PCサラウンド検証用スピーカー製作 ~フロントチャンネル一体型スピーカー 試聴編~

前回の測定編からかなり時間が経ってしまいましたが、今回の記事ではPCサラウンド検証用フロントチャンネル一体型スピーカーの試聴を行います。





PCサラウンド検証用フロントチャンネル一体型スピーカーTOPTONE(東京コーン紙製作所) F77G98-6
PCサラウンド検証用
フロントチャンネル一体型スピーカー
使用スピーカーユニット
TOPTONE(東京コーン紙製作所)
F77G98-6




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試聴

このスピーカーの場合、普通のステレオスピーカーとは構造・使用方法とも異なるため、実際の使い方に出来る限り近い形で試聴を行うことが出来ないものか?と考えました。その結果、当ブログで紹介している他のスピーカーと試聴方法を少々変更しました。

具体的には以下の点が異なります。

  • パソコンを使って試聴する。

    パソコンでのマルチチャンネル再生を想定しているため、試聴もパソコンを利用しました。しかし、音源はCDを取り込んだものなので、2チャンネルステレオです。


  • 不可逆圧縮音源(コーデック:AAC 256kbps)をプログラムソースとする。

    このスピーカーの目的は、DOLBY DIGITALなどの不可逆圧縮音源(2.0以上のマルチチャンネルを含む)の視聴です。(検証用ですが。)本来の目的にあわせて、試聴でも不可逆圧縮音源を利用しています。(上述のとおり、CDをAAC型式でパソコンに取り込んだもの。)

    DOLBY TRUE HD などの可逆圧縮音源も存在しますが、不可逆圧縮音源で問題がなければ音質的に上位である、可逆圧縮音源で問題が出るとは考えにくいので、不可逆圧縮音源を優先的に試聴します。単に音源の用意が出来ないという話もありますが(汗)。


  • マトリックススピーカー接続で試聴する。

    CD等の2チャンネル音源を試聴する場合、当然ながらセンタースピーカーを使用しません。しかし、センタースピーカーも左右スピーカーと同時にならし運転したいので、何か良い方法がないか考えた結果、マトリックススピーカーとして使うことにしました。

    マトリックススピーカーは通常の2チャンネルステレオと音場感が異なるため、その違いがレビュー結果に影響するかもしれません。ご了承ください。マトリックススピーカーについては、下記補足を参照ください。


PCサラウンド検証用スピーカーのため、本来はフロント、リア、サブウーハー全てがそろってから試聴を行うべきですが、今回初めて使用した TOPTONE F77G98-6 というフルレンジユニットの音を早く聴いてみたかったので、試聴を決行することにしました(笑)。



[補足] マトリックススピーカーついて

長岡鉄男氏 著書の受け売りになってしまいますが、マトリックススピーカーについて補足します。


ご注意!

マトリックススピーカーは接続が特殊なため、使用できるアンプを選びます。

具体的には、スピーカー出力のマイナス端子側がグランドに落ちているアンプ(アンバランスアンプ)である必要があります。

マイナス端子側がグランドから浮いているアンプ(バランスアンプ、ブリッジアンプ、BTLアンプ等)で使用すると、アンプを破損する恐れがあります。

アンバランスアンプを使用していても、スピーカーのインピーダンスが低くなるため保護回路が働いてしまい、うまく鳴らすことが出来ない場合もあります。

この記事をご覧になってマトリックススピーカーに興味を持ち、試してみることは自由ですが、各自の責任において行って頂きますようお願いします。



マトリックススピーカー 接続図
マトリックススピーカー 接続図

アンプとマトリックススピーカーの接続図です。ここでは MX-16AV という、長岡鉄男氏 設計のマトリックススピーカーを例に説明しています。

図のように接続すると、左スピーカーには「 L - R 」の差信号が、中央スピーカーには「 L + R 」の和信号が、右スピーカーには「 R - L 」の差信号が入力されます。



