2018年度 Stereo編 ONTOMO MOOK「これならできる 特選スピーカーユニット マークオーディオ編」付録スピーカー 「Model OM-MF5」 についていろいろと妄想(笑)

日本の夏、スピーカークラフトの夏 2018。

マークオーディオ Model OM-MF5
マークオーディオ Model OM-MF5



というわけで、今年もスピーカークラフトの夏が近づいてまいりました!(笑)。


2018年7月19日(木)発売予定の Stereo編 ONTOMO MOOK 「これならできる 特選スピーカーユニット マークオーディオ編」では、マークオーディオ社製の8cmフルレンジ・スピーカーユニット「Model OM-MF5」が付録します。

また、「Model OM-MF5」対応のエンクロジャーキットが付録する、ONTOMO MOOK 「スピーカー工作の基本&実例集 2018年版 特別付録:マークオーディオ製8cmフルレンジ・スピーカーユニット対応エンクロージュア・キット」も同時発売するようですね。

昨年同様、同日発売のStereo誌8月号は「クラフトオーディオ特集号」ではありますが、スピーカーユニットは付録しません。


この記事では、ONTOMO MOOK 発行元である音楽之友社(公式)からの情報が解禁になりましたので、その情報をもとに「マークオーディオ製8cmフルレンジ・スピーカーユニット Model OM-MF5」の性格を妄想してみたいと思います(笑)。






関連記事リンク







仕様
  • マークオーディオ Model OM-MF5
  • 形式: 口径8cmフルレンジ
  • ボイスコイルの直流抵抗(Revc):
  • 最低共振周波数(Fo): 124Hz
  • 振動板の実効振動面積(Sd): 0.0028m^2(28cm^2)
  • ドライバ サスペンションと空気弾性力が等価になる空気容量(Vas): 0.9Ltr
  • ドライバ サスペンションの機械的コンプライアンス(Cms): 0.80㎜/N
  • 空気負荷を除外した振動系質量(Mmd): 1.96g
  • 空気負荷とボイスコイルを含めた振動系質量(Mms): 2.05g
  • 力係数(BL): 2.62Tm
  • 機械的共振尖鋭度(Qms): 2.58
  • 電気的共振尖鋭度(Qes): 0.79
  • 総合共振尖鋭度(Qts): 0.60
  • 出力音圧レベル(SPLo): 85.4dB
  • 入力(Power): 8 Watts(Nom)
  • 振動板の最大リニア動作可能範囲(Xmax)(*): 3.5mm (1way)

(*) :1way(1方向)3.5mmなので、振幅プラス方向3.5mm~振幅マイナス方向3.5mmの合計で7mmの範囲をリニアに振動板が移動できるということのようです。




マークオーディオ Model OM-MF5 周波数特性
周波数特性


マークオーディオ Model OM-MF5 インピーダンス特性
インピーダンス特性




  • ユニットの特長
    • その1:「マークオーディオが最も得意とするマグネシウム/アルミ・ハイブリッドコーン採用」

      宇宙工学グレードのアルミマグネシウム合金を100μmの薄さまで成型したメタル振動板採用。軽量化された振動板により25kHz(±6dB)までの高域特性を獲得している。



    • その2:「超ロングストローク設計」

      1方向3.5mm、前後合わせて7mmをリニア(直線的)に歪なくて振幅できる、超ロングストローク設計。



    • その3:「三段階あるランクの最上級フェライト・マグネットを採用」

      駆動性能に優れ、音の分解能(特に高域)が高く、フルレンジユニットにありがちな“広く薄く平均的”な音にならず、各音域でメリハリの利いた、いわゆる「元気な音」を出すことができる。

※音楽之友社(公式)より引用させていただきました。






妄想(笑)

ご注意!

