2017年度 Stereo編 ONTOMO MOOK「これならできる 特選スピーカーユニット パイオニア編」付録スピーカー OMP-600 についていろいろと妄想(笑)

日本の夏、スピーカークラフトの夏 2017。(パイオニア編)


前回の「フォステクス編」に続き、今回は Stereo編 ONTOMO MOOK 「これならできる 特選スピーカーユニット パイオニア編」に付録する、パイオニア製 口径6cmフルレンジユニット「OMP-600」の性格を妄想してみたいと思います(笑)。


「フォステクス編」はこちら











関連記事リンク







仕様

  • PIONEER(パイオニア) OMP-600

PIONEER(パイオニア) OMP-600
OMP-600
[外形寸法図] PIONEER(パイオニア) OMP-600
外形寸法図
 




  • 規格
    • 形式: 6cmコーン型フルレンジ
    • インピーダンス:
    • 最低共振周波数: 130Hz (1V)
    • 定格周波数範囲: 80Hz~20kHz (-10dB)
    • 出力音圧レベル: 82dB (300, 400, 500, 600Hz平均 1m/1W)
    • 定格入力: 10W (400cc相当Box 入り), 5W (ユニット)
    • 最大入力: 15W (400cc相当Box 入り), 10W (ユニット)
    • 質量: 約218g
    • バッフル開口寸法: φ58mm

  • TSパラメーター
    Electrical Parameters (電気的パラメーター)
    • Re: 7.42 Ohm   electrical voice coil resistance at DC (ボイスコイルの直流抵抗)
    • Le: 0.194 mH   frequency independent part of voice coil inductance (低い周波数でのボイスコイル インダクタンス)
    • L2: 0.113 mH   para-inductance of voice coil (高い周波数でのボイスコイル インダクタンス)
    • R2: 0.93 Ohm   electrical resistance due to eddy current losses (渦電流損失による電気抵抗)
    • Cme: 144.96 μF   electrical capacitance representing moving mass (振動系質量による静電容量)
    • Lces: 5.62 mH   electrical inductance representing driver compliance (ドライバ コンプライアンスによるインダクタンス)
    • Res: 37.48 Ohm  resistance due to mechanical losses (機械的損失による電気抵抗)
    • fs: 176.4 Hz    driver resonance frequency (ドライバの共振周波数)

    Mechanical Parameters (機械的パラメーター)
    (using laser) ※レーザ変位センサを使用して測定しているという意味のようです。
    • Mms: 1.583 g   mechanical mass of driver diaphragm assembly including air load and voice coil (空気負荷とボイスコイルを含めた振動系質量)
    • Mmd: 1.509 g  mechanical mass of voice coil and diaphragm without air load (空気負荷を除外した振動系質量)
    • Rms: 0.291 kg/s  mechanical resistance of total-driver losses (全ドライバ損失による機械的抵抗)
    • Cms: 0.514 mm/N mechanical compliance of driver suspension (ドライバ サスペンションの機械的コンプライアンス)
    • Kms: 1.94 N/mm mechanical stiffness of driver suspension (ドライバ サスペンションの機械的剛性)
    • Bl: 3.304 N/A  force factor (Bl product) (力係数)
    • Lam: 0.135  suspension creep factor (サスペンション クリープ率)

    Loss factors (損失要因)
    • Qtp: 0.997   total Q-factor considering all losses (全ての損失を考慮した総合共振尖鋭度)
    • Qms: 6.021   mechanical Q-factor of driver in free air considering Rms only (機械的共振尖鋭度)
    • Qes: 1.193   electrical Q-factor of driver in free air considering Re only (電気的共振尖鋭度)
    • Qts: 0.995   total Q-factor considering Re and Rms only (Re, Rmsのみを考慮した総合共振尖鋭度)

    Other Parameters (その他のパラメーター)
    • Vas: 0.1925 l  equivalent air volume of suspension (ドライバ サスペンションと空気弾性力が等価になる空気容量)
    • n0: 0.085 %  reference efficiency (2 pi-radiation using Re) (標準能率)
    • Lm: 81.5 dB characteristic sound pressure level (SPL at 1m for 1W @ Re) (音圧レベル)
    • Lno: 81.83 dB nominal sensitivity (SPL at 1m for 1W @ Zn) (標準感度)

