代替スピーカーエッジ作成方法 考察・検証メモ #1

ウレタン製のスピーカーエッジは空気中の水分により加水分解してしまうため、5年~10年程度でボロボロになってしまいます。



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代替スピーカーエッジ作成方法 考察・検証メモ




代替スピーカーエッジ作成方法 考察・検証

朽ち果てたウレタンエッジの修理方法は、インターネットで調べてみると色々な方により試行錯誤された成果が公開されています。

しかし、ウレタンは合成樹脂の一種のため、人体に有害な有機溶剤(トルエン)が成分のはくり剤を使って除去するケースが多く見受けられます。また、代替エッジの基材として使う布にはそれ自体に気密性・弾性がないため、ダンプ剤として合成樹脂を塗布して気密性・弾性を確保する必要があり、その溶剤にもトルエンが使われているケースがあります。

そのため、専用の工作室を持っていない私の場合、普段の生活空間と工作室をかねている自室でトルエンを使うことはできる限り避けたいと思っていました。

自室での作業となるため、換気を容易にするために無害で臭がきつくなく、且つ、入手性や価格などもリーズナブルなはくり剤・ダンプ剤を使用することにより、安全・安価にエッジ修理をすることができないものか考察、検証をしてみます。
※あくまで考察・検証をしてみるだけです。うまく行くかはわかりません(笑)。



実はこれとは別件で、こちらのスピーカーを修理したかったという理由もあったりします。

テクニクス EAS-20F20
テクニクス EAS-20F20

テクニクス EAS-20F20(エッジ拡大)
テクニクス EAS-20F20(エッジ拡大)

以前、松下電器(現パナソニック)がテクニクスブランドで販売していた口径20cmのフルレンジユニット EAS-20F20です。もともと自室のメインスピーカーである、長岡鉄男氏設計のハイカノンを私が独自に改悪(笑)したパイプ長3.1mの共鳴管型エンクロージャーに取り付けられていたものです。ハイカノンの指定ユニットがEAS-20F20であったため、使っていました。

しかし、10年ほど使用していたところ、ウレタンエッジにひびが入ってきてしまいました。当時は既に生産終了しており入手が出来なくなっていましたので、代替としてフォステクスのFE-208EΣに交換しました。

長らく押入れにしまってあったのですが、ウレタンエッジの劣化が更に進み、かつての弾力性は全く無く、表面に水疱(白点)のようなものが出てしまっています。



スピーカーエッジの修理工程は、大まかに言うと以下となります。
  1. 朽ち果てたウレタンエッジの除去。
  2. 代替エッジの作成。
  3. 代替エッジの貼り付け。


そのため、考察・検証対象となる項目は、
  1. 朽ち果てたウレタンエッジを除去するための安全なはくり剤の調査。
  2. エッジ基材に適した布の調査。
  3. エッジダンプ剤に適した安全な接着剤、または充填剤(合成樹脂溶液)の調査。
  4. 代替エッジの貼り付けに適した安全な接着剤の調査。

となります。


これらの考察・検証は、以前にもこちらの記事(上で紹介している、テクニクス EAS-20F20の末弟的な製品である、口径10cmフルレンジユニットEAS-10F20のエッジ交換の様子をまとめたもの)でも取り組んでいます。

テクニクス EAS-10F20のエッジ修理では、項目1.は「天然オレンジのはくり剤」という製品を使うことにより解決をすることができました。また、項目4.も「セメダイン スーパーX クリア」を使用することにより解決しています。


ウレタンエッジの除去に使用した「天然オレンジのはくり剤」は以下の製品です。
  • オレンジなどの柑橘類の皮に含まれているリモネンを主成分とした無害な有機溶剤(はくり剤)を使用することにより、トルエンを使うことなく朽ち果てたウレタンエッジを除去できました。

    天然オレンジのはくり剤
    天然オレンジのはくり剤

    リモネンはオレンジなどの柑橘類の皮に含まれているものなので無害です。ただし、臭いは結構強い(濃縮されたオレンジ臭(笑))がするので、臭いに敏感すぎる私の場合は換気が必要でした。これが無ければ最高だったのですが(汗)。しかし、現状ではこれ以上安全な製品は無いのではないかと思います。




代替エッジの貼り付けに使用した接着剤「セメダイン スーパーX クリア」です。

  • 空気中の水分に触れることで硬化する、無溶剤の接着剤です。たいていのものが接着可能なので非常に便利です。

    セメダイン スーパーX クリア
    セメダイン スーパーX クリア




しかし、項目2. 、3.については、うまくいったとは言いがたい状態になってしまいました。EAS-10F20のエッジ修理では、ダンプ剤に木工用ボンド(酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤)、基材布にポリエステル織物を使用しました。

