トリプルバスレフ型エンクロージャーの実現性について妄想(笑) #1

実は当初、Stereo 2015年8月号付録 10cmフルレンジユニット FOSTEX P1000 用のエンクロージャーとしてトリプルバスレフ型を玉砕覚悟(笑)で試してみようと考えていました。


しかし、ノウハウゼロなのと、そもそも、そんなものを作ることが可能なのかも不明なことに冷静になってから気づきました(汗)。あまりにも無謀なため、私の足りない脳みそを酷使して(汗々)実現の可能性についてぐだぐだと妄想してみることにします。

いくら玉砕覚悟とはいえ勝算ゼロで、最初から粗大ゴミができるのが分かりきっているのに実行するのは無意味ですからね(笑)。

もし、今後トリプルバスレフ型スピーカーの実現目処が立つことがあれば、何らかの形で試作することもあるかもしれませんが、FOSTEX P1000 での製作は見送ることにしました。代わりに、他の方式でエンクロージャー製作を検討しています。


参考書籍:長岡鉄男 著 「長岡鉄男のオリジナル・スピーカー設計術 こんなスピーカー見たことない」




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妄想(笑)

ご注意!

このブログは素人が適当に書いているものです。内容については、参考程度にされますようお願いします。


スピーカークラフトのオーソリティーである長岡鉄男氏の設計・製作例では、私が知る限りトリプルバスレフ型を採用したエンクロージャーは存在しないようです。


設計・製作されなかった理由を想像、挙げてみると・・・、

  1. 必要十分な低域再生能力は、ダブルバスレフ型で要件を満たしてしまう。
  2. エンクロージャーが巨大化してしまうため、他の方式(バックロードホーン、共鳴管など)と比較した場合、優位性が少ない。
  3. そもそも、実現不可能?。


・・・といったあたりではないでしょうか?。

おそらく、1,2番が濃厚と思われますが、3番だった場合、そこで妄想が終わってしてしまうので(笑)それは無視するとして、基本形であるバスレフ型から順に、ダブルバスレフ型、トリプルバスレフ型へと発展しながら動作を妄想してみます。





  • 基本形:バスレフ型

    先ずは、基本形であるバスレフ型から。

    • ヘルムホルツの共鳴器

      バスレフ型はエンクロージャーがヘルムホルツの共鳴器として動作するように設計することにより、共振を利用して低域の増強を狙います。



      ヘルムホルツの共鳴器
      ヘルムホルツの共鳴器


      便利なので何回も使ってしまっている(笑)、ヘルムホルツの共鳴器の動作をバネとおもりの関係で説明している図です。


      図のような容器(ボトル)があるとき、容器内の空気は流体として、注ぎ口の空気は固体(のように振舞うもの)として考えます。

      空気は温度によって決まる一定の体積をもち、外部からの力で強制的に引き伸ばしたり、縮めたりすると元の体積に戻ろうとする空気バネの力(弾性力)が働きます。この力は風船や車のタイヤを想像すると分かりやすいと思います。そのため、容器内の空気は一定の空気バネの力を持ちます。

      また、注ぎ口の空気はひと固まりとみなし、一定の質量(1リットルで約1.3g)を持ちます。

      容器内の空気バネの力をバネの張力、注ぎ口の空気の固まりをおもりに置き換えると、バネにおもりを取り付けたものと等価と考えることができます。

      バネにおもりを取り付けると、バネの張力とおもりの質量で決まる共振周波数を持ち、その周波数と等しい上下振動を外部から与えると、おもりが激しく上下振動します。共振周波数はバネの張力が強くなると高く、おもりが重くなると低く変化します。

      おもりの上下振動の移動方向は、外部から与えられた上下振動の移動方向と真逆になります(逆相になる)。お祭りの屋台で売られている、水風船にゴムが付いているおもちゃを想像すると分かりやすいと思います。

      水風船のゴムを指につけて手を上下に動かすと、ある速さで上下運動させた場合、手を下方に動かすと水風船は勢い良く手の方向(上方)へ移動、手を上方に動かすと、ゴムが最大まで伸びて水風船は勢い良く下方へ移動する動作となります。これが、水風船の共振周波数です。

      同様に容器の場合を考えると、容器内の空気バネの力と注ぎ口の空気の固まりの質量で決まる共振周波数を持ち、その周波数と等しい振動を外部から与えると、注ぎ口の空気の固まりが激しく上下に振動します。この空気の固まりの上下振動が一種の振動板として動作することにより、音を効率よく放射します。

