トリプルバスレフ型エンクロージャーの実現性について妄想(笑) #2

前回の記事では、トリプルバスレフ型の基本となるバスレフ型、ダブルバスレフ型の構造・動作を順次見て行き、最後にダブルバスレフ型がうまく動作する条件について考察しました。

今回はそれらの考察をもと、トリプルバスレフ型の動作条件を考察してみます。


ご注意!

このブログは素人が適当に書いているものです。内容については、参考程度にされますようお願いします。





関連記事





ダブルバスレフ型動作条件まとめ

前回の繰り返しになってしまいますが、ダブルバスレフ型エンクロージャー動作条件をまとめました。


ダブルバスレフ型エンクロージャー構造
ダブルバスレフ型エンクロージャー構造

この図は、ダブルバスレフ型エンクロージャーの構造を表したものです。

スピーカーユニットが取り付けられている小部屋を「第1キャビネット」、そこから伸びるダクトを「第1ダクト」、第1ダクトにつながる小部屋を「第2キャビネット」、第2キャビネットについているダクトを「第2ダクト」と呼びます。




ダブルバスレフ型エンクロージャー動作
ダブルバスレフ型エンクロージャー動作

ダブルバスレフ型エンクロージャーの実際の動作を表した図です。

"ダブル"バスレフ型と呼ばれていますが、動作視点で見ると共鳴器の数は2つではなく、図のような、A、B、Cの3つの共鳴器が存在すると考えられます。

  • 共鳴器A:第1キャビネットと、第1ダクトで作られる共鳴器。


  • 共鳴器B:第2キャビネットと、第1ダクト、第2ダクトで作られる共鳴器。

    2本のダクトが付いているが共振周波数が2つ現れる訳ではなく、合成された1本のダクトとして動作する。そのため、共振周波数は1つしか現れない。


  • 共鳴器C:第1キャビネットと第2キャビネットの合計容量と、第2ダクトで作られる共鳴器。

    このケースでは第1ダクトは通路として動作し、ダクト内の空気も合計容量に含まれる。また、第1キャビネットと第2キャビネットの仕切り板は合計容量に含まれない。


※共鳴器Aの共振周波数をfda、共鳴器Bの共振周波数をfdb、共鳴器Cの共振周波数をfdcとします。




ダブルバスレフ型インピーダンス特性
ダブルバスレフ型インピーダンス特性

ダブルバスレフ型エンクロージャーのインピーダンス特性です。図のように、ピークが3つ、ディップが2つ表れます。


周波数の高いほうから順に、ピークをfc1, fc2, fc3、ディップをfda, fdcとすると・・・、


ピーク

  • fc1:第1キャビネット内の空気バネ力により、ユニットのf0が上昇したもの。

  • fc2:第1キャビネット内の空気質量がユニットのm0に加算されて、f0が下がったもの。

  • fc3:第1キャビネット、第2キャビネット内の空気質量合計がユニットのm0に加算されて、f0が下がったもの。


ディップ

  • fda:共鳴器A(第1キャビネット、第1ダクト)による共振。

  • fdc:共鳴器C(第1キャビネット、第2キャビネットを合計した内容積と第2ダクト)による共振。

となります。

共鳴器Bによる共振(fdb)も存在しているはずですが、ユニットとは無関係に動作しているためインピーダンス特性には表れないようです。




ダブルバスレフ型周波数特性
ダブルバスレフ型周波数特性


この図は、ダブルバスレフ型の周波数特性を表したものです。青線がユニットからの直接放射、橙線は共振周波数fda、fdcそれぞれの共振音、赤線はそれらがすべて合成されたものです。リスナーは赤線の周波数特性を聴くことになります。




ダブルバスレフ型周波数特性(ローパスフィルター考慮)
ダブルバスレフ型周波数特性(ローパスフィルター考慮)


ダクトはローパスフィルターとしての動作もするため、fdcをカットオフ周波数とするローパスフィルター特性(緑線)も考慮して描きなおした図です。


仮にfdaを150Hz、fdcをfdaの1/3倍の50Hzに設定したダブルバスレフ型エンクロージャーの動作を考えてみます。

この場合、第2ダクトはカットオフ周波数が50Hzのローパスフィルターとして動作するため、共鳴器Aの共振による第1ダクトからの放射(fda:150Hz)は第2ダクトでフィルタリングされてしまいほとんど外部に放射されず、図の赤線のような中低域が落ち込んだ特性になってしまうはずです。

