Stereo2014年8月号付録 FOSTEX製ユニット使用 3wayスピーカー製作 ~測定・試聴編~

前回の記事で Stereo2014年8月号付録 FOSTEX製ユニット を使用した3wayスピーカーが完成しましたので、今回の記事では、周波数特性・インピーダンス特性の測定、試聴を行います。




Stereo 2014年8月号
Stereo 2014年8月号
FOSTEX(フォステクス) PW80
FOSTEX(フォステクス) PW80
(8cmコーン型ウーハー)
FOSTEX(フォステクス) PT20
FOSTEX(フォステクス) PT20
(20mmソフトドーム型ツィーター)



完成した3wayスピーカー
完成した3wayスピーカー





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Stereo2014年8月号付録 FOSTEX製ユニット使用 3wayスピーカー製作




測定


測定環境

多機能 高精度 テスト信号発生ソフト WaveGene V1.50 efu氏
高速リアルタイム スペクトラムアナライザー WaveSpectra V1.51 efu氏
入力信号:サインスイープ20Hz~20kHz
マイク位置:スコーカー、ツィーター取り付け位置の中間にマイクを向けています。スピーカーとマイクの距離は1mです。



  • 周波数特性


周波数特性(左チャンネル)
周波数特性(左チャンネル)

周波数特性(右チャンネル)
周波数特性(右チャンネル)

先ずは、周波数特性から掲載します。上が左チャンネル、下が右チャンネルの測定結果です。

おおむね、50Hz~20kHzがフラットになっています。ただし、中域(=スコーカーの帯域)が少々落ち込んでいるように見えます。

前回のネットワーク編では、スコーカー(FOSTEX PW80)をアンプ直結(ネットワークスルー)にして単独で鳴らした周波数特性の測定結果を掲載していますが、高域のレベルは比較的高いものの、中低域のレベルが少々低くなっていました。3wayシステムの状態でも、その傾向がそのまま反映された結果、中域が落ち込んでいるようです。

バックキャビティに詰め込んだ吸音材の量を減らせば中域のレベルが上昇するかもしれませんが、元々のレベルが低いため、効果はあまり期待できないのではないかと思います。中域が落ち込んだ周波数特性になっている場合、ボーカルが引っ込む恐れがあるので心配です。

また、右チャンネルの6kHz~8kHzが少々盛り上がっています。左チャンネルにも見られますが、こちらはそれほどでもないため、ツィーターの個体差のようです。鳴らし込んで行くうちに落ち着いてくる可能性もありますが、あまりにもうるさく感じる場合には、ネットワークの修正が必要かもしれません。



  • インピーダンス特性


インピーダンス特性(左チャンネル)
インピーダンス特性(左チャンネル)

インピーダンス特性(右チャンネル)
インピーダンス特性(右チャンネル)

続いて、インピーダンス特性も測定しましたので、掲載します。上が左チャンネル、下が右チャンネルの測定結果です。

中高域のピーク、ディップはネットワークによるものなので、低域を中心に見て行きます。周波数の低い方のピークをピーク1、高い方をピーク2として、それらの間のディップの周波数を見て行くと・・・、


左チャンネル

  • ピーク1:28.3Hz
  • ディップ:43.1Hz
  • ピーク2:82.8Hz

右チャンネル

  • ピーク1:27.6Hz
  • ディップ:43.1Hz
  • ピーク2:82.8Hz

となっていました。

ピーク2は左右チャンネルとも同じ位置ですが、ピーク1は右チャンネルの方が少々低い位置に出ています。エンクロージャーの構造、特にウーハーの動作に関係する部分は左右で違いはないはずです。違いがあるとしたら吸音材の貼り方くらいですが、その違いが気流抵抗の差として現れたということでしょうか?。

左右両方に言えることですが、ピーク1が高く表れており、ダクト共振はうまく動作しているようです。

設計では、ダクト共振周波数を53Hzくらいにしたつもりなのですが・・・、ディップ(実際の共振周波数)が43.1Hzに表れていますね。なぜか10Hzも下がってしまいました。そこで、共振周波数が10Hz下がった原因を考察してみます。



