トリプルバスレフ型エンクロージャーの実現性について妄想(笑) #9

前回の記事からずいぶんと時間が経ってしまいましたが、今回は、トリプルバスレフ型エンクロージャー試作1号機、および、2号機により大きな口径のフルレンジユニット取り付けてみたいと思います。ちょうど、おあつらえむきなユニット(マークオーディオ OM-MF5)が手に入ったので。

また、周波数特性・インピーダンス特性の測定も行い、ユニット交換前の測定結果と比較しながら、トリプルバスレフ型エンクロージャーの動作について、さらに考察を進めてみたいと思います。






関連記事





[参考]試作1号機、試作2号機 設計図

参考資料として、トリプルバスレフ型エンクロージャー試作1号機と2号機の設計図を再掲載します。トリプルバスレフ型エンクロージャーの動作について、エンクロージャーの設計詳細は上記リンクにある過去の記事をご覧ください。


  • 試作1号機

トリプルバスレフ型エンクロージャー試作1号機 設計図
トリプルバスレフ型エンクロージャー試作1号機 設計図

試作1号機 パラメーター
  • キャビネット容量
    • 第1キャビネット:約2リットル
    • 第2キャビネット:約3リットル
    • 第3キャビネット:約6.355リットル

  • ダクト断面積・長さ
    • 第1ダクト:9cm^2, 0.6cm
    • 第2ダクト:9cm^2, 9.6cm
    • 第3ダクト:9cm^2, 7.2cm

  • 各共鳴器の共振周波数
    • fda:224Hz
    • fdb:143Hz
    • fdc:81.9Hz
    • fdd:63.9Hz
    • fde:88.5Hz
    • fdf:47.8Hz



  • 試作2号機

トリプルバスレフ型エンクロージャー試作2号機 設計図
トリプルバスレフ型エンクロージャー試作2号機 設計図

試作2号機 パラメーター
  • キャビネット容量
    • 第1キャビネット:約4.8リットル
    • 第2キャビネット:約2.4リットル
    • 第3キャビネット:約10.44リットル

  • ダクト断面積・長さ
    • 第1ダクト:13.5cm^2, 0.6cm
    • 第2ダクト:13.5cm^2, 6.6cm
    • 第3ダクト:13.5cm^2, 4.2cm

  • 各共鳴器の共振周波数
    • fda:164Hz
    • fdb:210Hz
    • fdc:89.1Hz
    • fdd:74.4Hz
    • fde:100.5Hz
    • fdf:56Hz


  • 試作1号機と試作2号機の設計方針の違いについて

    詳しくは、過去の記事をご覧になっていただいた方が分かりやすいと思いますが、簡単に説明すると・・・、


    バスレフ型エンクロージャーの動作原理である、ヘルムホルツの共鳴器について補足
    • キャビネット(空気室)とダクトで構成される、ヘルムホルツの共鳴器が特定の周波数で共振を起こすことにより、効率よく音波を再生する。

    • ヘルムホルツの共鳴器の共振周波数をカットオフ周波数とする、ローパスフィルターとして働く。


    以上を踏まえて・・・、

    試作1号機(以下、1号機)は、第1キャビネットと第1ダクトで構成される共鳴器の共振周波数fdaが224Hzとなっており、第2キャビネットと第1ダクト&第2ダクトで構成される共鳴器の共振周波数fdbは143Hzと順番に低くなるように設計されています。

    この設計では、第2キャビネットと第1ダクト&第2ダクトで構成される共鳴器は、共振周波数fdb:143Hzをカットオフ周波数とするローパスフィルターとしても働くため、共振周波数fda:224Hzの放射音がローパスフィルターに遮られてしまい、外部に放射される量が減ってしまうのではないか?と考えました。


    そこで試作2号機(以下、2号機)では、第1キャビネットと第1ダクトで構成される共鳴器の共振周波数fdaを164Hzと低めに設定、第2キャビネットと第1ダクト&第2ダクトで構成される共鳴器の共振周波数fdbを210Hzとfdaより高く設定、ローパスフィルターのカットオフ周波数も高くなるため、共振周波数fda:164Hzが第2キャビネットを通過しやすくなるようにしてみました。