      空気バネの力は、容器の容量が小さいほど強く、大きいほど弱くなります。空気バネの力はバネの張力と等価なので、張力が強くなると共振周波数が高くなる訳ですから、容量を変化させることにより共振周波数をコントロールすることができます。

      また、注ぎ口の空気の固まりはおもりと等価と考えられるので、基本的には質量が大きいほうが共振周波数が低くなります。しかし、空気の場合はおもりと比べて密度が著しく低いため、質量を大きくすると体積も大きくなってしまいます。

      空気の質量を大きくする(=体積を大きくする)には、注ぎ口の内容量を大きくしてあげる必要がありますが、注ぎ口の長さを変えずに断面積を大きくして体積を増やすと、気流抵抗が下がってしまうため、逆に共振周波数が上がってしまいます。

      共振周波数を下げたい場合には、気流抵抗を下げずに体積を増やす必要があります。そのためには、注ぎ口の断面積を変えずに長さを長くして体積を増やし、空気質量を重くする必要があります。




    • 周波数特性


      バスレフ型エンクロージャー 構造・周波数特性
      バスレフ型エンクロージャー 構造・周波数特性


      この図はバスレフ型エンクロージャーの構造と、周波数特性を表したものです。

      ヘルムホルツの共鳴器の図に描かれている容器(ボトル)の注ぎ口(この図ではダクト)を内側にひっくり返して、スピーカーユニットを取り付けたものと考えれば分かりやすいと思います。ヘルムホルツの共鳴器に振動を与える役割を担うのは、当然ながらスピーカーユニットとなります。

      図の周波数特性は、青線がユニットからの直接放射音、fdが共振周波数、橙線がダクトからの放射音です。前述のとおり、共振は入力振動と逆相で振動するため、ユニットの裏面から放射されている音(前面に対して逆相)の逆相で共振することにより、前面から放射されている音と同相になるため、お互いに強め合います。バスレフ型が位相反転型とも言われる理由はこのためです。

      実際の視聴では、赤線の周波数特性(ユニット放射音とダクト放射音が合成されたもの)を聴くことになります。fdは青線(ユニットからの直接放射音)の特性をみて決定します。fdが適正に設定されていれば、赤線ようにスムーズに接続された特性になります。





    • インピーダンス特性


      バスレフ型インピーダンス特性
      バスレフ型インピーダンス特性


      バスレフ型エンクロージャーにユニットを取り付けてインピーダンス特性を測定すると、図のような曲線になります。

      ピークを周波数の高いほうから順に fc1, fc2、ディップを fd とすると・・・、


      • fc1:エンクロージャー内の空気バネ力により、ユニットのf0が上昇したもの。

      • fc2:エンクロージャー内の空気が、ユニットのコーンと一緒に動いてダクトから出入りする動作。エンクロージャー内の空気質量がユニットのm0に加算されて、f0が下がったもの。

      • fd:共振周波数


      ・・・と、なります。





    • ローパスフィルタとしてのダクト

      ダクトはエンクロージャーに開けた穴でもあるので、ユニットの背面からエンクロージャー内に放射された逆相音が通過して漏れ出してきます。

      ただし、音波は周波数が高くなるほど指向性が鋭く(直進性が強く)なるため、中高域はエンクロージャー内で吸収されてしまいほとんど漏れ出してきません。主に共振周波数fdより下の帯域の音が漏れ出してきます。そのため、ダクトはfdがカットオフ周波数のアコースティクなローパスフィルターと考えることができます。


      ダクトのローパスフィルター特性
      ダクトのローパスフィルター特性


      ダクトのローパスフィルターとしての特性を表した図です。fd以下の帯域音はダクトを素通りします。そのため、ユニットを裸で鳴らしたのと等価の動作になります。



      共振周波数fdから見るバスレフ型エンクロージャーの動作
      共振周波数fdから見るバスレフ型エンクロージャーの動作


      上で示したように、ダクトは一種のローパスフィルターとしても動作するため、バスレフ型エンクロージャーでは共振周波数fdより上の帯域と下の帯域とでは別々の動作となります。

      共振周波数fdより上の帯域ではローパスフィルターによってフィルタリングされてしまうため、密閉型に準じた動作になります。

      fdでは共振によるピークが出来ますが、そのすぐ下の帯域ではユニット直接放射の正相音とダクトから漏れ出てくる逆相音とが合流、ユニットを裸で鳴らしたのと等価の動作となり相殺してしまうため、急激にレベル低下を起こしてしまいます。






