Stereo(ステレオ)誌 2013年1月号付録 USB-DAC LXU-OT2 のノイズ対策

この記事では、Stereo (ステレオ)誌 2013年1月号に付録した、USB-DAC LXU-OT2 のノイズ対策について考察・検証した内容を、備忘録として残しておきます。





記事の目的は、USB-DAC LXU-OT2 の"ノイズ対策"です。電解コンデンサー、オペアンプ等をオーディオグレード品に交換する"音質対策"ではありません。予めご了承ください。



ご注意!
この記事は、素人が適当に書いているものです。書かれている内容をご覧になる場合は、参考程度にとどめて頂きますようお願いします。

また、記事を参考にして改造等を行うことは自由ですが、それに伴なういかなる損害について、当ブログでは責任を負いかねます。ご了承ください。





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きっかけ

インピーダンス特性 測定時のノイズ
インピーダンス特性 測定時のノイズ

このブログでは、エンクロージャー製作記事やスピーカーユニット紹介記事で、参考資料としてインピーダンス特性を掲載していますが、実は一回の測定できれいなグラフが描けることはまれで、かなりの頻度で上のグラフのようにノイズがのってしまいます。たいていの場合、複数回測定して一番ノイズの少ないグラフを採用しています。

以前は、使用しているソフト側の設定ミスが原因でノイズがのるのではないか?と思い、いろいろと設定を変えてみたのですが、結局のところ効果はありませんでした。

また、上のグラフを良く見てみると、1kHzの整数倍の位置にきれいに(?)ノイズがのっており規則性があるため、使っている機材側の問題かもしれないと思い、機材自体の測定をやってみることにしました。




インピーダンス特性の測定で使用しているソフトウェア、および、ハードウェアは下記のとおりです。


測定環境・機材

  • 多機能 高精度 テスト信号発生ソフト WaveGene V1.50 efu氏
  • 高速リアルタイム スペクトラムアナライザー WaveSpectra V1.51 efu氏
  • テスト信号:サインスイープ 20Hz~20kHz
  • テスト信号出力:USB-DAC LXU-OT2
  • 測定信号入力:behringer(ベリンガー) U-CONTROL UCA202
  • プリメインアンプ:ONKYO A-924
  • 測定時間:20分




インピーダンス特性測定 ブロック図
インピーダンス特性測定 ブロック図


LXU-OT2はLINE INがないため、テスト信号発生側として利用しています。測定側はベリンガー U-CONTROL UCA202というオーディオインターフェースを利用しています。ベリンガー U-CONTROL UCA202のレビュー記事はこちらにあります。



機材の調査

機材を1台づつ測定を行い、ノイズ発生源をみつけます。


  • behringer U-CONTROL UCA202の場合

behringer U-CONTROL UCA202特性測定 ブロック図
behringer U-CONTROL UCA202特性測定 ブロック図

先ずは、測定側のUCA202について調査を行いました。

UCA202のLINE OUTをLINE INにRCAケーブルで直結、テスト信号発生ソフトで0dB(最大出力)のサインスイープ信号をLINE OUTより出力、LINE INに入力します。スペアナのピークホールド機能を利用して周波数特性を描きます。サインスイープ信号で描かれたピーク値の直線と、信号未入力時のノイズレベルを比較、ダイナミックレンジがどのくらいあるかを確認します。



[測定結果] behringer U-CONTROL UCA202
[測定結果] behringer U-CONTROL UCA202

behringer U-CONTROL UCA202の測定結果です。

-10dB付近にある赤の直線(水平線)がサインスイープ信号を入力、スペアナのピークホールド機能を利用して描いたものです。下に見えるホワイトノイズ(ノイズフロア)はピークでも-110dB程度、平均で-120dB程度におさまっており、信号未入力時のダイナミックレンジは100dB程度は確保されていそうです。

サインスイープ信号入力時では、ホワイトノイズのレベルが平均して10dB弱上昇しますが、それでもダイナミックレンジは90dB以上確保されていましたので、UCA202が原因でノイズが発生していたわけではなさそうです。

UCA202の場合、テスト信号発生と測定を一台で行っているため、回路上でLINE OUTの信号がLINE IN側へ少々漏れ出していると思うので、テスト信号発生と測定を別々の機材に分離して行うよりも不利なはずです。機材を分離すれば、更に特性は良くなると思います。




