PCサラウンド検証用スピーカー製作 ~サブウーハー 構想・設計編~

こちらの記事のPCサラウンド用「フロントチャンネル一体型スピーカー製作」に引き続き、今回からは「サブウーハー」を製作して行きます。



  • 使用スピーカーユニット

TOPTONE(東京コーン紙製作所) F77G98-6
TOPTONE(東京コーン紙製作所) F77G98-6

スピーカーユニットはフロントスピーカーと同じ「TOPTONE(東京コーン紙製作所) F77G98-6」(フルレンジ)を使います。サラウンド全チャンネルに同じユニットを使用することにより、音質の統一をはかろうという訳です。

サラウンド用のスピーカー群で、サブウーハーまでユニットを統一しているケースはメーカー製品・自作を含めてほとんどないと思います。



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構想

まずは、作成するサブウーハーに必要な要件をあげてみます。

  • PCサラウンド検証で使用することを目的とするため、検証時以外は片付けられるようにコンパクトなサイズ、形状とする。

  • サラウンド感(音場感)重視とするため、音色を出来る限り揃える。

  • サブウーハーに使用するユニットの実効振動面積を、他チャンネルユニットの実効振動面積合計以上にしたい。

  • 低域成分のみが出力されるLEF(0.1)チャンネルの再生を目的とするため、音質劣化の原因となるローパスフィルターは使用しない。

  • お金はなるべくかけない(笑)。

  • 検証用途のため、とりあえず音が出れば良いので、エンクロージャー設計には失敗をおそれず(笑)実験的要素を入れる。

  • 設計をがんばらない。お手軽に作る(笑)。




設計

上であげた要件を元にして、サブウーハーエンクロージャーの設計をしてみました。以下に設計図を掲載します。


サブウーハー設計図
サブウーハー設計図(クリックで拡大)


  • サブウーハーのエンクロージャー方式として、今回はプッシュプルウーハー型(PPW)を採用してみました。PPWの詳細については下の補足をご覧ください。

  • 例のごとく(笑)、100円ショップダイソーで売られている板材(MDF材、30x30x30mm立方体、三角棒)を利用して作ります(汗)。そのため、寸法が100mmの倍数になっています(ダイソーMDF材が100mm倍数サイズのため)。

    以前は近所にホームセンターがあったのですが、閉店してしまっため、板を売っている近場のお店はダイソーしかないんですよね・・・(涙)。

  • 図中の丸数字は板番号です。

  • 前側の①番板を取り外し可能な構造(木ネジで固定)として、内側の⑦番板にユニットを取り付けます(ユニットをエンクロージャー内部に取り付ける)。

  • ユニットはF77G98-6がお安い(笑)ことを利用して8本使ってみました。しかし、⑦番板で仕切られているユニット前後のキャビネット容量がそれぞれ16リットル程度なので、8本使用するには容量が不足していると思います。4~6本程度の方が無難かもしれません。

    5.1サラウンドの場合、フロントL・R、センター、リアL・Rに1本づつユニットを使うと計5本となるので、その実効振動面積合計を超える本数となる6本が最適かもしれません。

    ユニットを8本使用する場合、キャビネット容量をそれぞれ20リットル以上にしたいところなのですが、サイズが大きくなりすぎるためあきらめました。

    正直なところ検証で使用していないときの片付けを考慮すると、これでも大きく作りすぎた感があります。低音をある程度豊かに再生しようとするとエンクロージャーの大型化は避けて通れないのですが・・・。実験なのでこれで良しとすることにしました。大失敗するかも(笑)。



スピーカーユニット配線例
スピーカーユニット配線例(クリックで拡大)


スピーカーユニット配線例の一覧です。
  • ケース①
    今回採用予定の配線です。8Ωのユニットを2本直列接続したものを、4組並列接続して計8本、4Ωで使います。サラウンドのLFEチャンネル出力を利用するため、音質劣化を招くだけのローパスフィルターは入れません。


  • ケース②
    8本を4本の2組に分けて、8Ωx2で使用します。3D方式のサブウーハーとして利用することを想定した配線です。スピーカーターミナルは2つ取り付け、それぞれにLch、Rchを接続します。

    一応、ローパスフィルター例として3mHのコイルが描かれていますが、実際に組み合わせるサテライトスピーカーの周波数特性にあわせて、最適なリアクタンス値を決定します。