このブログは素人が適当に書いています。内容については、参考程度にされますようお願いします。


上記リンクのStereo誌(音楽之友社)公式記事に掲載されている仕様を元に、どのような性格のユニットなのかを妄想して行きたいと思います。




他ユニットとの比較

昨年のStereo誌ムック フォステクス編に付録したユニットがちょうど口径8cmなので、その時の比較表を流用して(笑)仕様比較を行うことで、Model OM-MF5(以下、OM-MF5) がどのような性格のユニットなのかを考察します。

比較対象のユニットとして フォステクスの OMF800P, M800, P800K, FE83En, FF85WK をピックアップしました。ちなみに、OMF800Pは2017年のStereo誌ムック、M800は2016年のStereo誌の付録です。


名称
OM-MF5

OM-MF5
OMF800P

OMF800P
M800

M800
P800K

製品ページP800K製品ページ(FOSTEX公式)
データシート
(英語)P800Kデータシート(英語)

P800K
FE83En

製品ページFE83En製品ページ(FOSTEX公式)
データシート
(英語)FE83Enデータシート(英語)

FE83En
FF85WK

製品ページFF85WK製品ページ(FOSTEX公式)
データシート
(英語)FF85WKデータシート(英語)

FF85WK
型式メカニカル
2Way(?)
コーン型
フルレンジ
フェイズ
プラグ
付き
コーン型
フルレンジ
コーン型
フルレンジ
メカニカル
2Way
コーン型
フルレンジ
メカニカル
2Way
コーン型
フルレンジ
メカニカル2Way
コーン型
フルレンジ
コーン
素材
アルミ
マグネシウム
合金
アルミニウムアルミニウムバナナパルプ +
木材パルプ
芭蕉類植物繊維2層抄紙コーン
[基層]:
長繊維
(低叩解度)
木材パルプ
[表層]:
短繊維
(高叩解度)
ケナフ,
備長炭パウダー
センター
キャップ
素材
同上(?)なし
(フェイズプラグ)
同上同上同上リッジドーム
形状
アルミ合金
エッジ
素材
形状
ラバー(?)
ダウンロール
ラバー
アップロール
ラバー
アップロール
高損失
発泡ゴム
アップロール
軽量布
ダウンロール
ポリ
カーボネート系
材料特殊配合
ウレタン
フォーム
アップロール
口径
(cm)
888888
インピー
ダンス
(Ω)
4(?)88888
f0
(Hz)
124117105115165115
再生
周波数
帯域
(Hz)
f0~25kHz
(±6dB)
f0~32kHzf0~32kHzf0~18kHzf0~30kHzf0~28kHz
名称OM-MF5OMF800PM800P800KFE83EnFF85WK
名称
OM-MF5OMF800PM800P800KFE83EnFF85WK
出力
音圧
レベル
(dB)
85.48382.584.58886.5
入力(W)85524715
m0
(Mms)
(g)
2.052.382.52.21.532.0
Q0
(Qts)
0.600.640.750.990.840.55
実効
振動
半径
(cm)
2.993.03.03.03.03.0
実効
振動
面積
(cm^2)
28
(0.0028m^2)
28.328.328.328.328.3
マグ
ネット
重量(g)
(直径)
-112
(φ65mm)
103
(φ60mm)
74
(φ55mm)
140
(φ60mm)
187
(φ65mm)
総重量
(g)
-320280261350450
標準
エンク
ロージャー
(容量)
バスレフ型(?)バスレフ型
バックロードホーン型
バスレフ型
(3.5L)
密閉・
バスレフ型
(2L)
バスレフ型
(6L)
バスレフ型
(3.5L)
1cm^2
当りの
m0(g)
0.0730.0840.0880.0780.0540.071
BL
(Tm)
2.62--2.983.353.93
駆動力1.278--1.3552.1901.965
周波数
特性
(f特)OM-MF5
(f特)OMF800P
(f特)M800
(f特)P800K
(f特)FE83En
(f特)FF85WK
名称OM-MF5OMF800PM800P800KFE83EnFF85WK


表の見方

  • 名称、型式、コーン素材、センターキャップ素材、エッジ素材・形状、口径、インピーダンス、f0(最低共振周波数)、再生周波数帯域、出力音圧レベル、入力、m0(振動系実効質量)、Q0(共振尖鋭度)、実効振動半径、マグネット重量・直径、総重量、標準エンクロージャー・容量、BL(力係数)、周波数特性は製品仕様より引用させて頂きました。実効振動面積は、実効振動半径より算出しています。

    ※(-)の項目は情報が得られなかったもの。(?)の項目は得られた情報をもとに、私が推測したものです。誤りがある可能性があります。ご了承ください。

    ※OM-MF5の実効振動半径は実効振動面積(Sd)から逆算しています。


  • 1cm^2当りのm0(g)について

    「m0」を「実効振動面積」で割った数値です。

    m0は純粋に振動板(コーン)のみの重さを表す数値ではありませんが、振動板の重さと比例関係にはあると思うので、振動板の単位面積(1cm^2)当たりの重さを比較することにより、振動板の強度(厚さ)の違いをある程度推測できるのでは?と考えました。