  • バスレフ型からの発展:ダブルバスレフ型

    ダブルバスレフ型はヘルムホルツの共鳴器の数を増やして、ローエンドの拡張をバスレフ型よりも更に推し進めたエンクロージャー方式です。


    ダブルバスレフ型エンクロージャー構造
    ダブルバスレフ型エンクロージャー構造


    この図は、ダブルバスレフ型エンクロージャーの構造を表したものです。

    ダブルバスレフ型エンクロージャーはエンクロージャー内に複数の小部屋・ダクトがあるため、スピーカーユニットが取り付けられている小部屋を「第1キャビネット」、そこから伸びるダクトを「第1ダクト」、第1ダクトにつながる小部屋を「第2キャビネット」、第2キャビネットについているダクトを「第2ダクト」と説明上呼ぶことにします。




    • ダブルバスレフ型の動作

      ダブルバスレフ型エンクロージャー動作
      ダブルバスレフ型エンクロージャー動作


      こちらの図は、ダブルバスレフ型エンクロージャーの実際の動作を表したものです。

      "ダブル"バスレフ型と呼ばれていますが動作の視点で見ると共鳴器の数は2つではなく、図のような、A、B、Cの3つの共鳴器が存在すると考えられます。

      • 共鳴器A:第1キャビネットと、第1ダクトで作られる共鳴器。


      • 共鳴器B:第2キャビネットと、第1ダクト、第2ダクトで作られる共鳴器。

        第1ダクト、第2ダクトの2本のダクトがありますが共振周波数が2つ現れる訳ではなく、合成された1本のダクトとして動作するため、共振周波数は1つしか現れません。


      • 共鳴器C:第1キャビネットと第2キャビネットの合計容量と、第2ダクトで作られる共鳴器。

        このケースでは、第1ダクトは単なる通路として動作します。図では省略していますが、第1ダクト内の空気は合計容量に含まれます。また、第1キャビネットと第2キャビネットの仕切り板は合計容量に含まれません。



      ここでは説明上、共鳴器Aの共振周波数をfda、共鳴器Bの共振周波数をfdb、共鳴器Cの共振周波数をfdcと表現します。





    • インピーダンス特性

      ダブルバスレフ型インピーダンス特性
      ダブルバスレフ型インピーダンス特性


      ダブルバスレフ型エンクロージャーのインピーダンス特性は図のように、ピークが3つ、ディップが2つ表れます。


      周波数の高いほうから順に、ピークをfc1, fc2, fc3、ディップをfda, fdcとすると・・・、


      ピーク

      • fc1:第1キャビネット内の空気バネ力により、ユニットのf0が上昇したもの。

      • fc2:第1キャビネット内の空気質量がユニットのm0に加算されて、f0が下がったもの。

      • fc3:第1キャビネット、第2キャビネット内の空気質量合計がユニットのm0に加算されて、f0が下がったもの。


      ディップ

      • fda:共鳴器A(第1キャビネット、第1ダクト)による共振。

      • fdc:共鳴器C(第1キャビネット、第2キャビネットを合計した内容積と第2ダクト)による共振。

      となります。

      共鳴器Bによる共振(fdb)も存在しているはずですが、ユニットとは無関係に動作しているためインピーダンス特性には表れないようです。





    • ダブルバスレフ型の動作の謎

      ダブルバスレフ型エンクロージャーでもバスレフ型と同様に、ダクトによるアコースティックなローパスフィルター効果が存在します。しかし、ダブルバスレフ型の動作についてローパスフィルター効果も含めて考察すると奇妙な点があることに気付きます。


      長岡氏の著書によるとダブルバスレフ型エンクロージャーを設計する場合、fdaはバスレフ型より少々高めに、fdcはfdaの1/2~1/3倍の範囲に設定するとあります。

      fdbはというと、ダブルバスレフ型エンクロージャーの設計では必ずしも計算する必要はありません。



      ダブルバスレフ型周波数特性
      ダブルバスレフ型周波数特性


      この図は、ダブルバスレフ型の周波数特性を表したものです。青線がユニットからの直接放射、橙線は共振周波数fda、fdcそれぞれの共振音、赤線はそれらがすべて合成されたものです。リスナーは赤線の周波数特性を聴くことになります。




      ダブルバスレフ型周波数特性(ローパスフィルター考慮)
      ダブルバスレフ型周波数特性(ローパスフィルター考慮)


