Stereo2016年8月号付録 口径8cmメタル振動板フルレンジ FOSTEX M800 使用 タンデム方式バスレフ型スピーカー製作 ~測定・試聴編~

設計から1ヶ月以上時間がかかってしまいましたが、前回の記事でなんとかエンクロージャーを完成することができました。今回は先ずユニットの取り付けを行い、その後、測定、試聴を行います。




メタル振動板フルレンジユニット FOSTEX(フォステクス) M800

ステレオ2016年8月号(表紙)
Stereo(ステレオ) 2016年8月号
FOSTEX(フォステクス) M800 (表)
FOSTEX(フォステクス) M800 (裏)
FOSTEX(フォステクス) M800





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ユニットの取り付け

先ずは、エンクロージャーにユニットを取り付けます。

「サブユニット取り付け」 -> 「サブバッフル取り付け」 -> 「メインユニット取り付け」 の順に作業を行います。


  • サブユニット・サブバッフルの取り付け
サブユニットとして使用するのは、こちらの記事で詳しく紹介している TOPTONE(東京コーン紙製作所) F77G98-6 です。



TOPTONE(東京コーン紙製作所) F77G98-6
TOPTONE(東京コーン紙製作所) F77G98-6







サブユニットハンダ付け


サブユニットにハンダ付けをした様子です。サブユニットはメインユニットに対して前後逆に取り付けるため、配線は逆相接続になります。詳しくは、構想・設計編 をご参照ください。





サブユニット絶縁処理


端子部を適当に(笑)絶縁処理。






サブユニットネジ止め


サブユニットを第1キャビネット内に収めてネジ止めした様子です。

サブバッフルのガスケットとして使っているフェルトに極薄のものを使用した理由は、サブユニットを第1キャビネットに収めるときに、ユニットのフランジがフェルトに引っかかって、うまくいかない恐れがあったためです。

また、ユニットをネジ止めするときにドライバーを使うので、フェルトが邪魔してユニットのネジ穴に届かない恐れがあったということもあります。

当初は、エンクロージャー外装に貼っているフェルトと同じ厚さのものを使用する予定でした。






サブバッフルの取り付け


サブバッフルをはめ込んだ様子です。なんとか収まってくれました。






サブバッフルのネジ止め


サブバッフルをネジ止めした様子です。

元々ぎりぎりサイズのサブバッフルをネジで更に強くしめつけたので、ネジがなくても二度とはずせないかもしれない(汗)。






  • メインユニットの取り付け

引き続き、メインユニットである FOSTEX M800 の取り付け作業を行います。


メインユニットハンダ付け


メインユニットをハンダ付けした様子です。

メインユニットは正相接続になります。






メインユニット絶縁処理


こっちも適当に(汗)絶縁処理。






メインユニットネジ止め


メインユニットをネジ止めした様子です。

このエンクロージャーはメインユニットとサブユニットの両方を取り付けると、ユニット裏面の磁気回路がぎりぎりの距離で向かい合わせになるように設計してあります。

お互いのフェライト磁石の反発力を利用して、メイン・サブ各ユニットの磁気回路強化を狙っているのですが、ユニット取り付け時では反発しあうと作業がしづらくなってしまいます。

当初はサブバッフルにメインユニットを先に取り付けてから、サブバッフルをエンクロージャーに取り付ける手順で作業する予定だったのですが、サブバッフルの奥行に対してメインユニットの奥行の方が長いためかえって作業がしづらいことが分かり、あきらめました。






完成!


もう片方のエンクロージャーにもユニットを取り付けて、完成!。






測定

周波数特性・インピーダンス特性の測定を行いましたので、掲載します。


  • 使用ソフトウェア・測定環境

    多機能 高精度 テスト信号発生ソフト WaveGene V1.50 efu氏
    高速リアルタイム スペクトラムアナライザー WaveSpectra V1.51 efu氏
    入力信号:サインスイープ 20Hz~20kHz
    マイク位置:ユニット軸上1m(周波数特性の場合)




  • 周波数特性
参考資料として、フォステクス公式、私が実測した5リットル密閉型と5リットルバスレフ型の各エンクロージャーに取り付けたケースの周波数特性を掲載します。



[周波数特性・インピーダンス特性] FOSTEX(フォステクス) M800 (公式)
[周波数特性・インピーダンス特性] FOSTEX(フォステクス) M800 (公式)


