スピーカーユニットメモ ~3inch フルレンジユニット ALTEC LANSING E03-006B-04-B~

3inch フルレンジユニット ALTEC LANSING E03-006B-04-B



ALTEC LANSING E03-006B-04-B(表側)
ALTEC LANSING E03-006B-04-B





仕様
  • 口径: 3inch
  • 形式: コーン型フルレンジ(防磁型)
  • 振動板材質: パルプ
  • エッジ材質: ウレタン
  • マグネットサイズ(実測): メインマグネット(φ35, 6t mm), キャンセルマグネット(φ32, 6t mm)
  • 公証インピーダンス:4Ω
  • 最低共振周波数f0(実測):約146Hz
  • 入力(定格/最大):8W/16W
  • 実効振動半径a(実測):約3.1cm
  • 総質量:約95g
  • バッフル穴寸法(実測):φ72~75mm(中付け), φ76.5~77mm(外付け)

※NFJストア ヤフーショッピング店 商品ページより引用させて頂きました。
※(実測)と表記がある項目は、私が実際に測定した値です。参考程度にご覧ください。
※取り付けネジ, ガスケットは付属していません。





所感


「NFJストア ヤフーショッピング店」のWebショップをこれとは別の用事で眺めていたところ、以前こちらの記事で紹介している組み込み向け小口径フルレンジユニットとは別の、やはり組み込み用と思われる Altec Lansing Technologies 社製ユニットが売られているのを発見したので、衝動的に購入してしまいました(笑)。


3inch フルレンジユニット ALTEC LANSING E03-006B-04-B (NFJストア ヤフーショッピング店 商品ページ)3inch フルレンジユニット ALTEC LANSING E03-006B-04-B (NFJストア ヤフーショッピング店 商品ページ)

※ユニットの詳細な寸法図は、上記商品ページに掲載されています。



いろいろな名声、伝説のある Altec Lansing Technologies社 ですが、現在は プラントロニクス社 の傘下の企業となっており、携帯音楽プレーヤーやパソコン向けのスピーカー、ヘッドホンを開発・製造しているようです。このフルレンジユニットもパソコンスピーカーの組み込み部品と思われます。




ALTEC LANSING E03-006B-04-B(表側)
ALTEC LANSING E03-006B-04-B(表側)


ALTEC LANSING E03-006B-04-B(センターキャップ付近拡大)
ALTEC LANSING E03-006B-04-B(センターキャップ付近拡大)



パルプコーン、ウレタンエッジ、スチールプレスフレームの口径3インチフルレンジユニットです。

軽量コーンに柔軟性の高いウレタンエッジを組み合わせたといった感じでしょうか?。

記事の下の方で FOSTEX FE87 との比較写真を掲載していますが、センターキャップ径が小さく、ボイスコイルボビン径に近いサイズのようです。

しかし、まわりに糊代があるので普通のセンターキャップのようです。ボイスコイルボビン直結のメカニカル2wayにはなっていません。





ALTEC LANSING E03-006B-04-B(裏側)
ALTEC LANSING E03-006B-04-B(裏側)


裏側の様子です。フランジが非常に狭くなっています。外付けする場合、取り付け穴がぎりぎりのサイズになってしまうため、エア漏れに気を付ける必要がありそうです。

フランジの表側にガスケットが付いていませんが、中付けが基本的な使い方のユニットなのかもしれません。


最近は珍しくなった、キャンセルマグネット付きの防磁型設計です。メインマグネットサイズはφ35, 6t (mm), キャンセルマグネットサイズはφ32, 6t (mm) となっていました。

マグネットサイズが小さいですが、小口径ユニットなのでm0が小さいですし、キャンセルマグネットを取り付けるとメインマグネットのみの場合と比較して磁気回路の磁束密度は上昇します。また、組み込み用ユニットなのでコストとの兼ね合いもあるので、これで良しと判断されたのでしょう。

それに、磁気回路が強すぎると中高域のレベルが上昇、低域では逆にf0での制動力が高くなるためコーンの振幅が抑えられてレベル低下してしまい、それこそバックロードホーンでしか使えないユニットになってしまいますからね。

パソコンスピーカー用の部品なので、小容量の密閉型、または、小容量のバスレフ型エンクロージャーでの使用を想定しているユニットだと思います。



キャンセルマグネットの裏側に、
------------------------------------
ALTEC
LANSING

D1032

E03-006B-04-B
------------------------------------

・・・と、印刷がされています。




ALTEC LANSING E03-006B-04-B(側面1)ALTEC LANSING E03-006B-04-B(側面2)
ALTEC LANSING E03-006B-04-B(側面)