      こちらの図は、上の図にfdcをカットオフ周波数とするローパスフィルター特性(緑線)を追加したものです。


      仮にfdaを150Hz、fdcをfdaの1/3倍の50Hzに設定したダブルバスレフ型エンクロージャーの動作を考えてみます。

      この場合、第2ダクトはカットオフ周波数が50Hzのローパスフィルターとして動作するため、共鳴器Aの共振による第1ダクトからの放射(fda:150Hz)は第2ダクトでフィルタリングされてしまいほとんどから放射されず、図の赤線のような中低域が落ち込んだ特性になってしまうはずです。

      しかし、実際にダブルバスレフ型エンクロージャーを設計・製作して周波数特性を測定してみると、このようなことにはなっていません。




      以前、実際に設計・製作したダブルバスレフ型エンクロージャー例を掲載します。

      ダブルバスレフ型エンクロージャー実例
      ダブルバスレフ型エンクロージャー実例


      このダブルバスレフ型エンクロージャーは、こちらの記事で紹介している、Stereo 2012年8月号付録 口径9cmフルレンジユニット ScanSpeak 10F/8422-03 を使用したものです。


      設計は以下のとおりとなっています。

      第1キャビネット:3.4リットル
      第2キャビネット:7.8リットル
      合計:11.2リットル

      第1ダクト:φ63×50(mm)
      第2ダクト:φ55×130(mm)

      fda:170Hz
      fdc:59Hz



      周波数特性 ScanSpeak 10F/8422-03 ダブルバスレフ型
      周波数特性 ScanSpeak 10F/8422-03 ダブルバスレフ型


      この図は、ScanSpeak 10F/8422-03 を使用したダブルバスレフ型エンクロージャーの周波数特性を測定したものです。設計ではfdcが59Hzとなっていますが、fdc~fda(59Hz~170Hz)の間にディップは特になく、むしろ盛り上がっています。




      インピーダンス特性 ScanSpeak 10F/8422-03 ダブルバスレフ型
      インピーダンス特性 ScanSpeak 10F/8422-03 ダブルバスレフ型


      次に、インピーダンス特性の測定結果です。

      ピーク

      • fc1:210Hz
      • fc2:130Hz
      • fc3:48Hz

      ディップ

      • fda:180Hz
      • fdc:60Hz


      fdaの位置が少々上にずれていますが、ピークが3つ、ディップが2つあり、ダブルバスレフ型として動作していることが分かります。


      周波数特性もあわせて見ると50Hz以下が急激にレベルダウンしているので、第2ダクトがローパスフィルターとして動作していることは間違いないようですが、fdaの共振音が第2ダクトから放射されるのをフィルタリングしている訳でもなさそうです。

      この件について長岡氏は著書で共鳴器Bの動作が関係していると述べており、本を読んだときは意味を理解できなかったのですが、以前作成した別のスピーカーの動作を観察していたときにヒントを得て、なんとなく分かったような気がしました。




      以下、そのスピーカー作例を掲載します。

      フロントチャンネル一体型スピーカー設計図
      フロントチャンネル一体型スピーカー設計図


      このスピーカーは5.1サラウンドのフロント側3チャンネル(左, センター, 右)を、1台のエンクロージャーで再生してしまおうという構想のもと作成しました。(詳細はこちらを参照。)


      このエンクロージャーは左右対称構造で、内部に3つのキャビネットを持っており、左キャビネットが約6.1リットル(左ユニット取付位置)、中央キャビネットが約4.3リットル(センターユニット取付位置)、右キャビネットが約6.1リットル(右ユニット取付位置)となっています。

      説明の都合上、中央キャビネットを第1キャビネット、左右のキャビネットを第2キャビネットと呼ぶことにします。第1キャビネットから断面積約27cm^2、長さ10cmの第1ダクトが左右に伸びており、それらが左右にある第2キャビネットに接続されています。左右の第2キャビネットには断面積約23cm^2、長さ20cmの第2ダクトが1つづついている構造になっています。

      エンクロージャーが内部で3つのキャビネットに別れているため、一見するとトリプルバスレフ型のように思われるかもしれませんが、実際の動作はダブルバスレフ型に近いものです。



      • センタースピーカー視点での動作
      等価エンクロージャー(センタースピーカー)
      等価エンクロージャー(センタースピーカー)


      このエンクロージャーをセンタースピーカー視点でとらえると、上図のようなダブルバスレフ型エンクロージャーと等価と考えることができます。

      設計図の表記と区別するために、等価エンクロージャーの第1キャビネットを等価 第1キャビネット、第1ダクトを等価 第1ダクト、第2キャビネットを等価 第2キャビネット、第2ダクトを等価 第2ダクトとすると・・・、

