2017年度 Stereo編 ONTOMO MOOK「これならできる 特選スピーカーユニット フォステクス編」付録スピーカー OMF800P についていろいろと妄想(笑)

日本の夏、スピーカークラフトの夏 2017。(フォステクス編)


というわけで、今年もスピーカークラフトの夏が近づいてまいりました!(笑)。


2017年7月19日(水)発売予定の Stereo編 ONTOMO MOOK 「これならできる 特選スピーカーユニット パイオニア編」、「これならできる 特選スピーカーユニット フォステクス編」の2冊のムックでは、それぞれ、パイオニア製、フォステクス製のスピーカーユニットが付録します。

今年は例年のように、同日発売のStereo誌8月号には付録せず、別冊のStereo編ムックにスピーカーユニットが付録する形式に変更されたようです。

しかも、前述のとおりムックは2種類あり、「パイオニア編」にはパイオニア製6cmフルレンジユニット(ペア)が、「フォステクス製」にはフォステクス製8cmフルレンジユニット(ペア)が付録するようです。


この記事では、ONTOMO MOOK 発行元である音楽之友社(公式)からの情報が解禁になりましたので、その情報をもとに「フォステクス製 フルレンジスピーカー OMF800P」の性格を妄想してみたいと思います(笑)。


「パイオニア編」はこちら











関連記事リンク







仕様
  • FOSTEX(フォステクス) OMF800P

FOSTEX(フォステクス) OMF800P
OMF800P
[外形寸法図] FOSTEX(フォステクス) OMF800P
外形寸法図
 


  • 形式: 口径8cmフェイズプラグ付きコーン型フルレンジ
  • 公証インピーダンス:
  • 最低共振周波数(f0): 117Hz
  • 再生周波数帯域: f0~32kHz
  • 出力音圧レベル: 83dB/w(1m)
  • 入力(NOM): 5w
  • m0: 2.38g
  • Q0: 0.64
  • 実効振動半径: 3.0cm
  • マグネット質量: 112g
  • 総質量: 320g
  • バッフル開口寸法: φ79mm
  • 推奨エンクロージャー方式: バスレフ、バックロードホーン



[周波数・インピーダンス特性] FOSTEX(フォステクス) OMF800P
周波数・インピーダンス特性




  • ユニットの特徴
    • その1:「Stereo誌 2016年8月号付録 フォステクス製8cmフルレンジユニットをさらにグレードアップ。フォステクス初のフェイズプラグ採用。」

      コーン素材はStereo誌 2016年8月号付録の口径8cmフルレンジユニット「M800」と同様にアルミニウムを採用。さらに、"アルミ切削フェイズプラグ" をフォステクスとしては初採用しており、高域の位相特性を改善している。



    • その2:「アップロール・ラバーエッジ採用。フェライト磁石をφ60mmからφ65mmに大型化。それにより磁気回路を強化。」

      エッジはラバー素材を使用したアップロール形状。磁気回路は「M800」のφ60mmからφ65mmのフェライト磁石に強化されており、クオリティアップに貢献している。鉄板フレームは「M800」と同寸法となっている。



※音楽之友社(公式)より引用させていただきました。






妄想(笑)

ご注意!

このブログは素人が適当に書いているものです。内容については、参考程度にされますようお願いします。


上記リンクのStereo誌(音楽之友社)公式記事に掲載されているスペックを元に、どのような性格のユニットなのかを妄想して行きたいと思います。




他ユニットとの比較

FOSTEXのレギュラー製品ラインナップには特徴の異なる口径8cmフルレンジユニットが複数存在します。それらの製品仕様と比較を行うことで、OMF800P がどのような性格のユニットなのかを考察します。比較対象のユニットとして P800K, FE83En, FF85WK をピックアップしました。

また、このユニットは Stereo誌2016年8月号付録 M800 をグレードアップしたもののようなので、参考としてそちらの仕様も掲載しています。



名称OMF800P





OMF800P
M800





M800
P800K



製品ページP800K製品ページ(FOSTEX公式)

P800K
FE83En



製品ページFE83En製品ページ(FOSTEX公式)

FE83En
FF85WK



製品ページFF85WK製品ページ(FOSTEX公式)