公式発表の周波数特性・インピーダンス特性です。Stereo誌より引用させて頂きました。





[周波数特性] FOSTEX(フォステクス) M800 (密閉型・実測)
[周波数特性] FOSTEX(フォステクス) M800 (密閉型・実測)


5リットルの密閉型エンクロージャーに取り付けて、私が実測した周波数特性です。





[周波数特性] FOSTEX(フォステクス) M800 (バスレフ型・実測)
[周波数特性] FOSTEX(フォステクス) M800 (バスレフ型・実測)


こちらは、5リットルバスレフ型エンクロージャーに取り付けて、私が実測した周波数特性です。







ここからは、今回作成したエンクロージャーを実測したものを掲載します。


[周波数特性] FOSTEX(フォステクス) M800 (タンデム方式バスレフ型・実測・左チャンネル)
[周波数特性] FOSTEX(フォステクス) M800
(タンデム方式バスレフ型・実測・左チャンネル)

[周波数特性] FOSTEX(フォステクス) M800 (タンデム方式バスレフ型・実測・右チャンネル)
[周波数特性] FOSTEX(フォステクス) M800
(タンデム方式バスレフ型・実測・右チャンネル)


上段のグラフが左チャンネル、下段が右チャンネルの周波数特性です。左右対称構造のエンクロージャーではないため、本来分ける必要はないのですが、説明するうえで便宜的にこの表現を使用しました。


左チャンネル、右チャンネルで個体差による細かな違いはあるものの、概ね特性が同じなので左チャンネルを中心に見て行くと、上で掲載している5リットルバスレフ型では90Hz~20kHzが概ねフラットの特性になっていますが、タンデム方式バスレフ型では低域がさらに伸び、60Hz~20kHzが概ねフラットで良い特性です。


インピーダンス特性の測定結果で詳しく見て行きますが、サブユニットが駆動する第2キャビネットは共振周波数:約57.5Hzのバスレフ型となっており、口径8cm級のユニットには荷が重い設計になっていました。

バスレフ共振と思われるピークが60Hzにあり、第2キャビネット内部を補強したことによる容量減少のため、共振周波数が設計値よりも少々上昇したようです。元々共振周波数を低すぎるくらいにとっていたので、これは好都合です。

心配していた、ユニットからの直接放射の中高域と、ダクト放射の低域が交差する部分に音圧レベルの落ち込みが広い範囲で出てしまうかもしれない問題も思ったほどでもありませんでした。一応、100Hz付近にディップがありますが、このくらいのディップがあるスピーカーは良く見かけます。


余談ですが、高域特性の形からすると5リットル密閉型、および、バスレフ型の測定で使用したユニットは、左チャンネルのエンクロージャーで使われているようですね。






  • インピーダンス特性
続いて、インピーダンス特性の測定結果です。



[インピーダンス特性] FOSTEX(フォステクス) M800 (タンデム方式バスレフ型・実測・左チャンネル)
[インピーダンス特性] FOSTEX(フォステクス) M800
(タンデム方式バスレフ型・実測・左チャンネル)

[インピーダンス特性] FOSTEX(フォステクス) M800 (タンデム方式バスレフ型・実測・右チャンネル)
[インピーダンス特性] FOSTEX(フォステクス) M800
(タンデム方式バスレフ型・実測・右チャンネル)


周波数特性と同様に左チャンネル、右チャンネルの測定結果に大きな違いは見られないため、左チャンネルを中心に見て行きます。


今回作成したタンデム方式のエンクロージャーの場合、メインユニットが密閉型、サブユニットがバスレフ型のキャビネットに取り付けられており、それらのユニットが並列接続されています。

そのため、お互いのインピーダンス特性が合成されてしまうので、バスレフ型のインピーダンス特性のピークやディップが密閉型のインピーダンス特性にならされて、共振周波数(fd)が分からなくなってしまうかもしれないと心配していましたが、読み取れる状態で残っていてくれました。約63Hzといったところでしょうか?。

周波数の低い方のピーク(56Hz付近)の高さ低くなっています。ダンプドバスレフ(共振の抑えられたバスレフ)のインピーダンス特性のような形になっていますが、ダンプドバスレフの動作になっているわけではなくインピーダンス特性が合成された結果、低くなっているのだと思います。