    この数値が大きいほどコーンが厚く、重く、丈夫な作りになっていると考えられます。


  • 駆動力について

    BL(力係数)でもユニット駆動力の大きさをある程度判断することはできますが、BLではボイスコイルに発生する力にかかる負荷の大きさが考慮されていないため、負荷となるm0(振動系実効質量)で割ることにより、m0 1gあたりのBLを求めてみました。この値が大きいほど駆動力が大きいユニットと考えられます。




ユニット性格について考察

上で掲載している表の各項目の値を比較することにより、ユニット毎の性格の違いを見て行きます。その後、OM-MF5の性格を推測します。


  • 再生周波数帯域

    • ユニット比較

      再生周波数帯域の下限(低域)はエンクロージャー構造が支配的になってしまうため、ユニット単体の特性で決まる上限(高域)を見て行くと・・・、


      • P800K: ~18kHzまで
      • OM-MF5, OMF800P, M800, FE83En, FF85WK: ~20kHz以上

      となっています。


      • P800K, FE83En, FF85WK

        これらのユニットは、高域上限を伸ばすためにメカニカル2Wayセンターキャップを採用しています。しかし、P800Kはメカニカル2Wayですが上限が18kHzと控えめになっています。

        高域上限に影響する要素としてメカニカル2Way以外に考えられるのがボイスコイルボビン径です。ボイスコイルボビン径が細いほど高域上限が高く、太いほど低くなる傾向があります。

        これは、あくまで推測でしかありませんが、P800Kは、FE83En, FF85WKに比べ、ボイスコイルボビン径が太めなのではないか?と考えられます。ボイスコイルボビン径が太くなると高域上限は低くなりますが、コーンの分割振動は太さに応じて抑えられるため、どちらが良いかは一概に言えません。

        低域再生専用であるウーハーユニットでは、ボイスコイルボビン径が非常に太くなっています。ウーハーは高域が再生できたとしてもツィーター、フルレンジ等と比較して音質が良くないですし、ローパスフィルタの効きを良くするためにも再生できないほうが都合が良いからです。また、上述のとおり大面積振動板が分割振動するのを抑制するためでもあります。



        [補足]メカニカル2Wayセンターキャップについて

        センターキャップをボイスコイルボビンに直結することにより、センターキャップに一種のドーム型ツィーターのような動作をさせることで、高域の再生上限を拡張する技術です。



        [参考]メカニカル2Wayセンターキャップコーン型スピーカーの構造
        [参考]メカニカル2Wayセンターキャップ
        コーン型スピーカーの構造




      • M800

        M800のセンターキャップは、ボイスコイルから直接放射される耳障りな高音が漏れるのを防いだり、ボイスコイルボビン内にほこりが入り込むのを防ぐ一般的なタイプです。しかし、再生上限は高く ~32kHz となっています。考えられる理由としては、上述のボイスコイルボビン径が細めなこと、もうひとつは、振動板素材がアルミニウムであることです。

        音波の伝播速度(音速)は、媒質となる素材の密度が高い方が速くなります。アルミニウムは繊維が複雑に絡み合ったパルプのように内部がスカスカではなく、高密度の結晶構造をしているため音波が速く伝わります。そのため、高域再生には有利に働きます。

        しかし、密度が高いことはいいことづくめではなく、高域共振が強く出るという副作用もあります。M800の周波数特性を見ると、13kHz付近に中域に対して+10dBくらいの大きなピークがみられます。これが高域共振と思われます。ただし、ピークの位置が耳の感度が落ちる10kHz以上なので、視聴上の問題がでることはないでしょう。

        金属系振動板のスピーカーユニットが一種類ではなく、物性の異なる複数の金属を混ぜた合金を使うのは、高域共振周波数を分散させて特定の周波数で鋭いピークが出るのを避けるためです。また、パルプコーンが昔から今でも使われ続けている理由は「密度が低く、強度が高い」 というスピーカー振動板の相反する要件をおおむね両立できる素材だからです。

        金属系センターキャップをもつFF85WKも10kHzにピークが見られますが、アルミ合金のおかげなのかM800ほどは高くないですね。



      • OMF800P

        OMF800Pは、M800のアップグレード版のため、高域(10kHz)より下の帯域の周波数特性は非常によく似ています。

        しかし、10kHz以上の帯域では、分割共振によるピークとディップの繰り返しで高域を伸ばすM800に対し、OMF800Pも分割共振を利用して高域を伸ばしていますが、フェイズプラグの効果で位相干渉を抑えることにより深いディップがなく、また、放射効率が上昇しています。



    • OM-MF5では?