  • LXU-OT2の場合

使用したUSBケーブル
使用したUSBケーブル

次に、LXU-OT2の場合です。

UCA202では本体からUSBケーブルが直に引き出されているため、別途用意する必要がありませんが、LXU-OT2はそのような構造になっていないため、上図のUSBケーブルを使用しました。

本来、LXU-OT2には付属のUSBケーブルがあるのですが、事前に試行錯誤しているときに色々といじってしまい、元に戻せなくなってしまったため(汗)、別のケーブルを用意しました。このケーブルは、USB 2.0 High Speedモード(480Mbps)対応品です。



LXU-OT2特性測定 ブロック図
LXU-OT2特性測定 ブロック図

前述のとおり、LXU-OT2にはLINE INが備わっていないため、図のように、LXU-OT2のLINE OUTから、UCA202のLINE INへ接続して測定を行っています。

UCA202の測定を先に行った理由は、UCA202がノイズ源になっていないか確認する意味合いもありますが、LXU-OT2の測定前にUCA202の特性を知っておきたかったということもあります。



[測定結果] LXU-OT2 ノイズ対策なし
[測定結果] LXU-OT2 ノイズ対策なし

とりあえず、上のブロック図のように接続、スペアナを動作させてみました。

UCA202と比較して明らかにノイズレベルが高く、インピーダンス特性で問題になった1kHzの整数倍ノイズも見られます。


LXU-OT2のノイズ傾向をインターネットで調べてみると・・・、
  1. 「ピー」というノイズがのる。発生する個体、しない個体がある。
  2. 無音時のホワイトノイズが大きめ。

という意見が見られました。

スペアナのグラフを見ると、「ピー」音は1kHzの整数倍に出ているノイズ、ホワイトノイズも全体的にレベルが高く、ネット上の意見と一致します。

この状態でサインスイープ信号を入力してダイナミックレンジを測定しても意味が無いと判断、ノイズ対策を先に行うことにしました。



  • [ノイズ対策1] フェライトコア(コモンモードノイズフィルタ)を使う。

    USBなどのデジタル通信ケーブルには、フェライトコアを装着するとノイズ除去効果があるようです。お手軽なので、試してみました。


    参考外部リンク

    ワンタッチ装着でノイズを抑止するクランプフィルタ(TDK公式)ワンタッチ装着でノイズを抑止するクランプフィルタ(TDK公式)
    信号とノイズを選り分けるコモンモードフィルタの離れ業(TDK公式)信号とノイズを選り分けるコモンモードフィルタの離れ業(TDK公式)
    電子機器のノイズ対策とフェライト(TDK公式)電子機器のノイズ対策とフェライト(TDK公式)




    今回使用したフェライトコアです。10個入りのものを購入しました。



    フェライトコアを1個装着
    フェライトコアを1個装着

    フェライトコアを2個装着
    フェライトコアを2個装着

    上のグラフがフェライトコアを1個USBケーブルに装着した場合、下が2個装着した場合です。

    上の方で掲載している、フェライトコアをつけてない場合と全く変化がありません。しかし、これは当然のことで、フェライトコア(コモンモードノイズフィルタ)が効果を発揮する周波数帯域は30MHz~700MHzの高周波だからです。そのため、20kHz以下の可聴帯域では全く効果がありません。実は10個全部つけてみたのですが、やはり効果がありませんでした(笑)。

    しかし、USBケーブルに流れるデジタル信号が使用している周波数帯域(USB 2.0 High Speedモードでは240MHz)では、ノイズフィルタとしての効果を発揮するため、USB機器の安定動作には貢献しているはずです。


    参考外部リンク

    フェライトコアとは(株式会社村田製作所)フェライトコアとは(株式会社村田製作所)




  • [ノイズ対策2] セルフパワーのUSBハブを使う。

    ノイズ対策を色々と試行錯誤していて気が付いたのが、UCA202はセルフパワーのUSBハブに接続されていますが、LXU-OT2はパソコンのUSB端子に直に接続されているということでした。

    UCA202がセルフパワーのUSBハブに接続されていた理由はノイズ対策のためではなく、単に取り回しがしやすかったからなのですが、USBではデジタル信号と一緒にDC5V, 最大5mA(USB 1.x, 2.0の場合)の電源もケーブルから送られてきており、消費電力が2.5Wまでの機材であれば、別途電源を用意しなくても動作できるようになっています。