FF85WK
型式フェイズプラグ
付き
コーン型
フルレンジ
コーン型
フルレンジ
メカニカル2Way
コーン型
フルレンジ
メカニカル2Way
コーン型
フルレンジ
メカニカル2Way
コーン型
フルレンジ
コーン
素材







センター
キャップ
素材
[コーン]
アルミニウム







[センターキャップ]
なし
(フェイズプラグ)
[コーン]
アルミニウム








[センターキャップ]
同上
[コーン]バナナパルプ +
木材パルプ







[センターキャップ]
同上
[コーン]
芭蕉類植物繊維








[センターキャップ]
同上
[コーン]
2層抄紙コーン

基層:
長繊維(低叩解度)
木材パルプ

表層:
短繊維(高叩解度)
ケナフ,
備長炭パウダー



[センターキャップ]
リッジドーム形状
アルミ合金
エッジ
素材
形状
ラバー
アップロール
ラバー
アップロール
高損失発泡ゴム
アップロール
軽量布
ダウンロール
ポリカーボネート系
材料特殊配合
ウレタンフォーム
アップロール
口径
(cm)
88888
インピー
ダンス
(Ω)
88888
f0
(Hz)
117105115165115
再生
周波数
帯域
(Hz)
f0~32kHzf0~32kHzf0~18kHzf0~30kHzf0~28kHz
出力
音圧
レベル
dB/w(1m)
8382.584.58886.5
入力(W)5524715
名称OMF800PM800P800KFE83EnFF85WK
m0(g)2.382.52.21.532.0
Q00.640.750.990.840.55
実効
振動
半径
(cm)
3.03.03.03.03.0
実効
振動
面積
(cm^2)
28.328.328.328.328.3
マグ
ネット
重量(g)
(直径)
112
(φ65mm)
103
(φ60mm)
74
(φ55mm)
140
(φ60mm)
187
(φ65mm)
総重量
(g)
320280261350450
標準
エンク
ロージャー
(容量)
バスレフ型
バックロードホーン型
バスレフ型
(3.5L)
密閉・
バスレフ型
(2L)
バスレフ型
(6L)
バスレフ型
(3.5L)
1cm^2
当りの
m0(g)
0.0840.0880.0780.0540.071
駆動力1333117094925932634
周波数
特性
(f特)OMF800P(f特)M800(f特)P800K(f特)FE83En(f特)FF85WK
名称OMF800PM800P800KFE83EnFF85WK



表の見方

  • 名称、型式、コーン素材、センターキャップ素材、エッジ素材・形状、口径、インピーダンス、f0(最低共振周波数)、再生周波数帯域、出力音圧レベル、入力、m0(振動系実効質量)、Q0(共振尖鋭度)、実効振動半径、マグネット重量・直径、総重量、標準エンクロージャー・容量、周波数特性は製品スペックシートより引用させて頂きました。

    実効振動面積は、実効振動半径より算出しています。



  • 1cm^2当りのm0(g)について

    「m0」を「実効振動面積」で割った数値です。

    m0は純粋に振動板(コーン)のみの重さを表す数値ではありませんが、振動板の重さと比例関係にはあると思うので、振動板の単位面積(1cm^2)当たりの重さを比較することにより、振動板の強度(厚さ)の違いをある程度推測できるのでは?と考えました。

    この数値が大きいほどコーンが厚く、重く、丈夫な作りになっていると考えられます。



  • 駆動力について

    「マグネット重量」を「1cm^2当りのm0(g)」で割った数値です。各ユニットの振動系駆動力を比較しやすくする目的で掲載しています。

    この数値が大きいほど単位面積(1cm^2)当りのm0に対して、より大きなマグネット重量を持つことになり駆動力が高いと考えられます。

    マグネット重量が同じユニットの場合、m0が小さいほどこの数値が大きくなり駆動力が高いと考えられます。また、m0が同じユニットの場合、マグネット重量が大きいほどこの数値が大きくなり駆動力が高いと考えられます。





