鋭度(Q0)や最低共振周波数(f0)を上昇させ、低音を出にくくする働きもします。





エンクロージャー容量の大小と空気バネの関係
エンクロージャー容量の大小と空気バネの関係


空気バネの力はエンクロージャー容量の大小で変わります。

図のように、エンクロージャー容量が小さい場合は強く、大きい場合は弱くなります。


吸音材も空気バネの力を弱める効果があるため、密閉型エンクロージャーの場合は多めに入っています。しかし、吸音材も万能ではないため、入れすぎると音楽再生に必要な音まで吸収してしまい音やせを起こします。そのため、本来はリスナーの好みに合わせて増減すべきです。

メーカー製スピーカーもコーヒーのクリームや砂糖を飲む人の好みに合わせて増減するみたいな感覚で、吸音材の量を増減できると良いんですけどね。




  • 発展形?: タンデム方式エンクロージャー

タンデム方式エンクロージャー
タンデム方式エンクロージャー


次に図のような、密閉型エンクロージャーを2個くっつけたような構造のエンクロージャーを考えてみます。このケースでは、2つあるユニットは口径、型番とも同一のものです。


左側についているユニットを「メインユニット」、メインユニットがついている小部屋を「第1キャビネット」、中央にある2つの小部屋の仕切り板についているユニットを「サブユニット」、右側の小部屋を「第2キャビネット」と呼ぶことにします。





メインユニット、サブユニットの接続方法
メインユニット、サブユニットの接続方法


メインユニットとサブユニットの接続方法を表した図です。アンプからの出力(左側)に対して、並列接続、同相駆動されるように結線します。





以下、この構造のエンクロージャーの動作を考えてみます。

タンデム方式エンクロージャー:プラス方向振幅最大


上図はユニットがプラス方向に最大振幅した状態を表したものです。

メインユニット、サブユニットとも同相駆動されているため、両方のユニットの振動板は前方に同じ振れ幅移動します。





タンデム方式エンクロージャー:振幅ゼロ

タンデム方式エンクロージャー:マイナス方向振幅最大


同様にして、振幅ゼロ(上段)、マイナス方向に最大振幅(下段)の場合です。

このように、メインユニット、サブユニットの振動板が同相で、且つ、同じ振幅となるため、第1キャビネットの内容量は常に一定に保たれています。内容量が常に一定なので、メインユニットは空気バネの影響を受けません。

このような構造のエンクロージャーをタンデム方式と呼ぶようです。余談ですが「タンデム」とは本来、直列2頭引き馬車のことを表す言葉のようですね。


タンデム方式のメリットは、比較的コンパクトなエンクロージャーで平面バッフルや後面開放箱のような空気バネフリーの伸びのある屈託のない音を実現できることです。

しかし、実際はそううまく行くはずもなく、サブユニットは第2キャビネットの空気バネの影響を受けるため歪みますし、それはメインユニットにも少なからず影響します。また、サブユニットも音を出している訳ですから、その音がメインユニットの振動板を透過して外界に漏れてくることも音質低下を招きます。





  • タンデム方式バリエーション

    タンデム方式は上で示した基本的なタイプ以外にも、いくつかのバリエーションがあるようなので紹介します。


    • メインユニット、サブユニットの型番、口径サイズを変える

      メインユニット、サブユニットの型番、口径サイズを変える


      上の説明では、メインユニット、サブユニットとも同じ型番、口径サイズのものを使っていることを想定していましたが、違う型番、口径サイズのユニットを使うことも可能です。


      図上段は、メインユニットに小口径、サブユニットに大口径のものを使っている例です。以前、コイズミ無線で販売されていたエンクロージャーキットに、このタイプの製品がありました。

      コイズミ無線のキットではメインユニットは小口径でも高級品を、サブユニットは大口径ですがエンクロージャー内に収まっているため視聴時には見えないので、安いユニットを使っていました。

      この場合、サブユニットは振動板面積が大きいので、メインユニットよりも振幅が小さくなります。


      図下段は、上段とは逆にサブユニットを小口径にした例です。サブユニットがメインユニットよりも小口径の場合、サブユニットの振幅が大きくなるため使用できるユニットの種類が限定されますが、エンクロージャーを更に小型化できる可能性があります。




