Stereo2015年8月号付録 口径10cmフルレンジ FOSTEX P1000 使用 共鳴管型スピーカー製作 ~改造編~

Stereo2015年8月号付録 フルレンジユニット FOSTEX P1000 を使用した共鳴管型スピーカーが完成してから1ヶ月以上経過しました。


測定・試聴編で気になった共鳴管の癖(洞窟で話しているときにまとわりつくエコーのような音)は1ヶ月間地道に鳴らしこむことによりある程度は解消しました。しかし、完全とは行かないまでも、もう少し弱くなってくれるといいな・・・という状態です。

この記事では、今までの鳴らしこみのような対策方法ではなく、ユニット改造を行うことにより根本的な対策を行います。




FOSTEX P1000 使用 共鳴管型スピーカー
FOSTEX P1000 使用 共鳴管型スピーカー




Stereo
2015年8月号





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Stereo2015年8月号付録 口径10cmフルレンジ FOSTEX P1000 使用 共鳴管型スピーカー製作

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改造と効果の確認

改造というと大掛かりなイメージがありますが、実際に行うことは何てことはない、スピーカーユニットにキャンセルマグネットを取り付けるだけです。

共鳴管の癖は特定の周波数に鋭いピークができること、また、ユニットに音声信号が途切れても、共振がしばらく残ってしまうことが主な原因です。キャンセルマグネットを取り付けることによりユニットの駆動力を上げ、共鳴管の共振コントロール能力を高めることにより、癖を抑えることができます。

ただしこの改造には副作用があり、良いことづくめではありません。ユニット駆動力が上昇したことにより、中高域の能率も上昇、結果として低音不足になる可能性があります。




リングフェライトマグネット パッケージ(表)リングフェライトマグネット パッケージ(裏)
リングフェライトマグネット 本体(表)リングフェライトマグネット 本体(側面)

磁気回路の強化に使用したリングマグネットです。

外径50mm x 内径15mm x 厚さ10mm、磁束密度1300ガウス(130mT)、吸着力4.0kg。

フェライトマグネットは磁性体の磁気抵抗が大きいため、総磁束を増やしたい場合、厚さよりも表面積の広さの方が重要です。このマグネットは外径が50mmと小さいですが、内径も15mmと小さく、そのため意外と表面積が広いです。吸着力が4.0kgと意外と強いのも、表面積が広いためと思います。

今回製作した共鳴管エンクロージャーでは、ユニットの磁気回路部分が塩ビパイプ内に収まる構造になっているため、塩ビパイプの内径約80mmよりもマグネット外径を大きくすることができません。(エンクロージャーの詳細構造はこちらを参照ください。)

また、塩ビパイプに収まるからと言って内径限界サイズのマグネットにしてしまうと、振動板から放射された音が通る通路がふさがれてしまうので、それでは共鳴管が動作しなくなってしまいます。

色々と考えた結果、ユニットに付いているマグネット外径が60mmなのも考慮して、外径50mmのマグネットにしました。






  • 改造

リングマグネット取付け
リングマグネット取付け

写真のように FOSTEX P1000 磁気回路ヨーク裏にリングマグネットを貼り付けました。キャンセルマグネットなので、磁気回路と反発する向きにマグネットを貼り付けています。

接着剤は「セメダイン スーパーX(クリア)」を使用しました。この程度のサイズのリングマグネットの場合、ヨークに反発する方向に近づけると最初は反発しますが、ある程度の距離まで近づけると逆に吸着してくれるため、あまり接着剤の接着力に神経質にならなくても良さそうです。

外径100mm以上のリングマグネットを貼り付ける場合では、エポキシ系の接着剤を使用、接着剤が硬化するまでの間クランプ等で仮止めした方が良いと思います。


下の測定では、「リングマグネットなし(オリジナル)」、「リングマグネット1段」、「リングマグネット2段」 の3ケースについて結果を掲載しています。

現状、実使用においては、リングマグネットを1段貼り付けた状態となっています(リングマグネットを2本しか購入していないため)。リングマグネット2段のケースは、あくまで磁気回路が強化されるのを観察する目的で掲載しています。