    • rmse: 7.1 %  root-mean-square fitting error of driver impedance Z(f) (ドライバ インピーダンスZ(f) のフィッティング誤差(平均二乗誤差による))
    • rmse: 3.67 %  root-mean-square fitting error of transfer function Hx (f) (伝達関数Hx(f) のフィッティング誤差(平均二乗誤差による))

    • Seri: 0 Ohm  resistance of series resistor (直列抵抗の抵抗値?)
    • Sd: 16.26 cm2  diaphragm area (振動板の実効振動面積)

  • ※TSパラメーターの説明に和訳をつけてみました。なにぶん素人が調べたものなので、誤りがあると思います。ご容赦ください。



[周波数・インピーダンス特性] PIONEER(パイオニア) OMP-600
周波数・インピーダンス特性




  • ユニットの特徴
    • その1:「日本で初めてハイファイダイナミック型スピーカーを開発。その後、多くの名作スピーカーを世に送り出しているパイオニア。その血統を受け継ぐ口径6cmフルレンジスピーカーユニット。」



    • その2:「口径6cmながらφ55mmの大型マグネット搭載。デスクトップ用小型スピーカーから、長いホーンのバックロードホーン型スピーカーまで対応。駆動力の高さからレスポンスの良い音が楽しめる。」

※音楽之友社(公式)より引用させていただきました。






妄想(笑)

ご注意!

このブログは素人が適当に書いているものです。内容については、参考程度にされますようお願いします。


上記リンクのStereo誌(音楽之友社)公式記事に掲載されているスペックを元に、どのような性格のユニットなのかを妄想して行きたいと思います。




他ユニットとの比較

現在入手可能なメーカーの異なる口径6cmクラスのフルレンジユニットから数種類をピックアップ。それらの製品仕様と比較を行うことで、OMP-600 がどのような性格のユニットなのかを考察します。比較対象のユニットとして、FOSTEX P650K, Tymphany TC7FD00-04, Wavecor FR070WA04 をピックアップしました。

OMP-600 と同じ口径6cmのユニットで全てそろえることができればよかったのですが、残念ながらできませんでした。そのため、6~7cmの範囲でユニットを選択しています。5cm(2inch)のユニットはかなりの種類があり、その上は8cmクラスのユニットになってしまうため、6cmは機種が少ない隙間のサイズのようです。



名称PIONEER
OMP-600






OMP-600
FOSTEX
P650K




製品ページP650K製品ページ(FOSTEX公式)

P650K
Tymphany
TC7FD00-04




製品ページTC7FD00-04製品ページ(Tymphany公式)

TC7FD00-04
Wavecor
FR070WA04




製品ページFR070WA04製品ページ(Wavecor公式)

FR070WA04
型式コーン型
フルレンジ
メカニカル2Way
コーン型
フルレンジ
コーン型
フルレンジ
コーン型
フルレンジ
コーン
素材
パルプ(?)バナナパルプ +
木材パルプ
パルプブラック
アイルマイト
アルミニウム
センター
キャップ
素材
同上(?)同上同上同上
エッジ
素材
形状
布(?)
アップロール
高損失発泡ゴム
アップロール
ラバー
アップロール
ラバー(?)
アップロール
口径
(cm)
66.56.35(2.5inch)7(2.75inch)
インピー
ダンス
(Ω)
8848
fs
(Hz)
130157143.42117
再生
周波数
帯域
(Hz)
80~20kHz157~20kHz(-)(-)
出力
音圧
レベル
dB/w(1m)
828483.383
名称PIONEER
OMP-600
FOSTEX
P650K
Tymphany
TC7FD00-04
Wavecor
FR070WA04
入力(W)5152010
Mms
(g)
1.5831.81.61.9
Qts0.9950.990.920.98
実効
振動
半径
(cm)
2.282.62.652.6
実効
振動
面積
(cm^2)
16.2621.222.121
マグ
ネット
重量(g)
(直径)
(-)
(φ55mm)
74
(φ55mm)
(-)
(φ50mm)
115
(φ60mm)
総重量
(g)
218249180290
標準
エンク
ロージャー
密閉(?),
バスレフ型(?),
バックロード
ホーン型
バスレフ型(-)(-)
1cm^2
当りの
Mms
(g)
0.0970.0850.0720.090
Bl
(Tm)
3.3043.061.972.9
駆動力2.0871.71.2311.526
周波数
特性
(f特)OMP-600(f特)P650K(f特)TC7FD00-04(f特)FR070WA04
名称PIONEER
OMP-600
FOSTEX
P650K
Tymphany
TC7FD00-04
Wavecor
FR070WA04