やはり、第2キャビネット(バスレフ型)の内部に補強材をたくさん貼り付けたため、実効容量が減少、そのため共振周波数(fd)が少々上昇しているみたいです。第2キャビネットを駆動している F77G98-6 は口径7.7cmのフルレンジユニットなので、この方が好都合です。実験とはいえ、設計時に設定した共振周波数:約57.5Hzは口径8cm級のフルレンジユニットには低すぎますからね。(エンクロージャーの構造については、製作編を参照。)

ちょっと気になったのが、550Hz付近にある小さなピークです。F77G98-6 単体のインピーダンス特性にはこのようなピークはないので、エンクロージャー動作に起因するか、または、M800 単体の特性になります。しかし、残念ながら M800 単体のインピーダンス特性を測定していません。

特性の不明なOEMユニットであれば、エンクロージャー設計のために単体のインピーダンス特性を測定するのですが、FOSTEXのユニットのような、スピーカークラフト向けユニットの場合、公式から仕様が公開されているため、測定したとしても個体差が分かるだけであまり意味がないだろうと思い測定しませんでした。測定しておけばよかったと、今は後悔しています(汗)。






試聴

  • 所感

    タンデム方式を採用しているとはいえ、第1キャビネットが1リットル以下の極端な小容量になっていたり、メインユニットとサブユニットが別の機種であるなど、実験的要素(不安要素ともいう)があるため、高域が荒れた酷い音だったらどうしよう(汗)と思っていましたが、癖の少ない普通の音だったので拍子抜けしました(笑)。

    癖が少ない音だった要因として考えられるのが、スピーカーユニットがメイン、サブともペーパーコーンではないこと、エンクロージャー形状もタンデム方式を採用していることを除けば、密閉型、バスレフ型のハイブリッドであり、バックロードホーン型や共鳴管型などの癖がでやすいエンクロージャー方式を採用していないからでしょう。

    毎度書いていますが、完成したスピーカーの鳴らし始めの酷い音(と、鳴らしこみでどんどん良くなっていくこと)を楽しみにしているので、ちょっと残念でした(笑)。

    私がメタルコーンのフルレンジを聴くのはこれが2機種目ですが、ペーパーコーンにないメリットとして、鳴らし始めのいわゆる「紙臭い音」がないことですね。この機種の場合、メタルコーンにありがちな高域の癖もほとんどないことも良いです。

    音質傾向は同社のFEシリーズとは違い、少々味付けがあるタイプです。そのため、FEシリーズでは粗が見えて聴くに堪えない悪い録音音源も適度にコーティングされて無難に聴くことができます。

    サブユニットの影響なのでしょうか?、5リットルのエンクロージャーに取り付けて聴いたときと比較して、中高域の音質が変化してしまいました。

    5リットルのエンクロージャーで聴いたときは、メタルコーン特有のキラキラした音が耳についたのですが、それがだいぶ緩和されています。まあ、エージングによる変化の可能性もありますが、個人的にこのキラキラした音が苦手なので、どちらにせよ(私にとっては)好都合です(笑)。





  • ミュージックソース別インプレッション
    • クラシック(オルガン)

      ヘルムート・リリング: バッハ 教会暦によるオルガン・コラール集, バッハ オルガン名曲集



      このCDは、自室のメインスピーカー(FOSTEX FE208EΣ使用 3.1m共鳴管型)で聴くと、超低域の影響で頭が押さえつけられるような感じがあり、非常に疲れます(汗)。

      しかし、このスピーカーで聴くと、超低域がそもそも出ないためそのようなことがなく、中高域も優しい音なのでBGM的に聴くことができます。これはちょっと驚きでした(笑)。

      低域は60Hzどまりなのでペダルの音は無理ですが、小口径ユニットなので音場感はよく、前述のとおり優しい音なので雰囲気は悪くありません。ゆったりした音楽にはあっていると思います。




      バッハ 教会暦によるオルガン・コラール集
      ヘルムート・リリング
      バッハ オルガン名曲集
      ヘルムート・リリング







    • クラシック(クラシックギター)

      Jose Miguel Moreno: Pieces Pour Theorbes Francaise



      クラシックギターのソロ演奏の楽曲です。ギターソロは同社FEシリーズとの違いが良く表れていますね。FEシリーズの場合エッジの立った切れのある音を聴かせてくれますが、このスピーカーの場合、適度に角がとれた優しい音になります。

