スピーカーユニットメモ ~フルレンジユニット FOSTEX(フォステクス) FE87~

フルレンジユニット FOSTEX(フォステクス) FE87

標準価格:2,850円(生産終了品)


フルレンジユニット FOSTEX(フォステクス) FE87
フルレンジユニット FOSTEX(フォステクス) FE87




仕様
  • 口径:8cm
  • 形式:コーン型フルレンジ(防磁型)
  • インピーダンス:8Ω
  • 最低共振周波数:140Hz
  • 再生周波数帯域:f0~21kHz
  • 出力音圧レベル:89dB/W(1m)
  • 入力:10W(Mus.)
  • m0:1.4g
  • Q0:1.08
  • 実効振動半径(a):3.0cm
  • マグネット重量:76.4g
  • 総重量:0.288kg
  • バッフル穴径:φ71mm
  • 標準エンクロージャー方式:バスレフ型
  • 標準エンクロージャー内容量:4L
  • 付属品:取扱説明書、ネジ(4個)、ワッシャー(4個)
※FOSTEX 総合カタログより引用させていただきました。




所感

FOSTEXの防磁型フルレンジユニット FExx7シリーズの口径8cmモデルです。FExx7シリーズは、ブラウン管方式のテレビが主流だった頃に販売されていました。

一般的なスピーカーではマグネットから盛大に磁束漏れがあるため、ブラウン管に近づけると画面に色むらが発生してしまいますが、FExx7シリーズでは、磁束漏れをできる限り少なくなるように設計されています。そのため、テレビの脇に密着させてスピーカーを設置することが可能です。

しかし、近年は液晶方式などの磁束漏れの影響を受けないディスプレイが一般化していますので、役目を終えたと判断されたのでしょう。販売は終了しています。

私の場合は、10年以上前に後述しているMX-16AVというオーディオ評論家 長岡鉄男氏 設計のマトリックススピーカーを製作するために、秋葉原コイズミ無線で購入しました。



FOSTEX FE87(前面)
FOSTEX FE87(前面)


FOSTEX伝統の白色パルプコーンフルレンジユニットです。長年の使用で色焼けをおこしており、少々黄色くなっています。

エッジ素材は、繊維(布)に合成樹脂を塗布したものです。薄い布を使用しているため向こう側が透けて見えます。塗布された合成樹脂が劣化で軟化しており、触るとベトベトしています。そのため、エッジに腰がなくなり、少しよれて変形していました。ユニット特性も変化しているはずですが、試聴上では普通に鳴っていました。

センターキャップは、ボイスコイルから発生する耳ざわりな高域を閉じ込める役割と、磁気回路内にほこりが入り込むのを防ぐ役割の一般的なものです。現行機種(FE83En)のように、ボイスコイルボビンに直結してドームツィーターとして動作するメカニカル2Way構造にはなっていません。



FOSTEX FE87(裏面)
FOSTEX FE87(裏面)


裏面の様子。FExx7シリーズの防磁対策は徹底しており、一般的な防磁型ユニットに見られるキャンセルマグネットを貼り付けただけの構造ではなく、キャンセルマグネットを貼り付けた上に、金属製カバーをかぶせた2重構造の防磁型になっています。

カタログに掲載されていたマグネット重量は76.4gですが、これは メインマグネット+キャンセルマグネット の合計重量のようです。

FE87の原型モデルであるFE83のマグネット重量は140gあります。FE83は防磁型ではないのでメインマグネットのみで140gあり、Q0も0.8とFE87の1.08より小さい値になっています。キャンセルマグネットを貼り付けることにより、ボイスコイル付近の磁束密度を上げる効果が期待できるようですが、それを考慮してもFE87の磁気回路は、FE83にはおよばないようです。



FOSTEX FE87(裏面シール拡大)
FOSTEX FE87(裏面シール拡大)


裏面中央に貼ってあるシールの様子。
少々消えかかっていますが、下記の印刷がされていました。
----------------------------------
FOSTEX
FE87
LOW LEAKAGE FLUX FULL RANGE
IMP.8Ω MUS.10W
NOM.5W
FOSTEX CORP
----------------------------------



FOSTEX FE87(端子部拡大)
FOSTEX FE87(端子部拡大)


端子部の様子。

赤いマーキングがされている側がプラス端子です。この個体はファストン端子を使って接続されていたため、端子にハンダが付着していませんでした。


FOSTEX FE87(ダンパー拡大)
FOSTEX FE87(ダンパー拡大)


ダンパーの様子。一般的な繊維製のじゃばらダンパーです。



測定

測定機材・環境

多機能 高精度 テスト信号発生ソフト WaveGene V1.40 efu氏
高速リアルタイム スペクトラムアナライザー WaveSpectra V1.40 efu氏
入力信号:サインスイープ20Hz~20kHz
マイク位置:ユニット軸上1m



  • 周波数特性

先ずは、周波数特性を測定しました。

[参考]FOSTEX FE87周波数特性(FOSTEX公式)
[参考]FOSTEX FE87周波数特性(FOSTEX公式)

※参考資料として公式発表の周波数特性を FOSTEX 総合カタログより引用させていただきました。



FOSTEX FE87周波数特性(実測)
FOSTEX FE87周波数特性(実測)


100Hzのスパイクはノイズです。無視してください。

公式の周波数特性の測定では、ユニットをJIS標準箱といわれる大容量の密閉型エンクロージャーに取り付けた状態で行っていると思うので、低域は150Hz付近までフラットに伸びています。

