スピーカーシステム メンテナンス・改造[SANSUI S-700Di] ~測定・試聴編~

ご注意!!!

改造後のネットワーク回路に誤りがありました。
そのため、暫定掲載中です。


Stereo誌 2014年8月号 付録(FOSTEXスピーカー)の記事が間に入った関係で、前回の記事からかなり時間が経ってしまいましたが、SANSUI(サンスイ) S-700Di 改造後の測定・試聴を行いましたので掲載します。





SANSUI(サンスイ) S-700Di
SANSUI(サンスイ) S-700Di




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スピーカーシステム メンテナンス・改造[SANSUI S-700Di]





測定

周波数特性、インピーダンス特性とも、改造前後の比較対象としてオリジナル(無改造の状態)の測定結果も合わせて掲載します。
  • 周波数特性

SANSUI S-700Di オリジナル(参考)


周波数特性(オリジナル 左チャンネル)
周波数特性(左チャンネル)
周波数特性(オリジナル 右チャンネル)
周波数特性(右チャンネル)


SANSUI S-700Di 改造後


周波数特性(改造後 左チャンネル)
周波数特性(左チャンネル)
周波数特性(改造後 右チャンネル)
周波数特性(右チャンネル)

先ずは周波数特性から掲載します。

オリジナルの測定から3ヶ月以上経過してしまいました・・・。今回の測定でも、使用している機材は全く同じなのですが、アンプのボリューム位置を忘れてしまったため、入力レベルが同じになっていません(汗)。そのため、グラフのプロット位置が全体的に低くなってしまい、比較し難くなってしまっています(汗)。

また、このスピーカーのオリジナルの状態は一見すると3wayのように見えるのですが、ツィーターがダミーとなっており、実質的にウーハーとスコーカーの2wayとして動作していました(詳しくはこちらの記事を参照)。

そこで改造するに当たり、新たにソフトドーム型ツィーターユニット DAYTON AUDIO ND20FA-6 を入手、ネットワークにも手を入れて本当の3wayにしてしまったため、高域特性は全くの別物となっています。

同一規格の新品部品が入手できなかったため、ネットワーク素子の定数に多少の変化があります。しかし、ウーハーとスコーカーのクロスオーバー周波数には、ほとんど変化が出ないように考慮してあります。(意図的に変えていません。理由は後述。)

しかし、上記のとおりツィーターを交換して本当の3wayに改造しています。そのため、スコーカーにはハイカットフィルタを新たに追加しており、新規で入手したツィーターとクロスしています。(当然ながら、ツィーターにはハイパスフィルタを入れています。)



長々と前置きをしたところで、グラフを見て行くと・・・、

  • 高域

    オリジナルではスコーカーが受け持っていた帯域であっため、スコーカーユニットの高域共振によるピーク、ディップがあり、20kHzまで伸びてはいますが山谷のある特性になっていました。

    改造後はソフトドーム型ツィーターが受け持つ帯域となっていますので、16kHz以上で少々レベル低下がありますが、おおむねフラットな特性になっています。



  • 中高域

    2kHz付近を中心として小さなピークがありますが、おおむねフラットになっています。

    オリジナルのネットワークでは、スコーカーに-3.8dBの固定式アッテネーターが入っていました。不要と判断して、改造した時にはずしてしまったため、それが原因でピークが出来ているのかな?と思い、改造後のネットワーク回路を見返してみました。

    しかし、スコーカーが主に再生している帯域は4kHz付近であり、2kHz付近はウーハーとのクロスオーバー周波数になっていました。

    このピークはウーハーとスコーカーとのクロスが深いことが原因のようです。ネットワークを修正すればフラットに近づけることができる可能性もありますが、それほど深刻ではないので、このまま様子を見る予定です。



  • 中低域

    200Hz付近を谷底とした、100Hz~700Hz範囲の落込みがあります。

    オリジナルの周波数特性を見てもウーハーの担当帯域は全体的にレベルが低くなっており、そもそもウーハー自体の能率が低いようです。また、80Hz~90Hz付近のピークはオリジナルにも見られますが、スコーカーにアッテネーターが入っているにもかかわらず、中域よりも低めに出ています。

    100Hz~700Hzの落ち込みは、ネットワークを改造したことによるウーハーの音圧レベル低下が原因ではなく、2kHzに小さなピークができたこと、また、80Hz~90Hz付近のピークがダクト口径を大きく取ったことにより上昇したことにより、相対的にレベル低下を起こしたように見えているためのようです。

