トリプルバスレフ型エンクロージャーの実現性について妄想(笑) #6

前回まで3回にわたり、トリプルバスレフ型エンクロージャーの試作機(以下、試作機1)の設計・製作・測定を行って来ました。

口径6cmのフルレンジユニットにしては低い帯域まで再生出来ることを確認できましたが、初めての設計・製作であったため課題も残りました。


今回は、こちらの記事で掲載している、トリプルバスレフ型エンクロージャー設計案[ケース2]をベースとして、試作機1を製作してみて分かった課題も考慮した試作機2の設計を行います。




ご注意!

このブログは素人が適当に書いているものです。内容については、参考程度にされますようお願いします。





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設計案・課題の確認

  • [参考]トリプルバスレフ型エンクロージャー構造・動作

    繰り返しになりますが、トリプルバスレフ型の構造・動作を参考資料として再掲載します。



    トリプルバスレフ型エンクロージャー構造
    トリプルバスレフ型エンクロージャー構造

    トリプルバスレフ型エンクロージャーの構造を表した図です。

    スピーカーユニットが取り付けられている小部屋を「第1キャビネット」、そこに付いているダクトを「第1ダクト」、第1ダクトでつながっている小部屋を「第2キャビネット」、そこに付いているダクトを「第2ダクト」、第2ダクトでつながっている小部屋を「第3キャビネット」、そこに付いているダクトを「第3ダクト」と呼びます。





    トリプルバスレフ型エンクロージャー動作(予想)
    トリプルバスレフ型エンクロージャー動作(予想)

    トリプルバスレフ型エンクロージャーの動作を表した予想図です。

    エンクロージャー内部が3つの小部屋に分かれているため"トリプル"バスレフ型と呼んでいますが、実際の動作は非常に複雑で、図のように6つの共鳴器が存在・動作していると考えられます。



    • 共鳴器A:第1キャビネットと、第1ダクトで作られる共鳴器。

    • 共鳴器B:第2キャビネットと第1ダクト、第2ダクトで作られる共鳴器。

    • 共鳴器C:第3キャビネットと第2ダクト、第3ダクトで作られる共鳴器。

    • 共鳴器D:第1キャビネットと第2キャビネットの合計容量と第2ダクトで作られる共鳴器。

      この場合、第1ダクトは通路として動作し、ダクト内積は合計容量に加算される。キャビネットの仕切り板は合計容量に含まれない。

    • 共鳴器E:第2キャビネットと第3キャビネットの合計容量と第1ダクト、第3ダクトで作られる共鳴器。

      この場合、第2ダクトは通路として動作し、ダクト内積は合計容量に加算される。キャビネットの仕切り板は合計容量に含まれない。

    • 共鳴器F:第1キャビネット、第2キャビネット、第3キャビネットの合計容量と第3ダクトで作られる共鳴器。

      この場合、第1ダクト、第2ダクトは通路として動作し、ダクト内積は合計容量に加算される。キャビネットの仕切り板は合計容量に含まれない。


    ※ひとつのキャビネットに2本以上のダクトが付いていたとしても、合成された1本の等価ダクトとして動作します。そのため、共振周波数は1つしか表れません。

    ※共鳴器Aの共振周波数をfda、共鳴器Bの共振周波数をfdb、共鳴器Cの共振周波数をfdc、共鳴器Dの共振周波数をfdd、共鳴器Eの共振周波数をfde、共鳴器Fの共振周波数をfdfとします。







次に今回の設計でベースとなる、トリプルバスレフ型の設計案[ケース2]の説明を再掲載します。
  • [ケース2] fdbを先ず設定、他の共振周波数を等倍に割りふる。



    [周波数特性] fdbを先ず設定、他の共振周波数を等倍に割りふる。
    [周波数特性] fdbを先ず設定、他の共振周波数を等倍に割りふる。


    ケース1のfdaとfdbの大小関係を入れ替えたケースです。ケース1の詳しい説明はこちら


    • ユニット直接放射音(青線)の特性を参考にしてfdbを決定します。fdbは通常のバスレフ型の設計値よりも少々高めに取ります。次に、fdaを2/3fdbとなる周波数に設定します。

      このケースでは、第1キャビネットの容量が第2キャビネットよりも大きくなると想像されます。(通常ダブルバスレフ型エンクロージャーの設計では、第1より第2キャビネットが大きくなる。)

    • fdbをもとに、fddを1/3fdbの値に取ります。

    • fdaをもとに、fdfを1/3fdaの値に取ります。こちらのケースでも、1/4を下限として1/3より低い値にしても良いかもしれません。


    このケースでもケース1と同様に、fdc、fdeは計算していません。なぜなら、設計が完成しないと計算ができないからです。

    ケース1のfdaが第3ダクトにフィルタリングされ通過できないかもしれない問題を、fdbをfdaより高く取ることにより回避しようとした方式です。

    しかし、共鳴器Aで作られるローパスフィルター(カットオフ周波数fda)よりもfdbが高い周波数となるため、ユニット背面から放射されるfdb付近の周波数帯の音が第1ダクトを通過できない可能性があり、今度は共鳴器Bがうまく共振してくれないかもしれないという問題があります(共鳴器は受動体のため、外部からの入力がないと共振しない)。