    • 第2キャビネットのエンクロージャー型

      第2キャビネットのエンクロージャー型


      第1キャビネットは密閉型固定ですが、第2キャビネットは比較的自由に決められます。

      ただし、元々ユニットに背圧がほとんどかからないエンクロージャー型(平面バッフル、後面開放、BH etc…)、大掛かりなエンクロージャー型はタンデム方式のメリットが損なわれるため、作例を見かけたことがありません。

      ほとんどの場合、図のような密閉型かバスレフ型のようです。




    • メインユニット、サブユニットを別々のパワーアンプで駆動

      メインユニット、サブユニットを別々のパワーアンプで駆動


      メインユニット、サブユニットを別々のパワーアンプで駆動します。パワーアンプのインプットレベルを調節して、メインユニット、サブユニットへの出力バランスをとり、第1キャビネットの内容量がユニット振幅にかかわらず常に一定になるようにします。


      タンデム方式をとことん追求する場合にたどり着くであろう手法ですが、自分の耳を頼りにインプットレベルを調節するのは難しく、上級者向けです。私には無理です(汗)。

      第1キャビネット内に圧力変化を測定できるセンサーを取り付けるとか、メインユニットのインピーダンス特性を測定し、f0の値が裸の状態で測定した値と同一になるようにするとかすれば、私のような素人でもなんとか調節できる・・・かもしれない。





設計

前置きが長くなってしまいましたが、設計図(組立図)を掲載します。


タンデム方式バスレフ型エンクロージャー設計図(組立図)
タンデム方式バスレフ型エンクロージャー設計図(組立図)


縮小画像では見づらいと思うので、詳細をご覧になりたい方は画像をクリックして拡大画像を表示してください。図中の丸数字は板番号です。



使用する板は毎度のごとく100円ショップダイソーの6mm厚MDF材です。100x100x6tmm, 200x300x6tmm のMDF材を貼り合わせて目的のサイズ、厚さの板を作ります。そのため、板取図はありません。

天、底、左側面、右側面、背面の各板は6mm厚MDFを貼り合わせた12mm厚(バッフル板のみ18mm厚)になっています。

サブバッフル(板番号:1)をネジ止めするための板(板番号:10~17)とダクトは、やはりダイソーで販売されている、30x30x15mm, 30x60x15mmのブロック状の角材を貼り合わせて作ります。

エンクロージャーの四隅にはダイソーの三角棒をカットして貼り付けます。また8番の板(サブユニットのバッフル板)にも2本三角棒を貼り付けて補強します。





  • サブユニットに使用する製品の紹介

    メインユニットは当然ながら FOSTEX M800 を使用しますが、サブユニットとして使用する製品については触れていなかったので紹介します。TOPTONE(東京コーン紙製作所) F77G98-6 というフルレンジユニットです。



    TOPTONE(東京コーン紙製作所) F77G98-6
    TOPTONE(東京コーン紙製作所) F77G98-6


    • 仕様
      • 口径:77mm(3インチ)
      • 形式:コーン型フルレンジ
      • インピーダンス:8Ω
      • 定格入力:10W
      • 最大入力:20W
      • 最低共振周波数(f0):90Hz
      • 再生周波数帯域:f0~20kHz
      • 出力音圧レベル:81.5dB(W/m)
      • マグネット径:φ60×φ32×t8mm
      • マグネット重量:81g
      • 総重量:273g(実測)
      • バッフル穴径(外付け):約φ72~72.5mm(実測), バッフル穴径(中付け):約φ74mm(実測)
      • 備考:黒色PPコーン、ブチルゴムエッジ

    ※このユニットの詳細については、こちらの記事をご覧ください。


    秋月電子通商で販売されている安価なフルレンジユニットです。どうやら、OEM品の不良在庫が小売店に流れたもののようです。以前、まとめ買いしておいたものが残っていたので使ってみることにしました。

