100円ショップ ダイソーの "ネオジムマグネット" でスピーカーユニットの磁気回路強化はできるのか?

今回は思いつきで始めた、くだらない実験です(笑)。100ショップ ダイソーで売られている小さなネオジムマグネットを利用して、スピーカーユニットの磁気回路強化ができるのか検証します。



  • きっかけ
Stereo2015年8月号付録 口径10cmフルレンジユニット FOSTEX P1000 を使用した共鳴管型エンクロージャーの製作記事をこちらで掲載していますが、所感として FOSTEX P1000 の駆動力は共鳴管型スピーカーで使うには少々弱いところがあり、音にも癖が出てしまいました。

この癖はエージングによって解決する可能性もありますし、実際のところ、根気よく鳴らしこむことによって、かなり改善してきてはいるのですが、磁気回路を強化して遊んでみるのも面白いかも?と頭の中で妄想(笑)していたところ、以前、何かに使えるかな?と思い100ショップダイソーで売られている小さなネオジムマグネットを購入していたことを思い出しました。

もしかしたら、これで安上がりに磁気回路の強化ができるかもしれない?と思えてきたので、試しに実験をしてみました。




  • ダイソーのネオジムマグネット
ネオジムマグネット(パッケージ)ネオジムマグネット(拡大)

今回の主役、100ショップダイソーのネオジムマグネットです。φ6 x 3t(mm)の丸型ネオジムマグネットが8個入った製品を使いました。税込108円也。この他に、φ13mm(厚さは不明)の丸型ネオジムマグネットが4個入った製品もあります。

小さいですが、磁束密度が2800Gauss(280mT)もあります。これを利用してスピーカーユニットの磁気回路が強化できるか検証します。




ご注意!
このブログは素人が適当に書いているものです。内容は参考程度にご覧に下さい。

また、当記事を参考にして改造等を行うことは自由ですが、それに伴なういかなる損害について、当ブログでは責任を負いかねます。ご了承ください。




検証方法

スペアナを使ったインピーダンス特性の測定を行い、そのグラフよりT/Sパラメーターを計算します。測定おより算出対象のパラメーターは以下のとおり。


  • fs(f0):最低共振周波数

    ダイナミック型スピーカーの場合、振動板(コーン)・ボイスコイル等の質量があるもの(厳密には一緒に動かされる空気の質量も含む)が、エッジ・ダンパーの自由に動くものに吊り下げられた構造になっています。これは、バネに吊るされたおもりの構造と等価であり、おもりの質量とバネの張力で決まる共振周波数を持ちます。

    スピーカーユニットにサインスイープ信号を入力してインピーダンス特性の測定を行うと、共振周波数と等しい位置を頂上とした山形のグラフを描くことができます。これは、共振により振動板(コーン)の振幅が大きくなりボイスコイルに発生する逆起電力が増加、アンプ側からみたインピーダンス値が上昇して、グラフとしてはピークとなって表れるためです。


  • Qms:機械的共振先鋭度

    fsにおける共振の鋭さを決める要素のうち、ユニットの機械的な特性値。主な要素はエッジ・ダンパーの張力。


  • Qes:電気的共振先鋭度

    fsにおける共振の鋭さを決める要素のうち、ユニットの電気的な特性値。主な要素は磁気回路・ボイスコイルによる電磁制動力。


  • Qts(Q0):総合共振先鋭度

    Qms、Qesを合わせた総合値。




ネオジムマグネットをユニット裏側の磁気回路ヨーク部に反発する方向に取り付けます。取り付けるマグネット数を徐々に増やして行きながら、上記パラメーター値の測定・計算もそのつど行い、まったく取り付けられていない状態の値と比較します。

今回の実験では、ユニット構造にはまったく手を入れておらず(改造はしていません)、磁気回路の強化のみを行っているため、Qmsには変化なし、Qesは磁気回路が強化されるたびに減少、それに合わせてQtsも減少するのではないか?と予想されます。