修理直後では、ちょうど良い硬さのエッジができたと思っていたのですが、時間の経過とともに硬化が進行してしまったらしく、最終的には硬めのエッジになってしまいました。じゃばら状エッジように、もともと硬めのエッジ修理の場合ではこれでも良さそうですが、かなり柔らかいウレタンエッジの代替としては難しそうです。


まあ、そんな訳でダンプ剤に木工用ボンドを使うにしても塗布時の濃度調節や、基材となる布の選別の試行錯誤はいずれやる必要があるなと思っていたところ、こんなものを見つけました。

ヤマト糊 アラビックヤマト
ヤマト糊 アラビックヤマト

ヤマト糊のアラビックヤマトです。文房具店やホームセンターで販売されている、紙の貼り付けなどが用途の事務用接着剤です。

いわゆる普通のヤマト糊はでんぷん糊なのですが、アラビックヤマトはポリビニルアルコール(PVA)という合成樹脂が主成分となっており、でんぷん糊ではありません。ポリビニルアルコールは合成樹脂ですが例外的に温水に溶け、洗濯のりや、ジグソーパズル用糊の成分としても使われているようです。

ポリビニルアルコール系接着剤は溶剤が水なので安全ですし、水分が蒸発すると透明な膜を形成して硬化するようなので、布エッジのダンプ剤に使えないか実験してみました。しかも、紙の貼り付け等を行いやすいように容器が塗りやすい形になっているので、布に塗布する作業が容易そうです。


というわけで、ポリビニルアルコールが布エッジのダンプ剤として利用可能なのか、検証してみました。

エッジ基材(ポリエステル織物)
エッジ基材(ポリエステル織物)

エッジ基材となる布の拡大写真です。ポリエステル繊維の織物で、縦糸と横糸の間隔が大きめに空いており、伸縮性があります。ロール状エッジを製作しますので、ロール形状に固定してダンプ剤を塗布する必要があります。そのため、ある程度伸縮してくれる布でないと作成が困難になります。

この布は、上で紹介しているテクニクス EAS-10F20のエッジ修理に使用したものと同じものです。ダンプ剤と基材布の両方をいっぺんに変更してしまうと、完成したエッジの特性変化がダンプ剤によるものなのか、基材布によるものなのか判断ができなくなるため、今回はダンプ剤のみを変更することにしました。

しかし、この布は自宅にあった古着から切り取ったものなので、容易に入手が可能なものなのかは不明です(汗)。その辺も調べなくてはダメですね・・・(汗々)。



以下、代替エッジの作成手順です。

代替エッジ作成手順1

ダイソーの200x400x6(mm)のMDF材をエッジ作成用の工作基板として利用します。

写真のように、両面テープをエッジ作成で利用する範囲をカバーするように貼り付けます。この両面テープは布を仮止めするためのものです。



ニトムズ はがせる 両面テープ
ニトムズ はがせる 両面テープ

今回のエッジ試作で使ったみた両面テープです。

製作過程でエッジ基材となる布が、シワを取り除くため引き伸ばした力や、ハケでダンプ剤を塗布することによる摩擦によって工作基板からはがれてしまうようでは困ります。

しかし、ダンプ剤が硬化した後では逆にきれいにはがれてくれないと困ります。そのため、後ではがせるタイプの両面テープ「ニトムズ はがせる 両面テープ」という製品を選んでみました。

しかし、この両面テープは接着剤が結構臭いますね。エッジ作成時の接着性能や完成後の引きはがしには支障がなかったので、臭いがなければ最高だったのですが・・・。まあ、私が臭いに敏感すぎるということもあるので、人によっては全く気にならないかもしれません。



代替エッジ作成手順2

バックアップ材を利用して作ったリングを両面テープに貼り付けます。

今回の試作では、ポリビニルアルコールがダンプ剤として利用できるのか、エッジのロール形状部(可動部)の硬さがダンプ剤の塗布量でどの程度変化するのかを調べることを目的としています。

