スピーカーシステム メンテナンス・改造[SANSUI S-700Di] ~調査編 #2~

前回に続き、SANSUI(サンスイ)のミニコンポ付属スピーカー S-700Di の調査編(その2)です。



今回は先ずネットワーク回路を確認し、次に、周波数特性・インピーダンス特性の測定を行い、ユニットの特徴も確認します。


SANSUI(サンスイ) S-700Di
SANSUI(サンスイ) S-700Di




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スピーカーシステム メンテナンス・改造[SANSUI S-700Di]





ネットワーク回路


フロントバッフル(裏側)
フロントバッフル(裏側)

ネットワーク基板はフロントバッフル裏側のスコーカーとウーハーの中間位置にネジ止めされています。



ネットワーク基板(拡大)
ネットワーク基板(拡大)

ネットワーク基板を拡大した様子です。下記のように接続されていました。

  • +端子:アンプの+端子へ接続
  • -端子:アンプの-端子へ接続

  • ケーブル:ウーハーへ接続
  • ケーブル:スコーカーへ接続
  • ケーブル:ツィーターへ接続
※+端子、-端子に接続されていたケーブルははずしてあります。




ネットワーク回路図
ネットワーク回路図

写真だけではわかりにくいので、ネットワークの回路図を描いてみました。公証インピーダンスが6Ωのスピーカーなので、すべてのユニットが6Ωと仮定してネットワーク素子のカットオフ周波数を計算しています。

ざっと見たところ、ウーハーとスコーカーは2kHzより少し上くらいでクロスしているようです。

スコーカーは能率が高いようで、-3.8dBのアッテネーターが入っていました。また、ローカットフィルターは入っていますが、ハイカットフィルターが入っていません。高域は自然に減衰しているため、フィルターが不要ということでしょうか?。

一番謎なのがツィーターで、ハイパスフィルターとして0.0047μFのフィルムコンデンサーが入っています。これではカットオフ周波数が5600kHz(5.6MHz!?)になってしまいます。

ツィーターが高能率のため、本来はアッテネーターでレベルを落として使うところを、小容量のコンデンサーを使ってわざとカットオフ周波数を非常に高く設定、スコーカーとのクロスオーバー周波数付近で音圧レベルを合わせている可能性はあります。

アッテネーターを入れると音質劣化を招きますし、高域、特に10kHz以上は耳の感度が落ちますので、中域に対して多少レベルが高いくらいでは問題にならないので自作でも使う方法です。しかし、それにしても異常な値です。

うーむ。私の計算が間違っている可能性もありますが(汗)、謎が深まるばかりです・・・。



測定

いくら考えても、いまいち良く分からないので、周波数特性とインピーダンス特性の測定をしてみました。


周波数特性(SANSUI S-700Di 左チャンネル)
周波数特性(左チャンネル)

周波数特性(SANSUI S-700Di 右チャンネル)
周波数特性(右チャンネル)

インピーダンス特性(SANSUI S-700Di 左チャンネル)
インピーダンス特性(左チャンネル)

インピーダンス特性(SANSUI S-700Di 右チャンネル)
インピーダンス特性(右チャンネル)

上に掲載した4つのグラフ(周波数特性x2、インピーダンス特性x2)はエンクロージャーを分解する前(オリジナルの状態)に測定したものです。インピーダンス特性のグラフは0dBの位置が200Ωに合わせてあります。

私が寸法を実測して、エンクロージャー内容量、バスレフ共振周波数を計算してみたところ、下記のようになりました。
  • エンクロージャー内容量:28リットル
  • バスレフ共振周波数:40Hz


先ず周波数特性から見て行くと、9.5kHzと13kHzにピークがありますが1kHz~15kHzがおおむねフラットで、少々レベルダウンしていますが20kHzまでレスポンスがあります。中低域は1kHz付近からだら下がりとなっており、バスレフ型というよりは密閉型のような特性です。

バスレフ共振によるピークが40Hz付近にあるのかな?と思いましたがそのようなものはなく、逆にディップがあります。リアバスレフなのでフロントパフレフほど低音増強効果は期待できないのかもしれません。

ただし、測定は壁からの影響を避けるため、スピーカーを1.5mくらい離した状態で行っています。実際に使う場合では、壁に近づけて設置することにより、低域をもう少し上昇させることは可能だと思います。


続いて、インピーダンス特性を確認します。中高域はネットワークによるインピーダンス上昇なので、低域を中心に見て行くと、90Hz、32Hz付近にピーク、38Hz付近ディップがあります。

基本的には共振周波数が38Hzのバスレフ型エンクロージャーのようです。共振周波数が計算よりちょっと下にずれていますが、理由は不明です。

また、32Hz付近のピーク低くなっておりダンプドバスレフ(共振が抑えられたバフレフ)傾向のようです。周波数特性を見てもバスレフ共振によるピークが38Hz付近にみれなかったので、低音を増強するというよりも息抜きとしての動作が主体のようです。



ユニット個別の測定

ここからは、ユニットを個別に測定した結果を掲載します。


測定方法は以下のとおり。

  • 付属しているネットワークに、ウーハーのみ、スコーカーのみ、ツィーターのみを接続して個別に測定。
  • フロントバッフル(ユニットが取り付けられている状態)をエンクロージャーから取りはずし、それにクランプを固定・自立させて測定。