Qesが小さいほどfsでの電磁制動力が強く働くことになり、共振によるコーン振幅も抑えられるため、磁気回路が強化されていると判断できます。



使用ソフトウェア・測定環境
多機能 高精度 テスト信号発生ソフト WaveGene V1.50 efu氏
高速リアルタイム スペクトラムアナライザー WaveSpectra V1.51 efu氏
入力信号:サインスイープ 10Hz~600Hz
スペアナ 周波数軸(横軸):fs(f0)付近の周波数帯を拡大してみるため、20Hz~500Hzの範囲をリニア表示しています。
スペアナ インピーダンス軸(縦軸):0dBの位置が200Ωとなるように調整しています。



T/Sパラメーターの測定・計算方法は、以下のサイトを参考にさせて頂きました。謝辞申し上げます。
Bond's Lab (ボンド君 様)Bond's Lab

こちらのサイトは、以前もインピーダンス特性の測定方法について参考にさせて頂いています。T/Sパラメーターについての詳しい説明がされていますので、ご覧になることをお勧めします。




  • 検証用スピーカーユニット

ダイトーボイス DS-100F(表)ダイトーボイス DS-100F(裏)

被験者(笑)となるスピーカーユニットは、みんな大好き「ダイトーボイス DS-100F」です(笑)。

このユニットを選んだ理由は、単に部屋に放置されていたからです。それ以上の深い理由はありません(笑)。まあ、強いてあげるとしたら、このユニットのスペックを知りたかったからでしょうか?。

裏面に引いてある放射状の線は、ネオジムマグネットを取り付けるときのガイド線です。マグネットの取り付け位置が非対称になってしまうと、磁気回路ギャップ部の磁束密度にむらができて、ユニットの動作がおかしくなってしまうのでは?と考えたため、出来る限り対象配置になるようにしています。


仕様
  • 形式:10cmコーン型フルレンジ
  • 公証インピーダンス:8Ω(4Ω, 16Ω製品もあり)
  • 最低共振周波数f0:110Hz
  • 再生周波数帯域:f0~16kHz
  • 出力音圧レベル:90dB
  • 入力:10W
  • バッフル開口径:φ93mm
  • 重量:400g
  • リングマグネットサイズ:φ70(外径)×8tmm (内径は不明)
詳しい仕様はこちら




ダイトーボイス DS-100F(マグネット8個貼り付け例)

ネオジムマグネットの貼り付け例です。写真では磁気回路ヨーク部に8個貼り付けています。マグネットが反発する方向に貼り付けます。




測定結果

  • 測定結果(その1)
磁気回路ヨーク部にネオジムマグネットを平面・同心円状に配置、4個~48個までの8ケースについて測定、オリジナル状態(0個)と比較します。



測定結果を掲載します。インピーダンス特性はグラフのサムネイル画像が横につぶれているため、詳しくご覧になりたい方はクリックすると拡大画像が表示されますので、そちらをご覧ください。

ネオジムマグネット
取付け位置・個数
インピーダンス特性
(画像クリックで拡大)
fs
(f0)
QmsQesQts
(Q0)
オリジナル
からの
Qts低下値
0個(オリジナル状態)
0個(オリジナル状態)
インピーダンス特性(オリジナル状態)170.65.871.160.970.00
マグネット4個
4個
20151027_imp_ds100f_4piece_.png167.25.841.130.95-0.02
マグネット8個
8個
20151027_imp_ds100f_8piece_.png168.55.861.120.94-0.03
マグネット16個
16個
20151027_imp_ds100f_16piece_.png168.95.851.080.91-0.06
マグネット26個
26個
20151027_imp_ds100f_26piece_1layer_.png168.55.871.040.88-0.09
マグネット26 + 4 = 計30個
26 + 4 = 計30個
20151027_imp_ds100f_26_4piece_.png168.15.811.020.87-0.10
マグネット26 + 8 = 計34個
26 + 8 = 計34個
20151027_imp_ds100f_26_8piece_.png168.55.881.020.87-0.10
マグネット26 + 15 = 計41個
26 + 15 = 計41個
20151027_imp_ds100f_26_15piece_.png168.15.831.000.86-0.11
マグネット26 + 15 + 7 = 計48個
26 + 15 + 7 = 計48個
20151027_imp_ds100f_26_15_7piece_.png168.55.860.990.85-0.12




ネオジムマグネット個数とQ値(共振先鋭度)の関係

上の表のQms, Qes, Qts部分を抜き出してグラフにしてみました。Qmsは他のパラメーターと比べて数値が大きいため、グラフの見易さを考慮して目盛を右側にしていますが、1目盛の間隔は左右とも同じ(0.1)です。