使用スピーカーユニット

前回までは、こちらの口径6cmのフルレンジユニットを使用していました。参考資料として仕様を掲載します。


  • [参考]フルレンジユニット 北日本音響株式会社 F02406H0


北日本音響(株) F02406H0
北日本音響(株) F02406H0


ユニットの詳細はこちらの記事で紹介してます。


  • 仕様
    • 口径: 6cm
    • 形式: コーン型フルレンジ
    • 定格インピーダンス:
    • 定格入力: 10W
    • 実効振動半径(a): 2.3cm(実測)
    • 最低共振周波数(f0): 223Hz(実測)
    • 再生周波数帯域: f0~20kHz(実測)
    • マグネット径: 50φ×8tmm(実測)
    • 総重量: 172g(実測)
    • バッフル穴径(外付け): 約54φ~55φmm 端子部要ザグリ加工(実測)
    • 備考: スピーカーケーブル(約22cm)、ピンヘッダ端子付き。取付けネジは付属していません。

※実測と記述があるものは、私が実際に測定した値です。公式スペックシートが入手出来なかったため、実測値の項目が多くなっています。ご了承ください。





[周波数特性] 北日本音響(株) F02406H0
[周波数特性] 北日本音響(株) F02406H0


※100Hz以下はノイズです。約0.85リットルの密閉箱に取り付けて測定。






今回使用するユニットは前述のとおり、マークオーディオ OM-MF5です。


  • フルレンジユニット マークオーディオ OM-MF5


マークオーディオ OM-MF5
マークオーディオ OM-MF5


ユニットの詳細はこちらの記事で紹介してます。


  • 規格・T/Sパラメーター
    • 形式: 8cmコーン型フルレンジ
    • 定格インピーダンス: 4Ω(*1)
    • ボイスコイル直流抵抗(Revc.):
    • 最低共振周波数(Fs): 124Hz
    • 振動板投影面積(Sd): 0.0028m^2(28cm^2)
    • 等価柔軟性空気体積(Vas): 0.9Ltr
    • 振動系機械コンプライアンス(Cms): 0.80mm/N
    • 振動板質量(Mmd): 1.96g
    • 振動系可動等価質量(Mms): 2.05g
    • 力係数(BL): 2.62Tm
    • 機械的共振先鋭度(Qms): 2.58
    • 電気的共振先鋭度(Qes): 0.79
    • 総合共振先鋭度(Qts): 0.60
    • 出力音圧レベル(SPLo): 85.4dB
    • 定格入力(Power): 8W(Nom), 16W(Peak)(*1)
    • クロスマックス(Xmax): 3.5mm (1way)
    • 再生周波数帯域: 70Hz~25kHz超(*2)
    • 実効振動半径(a): 2.99cm(*3)
    • マグネット外径, 厚さ: φ60mm, 13mm(*4)
    • 総質量: 320g(*4)
    • バッフル開口寸法: φ72~83mm(*4)(*5)
    • 付属品: ガスケット x2枚, 取付け用木ネジ x10本
(*1): ユニット本体 マグネット裏面シール印刷より引用。
(*2): ムック冊子 P07~「マークオーディオ代表 マーク・フェンロン氏が語る 付録ユニットOM-MF5 その驚愕の性能とは?」より引用。
(*3): 振動板投影面積(Sd)から計算した値です。
(*4): 私が実際に測定した値です。参考程度にご覧ください。
(*5): バッフル開口寸法をφ72~80mm程度にする場合、端子基盤が干渉するためザグリ加工が必要な場合があります。

※スピーカーケーブル・ファストン端子は付属しません。




[周波数特性] マークオーディオ OM-MF5 (密閉型・実測)
[周波数特性] マークオーディオ OM-MF5 (密閉型・実測)
[周波数特性] マークオーディオ OM-MF5 (合成)
[周波数特性] マークオーディオ OM-MF5 (合成)


※約5リットルの密閉箱に取り付けて測定。上段:実測グラフ画像。下段:公式発表グラフと、実測グラフの合成画像。






より大きな口径のユニットに交換してみる理由について

結論から先に言ってしまうと、1号機、2号機とも、第1キャビネットの容量が口径6cmのユニットには大き過ぎるためです。


北日本音響株式会社 F02406H0(以下F02406H0) がOEM品であるため、詳細な仕様が公表されておらず、手探りでエンクロージャーの設計をしていたからということもあるのですが、2017年版のStereoムックに付録した口径6cmのフルレンジユニット、PIONEER(パイオニア) OMP-600 のVasが約0.2リットルとなっていることに気づき、同じ口径サイズの F02406H0 のVasもそのくらい(エッジの構造が違うのでおそらくもっと小さい)であろうことがわかり、これは設計をミスったなと・・・(汗)。