    なお、サブウーハーのエンクロージャー自体がアコースティクなローパスフィルターとして働くため、コイルのインダクタンス値を極端に大きくする必要はありません。


  • ケース③
    ケース①のユニット6本バリエーションです。8Ωのユニットを2本直列接続したものを、3組並列接続して計6本、5.3Ωで使います。設計図の説明で、16リットルのキャビネットに8本は多すぎかもと書いたので、6本の場合も載せてみました。



[補足]プッシュプルウーハー型エンクロージャー(PPW)について

長岡鉄男氏 著書の受け売りになってしまいますが、設計図の説明不足を補うためにプッシュプルウーハーの動作について補足します。


  • 基本形: バスレフ型エンクロージャー
先ずは、基本となるバスレフ型エンクロージャーから。

バスレフ型は、エンクロージャーがヘルムホルツの共鳴器として動作するように設計することにより、共振を利用して低域の増強を狙います。



ヘルムホルツの共鳴器
ヘルムホルツの共鳴器


よく見かけるヘルムホルツの共鳴器をバネとおもりの関係で説明している図です。

図のような容器(ボトル)があるとき、容器内の空気は流体として、注ぎ口の空気は固体(のように振舞うもの)として考えます。

空気は温度によって決まる一定の体積をもち、外部からの力で強制的に引き伸ばしたり、縮めたりすると元の体積に戻ろうとする空気バネの力(弾性力)が働きます。この力は風船や車のタイヤを想像すると分かりやすいと思います。そのため、容器内の空気は一定の空気バネの力を持ちます。

また、注ぎ口の空気はひと固まりとみなし、一定の質量(1リットルで約1.3g)を持ちます。

容器内の空気バネの力をバネの張力、注ぎ口の空気の固まりをおもりに置き換えると、バネにおもりを取り付けたものと等価と考えることができます。

バネにおもりを取り付けると、バネの張力とおもりの質量で決まる共振周波数を持ち、その周波数と等しい上下振動を外部から与えると、おもりが激しく上下振動します。共振周波数はバネの張力が強くなると高く、おもりが重くなると低く変化します。

おもりの上下振動の移動方向は、外部から与えられた上下振動の移動方向と真逆になります(逆相になる)。お祭りの屋台で売られている、水風船にゴムが付いているおもちゃを想像すると分かりやすいと思います。

水風船のゴムを指につけて手を上下に動かすと、ある速さで上下運動させた場合、手を下方に動かすと水風船は勢い良く手の方向(上方)へ移動、手を上方に動かすと、ゴムが最大まで伸びて水風船は勢い良く下方へ移動する動作となります。これが、水風船の共振周波数です。

同様に容器の場合を考えると、容器内の空気バネの力と注ぎ口の空気の固まりの質量で決まる共振周波数を持ち、その周波数と等しい振動を外部から与えると、注ぎ口の空気の固まりが激しく上下に振動します。この空気の固まりの上下振動が一種の振動板として動作することにより、音を効率よく放射します。

空気バネの力は、容器の容量が小さいほど強く、大きいほど弱くなります。空気バネの力はバネの張力と等価なので、張力が強くなると共振周波数が高くなる訳ですから、容量を変化させることにより共振周波数をコントロールすることができます。

また、注ぎ口の空気の固まりはおもりと等価と考えられるので、基本的には質量が大きいほうが共振周波数が低くなります。しかし、空気の場合はおもりと比べて密度が著しく低いため、質量を大きくすると体積も大きくなってしまいます。

空気の質量を大きくする(=体積を大きくする)には、注ぎ口の内容量を大きくしてあげる必要がありますが、注ぎ口の長さを変えずに断面積を大きくして体積を増やすと、気流抵抗が下がってしまうため、逆に共振周波数が上がってしまいます。

共振周波数を下げたい場合には、気流抵抗を下げずに体積を増やす必要があります。そのため、注ぎ口の断面積を変えずに長さを長くして体積を増やし、空気質量を重くする必要があります。



バスレフ型エンクロージャー 構造・周波数特性
バスレフ型エンクロージャー 構造・周波数特性


この図はバスレフ型エンクロージャーの構造と、周波数特性を示したものです。

ヘルムホルツの共鳴器の図に描かれている容器(ボトル)の注ぎ口(この図ではダクト)を内側にひっくり返して、スピーカーユニットを取り付けたと考えれば分かりやすいと思います。ヘルムホルツの共鳴器に振動を与える役割を担うのは、当然ながらスピーカーユニットとなります。