Qmsは5.8~5.9の間を上下していますが大きな変化はなく、誤差の範囲と思われます。

fs(f0)はオリジナルと比較して低下傾向にあります。最も低下しているデータはオリジナルから-3.4Hzとなっていますが、単なる誤差なのかマグネット追加による影響なのかよく分かりませんでした。

Qes, Qtsはマグネット個数に対応して徐々に低下しており、48個マグネットを貼り付けたケースではオリジナルと比較して-0.12となっています。



マグネット1個当たりのQts低下値


マグネット個数とQts低下値にどのような関係があるのかグラフにしてみました。「Qts低下値」とは、上の表の「オリジナルからのQts低下値」を貼り付けているマグネット個数で割った値です。

ヨーク外周にマグネットを4個~26個と増やして貼り付けているケースでは順調にQtsが低下していますが、外周がいっぱいになって内周にマグネットを追加しているケースでは、貼り付けているマグネット数が増えているにも関わらず低下が鈍くなっています。ユニット磁気回路のマグネットがリング形状なので、その上を沿うように貼り付けないと効果が薄いようですね。




  • 測定結果(その2)
測定結果(その1)の結果を見ると磁気回路のリングフェライトマグネットに沿うように貼り付ける方が効果的のようなので、外周に26個ネオジムマグネットを配置したケースをベースとして、更にネオジムマグネットを2段、3段に重ねた場合の測定結果をオリジナルの状態と比較します。

平面的にマグネットを配置した測定結果(その1)と比較して、立体的に配置した場合との変化の違いを観察します。




26 x 3段 = 計78個ネオジムマグネット貼り付け例

26 x 3段 = 計78個のネオジムマグネットを貼り付けた例。

ギリギリまで詰め込めば、もう少し多く並べられそうでしたが、マグネット同士が反発してしまい無理でした。接着剤で固定してしまえば可能だと思いますが、マグネットの配置換えが簡単に出来なくなってしまいテストに支障を来たすため、あきらめました。




ネオジムマグネット
配置・数
インピーダンス特性
(画像クリックで拡大)
fs(f0)QmsQesQtsオリジナル
からの
Qts低下値
0個(オリジナル状態)
0個(オリジナル状態)
インピーダンス特性(オリジナル状態)170.65.871.160.970.00
マグネット26 x 1段 = 計26個
26 x 1段 = 計26個
20151027_imp_ds100f_26piece_1layer_.png168.55.871.040.88-0.09
マグネット26 x 2段 = 計52個
26 x 2段 = 計52個
20151027_imp_ds100f_26piece_2layer_.png172.75.950.980.84-0.13
マグネット26 x 3段 = 計78個
26 x 3段 = 計78個
20151027_imp_ds100f_26piece_3layer_.png174.45.940.940.81-0.16




ネオジムマグネット個数とQ値(共振先鋭度)の関係(マグネット積層)

こちらも測定結果(その1)と同様に、Qms, Qes, Qts部分を抜き出してグラフにしてみました。

Qmsはマグネットを積み重ねると増加傾向にあるように見えますが、測定結果(その1)の場合と同様に変化の範囲が0.1以内に収まっているので誤差だと思います。

fs(f0)は測定結果(その1)の場合では低下傾向にありましたが、こちらは増加していますね・・・。最小と最大の差は5.9Hz。サンプル数が少ないので、これだけではマグネット個数との因果関係があるのか分かりませんね。もっと複数のケースについて測定を行えば何か分かるかもしれませんが・・・。

Qes, Qtsはマグネット個数に対応して徐々に低下していますが、Qtsの変化を見ると26個(1段)→52個(2段)では-0.04、52個(2段)→78個(3段)では-0.03にとどまっており、段数を増やしたからといって-0.04づつリニアに減っていく訳ではなく、減少が鈍化しています。



マグネット1個当たりのQts低下値(マグネット積層)

こちらも、マグネット個数とQts低下値にどのような関係があるのかグラフにしてみました。サンプル数が3つなのでもっとデータが欲しいところですが、マグネット数が2倍、3倍になっているにも関わらずQtsの低下が鈍化していることは見て取れます。