    それを防ぐため、ダブルバスレフ型の動作考察から得られた情報をもとにしてfdbをfdaの4/3(1.33)倍としているのですが、うまく行くかどうか未知数です。






  • 課題・改良点など

    試作機1の製作で得られた情報をもとに、課題・改良点を列挙します。


    • ダクトの断面積を大きくする。

      試作機1では、ダクト断面積を使用しているスピーカーユニット F02406H0 の実効振動面積の約54%とかなり大きく取っているのですが、これでも3段にもなるダクトでは気流抵抗が大きくなり過ぎてしまうようです。

      第3ダクトは実効振動面積の50%前後でも良いと思いますが、第1、第2ダクトは70~80%くらいあったほうが良いのかもしれません。



    • 100Hz付近のディップのさらなる調査。

      測定条件を変えて、もう少し調査した方が良いように感じました。それによって何かヒントが得られれば次回の試作に生かせるでしょうし。

      ※実は手が回らず、調査は出来ていません・・・(汗)。



    • 試作案[ケース2]を実際に設計、製作してみる。

      今回の主題です。




使用スピーカーユニット

  • フルレンジユニット 北日本音響株式会社 F02406H0


北日本音響(株) F02406H0
北日本音響(株) F02406H0


試作機2で使用を想定しているスピーカーユニットは、試作機1と同じ 北日本音響(株) F02406H0 というフルレンジです。このユニットの詳細はこちらの記事で紹介しています。


仕様
  • 口径:6cm
  • 形式:コーン型フルレンジ
  • 公証インピーダンス:8Ω
  • 定格入力:10W
  • 実効振動半径(a):2.3cm(実測)
  • 最低共振周波数(f0):223Hz(実測)
  • 再生周波数帯域:f0~20kHz(実測)
  • マグネット径:50φ×8tmm(実測)
  • 総重量:172g(実測)
  • バッフル穴径(外付け):約54φ~55φmm 端子部要ザグリ加工(実測)
  • 備考:スピーカーケーブル(約22cm)、ピンヘッダ端子付き。取付けネジは付属していません。

※実測と記述があるものは、私が実際に測定した値です。公式スペックシートが入手出来なかったため、実測値の項目が多くなっています。ご了承ください。


写真では錯覚して大きく見えますが、口径6cmの非常に小さなフルレンジユニットです。実効振動半径が2.3cm(実効振動面積:16.6cm^2)しかなく、フォステクスの口径8cmフルレンジユニットであるFE87の実効振動半径は3cm(実効振動面積:28.3cm^2)なので、面積比はFE87の59%くらいしかありません。




[周波数特性] 北日本音響(株) F02406H0
[周波数特性] 北日本音響(株) F02406H0


F02406H0の周波数特性を再掲載します。100Hz以下はノイズです(おもに自動車のエンジン音)。無視してください。約0.85リットルの密閉箱に取り付けて測定しています。

全体的に見ると右肩上がりの特性ですが、おおむね200Hz~20kHzがフラットです。18kHz以上のレベルが特に高いですが、この帯域は耳の感度が落ちるため、うるさく感じことはないと思います。

約0.85リットルの密閉箱に取り付けて測定しているため200Hz以下が急降下していますが、もともと口径6cmのユニットのため低域の再生能力は高が知れているので、トリプルバスレフ型エンクロージャーに取り付けると低域の特性がどの程度変化するのか?、大変興味があります。





設計

上記の課題を考慮した、トリプルバスレフ型エンクロージャー試作機2を設計してみました。設計図を掲載します。



トリプルバスレフ型エンクロージャー試作機2 設計図
トリプルバスレフ型エンクロージャー試作機2 設計図


  • 補足説明

    トリプルバスレフ型エンクロージャー試作機2の設計図について補足します。


    • 板材について

      今回も試作機1と同様に、100円ショップダイソーのMDF材、角ブロック等を組み合わせて作ります。

      奥行きは試作機1が224mmに対して、試作機2は324mmになっており100mm増加しています。これは内容量を増やす為ではなく、600x300x6mmのMDF材を側板に利用したかったからです。

      試作機1では側板サイズが600x200x6mmとなっていたため、最寄のダイソーにはこのサイズのMDF材は売られていませんでした(実は、試作機1の設計時に600x300x6mmのMDF材を、600x200x6mmだと勘違いしていた(汗))。そのため、他サイズのMDF材を貼り合わせて作る必要があり、余計な手間がかかってしまいました。

      ダクトパイプはダイソーで売られている角ブロックを利用します。30x15x90mm、30x15x30mm等のサイズが売られているので、それらを組み合わせて作ります。