しかし、実際にダブルバスレフ型エンクロージャーを設計・製作して周波数特性を測定してみると、このようなことにはなっていません。




(動作推測)ダブルバスレフ型エンクロージャー 周波数特性
(動作推測)ダブルバスレフ型エンクロージャー 周波数特性

この図は、共鳴器B(共振周波数fdb)を考慮して周波数特性を描きなおしたものです。

共鳴器A、共鳴器Cによる共振であるfda、fdcの間に、共鳴器Bの共振fdb(橙点線)がユニットとは無関係に動作しており、この共振周波数fdbのおかげで、第2ダクトからfdaの共振がフィルタリングされることなく放射されるのではないか?と私は理解しました。

第2ダクトがfdcをカットオフ周波数とするローパスフィルターとして動作していると考えてしまうと、共鳴器Aの共振音(fda)はフィルタリングされて外部に放射されることがなさそうです。

しかし、共鳴器Bがあるため、第2ダクトはカットオフ周波数fdbで動作(あるいは、fdb, fdcの両方で動作?)しているため、fdaの共振音も第2ダクトをすり抜けてくることができると考えたわけです。



これらの考察をもとに、共鳴器A、共鳴器B、共鳴器Cの共振周波数fda、fdb、fdcの関係を示すと、以下の条件を満たすとき、ダブルバスレフ型はうまく動作するのではないか?ということが推測できます。


fdc < fdb < fda




そこで、実際のダブルバスレフ型エンクロージャー作例数種(長岡氏設計、および、私の自作)について、共振周波数fda、fdb、fdcがどのような値に設定されているのか調べてみました。


名称第1キャビ
(リットル)
第2キャビ
(リットル)
fda
(Hz)
fdb
(Hz)
fdc
(Hz)
fdb/fda
比(%)
fdc/fda
比(%)
[長岡式]
F-58 カネボウ
13.527.7144935364.6%36.8%
[長岡式]
F-90 河童
3.216.6195955448.7%27.7%
[長岡式]
F-99 エイリアン
7.440.0145745051.0%34.5%
[長岡式]
DB-3
6.020.491765683.0%61.5%
[長岡式]
CX-3
37.045.0122823867.2%31.1%
[自作]
スキャンスピーク
10F/8422-03
3.47.81701175968.8%34.7%
[自作]
サラウンド
フロント一体型
4.312.21531055668.6%36.6%
     最小48.7%27.7%
     最大83.0%61.5%
     平均64.6%37.6%


表の見方
  • 名称:スピーカー名です。
    • [長岡式]:長岡鉄男氏設計。ペットネームがあるものはそれも記載しています。
    • [自作]:私が自作したものです。(リンク先は製作記事)
  • 第1キャビ(リットル):第1キャビネットの容量。
  • 第2キャビ(リットル):第2キャビネットの容量。
  • fda(Hz):共鳴器Aの共振周波数。
  • fdb(Hz):共鳴器Bの共振周波数。
  • fdc(Hz):共鳴器Cの共振周波数。
  • fdb/fda比(%):fdbをfdaで割った値をパーセント表示しています。
  • fdc/fda比(%):fdcをfdaで割った値をパーセント表示しています。


キャビネット容量、共鳴器の共振周波数は、使用しているユニット口径によって変化してしまう(小口径なら共振周波数は高め、大口径なら共振周波数は低め)ため、fdb/fda比(%)、fdc/fda比(%)を中心に見て行くと・・・、

  • fdb/fda比(%):

    平均値が64.6%となっており、fdaの2/3(66.6%)に近い値です。最小値がfdaの約1/2(50%)、最大値がfdaの約4/5(80%)となっています。

    fdb値はfdaの2/3(66.6%)を中心として、1/2(50%)~4/5(80%)の範囲で設定可能のようです。

    ダブルバスレフ型エンクロージャーを設計する場合、この値の算出は必須ではないため、fdcを決定する(= 第2キャビネット容量、第2ダクト長・面積を決定する)ことにより自動的に決まってしまいます。そのため、fdcを高めに取ればfdbも高め、fdcを低めに取ればfdbも低めに連動して決まることになります。


  • fdc/fda比(%):

    平均値が37.6%となっており、fdaの1/3(33.3%)に近い値です。最小値がfdaの約1/4(25%)、最大値がfdaの約3/5(60%)となっています。

    fdc値はfdaの1/3(33.3%)を中心として、1/4(25%)~3/5(60%)の範囲で設定可能のようです。



先ほどの条件に、これらの条件を追加すると・・・、

fdc < fdb < fda
fdb = 2/3fda(許容範囲:1/2~4/5)
fdc = 1/3fda(許容範囲:1/4~3/5)