共振周波数の変化考察
共振周波数の変化考察


これは、エンクロージャー側板をはずして、内部の様子を横から見た図です。(※エンクロージャー構造を詳しくご覧になりたい場合は、構想・設計編を参照ください。)

左図のオレンジ色に塗られた部分がダクトです。以下のように設計しました。
  • エンクロージャー実効容量:25リットル
  • ダクト断面積:70cm^2
  • ダクト長:20.5cm
  • 共振周波数:約53Hz


設計している時にも気にはなっていたのですが、ダクトの奥の部分が狭くなっており(右図の赤く塗られた部分)、この部分までダクトが延長した動作になってしまったのではないか?と思い、延長した場合の共振周波数を計算してみます。

図の赤に塗られた部分を含むL字型のようなダクトとして動作していると仮定して、6cm延長した状態で計算した結果は以下のようになりました。
  • エンクロージャー実効容量:24.3リットル
  • ダクト断面積:70cm^2
  • ダクト長:26.5cm
  • 共振周波数:約48.6Hz

共振周波数が約48.6Hzとなり少々下がってはいますが、これでも実際の43.1Hzよりは高いですね。スリット形状のダクトなので、気流抵抗の関係でダクト断面積が実際よりも狭くなったのと等価の動作をしている可能性もあります。

おそらく、それらの要因が合わさった動作をしているのでしょうが、結局よく分かりませんでした(汗)。まあ、周波数特性に問題が出ている訳ではないので、結果オーライではあるのですが・・・。



試聴

ここからは、鳴らし始めから、この記事の執筆時点までの音の変化なども含め、試聴を行います。

記事の書き始めは測定・試聴編の方が先なのですが、番外編用の動画作りにのめり込んでしまい、3週間くらい時間があいてしまいました(汗)。

ちなみに、番外編の動画では、このスピーカーの実機演奏の音が収録してありますので、よろしかったらご覧ください。



インプレッション

鳴らし始め、特に自作スピーカーの場合、第一声はとても酷い音なのですが、バックロードホーン型や、共鳴管型の第一声の酷さに慣れてしまっているため(笑)、思ったほど酷く感じませんでした(汗)。しいて言えば、低域が解像度不足だったり、箱鳴りなどの付帯音が付いていたりという感じでしょうか。

また、スピーカーユニットの製造技術が上がったからなのでしょうか?。最近のパルプコーンユニットは以前に比べて、鳴らし始めの、いわゆる紙臭い音が強烈にするユニットを見かけないですね。まあ、私の耳が慣れてしまっているだけの可能性はありますが・・・(汗)。

それと、もう1点気になったのが能率が低いことです。試聴で使用したパワーアンプ BEHRINGER A500(ステレオ出力 8Ω:125W×2)はプロ向けの製品なので、フロントパネルにレベルメーターが付いていて、クリップすると分かるようになっているのですが、メーターがかなり振れていても、思ったほどの音量になりません。

スコーカー、ツィーターの出力音圧レベルが83dB~84dBくらいなので当然といえば当然なのですが、普段使用しているスピーカーの出力音圧レベルが100dB近くあるので、ちょっと驚いてしまいました。まあ、能率が低いとは言っても、一般家庭で使用するには十分な音量は出せますけどね。







  • ツィーター(FOSTEX PT20)

    6kHz~8kHz付近のレベルの高さの影響でうるさいかな?と思ったら、全然そんなことはありませんでした。

    PT20は個性の少ないツィーターようですね。すっきりと上まで自然に伸びているという感じです。個性の強いツィーターの場合、「がんばって鳴っているんだよ!」(笑)みたいな自己主張をしますし、スピーカー全体の音質がツィーターの個性に引っ張られたりしますが、それがないのは好ましいですね。



  • スコーカー(FOSTEX PW80)

    ボーカルが引っ込む心配のあるスコーカーですが、意外とそのようなことはありませんでした。

    ただ、やはりというか、ネットワークの弊害なのでしょうか?。ボーカルの伸びはアンプ直結のフルレンジにはかなわないですね。ちょっと詰まった感じがあります。

    ネットワーク素子、特にコイル(笑)をまともなものに交換したり、バックキャビティに詰め込んだ吸音材を減らしたりすることにより、ある程度改善する可能性はありますが、ネットワークをはずすことができない以上、フルレンジと同じにはならないでしょう。