(?): 公式データシートから記述を見つけることができませんでしたが、公開されている他の情報をもとにして私が独自に判断・記載した項目です。そのため、正確な情報ではありません。
(-): 公式データシートに記述がない、または、見つけることができなかった項目です。



表の見方

  • 名称、型式、コーン素材、センターキャップ素材、エッジ素材・形状、口径、インピーダンス、fs(最低共振周波数)、再生周波数帯域、出力音圧レベル、入力、Mms(振動系実効質量)、Qts(総合共振尖鋭度)、マグネット重量・直径、総重量、標準エンクロージャー、周波数特性は製品スペックシートより引用させて頂きました。

    実効振動半径、および、実効振動面積は、実効振動半径から算出、または、実効振動面積から逆算しています。



  • 1cm^2当りのMms(g)について

    「Mms」を「実効振動面積」で割った数値です。

    Mmsは純粋に振動板(コーン)のみの重さを表す数値ではありませんが、振動板の重さと比例関係にはあると思うので、振動板の単位面積(1cm^2)当たりの重さを比較することにより、振動板の強度(厚さ)の違いをある程度推測できるのでは?と考えました。

    この数値が大きいほどコーンが厚く、重く、丈夫な作りになっていると考えられます。



  • Bl(力係数)について

    磁気回路ギャップ内の磁束密度B(単位 T:テスラ)とボイスコイルの巻線長l(m)の積を表します。一般的な単位はTm(テスラメートル)のようですが、ボイスコイルに流れる電流をI、発生する力をFとすると、


    F = Bl × I


    なので、

    Bl = F / I


    となり、N/A(ニュートン パー アンペア)でも意味は一緒のようです。OMP-600 の仕様でもN/Aの表記になっており、メーカーによって単位にゆらぎがありました。そのため、上の表ではTmに統一しています。

    F = Bl × I の式から分かるように、磁気回路ギャップ内にあるボイスコイルに電流が流れるときに発生する力に関係する定数です。そのため、Blが大きいほど、駆動力の大きいユニットということになります。



  • 駆動力について

    上述のBl(力係数)でユニット駆動力の大きさをある程度判断することはできますが、Blではボイスコイルに発生する力にかかる負荷の大きさが考慮されていないため、負荷となるMms(振動系実効質量)で割ることにより、Mms 1gあたりのBlを求めてみました。この値が大きい方が駆動力が大きいユニットと考えられます。

    各ユニットのMmsの違いにより、Blの順位とは違った結果になるかもしれないと思い計算してみましたが、この4機種では変化がありませんでしたね・・・(汗)。






ユニット性格について考察

上で掲載している表の各項目について値を比較することにより、ユニット毎の性格の違いを見て行きます。その後、OMP-600の性格を推測します。


  • 再生周波数帯域

    (f特)OMP-600(f特)P650K
    (f特)TC7FD00-04(f特)FR070WA04
    周波数特性(左上:OMP-600, 左下:TC7FD00-04, 右上:P650K, 右下:FR070WA04)


    上の表では小さくて見づらいので、周波数特性グラフを少し大きめの画像で並べてみました。クリックすると拡大表示します。


    • ユニット比較

      再生周波数帯域の下限(低域)はエンクロージャー構造が支配的になってしまうため、ユニット単体の特性で決まる上限(高域)を見て行きます。

      また、再生周波数帯域の公式発表値がメーカーによってある場合とない場合あるため、周波数特性グラグを使って確認します。中域の音圧レベルと同等、または、それ以上の音圧レベルになっている高域の再生上限を見て行くと・・・、


      • P650K: ~17kHzまで
      • OMP-600, TC7FD00-04, FR070WA04: ~20kHz以上

      となっていました。


      なぜかメカニカル2Wayセンターキャップを採用しているP650Kは17kHz止まり。それ以外のユニットは20kHz以上、ものによっては30kHz以上まで伸びています。まあ、スペックシートに記述がないだけで他のユニットでもメカニカル2Wayセンターキャップを採用している可能性はありますけどね。

      P650Kが意外と高域が伸びていないのは、ボイスコイルボビンが太めなのかもしれません。もともと小口径なので高域は得意のはずですし、メカニカル2Way構造でもあるので高域の伸びはそこそこで妥協、ボイスコイルボビンを太めにすることにより、少しでも低域の充実をはかろうとしているのかもしれません。

      TC7FD00-04は概ねフラットに20kHzまで伸びています。FR070WA04は振動板にアルミニウムを採用しているため32kHzくらいまで伸びていますが、20k~26kHz付近に中域に対して+10dB以上あるすごいピークがありますね。これは金属系振動板にありがちな大きな高域共振と考えられます。



    • OMP-600では?