    セルフパワーのUSBハブはアダプタからの電源供給になりますが、パソコン直の場合、パソコン内のノイズまみれの電源が供給されているはずなので、ここからノイズが入り込んでいるのではないか?と考えました。




    今回利用した、サンワサプライのUSB2.0(High Speedモード対応)ハブです。(生産終了品)

    このUSBハブは、ACアダプタ(DC5V 最大2.6A)が付属しており、ACアダプタを接続すればセルフパワーのUSBハブとして動作、はずした状態ではバスパワーのUSBハブとして動作します。



    USBハブ バスパワーの場合
    USBハブ バスパワーの場合

    USBハブ セルフパワーの場合
    USBハブ セルフパワーの場合

    というわけで、LXU-OT2をUSBハブ経由で接続してみた結果です。上がバスパワー動作(ACアダプタなし)の場合、下がセルフパワー(ACアダプタあり)の場合です。

    バスパワーとして使った場合、結局のところ、パソコンから送られてくるDC 5Vを利用することになるため、ノイズ減衰効果が全く期待できないのでは?と想像していたのですが、ホワイトノイズのみですが確実に減っていますね。このUSBハブには、DC 5Vラインにノイズフィルタが内臓されているのでしょうか?。

    セルフパワーの場合、ACアダプタからの給電となるため効果てきめんといった感じで、最大で20dBくらいホワイトノイズが減衰していますね。

    しかし、1kHz整数倍のノイズには効果がないみたいです。ホワイトノイズが減ったことにより、相対的にはレベルが下がっていますが、このノイズは電源から混入してきているわけではなさそうです。



    [測定結果] LXU-OT2 USBハブセルフパワー
    [測定結果] LXU-OT2 USBハブセルフパワー

    1kHz整数倍のノイズは未解決ですが、ホワイトノイズについてはおおむね納得できるレベルまで下がってくれたので、UCA202の場合と同様にサインスイープ信号を入力してダイナミックレンジの測定をしてみました。

    信号未入力時のダイナミックレンジは、1kHz整数倍のノイズに目をつぶれば(笑)95dBくらい。信号入力時では、やはりホワイトノイズレベルが全体的に10dBくらい上昇するため、85dBくらいでしょうか?。

    だいぶ改善したとはいえ、1kHz整数倍ノイズは消えていませんし、それを無視したとしてもUCA202にはおよびませんね。UCA202は手強い(笑)。

    今回使ってみたサンワサプライのUSBハブは生産終了しているようですが、セルフパワーのUSBハブは各メーカーから色々な種類の製品が販売されていますし、改造をしなくてもノイズ低減効果を見込めるので、LXU-OT2のようなバスパワーで動作するUSBオーディオインターフェースを使用する場合、セルフパワーUSBハブとの組み合わせはお勧めできると思います。




  • [ノイズ対策3] DC/DC コンバータ制御用IC 34063 のスイッチング周波数を上げる。

    1kHz整数倍ノイズが消えてくれないため、ここからは改造を行います。

    DC/DC コンバータ制御用IC 34063は、DC電源の昇圧、降圧を行えるICのようです。LXU-OT2の場合、DC5V(?)をDC12Vに昇圧しているみたいです。また、DC12Vはオペアンプの電源として使用されているようでした。



    改造に当たって、下記ウェブサイトを参考にさせて頂きました。この場にて謝辞申し上げます。
    おおぐまとくまのいえ (おおぐま 様)おおぐまとくまのいえ (おおぐま 様)

    参考にさせて頂いた記事
    LXU-OT2の改造LXU-OT2の改造
    LXU-OT2の当たり外れLXU-OT2の当たり外れ


    DC/DC コンバータ制御用IC 34063
    DC/DC コンバータ制御用IC 34063

    図の左上に見えるICが 34063 です。



    DC/DC コンバータ制御用IC 34063(拡大)
    DC/DC コンバータ制御用IC 34063(拡大)

    おおぐま 様の「LXU-OT2の当たり外れLXU-OT2の当たり外れ」という記事を読んでいただくと分かるのですが、私の持っているLXU-OT2ははずれ品のようです(汗)。