Vasが約0.2リットルの場合、標準的なバスレフ型エンクロージャーの容量は0.6リットルくらい、大きくても1リットルくらいなので、さすがに約2リットル(1号機)、約4.8リットル(2号機)は大き過ぎでした・・・(汗々)。

ユニット口径に対して第1キャビネット容量が大き過ぎたため、キャビネット内の空気バネの働きが弱くなってしまい、あまり共振してくれませんでした。これが中域に対して、低域レベルが低くなってしまった要因の1つと考えられます。


そこで、口径8cmのフルレンジユニットである、マークオーディオ OM-MF5(以下OM-MF5) に交換してみようと思ったわけです。

OM-MF5 のVasは上述のT/Sパラメーターより0.9リットルとなっており、バスレフ型エンクロージャーであれば、3リットル前後で使えるはずです。

第1キャビネットの理想容量は3リットル前後なので、約2リットル(1号機)では小さめ(密閉箱で使うならちょうど良いくらい)、約4.8リットル(2号機)では大きめといった感じで、今回の場合もちょうど良いサイズとは言い難いのですが(汗)、F02406H0 よりははるかにエンクロージャーとのマッチングが良いはずなので、取り付けて測定を行い、違いを比較してみようと思います。






1号機, 2号機 ユニット変更(前面)
1号機, 2号機 ユニット変更(側面)
1号機, 2号機 ユニット変更


という訳で、ユニットを交換した様子です。左:前面、右:側面の様子です。

前面の写真では、左側が1号機、右側が2号機です。エンクロージャーの高さ、幅、ユニット取り付け位置は同じですが、下方にあるダクトサイズが異なり、2号機の方が大きくなっています。

側面の写真では、手前が1号機、奥が2号機です。2号機は1号機に対して、奥行きが10cm長くなっています。そのため、内容量も大きいです。






1号機, 2号機 ユニット取り付け部 拡大
1号機, 2号機 ユニット取り付け部 拡大


ユニット取り付け部を拡大した写真です。左:2号機、右:1号機です。

エンクロージャーのコーナー部の加工(2号機:直角、1号機:傾斜)が異なりますが、これは製作当時の板材入手状況の違いによるもので、深い意味はありません。

口径6cmのユニット取付穴には、8cmのユニットは取り付けられないため、ヤスリでガリガリ削って取付穴を広げました。






測定

周波数特性・インピーダンス特性を測定しましたので掲載します。


F02406H0 の測定結果と OM-MF5 の結果を比較するために、F02406H0 の結果を参考資料として再掲載しています。

また、動作を詳しく調査するために、過去の F02406H0 の測定の時と同様に、周波数特性は条件を変えた2ケース測定しています。


  • 使用ソフトウェア・測定環境

    デジタルオーディオエディタ Audacity
    高速リアルタイム スペクトラムアナライザー WaveSpectra V1.51 efu氏
    入力信号: サインスイープ 20Hz~20kHz、または、ホワイトノイズ。詳しくは後述。
    FFTサンプル数: 65536
    マイク位置: 測定条件によって異なるため、後述。

    ※Audacityのノイズジェネレーターにてサインスイープ信号(20Hz~20kHz)、および、ホワイトノイズを生成、測定時に再生しています。



  • 周波数特性
    • [ケース1] サインスイープ 20Hz~20kHz、ユニット軸上1m

      [ケース1] サインスイープ 20Hz~20kHz、ユニット軸上1m
      [ケース1] サインスイープ 20Hz~20kHz、ユニット軸上1m


      ケース1では、ユニット軸上の1m離れた位置にマイクを設置。いつもの方法で周波数特性を測定しています。


      先ずは、参考資料として F02406H0 を取り付けた場合の1号機、2号機の測定結果を掲載します。

      [周波数特性] 試作1号機(F02406H0) サインスイープ 20Hz~20kHz、ユニット軸上1m
      [周波数特性] 試作1号機(F02406H0) サインスイープ 20Hz~20kHz
      ユニット軸上1m

      [周波数特性] 試作2号機(F02406H0) サインスイープ 20Hz~20kHz、ユニット軸上1m
      [周波数特性] 試作2号機(F02406H0) サインスイープ 20Hz~20kHz
      ユニット軸上1m