      15kHz付近に高域共振と思われるピークがありますが、20kHzどころか、30kHz以上伸びていますね。口径が一番小さいので高域再生には有利なのでしょう。また、高域共振によるピークは耳の感度が悪くなる10kHz以上にあるので、高域がうるさく感じることはなさそうです。



    [補足]メカニカル2Wayセンターキャップについて

    センターキャップをボイスコイルボビンに直結することにより、センターキャップに一種のドーム型ツィーターのような動作をさせることで、高域の再生上限を拡張する技術です。




    [参考]メカニカル2Wayセンターキャップコーン型スピーカーの構造
    [参考]メカニカル2Wayセンターキャップ
    コーン型スピーカーの構造







  • 実効振動面積、fs、Mms、出力音圧レベル、Qts、入力、1cm^2当りのMms(g)、Bl、駆動力


    • ユニット比較

      4機種の実効振動面積、fs、Mms、出力音圧レベル、Qts、入力、1cm^2当りのMms(g)、Bl、駆動力を比較すると・・・、


      • 実効振動面積: OMP-600 < P650K ≒ FR070WA04 < TC7FD00-04
      • fs: FR070WA04 < OMP-600 < TC7FD00-04 < P650K
      • Mms: OMP-600 < TC7FD00-04 < P650K < FR070WA04
      • 出力音圧レベル: OMP-600 < FR070WA04 < TC7FD00-04 < P650K
      • Qts: TC7FD00-04 < FR070WA04 < P650K < OMP-600
      • 入力: OMP-600 < FR070WA04 < P650K < TC7FD00-04
      • 1cm^2当りのMms(g): TC7FD00-04 < P650K < FR070WA04 < OMP-600
      • Bl: TC7FD00-04 < FR070WA04 < P650K < OMP-600
      • 駆動力: TC7FD00-04 < FR070WA04 < P650K < OMP-600

      となっていました。(※この記事では昇順で並べています。)



      これらの情報から各ユニットの性格を推測すると・・・、
      • P650K

        FOSTEXのスピーカークラフト入門向け「かんすぴ」シリーズの最小サイズ、口径6.5cmフルレンジユニットです。

        ユニット性格の推測をするにあたり、表を眺めていたところ、高域がメカニカル2Wayにもかかわらずあまり伸びていないことの理由がなんとなく分かってきました。

        前述のとおり、このユニットはスピーカークラフト入門向け製品のため、スピーカー工作に不慣れな初心者がラフな使い方をしても簡単には壊れないよう、丈夫な作りにする必要があります。

        その対策の結果はパラメーターにも表れており、小さいユニットですがMmsが大きめ、駆動力が高め、また、入力も15Wと大きめになっています。

        これは、振動板を厚く重く丈夫に、また、ボイスコイルの線材を太くして耐入力を上げ、アンプのボリュームを上げすぎても簡単に振動板が破損したり、コイルが焼け切れたりしないようにしているのでしょう。

        線材を太くしていることに合わせて、ボイスコイルボビンも太めにして強度を上げているではないかと思います。その影響で高域が出にくくなるため、それを補うためのメカニカル2Wayセンターキャップ採用なのではないでしょうか?。

        駆動力の高さは、バックロードホーンなどのエアロードがかかるエンクロージャー方式での使用を想定しているというよりも、ラフな使い方でも壊れないように設計した結果、そうなってしまったのではないかと思います。

        駆動力が高いわりにQtsが高いですが、これはMmsが小さいことが関係しているものと考えられます。口径6cmクラスのユニットの場合、小口径なので振動系が小さくなってしまいますし、実効振動面積も小さいため空気負荷もほとんどかからないからです。他の3機種のQtsが0.9台と高めなのも同じ理由と考えられます。

        また、fsが4機種中で一番高い値になっています。エッジ素材は高損失発泡ゴムなので柔らかそうですが、これもラフな使い方を想定して耐入力を上げるために、少々硬めに作られているのかもしれません。