    私の持っているLXU-OT2にはメーカー名が印刷されていない 34063 がついているのですが、後期ロット(?)品には、STMicroelectronics MC34063EBD-TR がついているそうです。しかも、そちらは「ピー」ノイズものらないようなのです(汗々)。

    ネット上の意見でみられる「ピー」ノイズがのらない個体は、これのことなのかな?。私はアマゾンで予約して購入しているので、おそらく初期ロット品です。



    34063 ピンアサイン
    34063 ピンアサイン

    34063 のピンアサインです。34063は互換品が各社から販売されているらしく、データシートは比較的簡単に見つけられました。

    オン・セミコンダクター社 MC34063Aデータシート(pdf)MC34063Aデータシート(pdf)より引用させて頂きました。

    ピン番号3番(Timing Capacitor)と、ピン番号4番(GND)の間に取り付けられている、チップセラミックコンデンサー(LXU-OT2基板上ではC11)の容量を変えることにより、スイッチング周波数を変化させることが出来るようです。



    Oscillator Frequency
    Oscillator Frequency

    同データシートに掲載されている、コンデンサー容量とスイッチング周波数のグラフです。

    LXU-OT2オリジナルの状態では、タイミングキャパシタ(C11)は、おおぐま 様の記事「LXU-OT2の改造LXU-OT2の改造」によると、1000pF(=1nF)のようです。グラフを見ると1000pFの場合、スイッチング周波数は35kHzくらいでしょうか。

    これを、手持ちの330pF(=0.33nF)に交換してみます。交換すると、スイッチング周波数が60kHzくらいになるはずです。



    LXU-OT2基板上の34063ピンアサインとタイミングキャパシタC11
    LXU-OT2基板上の34063ピンアサインとタイミングキャパシタC11

    LXU-OT2基板上の34063ピンアサインと、タイミングキャパシタC11の様子。

    C11は表面実装のチップセラミックコンデンサーなのですが、小さいです。私の劣化した目では取り外し作業が難航しそうです(汗)。



    タイミングキャパシタC11を交換
    タイミングキャパシタC11を交換

    難航の末、チップセラミックコンデンサーC11を取り外し、330pFのセラミックコンデンサーに交換しました。チップコンデンサーは持っていなかったので、普通のセラミックコンデンサーです(汗)。

    形はちがっても、セラミックコンデンサーはセラミックコンデンサーなので、動くと思いますが・・・、さてさて(汗々)。



    [測定結果] LXU-OT2 (タイミングキャパシタC11交換)
    [測定結果] LXU-OT2 (タイミングキャパシタC11交換)

    C11を1000pFから330pFに交換した後の測定結果です。

    たしかにノイズが減りました。ホワイトノイズだけど・・・(汗)。1kHz整数倍ノイズを無視すれば、ダイナミックレンジはUCA202とほぼ互角といったところでしょうか?。

    おおぐま 様の記事によると、メーカー名印刷なし34063も怪しいですが、その他にL1(コイル)がシールドされていないためノイズをまきちらしており、それが回路に混入しているとのことでした。

    L1に何かシールドになるものをかぶせてみたいのですが、手ごろなサイズのものがなく、そこまで出来ていません。



まとめ

現時点では万策尽きてしまいました。そのため、今の状態でインピーダンス特性を数ケース測定してみました。


インピーダンス特性 北日本音響 F02406H0
インピーダンス特性 北日本音響 F02406H0

インピーダンス特性 FOSTEX FE87
インピーダンス特性 FOSTEX FE87

上のグラフが北日本音響 F02406H0というフルレンジユニット、下はおなじみFOSTEX FE87(フルレンジユニット)です。ノイズ対策前に比べ、ノイズが混入する確率、量とも明らかに減りました。しかし、FOSTEX FE87のグラフのように、まだ完全に除去できているわけではなさそうです。


USB-DAC LXU-OT2 には今回の件で思い知らされましたが(笑)、なかなかの曲者のようです。

正直なところ、ハンダゴテを持って改造したい人や、Stereo 2013年1月号のバックナンバーが欲しい人にはお勧めできますが、それ以外の改造などせず、パソコンで高音質な音楽を楽しみたいだけの人には、behringer U-CONTROL UCA202 が安価に入手できてしまう以上お勧めしづらいです。

34063 が変更されているらしい後期ロット(?)なら、誰にでもお勧めできるものになっているのでしょうか?。


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