    実は、ネットワークを改造するついでにスコーカーに入っているローカットフィルターのカットオフ周波数を下げて、スコーカーに担当させる帯域を広げることで100Hz~700Hzのレベル低下を少しでも回避したかったのですが、スコーカーの仕様が不明なため結局やりませんでした。

    フルレンジのような設計のスコーカーならf0に信号を入力しても問題がないのですが、密閉型バックキャビティ一体型スコーカーのためf0に信号を入力すると破損するおそれがあり、壊してしまっては元も子もありませんからやめておきました。



  • 低域

    上でもちょっと触れていますが、80Hz~90Hzのピークが中域と同等レベルまで上昇しています。また、50Hz~150Hzの範囲も全体的に上昇しているようです。

    オリジナル、改造後両方に見られる、32Hz~35Hz付近の小さなピークは、後述のインピーダンス特性を見ると、バスレフ型独特の2つあるピークのうちの周波数の低い方と大体一致しているようです。

    インピーダンス特性の周波数の低い方のピークは、ウーハーコーン(振動板)の前後移動に連動してダクト内の空気が出入りする動作なのですが、コーン前面からの放射音とダクト内の空気の動きは逆相であり、ダクト共振とも逆相であるため、普通は打ち消されて音圧になりません。そのため、バスレフ型エンクロージャーの場合、ダクト共振周波数より下の帯域はストンとレベルダウンを起こしてしまいます。

    しかしこのスピーカーの場合、ダクトがバッフル板ではなく裏側に付いており、ウーハーとダクト間に多少ですが距離があるため、その距離差が位相差となって打ち消されずに済んでいるのかもしれません。


しかし、100Hz~700Hzの落ち込みが無ければ、かなり良い特性でした。ちょっとくやしいです(笑)。



  • クロスオーバー周波数について考察

    Stereo誌2014年8月号の付録を使った3wayスピーカー製作や、今回のメーカースピーカー改造をしていて、3wayスピーカーのクロスオーバー周波数をどこに設定するのがベストなのか?について、考察した内容をメモしておきます。

    以前は、人の声の主要帯域である1kHz付近から、3~4オクターブ程度をスコーカーが担当するのが適当だと思っていました。そのため、Stereo誌2014年8月号の付録を使った3wayも、それに近いネットワーク設計になっています。

    しかし、ボーカルの周波数帯域を中心として考えた場合、オクターブ4を中心として、低音パートがオクターブ3、高音パートがオクターブ5辺りを使っています。オクターブ4A(ラ)音の周波数が440Hz、オクターブ3A音が220Hz、オクターブ5A音が880Hzなので、スコーカーの再生下端は220Hzより下に、再生上限は880Hzの3~4倍音(2640Hz~3520Hz)程度に取る方が良いのではないか?と思えて来ました。

    そうなると、必然的にウーハーは220Hz以下のかなり低い周波数帯から受け持つことになり、ツィーターは3~5kHz当たりから上の帯域を使うことになると思います。スコーカーがかなりワイドレンジである必要があるので、これではフルレンジユニットを使うしかないですね・・・。それならフルレンジ1発か、フルレンジ + ツィーターで良いって話になりそうですが・・・(汗)。




  • インピーダンス特性

SANSUI S-700Di オリジナル(参考)


インピーダンス特性(オリジナル 左チャンネル)
インピーダンス特性(左チャンネル)
インピーダンス特性(オリジナル 右チャンネル)
インピーダンス特性(右チャンネル)


SANSUI S-700Di 改造後


インピーダンス特性(改造後 左チャンネル)
インピーダンス特性(左チャンネル)
インピーダンス特性(改造後 右チャンネル)
インピーダンス特性(右チャンネル)


続いて、インピーダンス特性。

オリジナル、改造後とも典型的なバスレフ型のインピーダンス特性(低域にピークが2つ)となっています。中高域の特性がオリジナルと改造後で違うのは、ツィーターを交換したためネットワーク回路も変更したからです。

オリジナルの特性では、32Hz、90Hz付近にピーク、38Hz付近ディップがあり、ダクト共振周波数が38Hzとかなり低く設定されています。周波数特性を見ても、38Hzを中心としたピークが見当たりません。また、周波数の低い方(32Hz)のピークが低く、ダンプドバスレフ(共振が抑えられたバスレフ)傾向の特性を示しており、ダクトの動作も低音増強というよりは、息抜きが主体のようです。