・・・の関係を満たすとき、ダブルバスレフ型エンクロージャーがうまく動作すると推測できます。




ダブルバスレフ型からの発展:トリプルバスレフ型

ダブルバスレフ型の動作条件を更に発展させて、トリプルバスレフ型の動作条件を考察してみます。



トリプルバスレフ型エンクロージャー構造
トリプルバスレフ型エンクロージャー構造

トリプルバスレフ型エンクロージャーの構造を表した図です。

ダブルバスレフ型にあった、第1キャビネット&第1ダクト、第2キャビネット&第2ダクトの他に、第3キャビネット&第3ダクトが追加されています。




トリプルバスレフ型エンクロージャー動作(予想)
トリプルバスレフ型エンクロージャー動作(予想)

トリプルバスレフ型エンクロージャーの動作を表した予想図です。

図のように6つの共鳴器が存在すると考えられます。第3キャビネット&第3ダクトが追加されたため、組み合わせが増えてより複雑になっています。


  • 共鳴器A:第1キャビネットと、第1ダクトで作られる共鳴器。

  • 共鳴器B:第2キャビネットと第1ダクト、第2ダクトで作られる共鳴器。

  • 共鳴器C:第3キャビネットと第2ダクト、第3ダクトで作られる共鳴器。

  • 共鳴器D:第1キャビネットと第2キャビネットの合計容量と第2ダクトで作られる共鳴器。

    この場合、第1ダクトは通路として動作し、ダクト内積は合計容量に加算される。キャビネットの仕切り板は合計容量に含まれない。

  • 共鳴器E:第2キャビネットと第3キャビネットの合計容量と第1ダクト、第3ダクトで作られる共鳴器。

    この場合、第2ダクトは通路として動作し、ダクト内積は合計容量に加算される。キャビネットの仕切り板は合計容量に含まれない。

  • 共鳴器F:第1キャビネット、第2キャビネット、第3キャビネットの合計容量と第3ダクトで作られる共鳴器。

    この場合、第1ダクト、第2ダクトは通路として動作し、ダクト内積は合計容量に加算される。キャビネットの仕切り板は合計容量に含まれない。


※ひとつのキャビネットに2本以上のダクトが付いていたとしても、合成された1本の等価ダクトとして動作します。そのため、共振周波数は1つしか表れません。

※共鳴器Aの共振周波数をfda、共鳴器Bの共振周波数をfdb、共鳴器Cの共振周波数をfdc、共鳴器Dの共振周波数をfdd、共鳴器Eの共振周波数をfde、共鳴器Fの共振周波数をfdfとします。






共振周波数の設定方法について

トリプルバスレフ型エンクロージャーを設計するに当たり、キャビネットとダクトで作れれる共鳴器の共振周波数をあらかじめ決めておく必要があります。事前に決めておく必要があると思われるものは、fda、fdb、fdd、fdfです。

もっとも高い共振周波数はユニット直接放射音の再生下端を参考して決めますが、それ以外の共振周波数はダブルバスレフ型の考察を参考にして、隣接する共振周波数との周波数比率を1/3(33.3%)として仮置きしてみました。

設定方法は以下の2ケース考えてみました。

  • [ケース1] fdaを先ず設定、他の共振周波数を等倍に割りふる。

    [周波数特性] fdaを先ず設定、他の共振周波数を等倍に割りふる。
    [周波数特性] fdaを先ず設定、他の共振周波数を等倍に割りふる。


    ダブルバスレフ型エンクロージャーの設計方法を単純に発展させたケースです。前述のとおり、ダブルバスレフ型では先ずfdaをユニット直接放射音の再生下限より決定。次に、fdcを1/3fda程度に設定します。


    • ユニット直接放射音(青線)の特性を参考にしてfdaを決定します。fdaは通常のバスレフ型の設計値よりも少々高めに取ります。

    • fdaをもとに、fddを1/3fdaの値に取ります。また、fdbを計算してfdb=2/3fdaに近い関係が成り立っているか確認します。

    • fdfの決定では、fdbをダブルバスレフ型設計でのfdaに相当する値とみなし、1/3fdb程度に取ります。fdfは1/4を下限として1/3より低い値に設定しても良いかもしれません。