マトリックススピーカー 解説図
マトリックススピーカー 解説図

こちらの図は、上図の接続で得られるスピーカーからの放射音を中央下のリスナーが聴いた場合、左右の耳にどのような音が到達するかを描いたものです。

  • 左耳: 中央スピーカーからの「 L + R 」信号と、左スピーカーからの「 L - R 」信号が合成された「 2L 」信号が入る。

  • 右耳: 中央スピーカーからの「 L + R 」信号と、右スピーカーからの「 R - L 」信号が合成された「 2R 」信号が入る。


実際にはここまでうまくは行かず、左耳にも「 R - L 」信号が到達しますし、また、右耳にも「 L - R 」信号が到達するため、上で示した計算どおりの完全な再現は難しいですが、通常の2チャンネルスピーカーよりもヘッドフォンで視聴した場合に近い、左・右信号のクロストークが少ない状態をスピーカーで再現できることがわかると思います。

MX-16AV では好ましくないクロストークを最小限に抑えるために、左・右スピーカーが取り付けられているバッフル板が中央バッフル板に対して傾斜しています。(今回作ったスピーカーの場合バッフル板が傾斜していないため、MX-16AV よりもクロストークが多くなり、音場感が劣る可能性があります。)

また、モノラル信号が入力された場合は、中央スピーカーからしか音が放射されないため、センターに音像がしっかりと定位します。


この特殊な接続・構造により、マトリックススピーカーは独特の音場感と魅力があるため、聴いたことがない方には、ぜひ一度試聴される事をお勧めしたいところなのですが、上で書いたアンプを選ぶという問題があるため、残念ながら手放しでお勧めすることができません(汗)。


どうしても試してみたくて辛抱たまらん(笑)という方は、FOSTEX(フォステクス) AP05FOSTEX AP05 商品ページ(FOSTEX公式) という小型のアンプを利用すると良さそうです。

Stereo誌2014年1月号 140ページの 福田雅光 氏 の記事「オーディオの新常識」で、スピーカーマトリクス(マトリックスサラウンド)をされていますが、そのサブ(リア)スピーカー用のアンプとして FOSTEX AP05 が使われていますので、マトリックススピーカー用としても使えると思います。

※誌面でも触れられていますが、この号に付録しているデジタルアンプ「LXA-OT3」はスピーカーマトリクス(マトリックスサラウンド)、および、マトリックススピーカーに使用することは出来ません。







所感


試聴の様子
試聴の様子


ここからは鳴らし始めから、1ヶ月少々の期間試聴して感じたことなどを書いて行きます。

鳴らし始めは高域が少々硬めの印象でしたが、数時間鳴らしていたら滑らかになってきました。また、出力音圧レベル81.5dB(W/m)は伊達ではないですね。能率が低いです。そのため、小音量では情報量が少なめです。まあ、ある程度はエージングで解決すると思いますが、それでも大きめの音量で鳴らしたくなります。10w+10w以上の出力があるアンプと組み合わせたいところです。

軽量パルプコーンのFOSTEX FEシリーズのように、高能率で細かい音まで再生するタイプのユニットとは違いますね。低域はかなり下の方まで出ていますが、鳴らし始めでぼけぼけなのと、もともと控えめな音質なので迫力は少なめ、ゆったりとしています。

ポリプロピレンの優しくて、柔らかい音色はこのスピーカーの魅力の1つですね。きつい音が出ないので聴き疲れをしないため、BGM垂れ流し的な用途に向いています。音楽ジャンルではクラシック向きでしょうか?。

優しい音なので、映画などのサラウンド音声には迫力不足で向いていないかもしれません(汗)。映画音声では派手で荒々しい音でも良いので迫力が欲しいです。

写真のように、テーブル上に直載せした状態で試聴しているため、テーブルからの反射音が気になるのでは?と思いましたが、手前にキーボードが置いてあるため、キー凹凸によりほどよく乱反射してくれているからなのか、意外と気になりませんでした。