      • 等価 第1キャビネット
        センターユニットが取り付けられている中央約4.3リットルのキャビネット(設計図:第1キャビネット)がそのまま対応します。

      • 等価 第1ダクト
        等価 第1キャビネットから左右に分かれて2本あるダクト(設計図:第1ダクト・左右)を合成した断面積約54cm^2、長さ10cmの1本のダクトと考えることができます。

      • 等価 第2キャビネット
        左右に1つづつ、計2個ある約6.1リットルのキャビネット(設計図:第2キャビネット・左右)が合成された、約12.2リットルの1つのキャビネットと考えることができます。

      • 等価 第2ダクト
        左右のキャビネット(設計図:第2キャビネット・左右)に1つづつ計2本ある断面積が約23cm^2、長さが20cmのダクト(設計図:第2ダクト・左右)が合成された、断面積が約46cm^2、長さが20cmの1本のダクトと考えることができます。


      この等価ダブルバスレフ型エンクロージャーの動作を計算すると以下となります。
      • 等価 第1キャビネット等価 第1ダクトによる共振周波数fda:約153Hz
      • 全容量16.5リットル(等価 第1キャビネット等価 第2キャビネット)と等価 第2ダクトによる共振周波数fdc:約56Hz


      インピーダンス特性(センタースピーカーのみ)
      インピーダンス特性(センタースピーカーのみ)

      センタースピーカーのみの場合のインピーダンス特性の測定結果を掲載します。

      グラフより、ピーク、ディップを見て行くと・・・、

      ピーク

      • fc1:185.1Hz
      • fc2:130.5Hz
      • fc3:47.8Hz

      ディップ

      • fda:160.2Hz
      • fdc:55.2Hz

      となっており、fdaが予想の153Hzより少々高い160.2Hzになっていますが、fdcは予想が56Hzなので、55.2Hzはなかなか良い値です。

      インピーダンス特性(グラフ曲線)からすると、やはりダブルバスレフ型に近い動作をしていると見て良さそうです。



      • 左・右スピーカー視点での動作
      [予想]等価エンクロージャー(左、右スピーカー)
      [予想]等価エンクロージャー(左、右スピーカー)

      次に、左・右スピーカー視点での考察です。このスピーカーの構造で一番説明したかったのはこの部分です。

      普通のダブルバスレフ型エンクロージャーの場合、第2キャビネットにユニットが取り付けられることはありませんが、このエンクロージャーの場合、まさに第2キャビネットに左・右チャンネル用のユニットが取り付けられています。そして、それらは個別に鳴らすことができるので、インピーダンス特性の測定も可能なため、第2キャビネット単独の動作を調べることができます。


      センタースピーカーの場合同様、左、右の各スピーカー視点で等価エンクロージャーを考えてみます。

      このエンクロージャーは内部が左右対称になっているため、左、右スピーカー個々の視点でとらえると、どちらのユニットも、上図のようなダブルバスレフ型と等価なエンクロージャーに取り付けられていると仮定できるのではないか?と考えました。

      • 等価 第1キャビネット
        左、右の各ユニットはどちらも約6.1リットルのキャビネット(設計図:第2キャビネット)に取り付けられているため、これを等価 第1キャビネットと仮定しました。


      • 等価 第1ダクト
        等価 第1キャビネット(約6.1リットル)には断面積が約23cm^2、長さが20cmのダクト(設計図:第2ダクト)と、断面積が約27cm^2、長さが10cmのダクト(設計図:第1ダクト)の計2本がついています。

        しかし、ヘルムホルツの共鳴器は、1つの容器に2つ以上のダクトがついていたとしても(たとえ個々のダクト長、断面積が異なっていたとしても)、共振周波数が2つ以上現れるわけではなく、すべてのダクトが合成された1本のダクトがついているのと等価な動作となります(共振周波数は1つしか現れない)。

        そのため、等価 第1キャビネットについている2本のダクトを合成した、等価 第1ダクトの寸法を断面積が約50cm^2、長さが15cmと仮定しました。

        等価な1本のダクト寸法を計算をする場合、各ダクトの断面積がまちまちであっても長さがすべて同一であれば、長さには変化なし、断面積は各々の合計を計算すれば良いのですが、今回の場合では長さも面積も異なるため、計算方法が私にはよく分かりませんでした(汗)。しかたないので、断面積は合計値、長さは平均値で算出できると仮定しました。なので、かなり適当です(汗々)。