      • TC7FD00-04

        Tymphanyの口径2.5inch(6.35cm)のパルプコーンラバーエッジのフルレンジユニットです。このユニットのみインピーダンスが4Ωになっています。

        まず実効振動面積を見ると、上位であるはずのFR070WA04よりも少々大きく、4機種中最大となっています。ただし、これはメーカーの違いによる測定基準のばらつきが原因と考えられるので、TC7FD00-04、P650K、FR070WA04の3機種は、実質口径6.5cmのユニットと考えて問題なさそうです。

        fsが4機種中2位、Mmsは3位、出力音圧レベルは2位、Qtsは最下位、入力は1位、1cm^2当りのMms(g)、Bl、駆動力は最下位となっています。

        Mmsが最下位のOMP-600とほとんど変わらない値になっており、1cm^2当りのMms(g)が最下位であることからも分かる通り、振動板強度は低そうです。また、fsもMmsが小さいため高めです。

        駆動力も最下位であり、薄くて軽い振動板をそこそこの駆動力の磁気回路でドライブするタイプのユニットのようです。駆動力は低めでも振動系が軽いため、能率は比較的高め。

        Qtsは駆動力が低いのに一番小さい値になっていますが、他の機種も皆0.9台の値なので誤差の範囲と考えられます。

        大型密閉箱を使用して測定したと思われる周波数特性を見ると、fsあたりまでフラットの特性になっています。口径が小さいですし、低音再生をある程度あきらめた小型の密閉箱での使用を想定した設計のようです。



      • FR070WA04

        Wavecorの口径2.75inch(7cm)のフルレンジユニット。この機種はインピーダンスが8ΩのFR070WA04の他、4ΩのFR070WA03という機種があります。また、この機種のみ振動板が金属系(アルミニウム)です。

        Tymphany TC7FD00-04の考察で触れたとおり、C7FD00-04、P650K、FR070WA04の3機種は実効振動面積が誤差の範囲なので、実質口径6.5cmのユニットと考えて問題なさそうです。

        fsが4機種中4位、Mmsは1位、出力音圧レベル、Qts、入力が3位、1cm^2当りのMms(g)は2位、Bl、駆動力が3位となっています。

        Mmsが4機種中一番重く、そのため、fsが一番低くなっています。また、Mmsの大きさが影響してか、実効振動面積がほとんど同じ3機種中では出力音圧レベルが一番低くなっています。

        これもMmsに関係しますが、1cm^2当りのMms(g)は4機種中2位で、振動板強度は高いようです。ただし、この機種のみ振動板がアルミニウム製のため、ある程度厚くしないと強度が保てないことが影響して、その結果としてMmsが大きめになっている可能性もあります。

        4機種中最大のマグネットを背負っているわりには、Bl、駆動力がともに3位になっています。入力も3位と低めなので、ボイスコイル線材が細いためマグネットの大きさのわりには駆動力が小さいのかもしれません。

        また、Qtsも駆動力の目安になるので見てみると、4機種中では低い方の値(低い方が駆動力大きい)になっています。しかし、Tymphany TC7FD00-04の考察でも触れていますが、皆0.9台となっており大きな差があるわけではないので、誤差の範囲でしょう。

        もしかしたら高域特性の改善のために、ボイスコイルボビン径を細くしているのかもしれません。それだと駆動力が落ちてしまうので、大きなマグネットを使っているとも考えられます。



    • OMP-600では?

      実効振動面積は当然ながら最小、fsは3位、Mms、出力音圧レベルは最下位、Qtsは1位、入力は最下位、1cm^2当りのMms(g)、Bl、駆動力は1位となっています。

      パラメーターの順位を見ると、このユニットはちょっとユニークな設計になっていることが分かりますね。ユニット口径が最小ながら、駆動力は一番大きいようです。

      4機種中最小のユニットなのでMms(1.583g)も最小ですが、実効振動面積が1.36倍あるTC7FD00-04のMms(1.6g)とほとんど同じ値です。これは、fsが低めなことや、出力音圧レベルが一番低いことにも影響していそうです。まあ、出力音圧レベルが低い原因は実効振動面積が小さいからということもあると思いますが。

      Qtsは一番高いですが、これも上述のとおり誤差の範囲でしょう。入力が一番低いのは口径が小さいから仕方がないところ。

      注目すべきは口径が最小のユニットながら、1cm^2当りのMms(g)、Bl、駆動力が一番大きいことでしょう。

      上でも少し触れていますが、このユニットは口径のわりに振動系質量が大きいです。それは1cm^2当りのMms(g)にも表れており、振動板が厚く丈夫な作りになっていそうです。

