トリプルバスレフ型エンクロージャーの実現性について妄想(笑) #5

前回の記事で、トリプルバスレフ型エンクロージャーが完成しましたので、今回はスピーカーユニットの取り付け、測定を行います。

2回にわたって行ってきた考察が正しかったのか判明してしまいます(笑)。小口径ユニットで驚異的な低音再生が可能なのか?、それとも、単なる粗大ゴミになるのか?(笑)、緊張の瞬間です(汗々)。




ご注意!

このブログは素人が適当に書いているものです。内容については、参考程度にされますようお願いします。





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スピーカーユニットの取り付け

先ずは、スピーカーユニットの取り付けです。



北日本音響(株) F02406H0
北日本音響(株) F02406H0

前回の記事でも触れていますが、使用するユニットは北日本音響株式会社の F02406H0 というフルレンジです。詳細はこちらの記事で紹介しています。





スピーカーケーブルのハンダ付け

スピーカーケーブルを端子にハンダ付けした様子です。

このユニットは本来組み込み部品(おそらく小型アクティブスピーカー用)らしく、最初から短いケーブルとケーブル終端には基盤に取り付けるための端子が付いていました。

また、フレーム構造がエンクロージャーの内側から取り付けるようになっています(中付け)。しかし、今回は外付けで使用する予定なので、バッフル開口部に干渉する最初から付いていたケーブルはあらかじめ取り外しています。

このユニットを外付けする場合のバッフル開口径は約54~55φmmなのですが、裏側の磁気回路についているリングマグネット径が50φmmもあるため余裕がほとんどありません。そのため、ひと工夫しないとバッフル開口部にマグネットがつかえてしまい、ユニットがうまく取り付けられません。




布テーブルで絶縁処理
ホットボンドでケーブルを固定

という訳で、ハンダ付けした部分を布テープで適当に(笑)絶縁処理した後、出来る限りケーブルが外側に広がらないように、特にもとから外側に飛び出している端子部は避けるように、ホットボンドでフレームのふちに沿って貼り付けました。

この加工をすることにより、端子直下ではなくユニットのマグネット左右から、プラス、マイナスの2本のケーブルが別々にエンクロージャー内側へ引き出されるため、なんとかバッフル開口に押し込むことができました。

また、写真を撮るのを忘れてしまったのですが、バッフル開口部の内側部分を少々削っています。




ユニットのネジ止め

バッフル開口にスピーカーユニットが収まったので、ネジ止めした様子です。ネジ、ワッシャーは付属していないため、備品を使用しています。




完成!!

完成した様子です。これは試作機なので、作成したのは1台のみです。




測定

周波数特性、インピーダンス特性の測定結果を掲載します。動作を詳しく調査するために、周波数特性は条件を変えて数ケース測定しています。



使用ソフトウェア・測定環境
多機能 高精度 テスト信号発生ソフト WaveGene V1.50 efu氏
高速リアルタイム スペクトラムアナライザー WaveSpectra V1.51 efu氏
入力信号:サインスイープ 20Hz~20kHz(一部ホワイトノイズでの測定ケースあり。)
マイク位置:測定条件によって異なるため、後述。




設計案[ケース1] トリプルバスレフ型エンクロージャー設計図
設計案[ケース1] トリプルバスレフ型エンクロージャー設計図

今回作成したトリプルバスレフ型エンクロージャーの設計図を再掲載します。合わせてご覧ください。設計についての詳しい考察はこちらの記事をご覧ください。




[周波数特性] 北日本音響(株) F02406H0(実測)
[周波数特性] 北日本音響(株) F02406H0(実測)

参考資料として、F02406H0を小容量の密閉型エンクロージャーに取り付けた場合の周波数特性を掲載します。全体的に少々右肩上がりの特性ですが、おおむね200~20kHzがフラット。16kHz以上が特にレベルが高いです。詳細はこちらの記事をご覧ください。