私の場合、ユニット単体のマグネット部分をクランプで固定して、ユニット側を上にしてクランプを直立させることにより、宙吊りに近い状態で測定を行っています。そのため、バッフル効果がまったくありません。また、小口径ユニットのため低域の再生能力が元々低く、かなり高い周波数(1kHz付近)から下の帯域が緩やかにレベルダウンしています。

3kHz付近のレベルが特に高くなっています。しかし、公式の周波数特性にはそのようなピークはみられません。これは私の測定環境の問題なのか、それともユニットの個体差なのか原因は不明です。

小口径のユニットのため、高域は20kHzまで良く伸びています。



FOSTEX FE87 周波数特性 0.7リットル密閉箱(実測)
FOSTEX FE87 周波数特性 0.7リットル密閉箱(実測)

こちらは後日、0.7リットル密閉箱にFE87を取り付けて周波数特性を測定したものです。

JIS箱のような大容量の密閉箱ではないため、低域の下降開始周波数が少し高め(150Hz -> 200Hz)となっていますが、上で掲載している宙吊りの測定結果より公式に近いです。中高域がフラットなことや、15KHz付近のピークも確認できます。



  • インピーダンス特性

次に、インピーダンス特性を測定しました。

FOSTEX FE87 インピーダンス特性(実測)
FOSTEX FE87 インピーダンス特性(実測)


f0のピーク周波数は、約130Hzとなっていました。公式の発表値は140Hzとなっており少々下がっています。やはり、エッジ布に塗布されている合成樹脂が軟化したため、腰がなくなりf0が下がってしまっているようです。



MX-16AV

FE87を取り付けて使っていたマトリックススピーカーMX-16AVも紹介します。

記事の上のほうで少し触れていますが、このスピーカーは長岡鉄男氏の著書 「長岡鉄男 最新スピーカークラフト3 バックロードホーンの傑作」という本に掲載されていた記事をお手本に製作したものです。

実のところ本に掲載されていた図面はMX-17AVというMX-16AVにウーハーユニットを追加したものなのですが、ウーハーユニットは高いので(笑)、ウーハーレスのMX-16AV相当で製作しました。


MX-16AV(全景)
MX-16AV(全景)


このスピーカーはテレビ視聴時の音質改善を目的として、内臓スピーカーと置き換えて使うことを想定した設計がされています。当時のブラウン管テレビには奥行きがあり、テレビの上にもかなりのスペースがありました。そこに設置することを前提としているため、防磁型ユニットが使用されています。

製作当初はテレビの一般的な筐体の色である、つや消し黒で塗装されていたのですが、その後、別のスピーカーを作ったときにあまったコルクシートを貼り付けました。

思いつき(音が良くなると思った)で適当にやったので見た目が汚いです(汗)。しかも、コルク破片がぼろぼろはがれ落ちてゴミが出るので、正直失敗したと後で後悔しました(汗々)。破片が落ちるのを防ぐために、今度はコルクシートの上からフェルトを貼っちゃおうかな?と、思っていたりします(笑)。


MX-16AV(左ユニット拡大)
MX-16AV(左ユニット拡大)

MX-16AV(中央ユニット拡大)
MX-16AV(中央ユニット拡大)

MX-16AV(右ユニット拡大)
MX-16AV(右ユニット拡大)


各ユニットを拡大した様子。3本のFE87は同じ日に購入して、同じ日にエンクロージャーに取り付けられて、同じだけの月日が経過しているはずなのですが、なぜか痛み具合に違いがあります。

右側のユニットの痛みが一番激しいです。布エッジに塗布されていた合成樹脂が溶け出して、コーンにしみを作っています。なぜこのユニットだけ痛みが激しいのか原因は不明です。幸いボイスコイルに異常はないようなので、音は鳴ります。



MX-16AV(裏面)
MX-16AV(裏面)


裏面の様子。かなり大型のダクトが付いています。



MX-16AV(周波数特性)
MX-16AV(周波数特性)


FE87をエンクロージャーに取り付けた場合の参考として、こちらも周波数特性を測定してみました。L+Rに同一のサインスイープ信号を入力しています。測定機材はユニット単体の場合と同じ、マイク位置はセンタースピーカー正面軸上1mです。

75Hz付近に落ち込みがありますが、50Hz~20kHzの帯域をカバーしています。以前所有していたブラウン管テレビの上に置いて使っていましたが、内臓スピーカーとは音質に雲泥の差がありました。当時はアナログ放送でしたし、音声もすべてステレオだった訳ではないので、モノラルからステレオに切り替わるときに「ぱっ」と音が広がるのが印象的でした。


まとめ

FE87は個性が少なく、繊細で穏やかな音調であり、BGM的な使い方に向いていると思います。

反面、音が細いところがあり、テレビに密着設置が可能な防磁設計にはなっていますが、映画視聴などではもう少し荒々しい音で良いから迫力があった方が良かったのではないか?と思います。

現在入手するとなると、既に販売が終了していますので中古品となります。デッドストックなどでない限り、エッジが劣化した個体になってしまうのではないかと思います。

しかし、今から手に入れる価値があるのか?というと個人的には疑問です。FE87に特別な思い入れがあるとか、防磁型である必要があるなど、特殊な理由がない限り入手する価値はないと思います。

代替機種は?となると、現行機種にFE83Enがあります。ただし、FE83Enは防磁型ではないので、防磁が必要な場合には使えないので注意が必要です。

FOSTEX
FE83En


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