      さて、注目の OM-MF5 ですが・・・、

      [周波数特性]OM-MF5・OMF800P合成
      [周波数特性]OM-MF5・OMF800P合成


      比較のために同じ金属系振動板ということで、フォステクス OMF800Pの周波数特性にOM-MF5の周波数特性を強引に重ねてみました。赤茶線がOM-MF5の周波数特性、青線がOMF800Pです。

      OM-MF5のインピーダンス特性を確認したところ、定格インピーダンスは4Ωくらい。OMF800Pは8Ωなので音圧レベルの単純な比較はできませんし、画像を強引に圧縮してグラフを重ねた(特に縦軸方向の尺度がかなり違う)ため正確ではありませんから、参考程度にご覧ください。


      前述のとおり、OMF800P(青線)の10kHz以上の帯域はフェイズプラグの効果により極端に深いディップがなく、高域共振と思われるピークが15kHz、22kHz付近にあります。また、22kHz以上はレベル低下しています。

      同様に、OM-MF5(赤茶線)の10kHz以上を見てみると、14kHz、17kHz付近に高域共振と思われるピークがあり、やはり極端に深いディップがなく、OMF800Pと同様に22kHz付近まで良く伸びています。(深いディップが目立たないのはグラフの分解能がOMF800Pより低いための可能性もありますが。)

      薄膜アルミマグネシウム合金のおかげで高域の伸びが良いです。厚さが100μmと聞くと、ちょっと薄すぎで強度は大丈夫なの?と思ってしまいますが、試作を繰り返して得たデータをもとにした厚さなのでしょうから、大丈夫なのでしょう。

      14kHz、17kHz付近のピークは中域の平均音圧レベルに対して、10dBくらい高いですが、耳の感度が落ちる10kHz以上なので、うるさく感じることは無いと思います。

      また、おそらくですが、OM-MF5の写真を見た感じでは、上述のメカニカル2Wayを採用して高域を伸ばしているのではないか?とも考えられます。


      中低域を見て行くと、130Hz付近のピークはF0共振によるものと考えられます。また、1.2KHz付近がちょっと落ち込んでいますが、110Hz~10kHzがおおむねフラットの良い特性です。

      超低域20Hz~50Hzの範囲が70dBの位置でフラットになっているのが奇妙です。大型密閉箱に取り付けて測定した周波数特性の場合、低域は低い周波数になるほど音響インピーダンスが低下する(長岡先生風に言うと空振りする)ため、OMF800Pのグラフのように徐々にレベル低下を起こすはずです。おそらく、入力しているテスト信号が50Hz~30kHzの範囲になっていると思われます。






  • f0、m0、Q0(Qts)、入力、1cm^2当りのm0(g)、BL(力係数)、駆動力


    • ユニット比較

      機種によって、抜けがありますが f0、m0、Q0(Qts)、入力、1cm^2当りのm0(g)、BL(力係数)、駆動力を比較すると・・・、


      • f0: FE83En > OM-MF5 > OMF800P > P800K = FF85WK > M800
      • m0: M800 > OMF800P > P800K > OM-MF5 > FF85WK > FE83En
      • Q0: P800K > FE83En > M800 > OMF800P > OM-MF5 > FF85WK
      • 入力: P800K > FF85WK > OM-MF5 > FE83En > OMF800P = M800
      • 1cm^2当りのm0(g): M800 > OMF800P > P800K > OM-MF5 > FF85WK > FE83En
      • BL(力係数): FF85WK > FE83En > P800K > OM-MF5
      • 駆動力: FE83En > FF85WK > P800K > OM-MF5


      となっていました。

      ※出力音圧レベルは定格インピーダンスが異なるため除外しました。



      これらの情報から各ユニットの性格を推測すると・・・、
      • P800K

        FOSTEXのスピーカークラフト入門向けユニットです。

        m0、1cm^2当りのm0(g)がフォステクスのレギュラー製品3機種中トップになっています。これは振動板の強度が高いことを示しており、入力(24W)が大きいことにも表れています。また、振動板強度が高いとエンクロージャー内の空気バネ力に対しても強くなるため、エンクロージャー内容量を小さくすることが可能になります。