先ずは、トリプルバスレフ型スピーカーの周波数特性から。

  • [ケース1] サインスイープ 20Hz~20kHz、ユニット軸上1m

[ケース1 測定方法] サインスイープ 20Hz~20kHz、ユニット軸上1m
[ケース1 測定方法] サインスイープ 20Hz~20kHz、ユニット軸上1m



[周波数特性] サインスイープ 20Hz~20kHz、ユニット軸上1m
[周波数特性] サインスイープ 20Hz~20kHz、ユニット軸上1m


上で掲載している図のように、ユニット軸上1mの距離にマイクを配置してサインスイープ信号(20Hz~20kHz)を入力した通常の測定結果です。

200Hz以上の帯域では上で掲載している小容量密閉型での特性に準じますが、ローエンドは45Hz付近からレスポンスがあり、口径6cmのフルレンジユニットとしては広帯域を実現しています。

しかし、良い事ばかりではなく、100Hz付近にディップが出来てしまっています。まるで、ダクト共振周波数の設定を失敗したバスレフ型のような周波数特性になってしまいました。




  • [ケース2] サインスイープ 20Hz~500Hz、ユニット正面1m、マイク45度

100Hz付近のディップの原因を調べるために、条件を変えて周波数特性を測定してみました。

おそらく、第1キャビネットと第1ダクトで作られる共鳴器の共振音が、うまく第3ダクトから放射されていないことが原因と思いますが、床からの反射や部屋の定常波の影響の可能性も考えられるため一応測定しています。


[測定方法 ケース2] サインスイープ 20Hz~500Hz、ユニット正面1m、マイク45度
[測定方法 ケース2] サインスイープ 20Hz~500Hz、ユニット正面1m、マイク45度


測定条件はケース1とほとんど変わらないのですが、図のようにマイクの向きをユニット軸上から、45度程度右方向に傾けています。




[周波数特性] サインスイープ 20Hz~500Hz、ユニット正面1m、マイク45度
[周波数特性] サインスイープ 20Hz~500Hz、ユニット正面1m、マイク45度


この測定では100Hz付近を観察したいだけなので、入力信号はケース1同様サインスイープですが、周波数範囲は20Hz~500Hzです。100Hz付近のディップに少しは変化があるかな?と思いましたが、変わりませんね・・・。




  • [ケース3] サインスイープ 20Hz~500Hz、スピーカー距離1m、左方向50cm

引き続き、100Hz付近のディップの原因を調べるために、条件を変えて測定。


[測定方法 ケース3] サインスイープ 20Hz~500Hz、スピーカー距離1m、左方向50cm
[測定方法 ケース3] サインスイープ 20Hz~500Hz、スピーカー距離1m、左方向50cm


やはり、測定条件はケース1とほとんど変わらないのですが、図のようにマイクの位置を左に50cmほど移動させてみました。




[周波数特性] サインスイープ 20Hz~500Hz、スピーカー距離1m、左方向50cm
[周波数特性] サインスイープ 20Hz~500Hz、スピーカー距離1m、左方向50cm


入力した信号はケース2と同じです。このケースだけ後から追加で測定したため、入力レベルが少々高めになってしまっています。そのため、グラフ曲線のプロット位置が少々上に移動していますが、音圧レベルを測定している訳ではないので、測定結果に問題はありません。

グラフのカーブの形に少々違いはあるものの、100Hz付近のディップが浅くなったり、逆に深くなったり等、変化はありませんね・・・。




  • [ケース4] ホワイトノイズ、第3ダクト開口部

第3ダクトから放射されている音の周波数成分を確認してみました。


[測定方法 ケース4] ホワイトノイズ、第3ダクト開口部
[測定方法 ケース4] ホワイトノイズ、第3ダクト開口部



ホワイトノイズ、第3ダクト開口部 測定の様子
ホワイトノイズ、第3ダクト開口部 測定の様子


エンクロージャーの上下をひっくり返して、ダクト開口部に直接マイクを設置。ホワイトノイズを入力して周波数特性を測定しています。




[周波数特性] ホワイトノイズ、第3ダクト開口部
[周波数特性] ホワイトノイズ、第3ダクト開口部


300Hz以下の帯域を中心に見て行くと、周波数の高い方から順に、230Hz、93Hz、38Hz付近にピークがあります。230Hz以上の帯域では音圧レベルが急降下しており、ダクトがローパスフィルターとして働いていることが分かります。