※フロントバッフルをエンクロージャーからはずした状態で測定しています。そのため、ウーハーはエンクロージャーありの場合に比べて低域レベルが低下します。


また、ウーハー、ツィーターは以下の測定も追加で行っています。

ウーハー

  • ネットワークを通さないスルーの周波数特性
  • インピーダンス特性

ツィーター

  • 1.5μFのフィルムコンデンサーを接続した状態の周波数特性

※スコーカー、ツィーターのインピーダンス特性も本当は測定したかったのですが、f0に信号を入力する必要があり、破損する危険性があるのでやめておきました。目的はメンテナンスなので、ユニットを壊しちゃったら元も子もないですからね。



先ずは、ウーハーの測定結果から。

周波数特性(SANSUI S-700Di ネットワークなし ウーハー)
周波数特性(ネットワークなし ウーハー)

周波数特性(SANSUI S-700Di 付属ネットワーク ウーハー)
周波数特性(付属ネットワーク ウーハー)

インピーダンス特性(SANSUI S-700Di ウーハー)
インピーダンス特性(ウーハー)

ネットワークなしの周波数特性を見ると、中域と同等レベルで再生できている上限が4kHzあたりまで。3kHz付近に鋭いピーク(高域での共振)があり、それより上の帯域ではレベルダウンしています。

また、1.7kHz付近を中心にして落込みが見られます。中域と同等の音圧レベル上限が4kHz付近なので半分の2kHzでクロス、できれば落込でいる1.7kHz以下にクロスオーバー周波数を持ってきたいところですね。まあ、スコーカーの使用できる再生下限が不明なので、やりませんけどね。

ネットワークを通した周波数特性を見ると、2kHzより上でシャープにレベルダウンしています。

インピーダンス特性を見ると、基本的にはf0が70Hzのユニットのようですが、60Hzにも小さなピークがあります。理由は不明です。f0より上の帯域で一番インピーダンスが低いところが-29.5dBくらいなので、約6.7Ω。8Ωよりは低いので、公証6Ωということなのでしょう。また、3kHz付近の高域共振はインピーダンス特性でも小さなピークとして確認できますね。

このユニットはコーン径(エッジ含)が約φ180mmあるので20cm級ウーハーですが、その割にはf0が高めです。布エッジなのでf0が少々高めになるのは仕方がないとは思いますが、マニュアルにカーボンコーンと書いてあったと記憶しているので、m0が相当大きそうですから、もう少しf0が低くても良いような気がします。まあ、ミニコンポのスピーカーなので、そこまで期待するのは酷というものですが・・・。



続いて、スコーカーの測定結果。

周波数特性(SANSUI S-700Di 付属ネットワーク スコーカー)
周波数特性(付属ネットワーク スコーカー)

スコーカーはネットワークでも不可解な点(ハイカットフィルタが入っていない)がありましたが、実際に測定してみたら高域がまったく減衰しておらす、20kHzまで伸びちゃっていますね・・・。

しかも、上で掲載しているスピーカーシステムでの測定結果の高域特性と同じです。ツィーターは何をしているんだろ!?。

20kHzまで伸びていますが7kHzより上の帯域では特性に乱れがあります。もし、ネットワークを組みなおすとしたら、スコーカーは7kHz付近まで使って、その上の帯域はツィーターに担当させたいところですね。



真相を調べるために、ツィーターも測定。

周波数特性(SANSUI S-700Di 付属ネットワーク ツィーター)
周波数特性(付属ネットワーク ツィーター)

周波数特性(SANSUI S-700Di コンデンサー容量1.5μF ツィーター)
周波数特性(コンデンサー容量1.5μF ツィーター)

上が付属のネットワーク(カットオフ周波数5600kHz)での結果。下が手持ちの1.5μFのフィルムコンデンサー(カットオフ周波数17.5kHz)を接続した場合の結果です。

両方のグラフに共通して12kHz付近に鋭いピークがあります。f0でしょうか?。コンデンサー容量を1.5μFに変更した場合ではオリジナルのネットワークに比べて全体的にレベルが上昇してきてはいますが、どちらにしろスコーカーに対して全然レベルが足りません。

オリジナルネットワークでの測定結果では、10kHz以上の帯域でスコーカーに対して-20dB~-30dB(1/10倍~1/33倍)もレベルが低く、これではほとんど音が聴こえていないと思います。

ツィーターは飾りってこと!?。まあ、この頃はマルチウェイ至上主義な時代だったし、どのメーカーも黒い直方体の箱に、スピーカーユニットを3つ付けるのが当たり前みたいなところがありましたから、2wayは音質的にはともかくとして、マーケティング的な意味ではNGだったんでしょうねぇ。

しかもこのツィーターユニット、一応音が鳴る(耳を近づけると鳴っていることは確認できる)ので、20年以上だまされていましたよ(汗)。私の耳もたいした事ないな・・・(汗々)。


まとめ

2回に渡ってSANSUI S-700Diを調査してきましたが、結果をまとめると・・・、
  • 共振周波数が約38Hzのダンブド傾向のバスレフ型エンクロージャー。
  • ウーハーのf0が70Hzと高く、バスレフ共振周波数が38Hzと低いため、リアバスレフと相まって低音増強効果は低く、息抜きとしての動作が主体。
  • 実質的にウーハーとスコーカーの2wayで、ツィーターは飾り。20年越しの真実が判明(笑)。
  • フロントバッフルの強度が低いため、バッフル板全体が振動板として動作している可能性がある。

といったところ。



構想・改造編につづく・・・
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