次に、改造後のインピーダンス特性は、34Hz、96Hz付近にピーク、54Hz付近にディップがあります。オリジナルのダクト共振周波数が38Hzとかなり低いため、改造するに当たり50Hz~60Hz付近に共振周波数を上げて、低音増強効果を強くする計画でしたが、54Hzなので、なかなか良い値になっています。また、周波数の低い方(34Hz)のピークがオリジナルよりも高くなっており、共振が強く出ていることが分かります。

本当は、34Hzのピークがもう少し高く出てくれると思ったのですが、カーブした塩ビパイプ(エルボ)をダクトパイプとして利用したからなのか、改造後もダンプドバスレフ傾向ですね。

また、周波数特性でも触れたとおり、ダクト共振が強く出ていること、ダクト口径を大きくしたことが効いて50Hz~150Hzの範囲が全体的に上昇しており、これはうまく行きました。

高いほうのピークが90Hz(オリジナル) -> 96Hz(改造後)と少々周波数が上がっています。これはツィーター、スコーカーにバックキャビティを取り付けたり、合成樹脂製バッフル板にエアコンパテを貼り付けて補強したりしたため、エンクロージャー内容量が少々減ったことにより、エンクロージャー内の空気バネの力が強くなったためと思います。

周波数特性でも触れましたが、インピーダンス特性でもダクト共振周波数のチューニングがうまく行ったことが確認できました。



試聴

  • クラシック

    Pachelbel・Canon & Gigue:The English Concert:Trevor Pinnock

    チェンバロにしろ、ヴァイオリンにしろオリジナルの状態より全然良くなっているのですが、ヴァイオリンの音が少々硬く感じられます。

    ツィーターのエージング不足が原因ならば、鳴らしこむことにより解決する可能性がありますが、スコーカーが悪さしている場合ではどうしようもないですね。

    しかし、ツィーターの交換は効果絶大ですね。全体的に音質が向上したように感じられます。






    J.S.BACH・ORGELWERKE:TOCCATEN&FUGEN:TON KOOPMAN

    パイプオルガンの演奏では、100Hz~700Hzの範囲の落込みが一番影響するかな?と想像していたのですが、意外とそうでもないですね。50Hz付近まで出ているのでオルガンの雰囲気はでますが、ペダルの音を再現するには周波数レンジ的に無理のようです。

    教会堂の響きはツィーターの交換が効いて、きれいに再生されるようになりました。ゆったりした低音のスピーカーなので、パイプオルガンの曲は向いているのかもしれません。







    Jose Miguel Moreno: Pieces Pour Theorbes Francaise

    クラシックギターの楽曲が収録されているCDです。

    このスピーカーは、ウーハーとスコーカーのクロスオーバー周波数が2kHz付近となっているため、音楽的に重要な帯域をウーハーがかなりの範囲にわたって担当しています。振動板が重いカーボンコーンウーハーには過渡応答特性の良さが表現力に影響しやすいギターの弾く音は荷が重いかな?と思いましたが、意外とそうでもないですね。

    軽量コーンのフルレンジと比較すると、立ち上がり遅いため、角が取れて少々丸くなった音になりますが、意外と軽快に鳴ってくれます。

    このウーハーはf0が70Hzとなっており、20cm級ウーハーにしては高めです。当初、f0が高い理由はエッジの素材が布のため、少々硬めなのが影響していると想像していましたが、カーボーンコーンとは言っても、振動板もウーハーとしては軽い方なのかも知れません。まあ、購入してから20年以上経過しているので、布エッジが購入当時よりも硬化している可能性もあります。

    ギターの胴鳴りは100Hz~700Hzの範囲の落込みが影響しているのか、弱めになってしまいますね。余韻はツィーターの交換が効いて、きれいに再現されるようになりました。






  • ジャズ

    Sonny Rollins: Volume One, Volume two

    ツィーターが追加されたことにより、ハイハットなどのシンバル系の音が滑らかに出るようになりました。

    オリジナルの状態でも特性上では20kHzまで伸びていましたが、前述のとおりスコーカーから放射された高域だったため質が悪かったのか、視聴上ではそこまで伸びている感じがしませんでした。