グラフに現れている3つのピークが設計時に設定したfda:224Hz、fdd:63.9Hz、fdf:47.8Hzに対応する共振だとすると、fdaは比較的近い値ですが、他の2つはかなりずれてしまっています。あるいは、93Hz付近のピークはfdc:81.9Hz、fde:88.5Hzが合成されたものと考えたほうが良いのかもしれません。

また、一番周波数の高い230Hzのピークが他の2つピークに比べて低くなっています。これが第1キャビネットと第1ダクトの共振(fda)だとすると、第2、第3ダクトの影響である程度フィルタリングされてしまっており、それが原因で100Hz付近にディップが出来ているのかもしれません。

しかし、230Hzと93Hzのピーク間はなだらかな谷になっており、ケース1の周波数特性に見られるような100Hz付近の深いディップはありませんね。それに、230Hzのピークよりも100Hz付近の方が音圧レベルが高いくらいです。分からん・・・(汗)。







続いて、トリプルバスレフ型スピーカーのインピーダンス特性です。


トリプルバスレフ型インピーダンス特性
トリプルバスレフ型インピーダンス特性


高域にかけてのインピーダンス上昇は、ボイスコイルのリアクタンスによるものなので、中低域にあるピーク、ディップの周波数を高い方から見て行くと・・・、

  • ピーク
    • fc1:256.4Hz
    • fc2:207.9Hz
    • fc3:88.8Hz
    • fc4:34.3Hz


  • ディップ
    • fd1:228.8Hz
    • fd2:93.5Hz
    • fd3:37.7Hz


ピーク fc3:88.8Hz、fc4:34.3Hz がとても低く、画面が小さいとほとんど見えないので、いつもより大きな画面で測定しています。そのため、拡大画像も大きくなっています。



トリプルバスレフ型インピーダンス特性(予想)
トリプルバスレフ型インピーダンス特性(予想)


こちらの記事で掲載した、トリプルバスレフ型エンクロージャーのインピーダンス特性予想図です。インピーダンスのピーク、ディップについての詳細な説明はそちらをご覧ください。


ピークが4つ、ディップが3つ現れるという予想は一応当たったのですが、ディップの周波数が1つを除きかなりずれてしまいました。fdaに対応すると思われるfd1は228.8Hzになっており近い値ですが、fddに対応すると思われるfd2は上に、fdfに対応すると思われるfd3は下にずれています。

また、上で掲載しているケース4の周波数特性の3つあるピークがfd1、fd2、fd3の周波数とほぼ一致していますね。




考察

最後に、測定で得られた結果をもとに今回作成したトリプルバスレフ型エンクロージャーの動作や、改良すべき課題を考察してみます。



  • 100Hz付近のディップについて

    正直なところ、ケース4の測定結果をみれば原因がはっきりすると思っていました。しかし、測定結果を見てみると100Hz付近に深いディップがある訳でもないので、第2、第3ダクトによってfdaの共振音が完全にフィルタリングされてしまっている訳ではないようです。

    ただし、fdaの共振と思われる230Hzのピークは他の2つのピークに比べて低めになっています。これは、fdaの共振音が第2、第3ダクトによって完全ではないにしろ、ある程度フィルタリングされているためと思われます。そのため、複数ある原因のうちの1つの可能性はあります。しかし、100Hz付近は93Hzのピークに近いこともあり、230Hzのピークよりも音圧レベルが高いくらいなんですよね・・・。

    正直なところ良く分かりませんでした(汗々)。スピーカーの置き方や部屋の定常波の影響の方が大きいのかもしれません。マイクの位置をいろいろと変更して、複数ケースの周波数特性を測定すれば何かヒントが得られるのかなぁ?。




  • インピーダンス特性について

    インピーダンス特性の3つあるディップの位置が、1つを除きずれた原因について考察。


    トリプルバスレフ型エンクロージャー動作(予想)
    トリプルバスレフ型エンクロージャー動作(予想)