    • エンクロージャー詳細について

      各パラメーターは以下の通りとなりました。


      • キャビネット容量
        • 第1キャビネット:約4.8リットル
        • 第2キャビネット:約2.4リットル
        • 第3キャビネット:約10.44リットル


      • ダクト断面積・長さ
        • 第1ダクト:13.5cm^2, 0.6cm
        • 第2ダクト:13.5cm^2, 6.6cm
        • 第3ダクト:13.5cm^2, 4.2cm


      • 各共鳴器の共振周波数
        • fda:164Hz
        • fdb:210Hz
        • fdc:89.1Hz
        • fdd:74.4Hz
        • fde:100.5Hz
        • fdf:56Hz


      [ケース2]設計案に従い、共鳴器A~Fまでの共振周波数を設定しています。エクセルシートとにらめっこして(笑)試行錯誤したのですが、必ずしもぴったりとは行ってません。

      なぜかと言うと、ヘルムホルツの共鳴器の共振周波数は、共鳴器の容量・ダクト断面積・ダクト長によって決まります。普通のバスレフ型であれば関係がないのですが、ダブルバスレフ型・トリプルバスレフ型の場合、2つの共鳴器が共通のダクトを利用していたり(共鳴器A、共鳴器Bが共通して第1ダクトを利用している等)、ある共鳴器が別の共鳴器の容量の一部になっていたり(共鳴器A、共鳴器Bが共鳴器Dの一部になっている等)するためです。

      共通ダクトの長さ・断面積を変更してしまうと、両方の共鳴器の共振周波数が変化してしまいますし、ある共鳴器が別の共鳴器の容量の一部になっている場合、一部になっている共鳴器の容量を変更すれば、当然ながら、その共鳴器を含む大きな共鳴器の容量が変化、共振周波数も変化してします。あちらを立てれば、こちらが立たずという訳です。


      設計手順としては、まず共鳴器Bの共振周波数fdb:210Hzと決めました。これは、使用予定のスピーカーユニット 北日本音響(株) F02406H0 を小型密閉箱に取り付けた場合の周波数特性を参考にして決めています。上で掲載している周波数特性グラフ参照。

      次に共鳴器Aの共振周波数fdaの設定ですが、本来なら2/3fdbのため140Hz位にするべきなのですが、第1ダクトを変更すると共鳴器Bに影響がでてしまうため、第1キャビネットの容量をいろいろ変化させて調整しています。しかし、第1キャビネット容量は共鳴器Dの共振周波数fddにも影響を及ぼすため、結局のところfda:164Hzに落ち着きました。

      まあ、予定よりも周波数が高くなってしまいましたが、fdbに周波数が近いほうが共鳴器Aのローパスフィルタの効きが弱くなるため、悪いことばかりではありません。

      共鳴器Dの共振周波数fdd:74.4Hz。共鳴器Aの共振周波数fda:164Hzとすることで、なんとかfdd = 1/3fdb = 70Hzに近い値になりました。

      共鳴器Fの共振周波数fdf:56Hzとなりました。fdf = 1/3fda = 54.7Hzなので、思ったより近い値に出来ました。また、試作機1ではディップとなってしまった100Hz付近に、共鳴器Eの共振周波数fde:100.5Hzを設定することができました。全体的に見ても、共振周波数がうまい具合に分散していると思います。


      ダクト断面積は、4.5x3cm = 13.5cm^2 となっています。これは、試作機1の 9cm^2 の1.5倍、使用予定のフルレンジユニット F02406H0 の実効振動面積 16.6cm^2 の81%にもなる大きなダクトです。通常のバスレフ型ではありえないサイズで、ダブルバスレフ型でもここまで大きくはしません。

      なぜ、ここまで大きくしたかと言いますと、試作機1のダクト断面積も 9cm^2 あり、これも F02406H0 の実効振動面積の54%もある大きなダクトなのです。しかし、実際に作って測定してみたところ、これでも小さいように感じたため試作機2では少なくとも70%以上のサイズにしてみようと考えていました。

      また、記事の上の方で70%~80%位と書いているため、81%ではそれよりも大きくなってしまっていますが、これはダイソーの角ブロックを使って作りやすいサイズだったからです。それ以上の意味はありません(汗)。

      実は、試作機2の共鳴器Fの共振周波数fdf:56Hzが、試作機1の47.8Hzに比べて高めになっていることもダクト断面積と関連しています。

      エンクロージャー全容量と第3ダクトで作られる共鳴器Fは、途中に2段のダクトが含まれており、この部分の気流抵抗はどうしても高くなってしまうため、共振周波数が計算値よりも大分低くなるようでした。

      試作機1の場合、計算値は47.8Hzですが、実測では37.7Hzとなっており約10Hzも低くなっています。トリプルバスレフ型と言えども、口径6cmのフルレンジユニットに37.7Hzは低すぎます。

      試作機2の場合、ダクト断面積が広いため、ここまで低くはならないと考えられますが、多少は下がると思うので、あらかじめ高めの56Hzとしています。




次回につづく・・・?


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