    このケースでは、fdc、fdeを計算していません。というのも、設計が完成しないと計算できないからです。共鳴器Cの状態によりfdeは fdf < fde < fdd(共鳴器Cの容量大の場合) の関係、もしくは、fdf < fdd < fde(共鳴器Cの容量小の場合) の関係になるのではないか?と想像されます。

    このケースの問題としてfdc値が低すぎると、fdaが第3ダクトにフィルタリングされてうまく通過できない可能性があります。うまく通過できない場合、fda付近に落ち込みができるかもしれません。




  • [ケース2] fdbを先ず設定、他の共振周波数を等倍に割りふる。

    [周波数特性] fdbを先ず設定、他の共振周波数を等倍に割りふる。
    [周波数特性] fdbを先ず設定、他の共振周波数を等倍に割りふる。


    ケース1のfdaとfdbの大小関係を入れ替えたケースです。


    • fdbをケース1のfdaを決める要領で決定します。次に、fdaを2/3fdbとなる周波数に設定します。

      このケースでは、第1キャビネットの容量が第2キャビネットよりも大きくなると想像されます。(通常ダブルバスレフ型エンクロージャーの設計では、第1より第2キャビネットが大きくなる。)

    • fdbをもとに、fddを1/3fdbの値に取ります。

    • fdaをもとに、fdfを1/3fdaに取ります。こちらのケースでも、1/4を下限として1/3より低い値にしても良いかもしれません。

    このケースでも、fdc、fdeは計算していません。理由はケース1と同じです。

    ケース1のfdaが第3ダクトにフィルタリングされ通過できないかもしれない問題を、fdbをfdaより高く取ることにより回避しようとした方式です。

    しかし、共鳴器Aで作られるローパスフィルター(カットオフ周波数fda)よりもfdbが高い周波数となるため、ユニット背面から放射されるfdb付近の周波数帯の音が第1ダクトを通過できない可能性があり、今度は共鳴器Bがうまく共振してくれないかもしれないという問題があります(共鳴器は受動体のため、外部からの入力がないと共振しない)。

    それを防ぐため、ダブルバスレフ型の動作考察から得られた情報をもとにしてfdbをfdaの4/3(1.33)倍としているのですが、うまく行くかどうか未知数です。




トリプルバスレフ型インピーダンス特性(予想)
トリプルバスレフ型インピーダンス特性(予想)

最後にトリプルバスレフ型エンクロージャーのインピーダンス特性予想図です。

ダブルバスレフ型のインピーダンス特性のように、駆動しているスピーカーユニットに直接関係している(=ユニットが取り付けられている)共鳴器の共振周波数のみがグラフに表れるのであれば、共鳴器A、共鳴器D、共鳴器Fの共振周波数であるfda、fdd、fdfが図のようにディップとして表れると予想されます。





トリプルバスレフ型エンクロージャー設計案を2ケース出してみましたが、正直なところ実際に作ってみないことにはうまくいくかどうかわかりません(汗)。

検証機を作って動作を確認してみたいところですが・・・。本当にうまく動くのか、コレ!?(汗)。ゴミを作ってしまいそうで怖いです・・・(苦笑)。動作を知りたいという気持ちと、ゴミを作ってしまうかもしれない気持ちが交錯、ジレンマにさいなまれています(笑)。



次回に続く・・・ -> その3


関連記事


にほんブログ村 PC家電ブログ オーディオへ
にほんブログ村

にほんブログ村 PC家電ブログ ピュアオーディオへ
にほんブログ村

テーマ : オーディオ
ジャンル : 趣味・実用

tag : オーディオ スピーカー スピーカー工作 エンクロージャー バスレフ ダブルバスレフ トリプルバスレフ

コメントの投稿

非公開コメント

広告
Google検索
プロフィール

meridianstar

Author:meridianstar
元システムエンジニアの成れの果ての姿。
詳しいプロフィール:はじめに

contact
※ブログ内容にそぐわない質問の場合、お答えできないことがあります。ご了承ください。

Twitter:meridian15
ニコニコ動画:ヤサコ
pixiv:ヤサコ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

記事一覧
最新記事
広告
カウンター
注目しているもの
リンク(企業)
リンク(お友達)
  • Bond's Lab
    音楽とオーディオとDIYをこよなく愛する ボンド君 氏 の趣味サイト。

  • 試行錯誤
    試行錯誤 氏 のプログラミングお勉強ブログ。

このブログをリンクに追加する
RSSリンクの表示
参考書籍
にほんブログ村
QRコード
QR
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

にほんブログ村