        入力を大きくしてラフな使い方でも壊れにくくする。また、小容量で使えるためエンクロージャーの小型化が可能であり、初心者がお手軽にスピーカークラフトを楽しめるように工夫がされているようです。出力音圧レベル、f0が低めなのもバスレフ型で使うには好都合です。

        理想を言うともっと大きなマグネットを搭載して駆動力を強化。Q0を0.5付近に持ってくることが出来ればバスレフ型エンクロージャーで更に使いやすいユニットになるのでしょうが、入門機が高価になってしまうと敷居も高くなってしまい意味がありません。安価に提供するために妥協しているのでしょう。



      • FE83En

        FOSTEX伝統のFEシリーズ口径8cmフルレンジです。

        FEシリーズは基本的にバックロードホーン特化型といった感じの製品群なのですが、FE83EnだけはQ0が高く、標準エンクロージャーもバスレフ型となっており異端児的な存在です。しかし、この製品もバックロードホーン型で使用することは可能です。

        m0、1cm^2当りのm0(g)が全機種中最下位、入力も7Wと低めです。振動板強度が低いため、標準エンクロージャー内容量は空気バネ力を弱くするために、口径8cmとしては大き目の6Lになっています。

        振動板強度は6機種中最下位のようです。しかし、前述のとおり、異端児とはいえFEシリーズのユニットのため、バックロードホーン型での使用も想定されているはずなので、空気室の空気バネ力に耐えうる程度の強度は確保されていると考えられます。

        今回、OM-MF5とフォステクスのレギュラー製品のみですが、BL(力係数)とそれを考慮した駆動力を計算、表に載せてみました。

        それによると、BLではFF85WKに劣るものの、駆動力ではFF85WKを上回り最高値となっており、いかに軽い振動系に対して強力な磁気回路が搭載されているのかが明確になりました。やはり、バックロードホーン型向きユニットとして設計されているようです。

        駆動力が1位で強力なのにQ0が高いのは、エッジ素材が唯一布であり、他機種に比べて硬めなこと、また、m0が小さ過ぎるためでしょう。

        m0最小、駆動力が高く、出力音圧レベルが88dBと高いです。そのため、標準エンクロージャーがバスレフ型とはいえ、設計を工夫しないとダクトからの低域放射が中高域の音圧レベルに追いつかず、低音不足になるかもしれません。



      • FF85WK

        FOSTEXのバスレフ型向けFFシリーズの口径8cmフルレンジです。

        BLがトップ、Q0が一番低くバスレフ型に適した0.5付近の値。m0、1cm^2当りのm0(g)はFE83Enより大きな値になっているため、BLがトップでも出力音圧レベルは少々低くなっています。

        また、柔軟性の高い素材を使用したアップロールエッジ採用のため、m0が大きめなことも相まってf0が低めになっています。

        高い駆動力でバスレフ型エンクロージャーを強力にドライブするタイプのユニットです。エンクロージャーの空気バネ力に耐えられるように振動板を強化、能率もそれほど高くないため、比較的小容量のバスレフ型エンクロージャーで豊かな低音が狙える設計がされているようです。



      • M800

        m0、1cm^2当りのm0(g)が1位となっています。

        m0が大きな値になっている理由は、エンクロージャー内の空気バネ力に対する強度をあげて小容量エンクロージャーでの使用を可能にする、また、f0を下げて低音を出やすくするためと考えられます。

        しかし、入力の値に着目すると、m0が最大で振動板強度は高そうなのに OMF800P とおなじ全機種中最下位(5W)です。おそらくですが、このユニットが振動板にアルミニウム素材を使用していることが関係していそうです。

        アルミニウムは軽量ですが強度は低い金属です。そのため、ある程度厚みを取らないと必要な強度を確保できなかったのではないか?、と考えられます。

        f0は全機種中最大のm0と、柔軟性の高いラバーエッジのおかげで一番低くなっています。

        Q0は0.75となっており、振動板強度も必要十分に取られていると思われるため、比較的小容量の密閉型・バスレフ型エンクロージャーで使えそうです。

        磁気回路の強化をして、もう少く駆動力が上げて、Q0が0.5付近の値になっているとバスレフ型エンクロージャーで更に使いやすくなると思うのですが、雑誌の付録なのでコスト的に難しかったのでしょう。