      [周波数特性](F02406H0) 試作1号機, 試作2号機 サインスイープ 20Hz~20kHz ユニット軸上1m (合成)
      [周波数特性](F02406H0) 試作1号機, 試作2号機
      サインスイープ 20Hz~20kHz ユニット軸上1m (合成)


      上段が F02406H0 を取り付けた場合の1号機の周波数特性。中段が2号機の周波数特性。

      下段は、1号機と2号機の周波数特性グラフを音圧レベルがほぼ同一と思われる高域を基準にして合成したグラフです。1号機が赤線、2号機が緑線です。測定した時期が異なるため、入力レベルが異なるグラフを強引に合成しているので、あまり正確ではありません。参考程度にご覧ください。


      合成したグラフが見やすいので、それを中心にして見て行くと、上述の約0.85リットルの密閉箱に取り付けた周波数測定結果と同様に、20KHz~200Hzの範囲では大きな違いはありませんが、40Hz~200Hzの範囲では、2号機が1号機に対して全体的にレベルダウンしています。(100Hz付近のディップは私の部屋の癖のようで、ほとんどのスピーカーの測定結果に出てしまいます。)

      共鳴器が正常に動作していれば、ダクト面積が1号機の9cm^2に対して、2号機は13.5cm^2と1.5倍広く取られているため、(音質の良し悪しはともかく)低域の音圧レベルは上昇するはずです。

      しかし、実際の測定では逆に音圧レベルが低下してしまっています。これは、第1キャビネットの容量が口径6cmのユニットには大きすぎて空気バネ力が弱くなってしまい、共鳴器の動作も弱くなってしまっている(要するにあまり共振していない)ためと考えられます。

      1号機は、2号機に比べて第1キャビネット容量が約2リットルと半分以下のため、空気バネ力が2号機よりは強く働き、共鳴器が動作していると考えられます。




      次は、OM-MF5 を取り付けた場合の1号機、2号機の測定結果です。

      [周波数特性] 試作1号機(OM-MF5) サインスイープ 20Hz~20kHz ユニット軸上1m
      [周波数特性] 試作1号機(OM-MF5) サインスイープ 20Hz~20kHz
      ユニット軸上1m

      [周波数特性] 試作2号機(OM-MF5) サインスイープ 20Hz~20kHz ユニット軸上1m
      [周波数特性] 試作2号機(OM-MF5) サインスイープ 20Hz~20kHz
      ユニット軸上1m

      [周波数特性](OM-MF5) 試作1号機, 試作2号機 サインスイープ 20Hz~20kHz ユニット軸上1m (合成)
      [周波数特性](OM-MF5) 試作1号機, 試作2号機
      サインスイープ 20Hz~20kHz ユニット軸上1m (合成)


      F02406H0 の場合と同様に、上段は1号機、中段は2号機、下段は合成した周波数特性です。合成周波数特性グラフの色も同様(1号機:赤線、2号機:緑線)です。


      全体的に右肩上がりですが、低域は1号機、2号機とも35Hz付近までレスポンスがあり、なかなか良い特性です。また、F02406H0 の場合とは異なり、周波数特性グラフの形が1号機と2号機であまり違いがありません。

      合成グラフを見ると中高域はほとんど同一ですが、100Hz以下に注目すると前述したダクト面積を大きく取った方が音圧があがる効果が出たのか、2号機(緑線)の方が、1号機(赤線)よりレベルが少々高いですね。

      しかし、中域に対して、低域は全体的に30dBくらい低くなっているので、既存のエンクロージャーにポン付けした割には良い特性ですが、完全にマッチしているとは言い難いようです。

      OM-MF5 の実効振動面積は28cm^2。F02406H0 の実効振動面積は16.6cm^2。OM-MF5 の実効振動面積は F02406H0 に対して、約1.7倍。

      1号機のダクト面積は9cm^2。これは F02406H0 の実効振動面積の54%です。目標を実効振動面積の50%として設計しているため、それに近い値に設定されています。

      また、2号機のダクト面積は13.5^2cm。これは F02406H0 の実効振動面積の81%。こちらは目標を実効振動面積の80%として設計されています。

      普通のバスレフ型エンクロージャーの場合、ダクト面積を使用するユニット実効振動面積の50%以上にすることは稀ですが、ダブルバスレフやトリプルバスレフの場合、エンクロージャー内部にもダクトを持つため、面積が狭いとダクトが気流抵抗を増加させる要因になってしまい、共振周波数が計算よりも異常に低くなったり、共振しにくくなってしまいます。