側面の様子です。キャンセルマグネットが付いているため、意外と奥行きがあります。

錦糸線はコーンから引き出される一般的なもの。ダンパーも蛇腹形状の一般的なものでした。上述のとおり、ボイスコイルボビンはセンターキャップ径と同じくらいの太さです。





ALTEC LANSING E03-006B-04-B(端子部拡大)
ALTEC LANSING E03-006B-04-B(端子部拡大)


端子は、組み込み用の小口径フルレンジユニットでよく利用される小型のものです。写真では分かりづらいかもしれませんが、端子基盤に+、-の極性記号が刻印されています。





FOSTEX FE87 との大きさ比較(表側)
FOSTEX FE87 との大きさ比較(表側)


FOSTEX FE87 と並べて撮影してみました。

FE87 はスピーカークラフト向けに販売されているユニットのため、フランジに余裕を持たせた作りになっています。

そのため、E03-006B-04-B と比較するとだいぶ大きく見えますが、コーンの実効振動半径を比較すると FE87 が3cm、E03-006B-04-B が3.1cm(実測のため誤差有り)とほとんど同じです。

E03-006B-04-B は口径3インチ(約7.62cm)ユニットとのことですが、他社の口径8cm級ユニットと同等と考えて良さそうです。

ちなみに、写真では分かりづらいですが FE87 は凹ロールエッジ、E03-006B-04-B 凸ロールエッジとなっています。





FOSTEX FE87 との大きさ比較(表側)
FOSTEX FE87 との大きさ比較(裏側)


裏側の比較写真です。

FE87 も防磁設計のため、キャンセルマグネット付きです。しかも、マグネットに金属製カバーをかぶせて磁束漏れを徹底的に抑える構造となっているため、磁気回路が余計に大きく見えます。まあ、実際に使われているマグネット径も E03-006B-04-B より大きいと思いますが。

フランジの幅は裏側から見た方が分かりやすいですね。FE87 は基本的な使い方が外付けということもあり、余裕があります。E03-006B-04-B は余裕がほとんどありません。





FOSTEX FE87 との大きさ比較(側面)
FOSTEX FE87 との大きさ比較(側面)


側面の比較写真です。

FE87 の磁気回路が大きいため、E03-006B-04-B は貧相に見えてしまいますね(笑)。まあ、値段が全然違うから当然のことかもしれませんが。





測定

周波数特性、インピーダンス特性を測定しましたので、掲載します。


使用ソフトウェア・測定環境

多機能 高精度 テスト信号発生ソフト WaveGene V1.50 efu氏
高速リアルタイム スペクトラムアナライザー WaveSpectra V1.51 efu氏
入力信号:サインスイープ 20Hz~20kHz
マイク位置:ユニット軸上1m(周波数特性の場合)
測定用エンクロージャー:5リットル密閉型, 5リットルバスレフ型


インピーダンス特性では上記2種のエンクロージャーに取り付けるケースの他、f0の確認も行っているため、計3回測定しています(周波数特性の測定はエンクロージャー2種の2回のみ)。

また、f0の確認ではユニットをエンクロージャーに取り付けていない状態で測定しています。




  • 測定の様子

5リットルバスレフ型エンクロージャー
5リットルバスレフ型エンクロージャー


測定に使用したエンクロージャーです。5リットルの焼酎ペットボトルを使用したバスレフ型エンクロージャーとなっています。

5リットル密閉型エンクロージャーとして測定に使用する場合は、ダクトに吸音材を詰め込んで密閉型として動作させています。


この焼酎ペットボトルエンクロージャーは以前に製作したもので、こちらの記事でその様子を紹介しています。

ダイトーボイス DS-100F という口径10cmのフルレンジユニットが取り付けられていたのですが、ここ最近はサイズが手ごろなので、もっぱら小口径スピーカーユニットの測定用エンクロージャーとして使っています。


サブバッフルにガムテープがたくさん貼り付いていますが、これはユニット取り付け穴とフランジとの隙間からエア漏れするのを防ぐためです(ガスケット代わり)。もともと、別のユニットが付いていたものを流用しているため、ユニット取り付け穴サイズが微妙に合っていませんでした。