      そのため、弦を弾く音がちょっと物足りません。しかし、余韻が消えて行く様子や、胴鳴りは再現されますし、音場感も良いです。

      やはり、アコースティック楽器のソロや小編成には、軽量ペーパーコーンフルレンジが一番あっているのではないか?と思います。




      Jose Miguel Moreno
      Pieces Pour Theorbes Francaise







    • ジャズ

      ソニー・ロリンズ: Volume 1, Volume 2


      このスピーカーはジャズを聴くと物足りなくなってしまいます。けっして悪いわけではないのですが、サキソフォンはマイルドになってしまい、むせび泣いてくれないし、ハイハットは滑らかでキラキラした音になってしまいます。このような音色が好みの方には良いのかもしれません。

      しかし、アコースティック楽器は実際のところかなりきつい音も出すので、リアルさに欠けていると私には感じてしまいます。

      ジャスを聴くなら エレクトロボイス 209-8A ということを再認識させられました。BGM的に聴くのだったらこの方が聴き疲れしなくて良いですけどね。

      ウッドベースの胴鳴りも聴こえますし悪くありません。高域はフルレンジユニットにしてはきれいというか、キラキラしているので、前述のとおりハイハットなどシンバル系の音がリアルさに欠けます。スネアドラムは軽量コーンフルレンジらしい小気味よい音がします。




      Volume 1
      ソニー・ロリンズ
      Volume 2
      ソニー・ロリンズ







    • 和太鼓

      鬼太鼓座: 富嶽百景


      小太鼓、バチの音、三味線は角が丸まった音になります。残響成分がきれいに再生されるため音場感は良いです。

      大太鼓はスケールダウンして中太鼓(?)のようになってしまいますが、雰囲気はある程度再現出来ています。なにしろ口径8cmのユニットですからね。がんばっていると思いますよ。まあ、風圧とか圧倒感みたいな表現は不可能ですけどね。無理はさせれません。




      富嶽百景
      鬼太鼓座







    • ボーカル

      平沢進: Sim City, BLUE LIMBO


      最後はボーカル曲です。ボーカル曲はタンデム方式の動作がうまくいっているかどうかが一番分かりやすいと思われるので、ドキドキしながら試聴しました(笑)。

      人の声のダイナミックレンジはとても広く、もしタンデム方式がうまく動作していない場合、第1キャビネットは単なる小容量の密閉型となり、空気バネが強力に働いて、声が伸びきれず詰まったような音になるはずです。

      実際に試聴してみたところ、そのようなことは特になく、思ったよりうまく動作してくれているようです。サブユニットは第2キャビネットの空気バネで歪むはずですが、第2キャビネットを限られたサイズの中で、できる限り容量を大きくとったのが効いているのかもしれません。

      音質については、やはり優しい音なので、BGM的に垂れ流しで使うにはもってこいという感じでした。低域は60Hzまで出ているので、ポップス曲には帯域的に十分ですし、高域のキラキラもシンセサウンドでは特に気になりませんね(汗)。




      Sim City
      平沢進
      BLUE LIMBO
      平沢進







まとめ

だらだらとレビューを書いてきましたがまとめると・・・、


  • メタルコーンフルレンジ FOSTEX M800について

    所感としては、クラシック向きのユニットと感じました。もしくは、ニアフィールドモニターとして小音量でBGM的に楽しむ向き。

    去年のStereo誌付属スピーカーレビューと比較しやすいように、ミュージックソースレビューで使用したCDを同じものにしているため触れませんでしたが、実は弦楽器の小編成曲なども聴いており、バイオリンなどは滑らかでキラキラした高域との相性が良い感じでした。



  • タンデム方式エンクロージャーについて

    今回初めて作ってみましたが、意外と想定通りの動作をしてくれるみたいで、比較的コンパクトに空気バネフリーのエンクロージャーを作りたい場合には良い方法に感じました。

    今回は、メインユニットとサブユニットが別機種になっていますが、同機種で作った場合はどんな音になるのか興味があります。しかし、今の設計のままでは FOSTEX M800 はフランジサイズの関係で第1キャビネットの中に収めることが不可能なので、設計からやり直す必要があります。



・・・といった感じです。

総括としては、口径8cmのユニットで60Hz~20kHzを概ねフラットに再生できたので、これだけで個人的には満足です。


次 -> 番外編




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