    これは、以前の記事で掲載したトリプルバスレフ型エンクロージャーの動作を表した予想図です。

    詳しくは、そちらを参照して頂きたいのですが、トリプルバスレフ型エンクロージャーの実際の動作は、図のようにA~Fの6個の共鳴器が存在すると予想されます。


    今回作ったエンクロージャーでは、
    • 共鳴器A:内容量2リットル、共振周波数(fda)224Hz
    • 共鳴器B:内容量3リットル、共振周波数(fdb)143Hz
    • 共鳴器C:内容量約6.4リットル、共振周波数(fdc)81.9Hz
    • 共鳴器E:内容量約9.4リットル、共振周波数(fde)88.5Hz
    • 共鳴器D:内容量約5リットル、共振周波数(fdd)63.9Hz
    • 共鳴器F:内容量約11.4リットル、共振周波数(fdf)47.8Hz


    ・・・のように設計されています。


    ダブルバスレフ型の動作の発展形としてトリプルバスレフ型を考えると、インピーダンス特性のディップとして現れる周波数(=共振周波数)は、スピーカーユニットが取り付けられている共鳴器(上図では共鳴器A、共鳴器D、共鳴器F)のみの共振周波数になるようです。しかし、今回の場合は共鳴器Aの共振周波数は計算値とほぼ一致していますが、他はずれてしまっています。

    共鳴器Fのものと思われる共振周波数が下方にずれた理由ですが、おそらく、第1ダクト、第2ダクトの断面積が狭かったため、エンクロージャー内の気流抵抗が増加したことが原因と思われます。インピーダンス特性のピークfc3、fc4が低くなっているのも、ユニット自体の共振によりコーンの振幅が大きくなるのを気流抵抗の増加が原因で抑えられているためと思われます。


    一番謎なのが、共鳴器Dのものと思われる共振周波数が上昇していることです。原因と考えられる要因は以下の2点です。
    • [要因1] 共鳴器Dの共振に参加している空気容量が共鳴器の実容量より少ないため、空気バネの力が上昇、それにより、共振周波数も上昇した。

    • [要因2] 93Hzに共振周波数が近い共鳴器C、共鳴器Eの片方、または、両方の共振が強く出たため、そちらがインピーダンス特性に現れた。


    [要因1] が原因の可能性ですが、共鳴器Dのダクト(第2ダクト)の位置がユニットに近い場合は共振周波数が計算より高く出ることがあります。しかし、今回の設計の場合、出来る限りダクト位置をユニットから離すように配置しているので、考えにくいです。


    [要因2] が原因の可能性ですが、正直なところ良く分からないです・・・(汗)。インピーダンス特性のディップになる周波数は、本来は共振周波数というよりも、ユニットのコーン振幅が抑えられる周波数です。

    バスレフ型などの共鳴器をドライブするタイプのエンクロージャーの場合、共鳴器の共振周波数ではユニットに圧力がかかるためコーン振幅が抑えられ、その結果インピーダンス特性ではディップとなって現れます。

    そのため、共鳴器C、共鳴器Eの共振の方が、共鳴器Dよりも強く出た場合、その周波数がインピーダンス特性に現れる可能性は否定できません。




  • 今後の課題・改良点など

    今回の試作で得られた情報をもとに、課題・改良点を挙げておきます。


    • ダクトの断面積を大きくする。

      今回の設計でもダクト断面積は使用しているスピーカーユニット F02406H0 の実効振動面積の約54%とかなり大きく取っているのですが、これでも3段にもなるダクトでは気流抵抗が大きくなり過ぎてしまうようです。

      第3ダクトは実効振動面積の50%前後でもいいと思いますが、第1、第2ダクトは70~80%くらいあったほうが良いのかもしれません。



    • 100Hz付近のディップのさらなる調査。

      測定条件を変えて、もう少し調査した方が良いように感じました。それによって何かヒントが得られれば次回の試作に生かせるでしょうし。



    • 試作案[ケース2]を実際に設計、製作してみる。

      こちらの記事で掲載している、試作案[ケース2]を実際に作って測定してみたいですね。

      構造としては、今回試作した試作案[ケース1]の共鳴器Aと共鳴器Bの共振周波数を入れ替えたものです。[ケース1]では、fda > fdb となっていますが、[ケース2]では fda < fdb とするとにより、共鳴器Bのローパスフィルタのカットオフ周波数を高くするのが狙いです。詳しくは、そちらをご参照ください。



次回に続く・・・ -> その6


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