      これを、OM-MF5 の実効振動面積に当てはめてみると・・・、

      1号機のダクト面積は OM-MF5 の実効振動面積の32%。普通のバスレフなら問題ないですが、トリプルバスレフの場合では狭いと思います。

      同様に2号機のダクト面積は OM-MF5 の実効振動面積の48%となっており、ダブルバスレフならOKですが、トリプルバスレフだとちょっと狭いかな?という感じです。

      OM-MF5 を取り付けた場合の低域不足の原因は、2号機の方がまだ低域のレベルが高いことからみても、ダクト面積が狭いことが原因なのではないかと考えられます。





    • [ケース2] ホワイトノイズ、第3ダクト開口部

      [ケース2] ホワイトノイズ、第3ダクト開口部
      [ケース2] ホワイトノイズ、第3ダクト開口部


      ケース2ではエンクロージャーを上下逆さまにして設置、第3ダクト開口部にマイクを接近させ、ホワイトノイズを入力、第3ダクトから放射されている音の周波数成分を確認してみました。





      ホワイトノイズ、第3ダクト開口部 測定の様子
      ホワイトノイズ、第3ダクト開口部 測定の様子


      図だけでは分かりづらいかもしれないので、1号機製作時に撮影した測定の様子の写真を掲載します。



      サインスイープの場合と同様に、参考資料として F02406H0 を取り付けた場合の1号機、2号機の測定結果から掲載します。

      [周波数特性] 試作1号機(F02406H0) ホワイトノイズ 第3ダクト開口部
      [周波数特性] 試作1号機(F02406H0) ホワイトノイズ 第3ダクト開口部

      [周波数特性] 試作2号機(F02406H0) ホワイトノイズ 第3ダクト開口部
      [周波数特性] 試作2号機(F02406H0) ホワイトノイズ 第3ダクト開口部

      [周波数特性](F02406H0) 試作1号機, 試作2号機 ホワイトノイズ 第3ダクト開口部 (合成)
      [周波数特性](F02406H0) 試作1号機, 試作2号機 ホワイトノイズ
      第3ダクト開口部 (合成)


      グラフの見方は、サインスイープの場合と同様に、上段:1号機、中段:2号機、下段:合成グラフとなっています。合成グラフはサインスイープの場合と同様に、レベルが同一と思われる高域を基準にして重ね合わせているので、正確とは言えません。参考程度にご覧ください。

      また、手違いで2号機が赤線、1号機が緑線になっており、他の合成グラフと色が反対になってしまっています。ご注意ください。


      見やすい合成グラフを中心に見て行くと・・・、

      250Hz, 90Hz付近のピークは同一ですが、一番低いピークは2号機(赤線)は43Hz付近に、1号機(緑線)は38Hz付近にピークがあります。これは、設計時点で一番低い共振周波数fdfが1号機:47.8Hz、2号機:56Hzと、1号機の方が低く設計されており、それが、エンクロージャー内部の気流抵抗の影響で更に下がってしまったためと考えられます。

      250Hzのピークに1号機、2号機のレベル差はないですが、その他のピークと、ピークをつなぐ稜線では、1号機に対して2号機は最大で10dBくらいレベルが低くなっています。これが2号機の低域レベルが低い原因のようです。


      250Hz以上の帯域では、1号機、2号機とも急降下していますが、内部構造の違いによりダクトのローパスフィルタの効き方が異なっていますね。





      続いて、OM-MF5 を取り付けた場合の1号機、2号機の測定結果です。

      [周波数特性] 試作1号機(OM-MF5) ホワイトノイズ 第3ダクト開口部
      [周波数特性] 試作1号機(OM-MF5) ホワイトノイズ 第3ダクト開口部

      [周波数特性] 試作2号機(OM-MF5) ホワイトノイズ 第3ダクト開口部
      [周波数特性] 試作2号機(OM-MF5) ホワイトノイズ 第3ダクト開口部

      [周波数特性](OM-MF5) 試作1号機, 試作2号機 ホワイトノイズ 第3ダクト開口部 (合成)
      [周波数特性](OM-MF5) 試作1号機, 試作2号機 ホワイトノイズ
      第3ダクト開口部 (合成)