  • ユニット性格について考察

    上で掲載している表の各項目について値を比較することにより、ユニット毎の性格の違いを見て行きます。その後、OMF800Pの性格を推測します。


    • 再生周波数帯域

      • ユニット比較

        再生周波数帯域の下限(低域)はエンクロージャー構造が支配的になってしまうため、ユニット単体の特性で決まる上限(高域)を見て行くと・・・、


        • P800K: ~18kHzまで
        • OMF800P, M800, FE83En, FF85WK: ~20kHz以上

        となっています。


        • P800K, FE83En, FF85WK

          これらのユニットは、高域上限を伸ばすためにメカニカル2Wayセンターキャップを採用しています。しかし、P800Kはメカニカル2Wayですが上限が18kHzと控えめになっています。

          高域上限に影響する要素としてメカニカル2Way以外に考えられるのがボイスコイルボビン径です。ボイスコイルボビン径が細いほど高域上限が高く、太いほど低くなる傾向があります。

          これは、あくまで推測でしかありませんが、P800Kは、FE83En, FF85WKに比べ、ボイスコイルボビン径が太めなのではないか?と考えられます。ボイスコイルボビン径が太くなると高域上限は低くなりますが、コーンの分割振動は太さに応じて抑えられるため、どちらが良いかは一概に言えません。

          低域再生専用であるウーハーユニットでは、ボイスコイルボビン径が非常に太くなっています。ウーハーは高域が再生できたとしてもツィーター、フルレンジ等と比較して音質が良くないですし、ローパスフィルタの効きを良くするためにも再生できないほうが都合が良いからです。また、上述のとおり大面積振動板が分割振動するのを抑制するためでもあります。



          [補足]メカニカル2Wayセンターキャップについて

          センターキャップをボイスコイルボビンに直結することにより、センターキャップに一種のドーム型ツィーターのような動作をさせることで、高域の再生上限を拡張する技術です。



          [参考]メカニカル2Wayセンターキャップコーン型スピーカーの構造
          [参考]メカニカル2Wayセンターキャップ
          コーン型スピーカーの構造




        • M800

          M800のセンターキャップは、ボイスコイルから直接放射される耳障りな高音が漏れるのを防いだり、ボイスコイルボビン内にほこりが入り込むのを防ぐ一般的なタイプです。しかし、再生上限は高く ~32kHz となっています。考えられる理由としては、上述のボイスコイルボビン径が細めなこと、もうひとつは、振動板素材がアルミニウムであることです。

          音波の伝播速度(音速)は、媒質となる素材の密度が高い方が速くなります。アルミニウムは繊維が複雑に絡み合ったパルプのように内部がスカスカではなく、高密度の結晶構造をしているため音波が速く伝わります。そのため、高域再生には有利に働きます。

          しかし、密度が高いことはいいことづくめではなく、高域共振が強く出るという副作用もあります。M800の周波数特性を見ると、13kHz付近に中域に対して+10dBくらいの大きなピークがみられます。これが高域共振と思われます。ただし、ピークの位置が耳の感度が落ちる10kHz以上なので、視聴上の問題がでることはないでしょう。

          金属系振動板のスピーカーユニットが一種類ではなく複数の金属を混ぜた合金を使うのは、高域共振周波数を分散させて特定の周波数で鋭いピークが出るのを避けるためです。また、パルプコーンが昔から今でも使われ続けている理由は「密度が低く、強度が高い」 というスピーカー振動板の相反する要件をおおむね両立できる素材だからです。

          金属系センターキャップをもつFF85WKも10kHzにピークが見られますが、アルミ合金のおかげなのかM800ほどは高くないですね。



      • OMF800Pでは?

        さて、注目の OMF800P ですが・・・、


        [周波数・インピーダンス特性] FOSTEX(フォステクス) M800・OMF800P 比較
        周波数・インピーダンス特性 M800・OMF800P 比較


        上述のとおり、M800 のアップグレードバージョンのようなので、M800 の周波数・インピーダンス特性グラフと、OMF800P の同グラフを比較するために重ねてみました。青線が OMF800P、緑線が M800 を表しています。また、グラフを部分的に圧縮したり、引き伸ばしたりして強引に重ねているため、正確ではありません。参考程度にご覧ください。