  • 測定

使用ソフトウェア・測定環境

多機能 高精度 テスト信号発生ソフト WaveGene V1.50 efu氏
高速リアルタイム スペクトラムアナライザー WaveSpectra V1.51 efu氏
入力信号:サインスイープ 10Hz~600Hz(T/Sパラメータ測定)、20Hz~20kHz(その他)。
スペアナ 周波数軸(横軸):fs(f0)付近の周波数帯を拡大してみるため、20Hz~500Hzの範囲をリニア表示(T/Sパラメータ測定)、20Hz~20kHz(その他)。
スペアナ インピーダンス軸(縦軸):0dBの位置が200Ωとなるように調整しています。




FOSTEX(フォステクス) P1000 仕様
  • 形式:メカニカル2way 10cmコーン型フルレンジ
  • 公証インピーダンス:8Ω
  • 最低共振周波数f0:90Hz
  • 再生周波数帯域:f0~16kHz
  • 出力音圧レベル:88dB/w(1m)
  • 入力(NOM):12w
  • m0:3.3g
  • Q0:0.8
  • 実効振動半径:4.0cm
  • マグネット質量:103g
  • 総質量:303g
  • バッフル穴寸法:φ94mm
  • 標準エンクロージャー方式:バスレフ型
FOSTEX P1000 の詳細はこちらをご覧ください。




測定結果を掲載します。インピーダンス特性はグラフのサムネイル画像が横につぶれているため、詳しくご覧になりたい方はクリックすると拡大画像が表示されますので、そちらをご覧ください。

リングマグネット
取付個数
インピーダンス特性
(画像クリックで拡大)
fs
(f0)
QmsQesQts
(Q0)
Qts


オリジナル
オリジナル
インピーダンス特性(オリジナル)90.86.180.790.700.00
リングマグネット1段
リングマグネット1段
インピーダンス特性(リングマグネット1段)90.86.140.580.53-0.17
リングマグネット2段
リングマグネット2段
インピーダンス特性(リングマグネット2段)90.86.060.490.46-0.24

FOSTEX公式の発表値ではfs(f0):90Hz、Ots(Q0):0.8となっています。しかし、実測による算出ではfsはおおむね正確ですがQtsは0.7となっており、誤差が0.1ほど出ています。そこで、誤差が発生した原因について考察してみます。




200Ω セメント抵抗器によるキャリブレーション
200Ω セメント抵抗器によるキャリブレーション

このグラフは200Ωのセメント抵抗器(実測:198.2Ω Qts計算では実測値を利用。)を使用して、0dBの位置が200Ωになるように調整する校正時のものです。

グラフ内、矢印の位置を見てもらうと分かるとおり、完全な直線になっていません。セメント抵抗器に入力されている信号は、USBサウンドモジュールやプリメインアンプの影響により、ゆるやかなかまぼこ型特性になっており、低域と高域では誤差が大きくなってしまっています。

今回の測定では、FOSTEX P1000 のFsが90Hzと比較的低めのため、この誤差の影響をもろに受けてしまったようです。しかし、この測定で重要なのはQtsそのものの値よりも、オリジナル値からどの程度低下したかなので、上表のQts低下値を中心に見て行きます。

ユニット磁気回路ヨーク裏側にリングマグネットを1個貼り付けた場合では、Qtsがオリジナルから0.17下がっています。2個では0.24下がっています。測定ではオリジナルのQtsが0.7になっていますが、これをFOSTEX公式発表値の0.8に置き換えてみると・・・、

Qts:0.8 → 0.63 → 0.56

・・・と、なります。ここまで単純な話ではないかもしれませんが、目安くらいにはなるのでは?と思います。

オリジナルのQts:0.8はどちらかと言うとバスレフ型よりも密閉型向きでは?という感じでしたが、磁気回路強化後はQts:0.63, 0.56に下がっているため、本当の(?)バスレフ型向きに変化したと言って良さそうです。