    TOPTONE(東京コーン紙製作所) F77G98-6 商品ページ (秋月電子通商Webショップ)TOPTONE(東京コーン紙製作所) F77G98-6 商品ページ (秋月電子通商Webショップ)



    口径7.7cmなので口径8cmの FOSTEX M800 よりは少々小さいですが誤差の範囲ですし、エッジが FOSTEX M800 と同じゴム系アップロール形状となっており、柔らかく振幅がかなり取れる設計になっています。

    PP製コーンによる音質は癖が少なく高域もきれいなので、単体で使用してもなかなかのパフォーマンスを見せてくれる、お気に入りのユニットです。特筆すべきはとても安いこと(笑)。コストパフォーマンスは最高です。




  • 第1キャビネットの構造

    第1キャビネット拡大


    第1キャビネットにユニットを取り付けた状態を拡大した図です。


    タンデム方式の場合、第1キャビネットの容量はいくらでも小さくできる(はず)なので、1リットル未満のキャビネットにメインユニットとサブユニットをぎりぎりまで接近させて取り付けます。そのため、実効容量は更に小さくなるはずです。

    サブユニットをメインユニットに対して前後逆に取り付け、磁気回路同士を接近させることにより、お互いの磁石の反発力を利用してユニット駆動力の強化を狙います(実験的要素その2)。

    メインユニットは取り外し可能なサブバッフル(板番号:1)に取り付けます。先にサブユニットをキャビネット内に取り付け、その後、サブバッフルとメインユニットを取り付けます。

    サブバッフルは四隅をネジ止めして固定します。サブバッフルをネジ止めするための角材(板番号:10~17)が、サブユニットを取り付ける際に干渉する場合、現物に合わせて適宜削ります。




  • 第2キャビネットの構造

    第2キャビネットは内容量:約4.7リットル、共振周波数:約57.5Hzのバスレフ型となっています。


    口径8cmのフルレンジユニットに対して共振周波数がかなり低くなっています。正直なところ、うまくいくかどうかわかりません(実験的要素その3)。ユニット直接放射音とダクトが再生している帯域がうまく接続できない場合、中低域に落ち込みが出来てしまうかもしれません。

    共振周波数をかなり低く取った目的は、50Hz付近まで再生したかったということもありますが、別の目的としてサブユニットから放射される中高域がダクトから漏れるのを防ぐという意味もあります。

    第1キャネットに対して第2キャビネットの容量をかなり大きく取った理由は、第2キャビネットの空気バネを弱くするためですが、それにしても容量が大きいので、ユニット取り付け穴の切り抜き板などを使って補強する予定です。内容量が減ると共振周波数が上がるので、その方が都合が良いかもしれません。


    吸音材は使用しない予定です。第2キャビネットの空気バネを弱くする、サブユニットが再生する中高域がダクトから漏れるのを防ぐ、定常波対策等、吸音材を使いたくなる要因はたくさんあるのですが、あえて使わないとどうなるのか試してみようと思います(実験的要素その4)。これは実験というよりも単に私がひねくれているだけかもしれない(笑)。

    吸音材を使わないで定常波を防ぐ別の対策として、第2キャビネット内の壁面に三角棒を補強材として貼り付けることにより、凹凸を作って並行面をなくす方法を考えており、こちらは実際にやってみようと思っています。




  • 配線について

    ユニット配線図


    メインユニット、サブユニットの配線を表した図です。

    サブユニットの極性がメインユニットに対して逆になっていますが、これは、サブユニットが前後逆に取り付けられているためです。振動板の動きはこれで同じになります。



    実は当初、サブユニットにローパスフィルター(コイル)を入れるつもりでいました。

    空気バネが強く働くのは振幅が大きくなる低域であること、サブユニットで再生される中高域がダクトやメインユニットの振動板を透過して漏れてくることは好ましくないため、それならフィルターでカットしてしまおうという訳です。

    しかし、サブユニットにコイルを直列に入れることにより位相が90度遅れるため、同相駆動が基本であるタンデム方式で位相遅れがどのような影響を及ぼすのか未知数なので、やめることにしました。




次回に続く・・・




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