      しかし、Blが大きな値になっており、これはボイスコイルに発生する力のみを扱った値なので、Mmsには関係がありません。おそらく、ボイスコイル線材が太めで長いのではないか?と考えられます。

      そのため、ボイスコイルが重くなり、その結果Mmsも大きくなっている可能性があり、入力が小さいことと相まって、一概には振動板が厚く丈夫とは言えないかもしれません。とは言っても、バックロードホーンでの使用が想定されているため、空気室の空気バネに耐えうる程度の強度は確保されているとは思います。

      駆動力は4機種中で一番大きく、ムックの表紙に書かれている「小さいながらも力持ち!」は伊達ではなさそうです。




まとめ

ここまでの考察をもとに、Stereo編 ONTOMO MOOK 「これならできる 特選スピーカーユニット パイオニア編」に付録する PIONEER(パイオニア) OMP-600 についてまとめると・・・、


一見、パルプコーン(?)、布エッジ(?)のオーソドックな小口径フルレンジユニットですが、取り付け可能限界の大きなマグネットを採用することにより磁気回路を強化、小型エンクロージャーからバックロードホーン型エンクロージャーまで、幅広く使うことができる万能型といったところでしょうか?。

磁気回路が強力でも小口径ユニットのため、中高域の音圧レベルが低域に対して極端に上昇していないので使いやすいです。小型密閉箱、バスレフ型で使っても右肩上がりのカンカンした音にはならないと思います。

小口径のため、出力音圧レベル、入力がともに低いです。大音量再生には向かないと思います。まあ、一般家庭での使用には十分な音量は出せると思いますが。



「フォステクス編」とあまり違いがありませんが(汗)、使いこなしについて簡単に触れると・・・、

  • 無難に使う

    冒険をせず、無難に使用するなら、小容量の密閉型か、バスレフ型になると思います。

    コンパクトな密閉型エンクロージャーで使用可能ですが、低音は出ないと思うので、サブウーハーを1台追加して、3D方式のサテライトスピーカーとして使うのも面白そうです。

    バスレフ型ならダクト共振周波数(fd)は、100Hz前後でしょうか?。粘っても80Hzくらい。fdを下げすぎると、ダクトが再生している低域とユニット直接放射の再生帯域の間に音圧レベルの落ち込みが出来てしまいます。



  • ちょっと趣向をこらして

    ちょっと趣向をこらすなら、ダブルバスレフ型か、共鳴管型になると思います。

    どちらにしろ、ゆったりとした低音になると思いますが、これらのエンクロージャー方式はバックロードホーン型よりもユニットを選ぶ傾向にはないため、大失敗になることもないと思います。

    ダブルバスレフ型、共鳴管型は大量の空気をドライブするため、ユニットの駆動力は高い方が良いのですが、駆動力の高いユニット(FEシリーズ等)は中高域レベルが非常に高い周波数特性になりがちです。その場合、ダクトや共鳴管開口から放射される低域のレベルが中高域に追い付かず、結果として、低音は出ているが相対的に低音不足になってしまいます。

    このユニットの場合それが起こらないため、駆動力が高いことも相まって、ダブルバスレフ型、共鳴管型は意外と良い選択肢ではないかと思います。



  • あえて冒険(笑)

    冒険をするならバックロードホーン型になります。

    公式発表のエンクロージャー方式にバックロードホーン型が含まれているため、冒険というとオーバーになってしまいますが、このユニットのQtsは0.995と高く、出力音圧レベルも低いため、バックロードホーン型向きなのか?と言われると疑問があります。

    バックロードホーン型エンクロージャーで使う場合、中高域に対して低域が出過ぎ(いわゆるブーミーな音)で、ゆったりとした低音になると思います。

    私がもし作るとしたら、スロート絞り率は0.5付近、空気室のカットオフ周波数は150Hz前後、ホーン長は1.5m~3mくらいでしょうか?。ホーン長は完成時のエンクロージャーサイズや板取サイズにも影響するので、エンクロージャーを置くスペースや再生したい低域の下限周波数で決めると良いと思います。

    超大型のスパイラルホーンで口径6cmフルレンジの限界に挑戦するのも面白いかもしれませんね。



    [参考]バックロードホーンエンクロージャーの構造
    [参考]バックロードホーンエンクロージャーの構造


    [参考]カットオフ周波数
    [参考]カットオフ周波数



使いこなしに関してはこんな感じになると思います。


一応、ムックは「フォステクス編」、「パイオニア編」とも購入する予定です。


-> 「フォステクス編」へ移動




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