しかし、音量を上げるとテーブルが振動しているのがわかります。上に載っているPCモニター(約10Kg)が重石となって、ある程度振動を抑えてくれているとは思いますが、テーブルとスピーカーの間に何かインシュレーターになるものをはさんだほうが良いかもしれません。しかし、スピーカーが高くなるとモニターの位置も高くなるという別の問題があり、あまりやりたくありません・・・。



ミュージックソース別インプレッション

ここからは、実際にミュージックソースを試聴した所感を書いて行きます。

  • クラシック(室内楽)

    バイオリンの録音には鋭い音が含まれていることがあり、スピーカーによってはそれが不快に感じることがありますが、このスピーカーでは適度に角を取ってくれるため、相性が良いように感じました。中高域の質が良いためチェンバロも良い感じです。


    試聴CD




  • クラシック(オルガン)

    オルガンのようなゆったりした低音は得意分野ですね。50Hzまで出ているので、ペダルの音もそれなりに再現されます。教会堂の広がりも再現されますが、マットリックススピーカーなので余計に音場感が良くなっているかもしれません。普通の2チャンネルステレオで再生した場合、また違った印象になる可能性があります。


    試聴CD




  • クラシックギター

    弦を弾く音が甘めになるため、もう少し角が立って欲しい気もしますが、意外と悪くないですね。バイオリンもそうでしたが、弦楽器は得意分野なのかもしれません。胴鳴りも再現されます。


    試聴CD




  • ジャズ

    サキソフォンは一歩後ろに下がって演奏している感じで、前に張り出してきてくれません。音色も灰汁抜きして少々マイルドになった感じです。

    ウッドベースの胴鳴りは再現されて悪くないですが、少々引っ込みますね。これは、口径7.7cmのユニットに無理やり50Hzまで再生させている影響で、中域に対して低域がだら下がりの特性になっているためかもしれません。フロントバスレフだったらまた違った結果になっていたかもしれない。サラウンド再生用スピーカーなので、迫力重視でフロントバスレフにしたかったのですが、構造的に無理でした。

    ハイハットはポリプロピレン振動版のおかげでソフトドームツィーター風味の音色になっており、フルレンジにしては柔らかくきれいな音で再生されます。しかし、低能率の弊害で小音量だと少々ぼけ気味ですね。スネアドラムはもう少し切れ込みが欲しいです。


    試聴CD




  • ボーカル

    小口径ですが低域重視の設計となっているためM0が大きめ、低能率なのが影響して、ボーカルの伸びはM0が小さく高能率のFOSTEX FEシリーズに一歩およびません。

    ボーカルものというかロック、ポップス系音楽の場合、低域が50Hzまで伸びているよりも、レンジが狭くて良いので100Hz付近が盛り上がっている方が迫力が出て、視聴上好印象になりやすいです。やはり、周波数特性的にも、音質的にもクラシック向きのようです。

    よく考えたら、試聴したCDのジャンルが偏り過ぎですね(笑)。テクノポップのように電子楽器の音楽は音像が良く動きますが、マトリックススピーカーではそれが強調されるので、聴いていて楽しいです。


    試聴CD





まとめ

この記事の執筆と平行してWindows10TP のレビューやら、PCサラウンド用のサブウーハーの製作などもやっている関係で、測定編から1ヶ月以上空いてしまいましたが、なんとか試聴編も終えることができました。

TOPTONE(東京コーン紙製作所) F77G98-6 は、しっとりと聴かせるタイプのユニットのためどちらかと言えばクラシック向きであり、迫力重視のサラウンド再生には向いているとは言えないかもしれません。

しかし、安価に入手できるので気軽に遊べますし、だからと言って価格どおりのチープな製品という訳ではないため、エンクロージャー次第でなかなかのパフォーマンスを見せます。そのため、PC用の小型スピーカーや、BGM用スピーカーにはお勧めできると思います。安いので複数使用も楽しそうですね。

また、上で少々触れましたが、現在PCサラウンド用のサブウーハーをこのユニットを使って作成中です。準備が整い次第、記事を執筆する予定です。


サブウーハー編へ続く・・・ 次 -> サブウーハー (構想・設計編)
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