    今回初めて使ってみた DAYTON AUDIO ND20FA-6 というツィーター、シンバル系の音では少々個性でますね。スピーカーシステム全体の音がツィーターに支配されている感じがします。Stereo誌2014年8月号付録のFOSTEX PT20が個性の少ない音だっただけに、それに慣れてしまって余計にそう感じるのかもしれません。まあ、エージング不足は否めないので、今後変わって行く可能性はあります。

    ウッドベースの胴鳴りも再生されますが、100Hz~700Hzの範囲の落込みが影響しているのか、曲の場面によっては音が引っ込むことがあります。








  • 和太鼓

    富嶽百景:鬼太鼓座

    ツィーターの追加により、小太鼓の残響成分は豊かに再生できるようになりました。しかし、小太鼓、三味線のアタック時の鋭い音は角が取れて丸くなります。

    大太鼓の迫力はそこそこ再現できますが、やはり音の立ち上がりいまひとつなので、マイルドな音になりますね。BGM的な使い方をするのであれば、この方が聴き疲れを起こさないので良いかもしれません。

    困ったのが、ウーハーが大振幅するときにビリビリと余計な音が付いてしまいます(汗)。原因を調べてみたところ、フロントバッフルとエンクロージャー本体がネジ4本で固定されているだけのため、強度不足で接合部分が振動しているようでした。

    エンクロージャーを分解したとき、フロントバッフルとエンクロージャー本体の接合部に接着剤らしきものが付着していた(既にはがれていましたが)のを見かけているので、製品出荷当時は固定されていたのかもしれません。

    セットとなっていたコンポのアンプ出力が80w/ch(6Ω)なので、ベリンガーの125w/ch(8Ω)のアンプで鳴らしているため、メーカーが想定している以上の音量で鳴らしている可能性もあります。







  • ボーカル

    救済の技法:平沢進

    100Hz~700Hzの範囲の落込みが原因なのか、曲の場面によってはボーカルが引っ込むことがありますね。男声だから余計に影響が出ているのかもしれません。

    ボーカルはセンターに定位します。音場は後方に広がるタイプのようですが、あまり広くありません。スピーカー近辺の音場は密度が高く、その外側は急に密度が薄くなる感じです。やはり、音場感は小口径フルレンジにはかなりませんね。






まとめ

4回にわたりサンスイの古いミニコンスピーカー S-700Diのメンテナンスをしてきました。途中でStereo誌付録の記事執筆が割り込んだ関係で3ヶ月以上間が空いてしまい、前回までの内容を忘れてしまいました(汗)。そのため、記事を読み返したり、資料を読み返したりして、内容を思い出すのに時間がかかってしまいました(汗々)。


今回の記事で測定・試聴を行うことにより、以下の2点の課題が見えてきました。
  • 100Hz~700Hzの範囲の落込み。
  • フロントバッフルのビリつき。

前者の対策をするとしたら、スコーカー、ツィーターにアッテネーターを入れて、ウーハーにレベルを合わせるか、または、スコーカーとウーハーとのクロスオーバー周波数を下げてスコーカーの担当帯域を広げるか、あたりになると思います。

しかし、アッテネーターは音質が確実に落ちますし、上でも触れたとおり、クロスオーバー周波数を下げるにしても、スコーカーユニットを破損せずに使用できる下端の周波数が不明なので、どこまで下げることができるか分かりません。

別途スコーカーユニット入手すれば可能ですが、既にツィーターを交換しているところに、スコーカーまで交換したら、オリジナルとは別物のスピーカーになってしまいますので、どちらにしろ、そんな事はやりたくないんですよね(汗)。


後者についてですが、これはフロントバッフルを接着剤でエンクロージャー本体に固定してしまえば解決できます。

しかし、バッフル板を固定してしまうとエンクロージャー内部へのアクセスがウーハー取り付け穴のみとなってしまうため、今後トラブルが発生した場合に修理が困難になってしまうのが悩みどころです。まあ、ツィーターを接着剤で固定しちゃっているので、何をいまさらという感じはしますが(笑)。

バッフル板の固定はやっても良いけど、スコーカーの交換は保留ですね。そもそもの問題として、口径6cmクラスのスコーカーとして使えそうなフルレンジを探すのが難しそうです。公証インピーダンスが6Ω、出力音圧レベルが90dBくらいという条件にマッチした6cmフルレンジなんて無いんじゃないですかね?。
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