図の周波数特性は、青線がユニットからの直接放射音、fdが共振周波数、橙線がダクトからの放射音です。前述のとおり、共振は入力振動と逆相で振動するため、ユニットの裏面から放射されている音(前面に対して逆相)の逆相で共振することにより、前面から放射されている音と同相になるため、お互いに強め合います。バスレフ型が位相反転型とも言われる理由はこのためです。

実際の視聴では、赤線の周波数特性(ユニット放射音とダクト放射音が合成されたもの)を聴くことになります。fdは青線(ユニットからの直接放射音)の特性をみて決定します。fdが適正に設定されていれば、赤線ようにスムーズに接続された特性になります。

一般的にはこの特性がバスレフ型の成功例なのですが、fdを高めにして中低域にピークを作ったり、fdを低めにして中低域に中だるみができるが超低域を狙うのも音作りとしてはありなので、製作者の好みで自由自在です。



  • バスレフ型からの発展: アコースティクスーパーウーハー(ASW)型

アコースティクスーパーウーハー(ASW)型エンクロージャー 構造・周波数特性
アコースティクスーパーウーハー(ASW)型エンクロージャー 構造・周波数特性


バスレフ型はユニット直接放射音と、ダクトからの放射音が合成された音を聴いているということは前述のとおりですが、ここで、バスレフ型エンクロージャーのユニット前面に密閉箱(図の第2キャビネット)を取り付けて、直接放射音を閉じ込めてしまう構造のエンクロージャーを考えてみます。

ユニット直接放射音を閉じ込めてしまうため、ダクトからの放射音のみを聴くことになり、サブウーハーとして使うことができます。これがアコースティックスーパーウーハー(ASW)型です。

周波数特性は、fdが共振周波数、橙線がfdの共振音となります。

緑線は何かというと、ユニット振動板の前後運動にあわせて、ダクト内の空気がユニットと同相で出入りする動作で、バスレフ型の場合、ユニット前面からの放射音と逆相になるため相殺されて消えてしまうのですが、ASWの場合、前面からの放射音を閉じ込めてしまっているため、再生される"可能性"があります。

なぜ"可能性"があると表現したかというと、この緑線の音は、橙線の共振音と"逆相"なのです。なので、どの程度再生されるかは未知数のようです。



  • ASW型から更に発展: プッシュプルウーハー(PPW)型

プッシュプルウーハー(PPW)型エンクロージャー 構造・周波数特性
プッシュプルウーハー(PPW)型エンクロージャー 構造・周波数特性

説明がやたらと長くなってしまいましたが、やっと本題のプッシュプルウーハー(PPW)型です。

ASWの第2キャビネットは密閉型ですが、これにダクトを付けてバスレフ型にしたものがプッシュプルウーハー(PPW)型エンクロージャーです。ユニットがバスレフ型エンクロージャーにはさまれたような構造になっているため、当然ながら共振周波数が2つ存在します。

しかし、共鳴器をドライブするユニット前後では放射される音が逆相となるため、それぞれのダクト(図中の第1ダクト、第2ダクト)から放射される共振音も逆相になります。そのため、各共鳴器の共振周波数が同じ場合、ダクトからの放射音が打ち消しあって音になりません。また、ASWで存在した緑線の音も第1ダクト、第2ダクトの両方から放射されるため、バスレフ型と同様に相殺されて消えてしまいます。

実際に製作する場合では、図の周波数特性のように、第1キャビネット、第1ダクトによる共振周波数fd1と、第2キャビネット、第2ダクトによる共振周波数fd2をある程度離して設定すれば、両方の共振音を利用することができます。fd1の共振音(橙線)、fd2の共振音(紫線)が、赤線のようにきれいにつながるのが理想ですが、お互いが逆相のため、グラフが交差する部分に谷が出来てしまうかも知れません。


今回製作する予定のPPW型エンクロージャーでは、以下のように設計してみました。
  • 第1キャビネット:約16リットル
  • 第1ダクト:φ50 x 18 mm
  • fd1:約86Hz
  • 第2キャビネット:約16リットル
  • 第2ダクト:110 x 30 x 400 mm
  • fd2:約35Hz

fd1が、fd2の約2.5倍くらいになっていますが、特に根拠がある訳ではなく適当です(汗)。
第1、第2キャビネットの実容量は16.6リットルくらいあるのですが、設計図に描いていない補強も行う予定のため、実効値は少なめの16リットルと見積もって計算しました。


次回は、製作の様子を掲載する予定です。 次 -> サブウーハー (製作編)




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