  • 測定結果

参考として FOSTEX FE87 の測定結果も掲載しました。


[参考]FOSTEX FE87 インピーダンス特性(ユニット単体)
[参考]FOSTEX FE87 インピーダンス特性(ユニット単体)


FOSTEX FE87 ユニット単体のインピーダンス特性から。インピーダンス特性のグラフは全て0dBの位置が200Ωに合わせてあります。

FE87 のf0(公式発表値)は140Hzです。しかし、私が所有している個体は長年の使用でエージング過剰になっており、エッジが劣化してよれよれです。その影響のためか、実測では公式発表値より低い約130Hzとなっていました。





ALTEC LANSING E03-006B-04-B インピーダンス特性(ユニット単体)
ALTEC LANSING E03-006B-04-B インピーダンス特性(ユニット単体)


ALTEC LANSING E03-006B-04-B のユニット単体のインピーダンス特性です。

f0のピークは146Hzくらいになっています。FE87 が公証インピーダンス8Ωのユニット、E03-006B-04-B は4Ωなので、グラフが FE87 と比較して全体的に低空飛行しています。

FE87 と対等比較するために、グラフを全体的に+6dBシフトさせて8Ω相当のユニットとしてみると、f0のピークは意外と高いですね。マグネットが貧弱そうに見えますが、意外と駆動力があるのかもしれません。

また、柔軟性の高いウレタンエッジのユニットなので、f0は布エッジの FE87 の140Hzよりも低く出るかな?と思いましたが、そうでもなかったですね。まあ、新品なのでエージングで下がってくる可能性はあります。

マグネットが貧弱なのに意外と駆動力がありそうに見えること、f0が思ったより高いことから、m0が FE87 よりも小さいのかもしれません。





[参考]FOSTEX FE87 周波数特性(0.7リットル密閉箱)
[参考]FOSTEX FE87 周波数特性 (0.7リットル密閉箱)


続いて0.7リットル密閉箱に取り付けた場合の FE87 周波数特性です。

E03-006B-04-B は5リットルの密閉型エンクロージャーに取り付けて測定しているため、フェアな比較とは言えないのですが、参考程度にはなると思い掲載しました。

少々右肩上がりですが、概ね200Hz~20kHzがフラットの良い特性です。エンクロージャー容量が大きければ、もう少し下の周波数からフラットになります。

FOSTEX公式発表の周波数特性では、おそらくJIS標準箱で測定していると思われますが、150Hz~20kHzがフラットになっていました。





ALTEC LANSING E03-006B-04-B 周波数特性(5リットル密閉型)
ALTEC LANSING E03-006B-04-B 周波数特性(5リットル密閉型)


E03-006B-04-B を5リットル焼酎ペットボトルエンクロージャーに取り付け、ダクトを吸音材でふさいで密閉型として動作させた場合の周波数特性です。

全体的に右肩上がりの特性ですが、概ね150Hz~16kHzがフラットです。

ボイスコイルボビンが細く高域特性がよさそうなので、20kHzまでフラットに伸びているのかな?と思いましたが、9kHz付近のレベルが一番高く、13kHz付近より上の周波数帯でレベル降下を起こしていますね。とは言え、20kHzも中低域と同程度の音圧レベルが出ています。

9kHz付近が最大音圧レベルなのはちょっと気になりますね。人間の耳は10kHzより下の帯域に敏感なので、かなりハイ上がりの音に聴こえそうです。10kHzより上の帯域で大きなピークがある場合は特に問題にならないのですが。

中域は700Hz~1.7kHzの範囲でレベルが高く、2kHz付近に結構大きなディップがあります。

中低域を見ると、150Hz~700Hzが中域より5~10dBくらいレベルが低いですが概ねフラット、150Hz以下がだら下がりの特性です。





ALTEC LANSING E03-006B-04-B インピーダンス特性(5リットル密閉型)
ALTEC LANSING E03-006B-04-B インピーダンス特性(5リットル密閉型)


密閉型の状態のインピーダンス特性です。

ピークの周波数は153Hz。エンクロージャー内の空気バネの影響を受けて、f0:146Hzから少々上昇しています。





ALTEC LANSING E03-006B-04-B 周波数特性(5リットルバスレフ型)
ALTEC LANSING E03-006B-04-B 周波数特性(5リットルバスレフ型)


E03-006B-04-B を焼酎ペットボトルエンクロージャーに取り付けて、バスレフ型として動作させた場合の周波数特性です。

密閉型と比較して、中高域は特に変化がありませんが、低域は80Hz付近を中心として音圧レベルが上昇してきていることが分かります。しかし、相変わらずのハイ上がりの特性です。