        周波数特性のグラフを見ると、なるほど、よく似ていますね。150Hz~10kHzの帯域はおおむね同一です。10kHz以上の帯域ではフェイズプラグの有無による違いがよく表れていますね。

        フェイズプラグの無い M800 では、ピークとディップの繰り返しで20kHzまで伸びています。これは高域共振を分散させて高域を伸ばしているタイプのユニットによく見られるものです。

        OMF800P では、~13kHz付近まで概ねフラットに伸びており、16kHz付近に高域共振と思われるピーク、さらに22kHz付近にまたピークがあります。

        しかし、高域共振と思われるピークはあるものの、 M800 にみられるような深いディップはありません。また、相互干渉が抑えられて放射効率が上がっているようにも見えますね。これがフェイズプラグの効果と思われます。

        フェイズプラグは波長の短い高域の位相をそろえることにより、相互干渉を抑えて周波数特性を改善する効果があります。昔はイコライザーと言っていたものと同一だと思いますが、弾丸形状のものを特にフェイズプラグと言うみたいですね。

        しかし、センターキャップを鳴らしている訳でもないのに、よく高域が伸びていますね。これはコーン素材がアルミニウム製であることも関係していると思います。


        次に、インピーダンス特性のグラフを見ると、f0のピークの高さが全く違いますね。OMF800P 方が圧倒的に高くなっています。磁気回路が大幅に強化されたことにより、駆動力も強化されていることは間違いなさそうです。

        その影響なのか、f0より下の周波数帯では OMF800P の方が微妙に音圧レベルが下がっているように見えます。磁気回路の駆動力が上がったことにより振動板の制動力が強化され、低域での振幅が抑えられているのかもしれません。f0の上昇については後述。






    • f0、m0、出力音圧レベル、Q0、マグネット重量、入力、1cm^2当りのm0(g)、駆動力


      • ユニット比較

        5機種のf0、m0、出力音圧レベル、Q0、マグネット重量、入力、1cm^2当りのm0(g)、駆動力を比較すると・・・、


        • f0: FE83En > OMF800P > P800K = FF85WK > M800
        • m0: M800 > OMF800P > P800K > FF85WK > FE83En
        • 出力音圧レベル: FE83En > FF85WK > P800K > OMF800P > M800
        • Q0: P800K > FE83En > M800 > OMF800P > FF85WK
        • マグネット重量: FF85WK > FE83En > OMF800P > M800 > P800K
        • 入力: P800K > FF85WK > FE83En > OMF800P = M800
        • 1cm^2当りのm0(g): M800 > OMF800P > P800K > FF85WK > FE83En
        • 駆動力: FF85WK > FE83En > OMF800P > M800 > P800K


        となっていました。



        これらの情報から各ユニットの性格を推測すると・・・、
        • P800K

          FOSTEXのスピーカークラフト入門向けユニットです。

          m0、1cm^2当りのm0(g)がレギュラー製品3機種中トップになっています。これは振動板の強度が高いことを示しており、入力(24W)が大きいことにも表れています。また、振動板強度が高いとエンクロージャー内の空気バネ力に対しても強くなるため、エンクロージャー内容量を小さくすることが可能になります。

          入力を大きくしてラフな使い方でも壊れにくくする。また、小容量で使えるためエンクロージャーの小型化が可能であり、初心者がお手軽にスピーカークラフトを楽しめるように工夫がされているようです。出力音圧レベル、f0が低めなのもバスレフ型で使うには好都合です。

          理想を言うともっと大きなマグネットを搭載して駆動力を強化。Q0を0.5付近に持ってくることが出来ればバスレフ型エンクロージャーで更に使いやすいユニットになるのでしょうが、入門機が高価になってしまうと敷居も高くなってしまい意味がありません。安価に提供するために妥協しているのでしょう。



        • FE83En

          FOSTEX伝統のFEシリーズの口径8cmフルレンジです。

          FEシリーズは基本的にバックロードホーン特化型といった感じの製品群なのですが、FE83EnだけはQ0が高く、標準エンクロージャーもバスレフ型となっており異端児的な存在です。しかし、この製品もバックロードホーン型で使用することは可能です。

          m0、1cm^2当りのm0(g)が5機種中最下位、入力も7Wと低めです。振動板強度が低いため、標準エンクロージャー内容量は空気バネ力を弱くするために、口径8cmとしては大き目の6Lになっています。