      上段:1号機、中段:2号機、下段:合成グラフとなっているのは同一ですが、こちらは合成グラフのプロットの色が1号機:赤線、2号機:緑線(サインスイープグラフと同じ)になっています。ご注意ください。


      こちらも合成グラフを中心に見て行くと・・・、

      エンクロージャーが同じなので、低域の250Hz, 90Hz付近、2号機(緑線)の43Hz付近、1号機(赤線)の38Hz付近にピークがあるのは同一です。

      250Hzのピークは2号機の方が高いですが、一応サインスイープのグラフも確認してみたところ、やはりこの付近の帯域は2号機の方がレベルが高いですね。誤差かとも思いましたが、前述のfdbをfdaより高く設定したのが効いているのでしょうか?。

      ただし、250Hz以上の帯域を見てみると、700Hz付近まで順調にレベルダウンしている1号機に対し、2号機は1kHz付近まで1号機よりもレベルが高く、600Hz付近を中心にピークがあります。これは、fdbを高く取った影響で、ダクトから逆相の中域が漏れでてくる量が多くなっているとも言えるので、fdaとfdbの大小関係については、どちらか片方が優れているとは一概に言えなそうです。


      200Hz以下を見て行くと、200Hz~60Hzの帯域がピーク、稜線ともほぼ同一レベル。60Hzから43Hz付近のピークまでは2号機の方がレベルが高く、38Hz付近のピークより下の帯域では1号機の方がレベルが高いという感じになっています。

      60Hz~43Hzの帯域でのレベルの高さが、サインスイープ信号の測定で、2号機の方が100Hz以下のレベルが高くなっていることに関係しているようです。


      しかし、ユニットを交換しただけで、ここまで低域の特性が変化するとは驚きです。






  • インピーダンス特性

    最後に、インピーダンス特性です。


    トリプルバスレフ型インピーダンス特性(予想)
    トリプルバスレフ型インピーダンス特性(予想)

    トリプルバスレフ型エンクロージャーのインピーダンス特性の予想図です。

    ダブルバスレフ型のインピーダンス特性と同様に、駆動しているスピーカーユニットに直接関係している(ユニットが取り付けられている)共鳴器の共振周波数のみがグラフに表れるのであれば、共鳴器A、共鳴器D、共鳴器Fの共振周波数であるfda、fdd、fdfが図のようにディップとして表れるのではないか?と設計当初予想していたのですが、それで概ね正解のようでした。



    先ずは、参考資料として F02406H0 を取り付けた場合の1号機、2号機の測定結果から。

    [インピーダンス特性] 試作1号機(F02406H0)
    [インピーダンス特性] 試作1号機(F02406H0)

    • ピーク
      • fc1:256.4Hz
      • fc2:207.9Hz
      • fc3:88.8Hz
      • fc4:34.3Hz

    • ディップ
      • fda:228.8Hz
      • fdd:93.5Hz
      • fdf:37.7Hz


    [インピーダンス特性] 試作2号機(F02406H0)
    [インピーダンス特性] 試作2号機(F02406H0)

    • ピーク
      • fc1:265.1Hz
      • fc2:231.4Hz
      • fc3:88.6Hz
      • fc4:41.0Hz

    • ディップ
      • fda:238.8Hz
      • fdd:91.6Hz
      • fdf:42.5Hz


    1号機、2号機とも、fc1, fc2 は高いですが、fc3, fc4 はともに低く、あんまり共振していないことがわかります。fc3, fc4 が消えてしまうとただのバスレフ型のインピーダンス特性になってしまいますからね。



    [インピーダンス特性](F02406H0) 試作1号機, 試作2号機 (合成)
    [インピーダンス特性](F02406H0) 試作1号機, 試作2号機 (合成)


    ピークが低く、共振周波数が多少違う程度なので、あまり意味がないかな?とも思いましたが、合成グラフも一応作ってみました。赤線:1号機、緑線:2号機です。

    2号機は1号機に対してfc2が低めになっています。fc2のピークは何を表しているかというと、第1キャビネットに付いている第1ダクト内部の空気が、ユニットの振幅と同期してダクト内を移動する動作で、ユニットのm0にダクト内の空気の重さが加わって、f0の周波数が下がったものと考えることができます。

    fc2はfc1と同等、もしくは、それ以上の高さになっている方が好ましく、fc2が低いとダンプドバスレフ(共振が抑えられたバスレフ)となります。2号機の第1キャビネットは1号機に対して容量が2倍以上あるため空気バネの力が弱く、そのため、あまり共振していないようです。