そのため、本来はバックアップ材の断面が半円になるように半分に割った方が良いのですが、そこまではやっていません。

また、ポリビニルアルコール系接着剤はバックアップ材にも接着してしまうようなので、あらかじめバックアップ材の回りに接着剤を塗って凹凸を埋めて平らにしておきました。



代替エッジ作成手順3

布を両面テープで仮止めして、その後、ダンプ剤を塗ります。

布の貼り付けは、バックアップ材リングの中心部分から貼り付けを開始して、徐々にリング方向へ貼り付いた範囲が広がるように指で円を描くように擦ると良いようでした。

貼りけが終わったらダンプ剤を塗ります。バックアップ材リングの内側は、後でのり代を幅5mmほど残してカットしてしまうのですが、のり代部分を含めて全体的に厚めに塗ったほうが良さそうでした。

このまま、ダンプ剤が硬化するまで乾燥させます。



代替エッジ作成手順4

バックアップ材リングの外側の布も、両面テープで貼り付けて固定します。

シワにならないように貼り付けるのはなかなか難しく、コツ必要です。布をあまり引っ張らないほうが良いのですが、シワができてしまうと、それを取ろうとして引っ張ってしまいますね。

次に、ダンプ剤を塗ります。リング上部(ロール状部分)では、後述する3ケースの厚さで塗り分けをしています。

リング外側はリング内側同様、後でのり代を幅5mmほど残してカットしてしまうのですが、この段階ではかなり広め(幅2cmくらい)に塗りました。また、厚めに塗ったほうが良さそうです。

リングの内側、外側はアラビックヤマトの容器を利用して塗っていますが、ロール状部分は厚さを均一にしたいため、ハケで塗ったほうが良さそうです。



代替エッジ作成手順5

ダンプ剤が硬化した様子です。この後、板からはがしてロール状部分の柔軟性を確認します。





ダンプ剤の塗り分けは以下の3ケース行いました。
  • 1重・薄塗り
  • 1重・厚塗り
  • 3重・厚塗り

ここで言っている「1重」とか「3重」とは、「ダンプ剤を塗布 → 乾燥」 をくり返した回数です。3重の場合は、「ダンプ剤塗布 → 乾燥」を3回くり返していることを表しています。



ここからは、試作した代替エッジの結果を掲載します。

エッジ試作(1重・薄塗り・表)
エッジ試作(1重・薄塗り・表)
エッジ試作(1重・薄塗り・裏)
エッジ試作(1重・薄塗り・裏)

1重・薄塗りの試作結果です。

ロールエッジの部分を表から見るとあまり光沢がありません。ダンプ剤の塗りが薄すぎて、これでは気密性が保てないかな?と思いましたが、裏側を見ると意外としっかり皮膜が出来ており、大丈夫そうです。

ロール部の硬さはウレタンエッジと同等くらいでした。バックアップ材リングの内側、外側のダンプ剤も薄塗りしてしまった関係で全体的にふにゃふにゃになってしまっていますが、内側、外側の塗り方を改善すれば、もっと良くなりそうです。



エッジ試作(1重・厚塗り・表)
エッジ試作(1重・厚塗り・表)
エッジ試作(1重・厚塗り・裏)
エッジ試作(1重・厚塗り・裏)

次は、1重・厚塗りの試作結果です。

実はこの段階で使用していた両面テープは、上で紹介しているものとは別物で、粘着力が強すぎてきれいにはがせず、裏側にはがし残りがあります(汗)。

1重塗りですが、ダンプ剤の塗布量が多いため、バックアップ材リングの内側、外側ともしっかりしています。ロール部には光沢があり、薄塗りよりも硬めになっています。

口径が小さいユニットエッジの場合は薄塗り、口径の大きなユニットの幅の広いエッジには厚塗りというように、使い分けするのが良さそうです。



エッジ試作(3重・厚塗り・表)
エッジ試作(3重・厚塗り・表)
エッジ試作(3重・厚塗り・裏)
エッジ試作(3重・厚塗り・裏)

最後に、3重・厚塗りの試作結果です。

実は、これが一番最初に作った試作品です。この段階では工作基板に手持ちの発泡スチロール板を使用していました。そのため、両面テープの隙間から漏れたダンプ剤(接着剤)が発泡スチロールにくっついてしまって、うまくはがせませんでした(汗)。

エッジの硬さは3重塗りだけあって一番しっかりとしています。ただし、ウレタンエッジの代替というよりは、じゃばらエッジの代替品という感じですね。



今後の展開としては・・・、
  • 1重・薄塗り、1重・厚塗りの試作品を、実機使用を想定したクオリティで製作してみる。
  • 基材布の入手性の確認。
  • 他にエッジ製作に適したダンプ剤・基材布はないか調査。

といったところでしょうか?。


迷走しつつ、つづく・・・ -> その2

天然オレンジのはくり剤セメダイン
スーパーX クリア
ニトムズ
はがせる 両面テープ


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