          振動板強度は5機種中最下位のようです。しかし、前述のとおり、異端児とはいえFEシリーズのユニットのため、バックロードホーン型での使用も想定されているはずなので、空気室の空気バネ力に耐えうる程度の強度は確保されていると考えられます。

          駆動力が5機種中2位で強力なのにQ0が高いのは、エッジ素材・形状が唯一布のダウンロール形状であり、他に比べて硬めなこと、また、m0が小さ過ぎるためでしょう。

          m0最小、駆動力が高く、出力音圧レベルは5機種中トップです。特に出力音圧レベルは一番低いM800と比較すると6dB(2倍)近く高いため、Q0が高いことを除けばバックロードホーン型向きユニットです。

          そのため、標準エンクロージャーがバスレフ型とはいえ、設計を工夫しないとダクトからの低域放射が中高域の音圧レベルに追いつかず、低音不足になるかもしれません。



        • FF85WK

          FOSTEXのバスレフ型向けFFシリーズの口径8cmフルレンジです。

          以前は混乱が見られましたが、現在はFEシリーズはバックロードホーン型向き、FFシリーズはバスレフ型向きラインナップに整理・住み分けがされています。

          駆動力が5機種中トップ、Q0が一番低くバスレフ型に適した0.5付近の値。m0、1cm^2当りのm0(g)はFE83Enより大きな値になっているため、駆動力がトップでも出力音圧レベルは少々低くなっています。

          また、柔軟性の高い素材を使用したアップロールエッジ採用のため、m0が大きめなことも相まってf0が低めになっています。

          高い駆動力でバスレフ型エンクロージャーを強力にドライブするタイプのユニットです。エンクロージャーの空気バネ力に耐えられるように振動板を強化、能率もそれほど高くないため、比較的小容量のバスレフ型エンクロージャーで豊かな低音が狙える設計がされているようです。



        • M800

          m0、1cm^2当りのm0(g)が5機種中最大となっており、それに伴い、f0、出力音圧レベルが5機種中一番低くなっています。

          m0が5機種中最大になっている理由は、基本的にエンクロージャー内の空気バネ力に対する強度をあげて小容量エンクロージャーでの使用を可能にする、また、f0を下げて低音を出やすくするためと考えられます。

          しかし、入力の値に着目すると、m0が最大で振動板強度は高そうなのに OMF800P とおなじ5機種中最下位(5W)です。おそらくですが、このユニットが振動板にアルミニウム素材を使っていることが関係していそうです。

          アルミニウムは軽量ですが強度は低い金属です。そのため、ある程度厚みを取らないと必要な強度を確保できなかったのではないか?、とも考えられます。

          f0は5機種中最大のm0と、柔軟性の高いラバーエッジのおかげで一番低くなっています。

          Q0は0.75となっており振動板の強度も高めのため、比較的小容量の密閉型・バスレフ型エンクロージャーで使えそうです。

          駆動力は5機種中4位。もう少く駆動力が高く、Q0が0.5に近い値になっているとバスレフ型エンクロージャーで更に使いやすくなると思うのですが、雑誌の付録なのでコスト的に難しかったのでしょう。



      • OMF800Pでは?

        M800 のアップグレードバージョンなので、数値がほとんど同じなのではないか?と思いましたが、結構違いますね。同様に比較してみると・・・、

        m0が2.5g → 2.38gに下がっています。おそらくですが、コーンは同じものだと思うので、センターキャップが無くなった分が減少しているのでしょう。それに伴い、1cm^2当りのm0(g)も0.088 → 0.084となっており、わずかに減少しています。

        マグネット重量は103g → 112gの9g増加ですが、直径がφ60mm → φ65mmと5mm増えており、おそらく厚みはそのままで直径を増加させていると考えられます。

        フェライト磁石は素材自体の磁気抵抗が高いため、厚みを増しても磁束密度はあまり上昇しません。そのため、マグネット直径を大きくしたほうが磁束密度の強化には効果的です。前述のインピーダンス特性のグラフを見ても分かる通り、この5mm増はかなり効果があるように思います。