    ちなみにfc2が完全に消えてしまうと、動作としては密閉型と同じになります。





    続いて、OM-MF5 を取り付けた場合の1号機、2号機の測定結果です。

    [インピーダンス特性] 試作1号機(OM-MF5)
    [インピーダンス特性] 試作1号機(OM-MF5)

    • ピーク
      • fc1:245.4Hz
      • fc2:131.8Hz
      • fc3:87.2Hz
      • fc4:35.9Hz

    • ディップ
      • fda:225.6Hz
      • fdd:94.5Hz
      • fdf:42.5Hz


    [インピーダンス特性] 試作2号機(OM-MF5)
    [インピーダンス特性] 試作2号機(OM-MF5)

    • ピーク
      • fc1:243.9Hz
      • fc2:132.6Hz
      • fc3:85.7Hz
      • fc4:39.6Hz

    • ディップ
      • fda:235.8Hz
      • fdd:92.3Hz
      • fdf:43.9Hz


    [インピーダンス特性](OM-MF5) 試作1号機, 試作2号機 (合成)
    [インピーダンス特性](OM-MF5) 試作1号機, 試作2号機 (合成)


同様にして、OM-MF5 を取り付けた場合のインピーダンス特性です。全体的にグラフのプロットが F02406H0 よりも低空飛行なのは、定格インピーダンスが F02406H0 が8Ωなのに対し、OM-MF5 は4Ωのためです。


F02406H0 グラフとの違いとして一見して分かることは、ピークが高く出ていることです。これは、ユニットの駆動力が高いからということもありますが、ユニットに空気バネの負荷がちゃんとかかっており、共鳴器が動作しているということでもあります。

ピークの位置(周波数)はユニットの負荷の状態によって微妙に変化するようです。

ディップの位置はエンクロージャーが同じなので、変化しないはずですが、fdfだけは F02406H0 を取り付けた場合の方が低くなっていますね。

しかし F02406H0 の場合、ピーク fc3, fc4が低すぎて、うまくfdfの位置を読めていない可能性が高いです。


合成グラフでは、fc1の高さが1号機の方が、2号機より高くなっていますね。fc1はユニットのサスペンションに第1キャビネットの空気バネ力が加わってf0が上昇したもので、第1キャビネットの容量が小さい1号機の方が空気バネが強く働くため、ピークfc1も高くなります(共振が強く出る)。






まとめ

ここまでグラフを眺めながらユニットの違いをだらだらと比較してきましたが、トリプルバスレフ型エンクロージャーについての考察結果をまとめると・・・、


  • 第1キャビネット容量は、取り付けるユニットの密閉型エンクロージャー標準容量~バスレフ型エンクロージャー標準容量の範囲で比較的自由に選べる。

  • ダクト面積はユニット実効振動面積の50%程度ではちょっと狭く、75%前後が適当か?。

  • トリプルバスレフ型に適したユニットは、高域に向かって右肩上がりで音圧レベルが上昇せずフラットで、且つ、大量の空気をドライブするため駆動力の高いもの。

  • fda < fdb に設定するのも一応効果あり?。ただし、中域がダクトから漏れ出す量が増える副作用あり。(副作用とはいっても、第3キャビネットと第3ダクトがあるため、普通のバスレフ型よりも中域の漏れは少ないはずです。)



といった感じになるでしょうか?


機会があれば、共鳴器の共振周波数を1号機と同じ設定にして、第1キャビネットを3リットルくらい、ダクト面積は、OM-MF5 の実効振動面積の75%前後のトリプルバスレフ型エンクロージャーを作って、動作を確認してみたいですね。

fdaとfdbの大小関係の件は、fdaを OM-MF5 に適した周波数に設定してあげれば、fda付近の帯域が落ち込むのを回避できる可能性があるため、もう少し実験・考察が必要そうです。なにしろ、既存のエンクロージャーにポン付けしただけですからね。

まあ、置き場所がないのでやるかどうかはわかりませんが(汗)。それと、試作1号機、2号機に取り付けた状態の OM-MF5 もそれなりに聴けてしまうため、現状、これで満足してしまっている自分がいるということもあります(笑)。




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