    逆に言うと、実験的に使ってみたスイッチング電源用のコイルでも、以外と普通の音がすることが確認できたといえるのかもしれません(笑)。



  • ウーハー(FOSTER C160L09 1511)

    鳴らし始めは解像度が不足している感じでしたが、丸1日くらい鳴らしていたら、解像度が上がってきました。

    量感はありますが、ゆったりとした低音のユニットですね。ダンピングの効いた低音がモリモリ出てくるタイプではありません。

    ユニットの取り付け位置をエンクロージャーの横とか裏にするなど、ユニットからの直接放射を聴かないように工夫して、ネットワークスルーで使った場合では、違った印象の音になるのかもしれません。



ミュージックソースによる試聴

  • クラシック(ピアノ)

    Tchaikovsky Piano Concerto #1,Rachmaninov Preludes
    スヴァトスラフ・リヒテル(ピアノ),ウィーン交響楽団,ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮)

    穏やかな音調なので、クラシックには向いていそうです。ピアノはセンターに定位しますし、結構大きな音量で聴いていましたが、演奏が盛り上がってきてもヒステリックな音になったりせず、破綻はしていないようでした。

    FOSTER C160L09 1511は安物のウーハーですが、腐ってもウーハーのようです(笑)。小口径フルレンジよりも耐入力がありますし、ダクトの効果と相まってスケール感も結構出ます。フレームにブチルゴムテープを貼って制振対策したのが意外と効いているのかもしれません。







  • クラシック(オルガン)

    Orgel Chorale durch das Kirchenjarh:Helmuth Rilling

    以前のスピーカー試聴でも使っている、長岡鉄男先生ご推薦CDです。教会堂でのオルガン演奏ですが、20Hz以下の音が豊富に収録されており、トラック7の冒頭などでは、ウーハーのコーンがふらふらと動くのが確認できます(笑)。

    低域はゆったりしていますし、中高域も刺激的な音を出さないスピーカーなので、パイプオルガンの曲には合いますね。ウーハー(FOSTER C160L09 1511)のエッジがやわらかい素材なので、コーンがふらふらと動くのがよく分かります(笑)。

    50Hzくらいまで再生できるのでパイプオルガンの雰囲気はでますが、30Hzくらいまで再生できればペダルの音も再現できるので、もうちょっと下まで再生できれば・・・、というちょっと悔しい(笑)気持ちになります。







  • クラシック(ギター)

    Jose Miguel Moreno:Pieces Pour Theorbe Franc

    こちらも、以前のスピーカー試聴で使っているCDです。クラシックギターの楽曲が収録されています。クラシックギターの弦を弾いたときの張りのある音や、弦の音が減衰して行く余韻、胴鳴りの再現性を確認するのに利用しています。

    クラシックギターのソロや、小編成のアコースティク楽器演奏は、フルレンジ1発の独壇場のようなイメージがあったのですが、意外と良いです。弦を弾いたときの音がEV 209-8Aに比べると角が取れて丸まった感じになりますが、余韻や胴鳴りは再現されるので、悪い印象にはなっていないですね。

    まあ、スコーカーに使っているPW80が、ウーハーとは言えフルレンジのような設計のユニットなので、それが中域の質の良さとして表れている結果なのでしょう。






  • ジャズ

    Sonny Rollins:Way Out West

    クラシックギターは良かったのですが、サックスはいまひとつですね。もう一歩前に出てきて欲しいのですが、ちょっと後ろに下がって演奏している感じです。むせぶような吹き上げる音も、EV 209-8Aには一歩及ばない感じです。

    ハイハットなどのシンバル系の音はツィーター(PT20)ががんばっているおかけで、良いですね。でも、個人的な意見としては、ソフトドーム型ツィーターの高域って滑らか過ぎるんですよね。クラシックではそれが好印象につながるのですが、ジャズではコーン型ツィーターに軍配が上がるように感じます。

    ウッドベースは胴鳴りも再現されるのですが、フルレンジの音とはちょっと違う感じですね。フルレンジが軽快な音だとしたら、ウーハー(FOSTER C160L09 1511)の音は重量感のある音といったところでしょうか?。私はフルレンジの軽快な音の方が好きですが、これは好みの問題かもしれません。聴く人によって評価が分かれそうです。