      • OMF800P

        M800 のアップグレードバージョンなので、数値がほとんど同じではないか?と思いましたが、違いが結構あります。同様に比較してみると・・・、

        m0が2.5g → 2.38gに下がっています。おそらくですが、コーンは同じものだと思うので、センターキャップが無くなった分が減少しているのでしょう。それに伴い、1cm^2当りのm0(g)も0.088 → 0.084となっており、わずかに減少しています。

        マグネット重量は103g → 112gの9g増加ですが、直径がφ60mm → φ65mmと5mm増えており、おそらく厚みはそのままで直径を増加させていると考えられます。

        その効果の表れとして、Q0が0.75 → 0.64に低下、出力音圧レベルが82.5dB/w(1m) → 83dB/w(1m)と少々上昇。M800 よりも更にバスレフ型エンクロージャーで使いやすいユニットになっているようです。

        f0が105Hz → 117Hzに上昇しているのは、m0が減少したためと考えられます。

        総重量は280g → 320gになっており、40gも増加しています。マグネット質量の増加分が9g、マグネット径が大きくなっているので磁気回路も大型化されているはずですが、その分を差し引いても40gの増加は大きいです。残りはフェイズプラグ質量でしょうか?。アルミ削り出しらしいので、結構な重さがあるようです。



    • OM-MF5では?

      m0は金属系振動板3機種中で最小になっています。実効振動面積(Sd)がフォステクス系のユニットに比べてやや小さい(フォステクス系:28.3cm^2, OM-MF5:28cm^2)ですが、この程度では誤差の範囲です。

      そのため、それがm0の値に影響しているとは考えにくいです。アルミニウムとマグネシウムの合金を使用することにより、強度を確保しつつ軽量化が出来ていると考える方が妥当に思えます。

      m0が小さめなことが影響してか、f0(124Hz)は全機種中2位と高めです。とはいえ、口径8cmのユニットですから、この程度が普通と見ることもできます(逆に、M800が105Hzなのが低めとも言える)。また、大きな振幅が取れる幅の広い特殊なエッジを採用しているため、それが影響している可能性もあります。

      Q0は0.60なので、バスレフ型エンクロージャーにちょうど良い感じです。マグネット径は公表されていないため、写真を見て想像するしかありませんが(笑)、φ60mmくらいでしょうか?。厚みも意外とありそうです(7mmくらい?)。実効振動面積(Sd)がフォステクスのユニットと同等なので、それから察すると、フランジ幅がかなり広そうです。

      入力は振動板の強度が影響しているのか、フォステクスの金属系振動板2機種よりは少々大きいですが8Wと小さめです。ニアフィールドモニターを想定した作りになっているのかもしれません。とはいえ、実用に耐えうる音量での使用は可能のはずです。

      1cm^2当りのm0(g)は、m0が小さいため全機種中4位になっています。振動板の強度は厚さではなく、アルミマグネシウム合金という素材の物性で確保するという設計方針なのでしょう。

      BL、駆動力はともに最下位です。ちょっと意外だったのが、P800Kよりは順位が上になると思っていましたが、違っていました。

      P800Kはマグネットの大きさのわりにBLが大きいです。高域がメカニカル2Wayなのにあまり伸びていないことや、入力の大きさから考えると、ボイスコイルの線材が太いのかもしれません。




まとめ

ONTOMO MOOK「これならできる 特選スピーカーユニット マークオーディオ編」付録 フルレンジスピーカー Model OM-MF5 の性格についてまとめると・・・、


  • アルミマグネシウム合金の採用によるメリット
    • 異なる物性をもつ金属を合わせて使うことにより、高域共振の極端なピークを抑制。それにより、単一元素の金属系振動板にありがちなメタリックな音質を抑制する効果も期待できる。

    • 薄膜でありながら必要十分な強度を確保できるため、振動板の軽量化が可能。

    • もともと、高域再生が得意な金属系振動板を軽量化できるため、更に、高域再生が有利に。


  • バスレフ型エンクロージャーに適したユニット設計
    • Q0(Qts)を0.60と0.5付近に設定することにより、バスレフ型エンクロジャーでの使用に適した設計。