      • 等価 第2キャビネット
        残りの約4.3リットル(設計図:第1キャビネット)と約6.1リットル(設計図:第2キャビネット)を合計した10.4リットルを、等価 第2キャビネットと仮定しました。


      • 等価 第2ダクト
        センタースピーカーの場合と同じ断面積が約46cm^2、長さが20cm(設計図:第2ダクト左右2本を合成したもの)となると仮定しました。


      この等価ダブルバスレフ型キャビネットの動作を計算すると以下となります。
      • 等価 第1キャビネット等価 第1ダクトによる共振周波数fda:約105Hz
      • 全容量16.5リットル(等価 第1キャビネット等価 第2キャビネット)と等価 第2ダクトによる共振周波数fdc:約56Hz




      インピーダンス特性(左スピーカーのみ)
      インピーダンス特性(左スピーカーのみ)

      左・右の測定結果に違いがほとんどなかったので、左スピーカーの場合のインピーダンス特性のみを掲載します。

      グラフより、ピーク、ディップを見て行くと・・・、

      ピーク

      • fc1:139.3Hz
      • fc2:97.6Hz
      • fc3:49.1Hz

      ディップ

      • fda:105.0Hz
      • fdc:53.2Hz

      となりました。

      fdaは予想が105Hzで、実測が105.0Hzでぴったり。fdcは予想が56Hzなので、実測の53.2Hzもなかなか良い値です。インピーダンス特性(グラフ曲線)からすると、こちらもダブルバスレフ型に近い動作をしていると見て良さそうです。



      この結果で分かることは、第2キャビネットと第1、第2ダクトで作られる共鳴器Bを単体でみると、共振周波数fdb:105Hzで動作しているということです。

      センタースピーカー視点での動作に戻って考察すると、全容量と第2ダクトで作られる共鳴器Cの共振周波数fdcは55.2Hzとなってしまっているため、それでは、第1キャビネットと第1ダクトで作られる共鳴器Aの共振fda:160.2Hzはフィルタリングされて第2ダクトから放射されなさそうです。

      しかし、第2キャビネットと第2ダクトで作られる共鳴器Bは共振周波数fdb:105Hzとして動作しており、第2ダクトはカットオフ周波数105Hzのローパスフィルターとしても動作していると考えれば、160.2Hzと105Hzは比較的近い周波数なので、これならある程度160.2Hzを中心とする共振音が第2ダクトから放射されそうです。また、105Hzの共振も低音増強につながります。




      これらのヒントにより、ダブルバスレフ型の動作ついて長岡氏が著書で言いたかったことを推測すると・・・、

      (動作推測)ダブルバスレフ型エンクロージャー 周波数特性
      (動作推測)ダブルバスレフ型エンクロージャー 周波数特性


      共鳴器A、共鳴器Cによる共振であるfda、fdcの間に、共鳴器Bの共振fdb(橙点線)がユニットとは無関係に動作しており、この共振周波数fdbのおかげで、第2ダクトからfdaの共振がフィルタリングされることなく放射されるのではないか?と私は理解しました。





  • 中間まとめ

    トリプルバスレフ型の動作妄想というより、バスレフ型、ダブルバスレフ型の動作考察になってしまっていますが、記事が長くなってしまったので、この辺で一旦まとめると・・・、



    ダブルバスレフ型の動作検証で得られた情報をもとに、共鳴器A、共鳴器B、共鳴器Cの共振周波数fda、fdb、fdcの関係を示すと、以下の条件を満たすとき、ダブルバスレフ型はうまく動作するのではないか?ということが推測できます。


    fdc < fdb < fda



    ちなみに、ScanSpeak 10F/8422-03 ダブルバスレフ型エンクロージャーについても共鳴器Bの共振周波数を計算してみました。共鳴器Bの共振周波数fdb:117Hzとなっていました。fda:170Hz、fdc:59Hzなので、上で示した関係式は成り立っているようです。

    いずれにせよ、共鳴器Bの共振周波数を上手くコントロールすることにより、一番周波数の高い共鳴器Aの共振音を共鳴器Cのダクト(第2ダクト)から何とかして放射させることが成功のコツのように見受けられます。



    トリプルバスレフ型の場合、ダブルバスレフ型に比べて動作する共鳴器が更に増加・複雑化すると思いますが、上で示した関係については共通だと思われるので、次回はこれらを参考にしてトリプルバスレフ型の動作を探って行きます。



次回につづく・・・ -> その2


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