  • 和太鼓

    富嶽百景:鬼太鼓座

    長岡鉄男先生ご推薦CDその2。上で掲載しているパイプオルガンのCDもそうですが、スピーカーの根性試しをしているかのような曲が収録されているCDです(笑)。ボリュームに注意しながら試聴。

    50Hzまで出ているので、大太鼓の雰囲気は出ますが、全体的に角がとれて丸なった音になりますね。小太鼓のばちの音とか、三味線の音など結構鋭い音も収録されているのですが、適度に角が取れて聴きやすくなっています。

    自室のメインスピーカーであるFE208EΣを使用した共鳴管型スピーカーで聴くと壮絶な音になってしまって、リラックスして聴く事ができませんが、このスピーカーならリラックスして聴けそうです。





  • ボーカル

    平沢進:賢者のプロペラ

    上でも触れていますが、ボーカルが引っ込むかもしれない件は大丈夫そうでした。やはり、声を張り上げた時の伸びは、ネットワークスルーのフルレンジにはかないませんね。

    スコーカーの高さに耳の高さをそろえると、ちゃんとセンターにボーカルが定位します。一応、仮想同軸的なユニットレイアウトが効いていると思って良いのかな?。

    音場は前に張り出してくるタイプではなく、後ろに広がるタイプのようです。音場感についても、点音源に近い小口径フルレンジ1発には負けますね。





まとめ

今回初めて3wayスピーカーを作ってみました。しかも、本来は2wayスピーカーを作るのが目的のStereo誌付録を、強引に3wayにしてしまいました(笑)。

しかし、マルチウェイシステムは使用するユニットの能率合わせ、位相合わせ、ネットワーク設計など難しい点がたくさんありますね。作っている途中で、私はフルレンジでいいやと、さじを投げそうになりました(笑)。

フルレンジユニットを使う場合、エンクロージャーの設計だけを考えれば良いですが、マルチウェイの場合はそれ以外にも考慮する点が多々あるため、エンクロージャーを凝ることもできませんでした。

エンクロージャーをバスレフ型にした理由は、大型になるのを避けたということもありますが、エンクロージャー設計に余力を回せなかったということもあります。

以前に記事にした、というかまだ記事が完結していないのですが(汗)、サンスイのミニコンスピーカーのネットワーク修理は、実は今回の予行練習も兼ねていました。しかし、元々あるものを修理するのと、1から作るのでは、難易度にかなりの差がありました。

実は、これとは別件で3wayスピーカーを作るプランが(頭の中でだけど)進行していたのですが、Stereo誌でウーハーとツィーターのセットが付録することが分かったので、急遽そのユニットを使う方向に変更しました。

別件プランでは、ツィーター:FOSTER C080N01-A、スコーカー:ダイトーボイス DS-100F、ウーハー:CLASSIC PRO 06LB050U の構成のオールコーン型スピーカー3wayシステムを考えていました。

ダイトーボイス DS-100Fの中域の質の良さを個人的に気に入っており、これを生かして周波数レンジを広げようという発想のプランで、出てくる音も聴いてみたいのですが、もうやる気力がありません(笑)。置き場所もないし(汗)。

もし仮にやるとしてもネットワークを自作するのではなく、プロ向けの安価なチャンネルディバイダーが色々あるようなので、それを使ってみたいですね。

プロ用の安価なチャンネルディバイダーの例として、BEHRINGER(ベリンガー) CX2310 Super-X Proという製品がありました。


ステレオ2Way出力、モノラル3Way出力の他、モノラルサブウーハー出力もできるので、2.1chシステムが構成可能なようです。



また、Stereo誌の発行元である音楽之友社からは、チャンネルディバイダーが付録するムックが発売されるようですね。

ONTOMO MOOK マルチアンプによるスピーカーの楽しみ倍増法
(特別付録:ステレオ2WAY型チャンネルデバイダー)



最後に、上でもちょっと触れましたが、この記事に続く「番外編」では、このスピーカーの作成風景や、実機演奏を収録した動画を見ることができます。よろしければご覧ください。



番外編へ続く・・・


Stereo
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