    • 軽量で適度な強度を持つアルミマグネシウム合金と、±3.5mmの大振幅が可能な特殊エッジを採用することにより、バスレフ型エンクロジャーのドライブ能力に優れる。

といった感じでしょうか?。



フォステクスのM800, OMF800Pをお持ちの場合は、金属系振動板ユニットの聴き比べが出来て楽しそうです。

上でも少し触れていますが、口径が8cmと小さいこともあり、出力音圧レベル、耐入力とも低いです。大音量再生には向きません。パソコンスピーカーのようにニアフィールドモニターとして使うことを想定した設計になっているのかもしれないので、あまり無理はできないと思います。とは言え、一般家庭で使う分には十分な音量は出ると思いますけどね。

あと、毎年・毎年書いていますが(笑)、付録の梱包箱が簡易エンクロージャーとして使えるギミックは引き続き採用して欲しいですね。あれの有無でスピーカークラフト未経験の方が購入するときの敷居の高さがかなり違いますからね。とりあえず鳴らして遊べることは重要だと思います。



使いこなしについて。口径が同じなのでOMF800Pの時とあんまり変わりませんが・・・、

  • 無難に使う

    冒険をせず、無難に使用するならバスレフ型か、密閉型になると思います。上でも書いていますが、Q0(Qts)が0.6なのでバスレフ型での使用が最も適していると思います。

    エンクロージャー容量は、密閉型であれば1.8リットル以上、バスレフ型では密閉型の1.5倍の2.7リットルくらいでしょうか?。

    バスレフ型で使用する場合のダクト共振周波数(fd)は、70Hz~80Hz付近が無難。粘っても60Hzくらい。

    fdを下げすぎると、ダクトが再生している低域とユニット直接放射の再生帯域の間に音圧レベルの落ち込みが出来てしまいます。なにしろ口径8cmのユニットなので、あまり無理はできません。


  • ちょっと趣向をこらして(その1)

    ちょっと趣向をこらすなら、ダブルバスレフ型か共鳴管型になると思います。

    どちらにしろ、ゆったりとした低音になると思いますが、これらのエンクロージャー方式はバックロードホーン型よりもユニットを選ぶ傾向にはないため、大失敗になることもないと思います。

    ダブルバスレフ型、共鳴管型は大量の空気をドライブするため、ユニット駆動力は高い方が良いのですが、駆動力の高いユニット(FEシリーズ等)は中高域レベルが非常に高い周波数特性になりがちです。その場合、ダクトや共鳴管開口から放射される低域のレベルが中高域に追い付かず、結果として、低音は出ているが相対的に低音不足になってしまいます。

    このユニットは中域(110Hz~10kHz)がおおむねフラットなので、低音不足にはならないでしょう。そのため、ダブルバスレフ型、共鳴管型は意外と良い選択肢ではないかと思います。


  • ちょっと趣向をこらして(その2)

    ちょっと趣向をこらす別の例として、マルチウェイスピーカーのスコーカー(ミッドレンジ)として使う案も考えられます。

    能率が低く、中域がフラットなので、周波数特性的には低能率のウーハーと接続しやすいはずです。

    問題はアルミマグネシウム合金振動板と音色が合うウーハーを見つけられるか?と言うことです。

    大音量でガンガン鳴らしたい場合では、低域をカットできるマルチウェイスピーカーのスコーカーでの使用は有利なのですが、やはり、音色合わせに苦労しそうです。


  • あえて冒険(笑)

    あえて冒険するなら、バックロードホーン型になります。

    このユニットのQ0(Qts)は0.60なので、バックロードホーン型向きではありません。

    バックロードホーン型で使用する場合、中高域に対して低域が出過ぎ(いわゆるブーミーな音)で、ゆったりとした低音になると思います。

    もし作るとしたら、スロート絞り率は0.5付近、空気室のカットオフ周波数は120Hz前後、ホーン長は1.5m~3mくらいでしょうか?。ホーン長は完成時のエンクロージャーサイズや板取サイズにも影響するので、エンクロージャーを置くスペースや再生したい低域の下限周波数で決めると良いと思います。



    [参考]バックロードホーンエンクロージャーの構造
    [参考]バックロードホーンエンクロージャーの構造


    [参考]カットオフ周波数
    [参考]カットオフ周波数


使いこなしに関してはこんな感じになると思います。




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