使用しているマグネット個数の近いデータで測定結果(その1)と(その2)を比較すると、(その1)26 + 15 + 7 = 計48個のQts低下が-0.12、(その2)26 x 2段 = 計52個のQts低下が-0.13なので、どちらもマグネット1個当たりのQts低下値は0.0025となり、平面的に並べて配置した場合と重ねて配置した場合では、どちらか一方が特別に有利という訳ではなさそうです。




まとめ

ここまで、ダイソーのネオジムマグネットでユニット磁気回路を強化できるのか検証してきましたが、まとめると・・・、


1層の平面的な配置では、磁気回路ヨーク部のふちに沿って(磁気回路のリングフェライトマグネットに沿って)マグネットを貼り付ける方が効率が良く、中心に行くにしたがって効果が低いことが測定結果(その1)で分かりましたので、下の図のような貼り付け方がもっとも効率が良いのではないか?と考えられます。

ネオジムマグネットの配置例

図のように磁気回路のリングフェライトマグネットに沿うように密集させて貼り付けます。2重の同心円状で、外側が29個、内側が23個で計52個。密集させて貼り付けているため、マグネット同士の反発力に耐えられる接着力がある接着剤が必要です。

これ以上に磁気回路強化をしたい場合は、内側に3重目を追加するよりも2層にした方が良いと思います。ただし、1層でも52個のマグネットを使っているので、ダイソーのネオジムマグネットは1パッケージが8個入りなので7パッケージが必要。

2層では104個ものマグネットが必要なので13パッケージも必要になり、1層では756円(税込)、2層では1404円(税込)も必要になり、はっきり言って割高です(汗)。しかも、ステレオで聴きたい場合(まあ、普通はそうでしょうけど)は、更に倍額かかります(汗々)。



ちなみに、以前購入したφ80 x φ40 x 12t(mm) サイズのリングフェライトマグネットが手元にあったので、それを貼り付けた結果も測定してみました。

ユニット磁気回路のリングマグネットがφ70mmなので、それよりも大きなφ80mmのマグネットを貼り付けるのはあまり現実的ではないので参考程度にご覧ください。しかし、このユニットの取り付け開口径はφ93mmなので、この状態で使用することは一応可能です。

φ80 x φ40 x 12t(mm) リングフェライトマグネットリングフェライトマグネットを取り付けた様子



マグネット配置インピーダンス特性
(画像クリックで拡大)
fs(f0)QmsQesQtsオリジナル
からの
Qts低下値
0個(オリジナル状態)
0個(オリジナル状態)
インピーダンス特性(オリジナル状態)170.65.871.160.970.00
φ80 x φ40 x 12t(mm) リングフェライトマグネット
φ80 x φ40 x 12t(mm)
リングフェライトマグネット
インピーダンス特性(リングフェライトマグネット)167.25.860.850.74-0.23

測定結果はQtsがオリジナルから-0.23低下しており、上で実験したどのケースよりも磁気回路の強化ができています(汗)。このサイズのリングフェライトマグネットは1000円以下で購入できますし、お店によっては500円台から購入できるようなので、コストパフォーマンスでは完敗ですね・・・(汗)。

このくらいのサイズのリングフェライトマグネットの平均的な磁束密度は100~120mTくらいのようなので、磁束密度の大きさよりも磁気回路ヨーク部を被う面積の広さのほうが重要みたいです。

上で掲載したネオジムマグネットを52個貼り付けるケースも検証してみたい気もしますが、素直にリングフェライトマグネットを買ったほうが賢いのかなぁ?(汗々)。


あっ、書き忘れていましたが、ユニットの磁気回路を強化しても音質が良くなるとは限りませんよ。中高域では能率上昇、歪み感の低下が期待できますが、低域、特にfsでの電磁制動力が強くなるため、共振でコーン振幅が大きくなることを利用して低音を稼いでいるタイプのエンクロージャー(密閉型、バスレフ型等)では、fsでの振幅が小さくなり、且つ、中高域は能率上昇するため、音は締まりますが、量感は減ってしまうと思います。

バックロードホーン型なら、純粋に音質アップが期待できるんですけどね。


リング型マグネット
外径50Φ×内径15Φ×10ミリ厚
リング型マグネット
外径60Φ×内径32Φ×7ミリ厚
リング型マグネット
外径70Φ×内径32Φ×8ミリ厚


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