実のところQts:0.56の状態で使ってみたかったのですが、リングマグネットを2個しか購入していないので無理なのは前述したとおりです・・・(汗)。




リングマグネット装着によるインピーダンス特性変化
リングマグネット装着によるインピーダンス特性変化

上表のインピーダンス特性グラフを1枚に合成したものです。

赤線:オリジナル、緑線:リングマグネット1段、黄線:リングマグネット2段 のグラフとなっています。磁気回路が強化されるほどfsのピークが高く、すそ野が広くなっていることがわかります。

磁気回路が強化されるとfsでの制動力も強化されるため、ボイスコイルで発生する逆起電力も大きくなり、アンプ側からみた場合、fsの抵抗値が増加(=ピークが高くなる)という形で現れます。




共鳴管型スピーカーインピーダンス特性(左チャンネル、リングマグネット1枚)
共鳴管型スピーカーインピーダンス特性(左チャンネル、リングマグネット1枚)
共鳴管型スピーカーインピーダンス特性(左チャンネル、オリジナルとの比較)
同オリジナルとの比較

赤線:オリジナル、緑線:リングマグネット1枚貼り付けのグラフです。緑線の方がインピーダンスのピークが高くなっています。




共鳴管型スピーカーインピーダンス特性(右チャンネル、リングマグネット1枚)
共鳴管型スピーカーインピーダンス特性(右チャンネル、リングマグネット1枚)
共鳴管型スピーカーインピーダンス特性(右チャンネル、オリジナルとの比較)
同オリジナルとの比較

左チャンネルと同上。誤差の範囲と思いますが、右チャンネルの方がインピーダンスのピークが高いですね。




共鳴管型スピーカー周波数特性(左チャンネル、オリジナル)
共鳴管型スピーカー周波数特性(左チャンネル、オリジナル)
共鳴管型スピーカー周波数特性(左チャンネル、リングマグネット1枚貼り付け)
同リングマグネット1枚貼り付け

問題の周波数特性。グラフは上段が完成時に測定したオリジナルの状態。下段が今回測定したリングマグネットを1枚貼り付けたものです。入力レベルを合わせたつもりですが、測定した時期がかなり空いてしまっているため正確とはいえません。参考程度にご覧ください。

オリジナル、リングマグネット貼り付けとも全体的にみてかまぼこ型なのは同じです。細部を見て行くと、高域(2kHz以上)は平均して3dB程度上昇。中域(1kHz付近)は上昇したというより、フラットに近づいたという感じでしょうか?。中低域(500Hz以下)は、220Hz付近と310Hz付近のピークが大きくなっていますが、全体的にみると深いディップが浅くなったという感じですね。低域(100Hz以下)は、全体的にレベルが上昇しているように見えます。




共鳴管型スピーカー周波数特性(右チャンネル、オリジナル)
共鳴管型スピーカー周波数特性(右チャンネル、オリジナル)
共鳴管型スピーカー周波数特性(右チャンネル、リングマグネット1枚貼り付け)
同リングマグネット1枚貼り付け

基本的に左チャンネルと同傾向なのですが、右チャンネルの方が特性が微妙に良いですね。ユニットの個体差なのでしょうか?。右チャンネルに使っているユニットのほうが、少々状態が良いのかな?。




まとめ

だらだとと書いてきましたが、まとめると・・・、

極端なハイ上がりになってしまったらどうしよう(笑)とちょっと不安になっていましたが、そんなことはなく、オリジナルより特性が良くなったと思います。

また、問題の共鳴管の癖もだいぶ収まってくれました。全くのゼロとは言えませんが、がまんできる範囲になりました。よかったよかった、ふぅ・・・(笑)。まあ、オリジナル状態が聴くに堪えない、どうしようもない状態だったという訳ではないですけどね。


リングマグネット2枚貼り付けた状態はテストのみで、残念ながら試聴はしていません。がまんが出来なくなったら、またリングマグネットを買ってしまうかもしれません(笑)。


リング型マグネット
外径50Φ×内径15Φ×10ミリ厚
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