このユニットの場合、焼酎ペットボトルエンクロージャーではバスレフ共振周波数の設定が低すぎる感じですね。100Hz~120Hzくらいがちょうど良いかもしれません。





ALTEC LANSING E03-006B-04-B インピーダンス特性(5リットルバスレフ型)
ALTEC LANSING E03-006B-04-B インピーダンス特性(5リットルバスレフ型)


バスレフ型のインピーダンス特性です。

ダクトの共振周波数fd:85Hz、周波数が低い方のピークが70Hz、高い方のピークが159Hzくらいになっていました。

周波数が低い方のピークが高い方に比べて、山の高さがかなり低くなっています。ダンプドバスレフ型(共振が抑えられたバスレフ型)のようなインピーダンス特性です。

周波数が高い方のピークは159Hzとなっており、f0:146Hzよりも上昇しているため、エンクロージャー内の空気バネは働いているようです。そのため、空気バネが弱くて共振が起こりにくくなっている訳ではなさそうです。

ダクト面積が大きすぎ、または、逆に小さすぎるのが原因で共振が抑えられているのかを見てみると、ユニット実効振動面積:約30.2cm^2に対して、ダクト面積:7.1cm^2。

実効振動面積に対するダクト面積比は23.5%。メーカー製スピーカーではここまで大きなダクトはまれですが、自作ではユニットの特性によってこのくらいにすることはあります。

しかし、このユニットにはエンクロージャー内容量、ダクト面積とも大きすぎるのかもしれません。内容量:2リットル前後、ダクト面積比:10%以下、共振周波数:100Hzくらいで設計したバスレフ型エンクロージャーの方が合っているように感じます。





まとめ

音質については、バスレフ型エンクロージャーの状態で短時間聴いただけなので、軽く触れる程度にとどめておきます。


鳴らし始めは高域中心の歪みの多い音でしたが、1時間くらい鳴らしておいたら歪感が取れてきました。歪感がほぼ取れた後の印象は、フルレンジにしては高域がきれいなユニットという感じです。また、高域不足は感じません。どちらかと言えば高域過剰(笑)。

やはり9kHz付近のピークが曲者のようです。だら下がりですが、周波数特性上は60Hzくらいまで出ているので、少しは低音感があるかと思いましたが、考えが甘かったようです。

高域とのレベル差が20dBくらいあるのでマスキングされてしまいますね。高域中心の音です。低音を出すのが難しいユニットのように感じました。



使いこなしについて。ぱっと思いつくのは以下の2ケースです。
  • 小容量の密閉型エンクロージャーで使う。このままでは低音不足になるので、別途サブウーハーを1台用意。3D方式とする。

  • バックロードホーン型エンクロージャーで低域を補う。ただし、バックロードホーン型に向いているユニットではないので、ゆったりとした低音になると思います。


このユニットの真骨頂は安価なので気軽に遊べるところでしょう。

以前紹介した ALTEC LANSING L02-013A-08-B と同様に、組み込み用ユニットはユニットの真価を発揮できるエンクロージャーに取り付けられて販売されることはまずないので、自作エンクロージャーで存分に実力を発揮させてあげたいですね。

にほんブログ村 PC家電ブログ オーディオへ
にほんブログ村

にほんブログ村 PC家電ブログ ピュアオーディオへ
にほんブログ村

テーマ : オーディオ
ジャンル : 趣味・実用

tag : オーディオ スピーカー フルレンジ ALTEC LANSING E03-006B-04-B スピーカー工作

広告
Google検索
プロフィール

meridianstar

Author:meridianstar
元システムエンジニアの成れの果ての姿。
詳しいプロフィール:はじめに

contact
※ブログ内容にそぐわない質問の場合、お答えできないことがあります。ご了承ください。

Twitter:meridian15
ニコニコ動画:ヤサコ
pixiv:ヤサコ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

記事一覧
最新記事
広告
カウンター
注目しているもの
リンク(企業)
リンク(お友達)
  • Bond's Lab
    音楽とオーディオとDIYをこよなく愛する ボンド君 氏 の趣味サイト。

  • 試行錯誤
    試行錯誤 氏 のプログラミングお勉強ブログ。

このブログをリンクに追加する
RSSリンクの表示
参考書籍
にほんブログ村
QRコード
QR
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

にほんブログ村