        その効果の表れとして、Q0が0.75 → 0.64に低下、駆動力が1170 → 1333に増加、また、出力音圧レベルが82.5dB/w(1m) → 83dB/w(1m)と少々上昇。M800 よりも更にバスレフ型エンクロージャーで使いやすいユニットになっているようです。

        f0が105Hz → 117Hzに上昇しているのは、m0が減少したためと考えられます。

        総重量は280g → 320gになっており、40gも増加しています。マグネット質量の増加分が9g、マグネット径が大きくなっているので磁気回路も大型化されているはずですが、その分を差し引いても40gの増加は大きいです。残りはフェイズプラグ質量でしょうか?。アルミ削り出しらしいので、結構な重さがあるようですね。




    まとめ

    ONTOMO MOOK「これならできる 特選スピーカーユニット フォステクス編」付録スピーカー フォステクス OMF800P についてまとめると・・・、



    公式発表のくり返しになってしまいますが(汗)、φ65mmマグネットを採用して磁気回路を強化、それによりQ0を0.5に近づけ、よりバスレフ型エンクロージャーでの使用に適した設計とする。また、フェイズプラグにより高域特性を改善した、M800 のグレードアップバージョンと言えそうです。

    M800 の持ち味であったアルミニウム振動板特有の音色は引き継いでいると思うので、M800 同様、金属系振動板の音色が好みの方には、良いおもちゃになりそうです。

    また、フェイズプラグ採用による高域のクオリティアップとあいまって、更に使いやすくなっているではないかと思います。


    M800 のまとめの時も書きましたが、口径が8cmと小さいこともあり、出力音圧レベル、耐入力とも低いです。大音量再生には向きません。パソコンスピーカーのようにニアフィールドモニターとして使うことを想定した設計になっているのかもしれないので、あまり無理はできないと思います。とは言え、一般家庭で使う分には十分な音量は出ると思いますけどね。

    これは毎年書いていますが、付録の梱包箱が簡易エンクロージャーとして使えるギミックは引き続き採用して欲しいですね。あれの有無でスピーカークラフト未経験の方が購入するときの敷居の高がかなり違いますからね。とりあえず鳴らして遊べることは重要だと思います。



    使いこなしについて。M800のアップグレードバージョンなので、はっきりいってほとんど同じなのですが・・・、

    • 無難に使う

      冒険をせず、無難に使用するなら、推奨エンクロージャーであるバスレフ型か、密閉型になると思います。

      Q0がバスレフ型に最適な0.5に近づいたので、公式が推奨エンクロージャーと言っているとおり相性は良いと思います。ダクト共振周波数(fd)は、M800の時と同様に70Hz~80Hz付近が無難でしょう。粘っても60Hzくらい。

      fdを下げすぎると、ダクトが再生している低域とユニット直接放射の再生帯域の間に音圧レベルの落ち込みが出来てしまいます。なにしろ口径8cmのユニットなので、あまり無理はできないのも M800 と同様です。



    • ちょっと趣向をこらして

      ちょっと趣向をこらすなら、ダブルバスレフ型か共鳴管型になると思います。

      どちらにしろ、ゆったりとした低音になると思いますが、これらのエンクロージャー方式はバックロードホーン型よりもユニットを選ぶ傾向にはないため、大失敗になることもないと思います。

      また、このユニットは M800 と比較してQ0が下がり駆動力が上昇しています。しかし、中高域の能率には変化がなくフラットのままです。これは、ダブルバスレフ型、共鳴管型には好都合です。

      ダブルバスレフ型、共鳴管型は大量の空気をドライブするため、ユニットの駆動力は高い方が良いのですが、駆動力の高いユニット(FEシリーズ等)は中高域レベルが非常に高い周波数特性になりがちです。その場合、ダクトや共鳴管開口から放射される低域のレベルが中高域に追い付かず、結果として、低音は出ているが相対的に低音不足になってしまいます。

      このユニットの場合それが起こらないため、ダブルバスレフ型、共鳴管型は意外と良い選択肢ではないかと思います。



    • あえて冒険(笑)

      公式発表の推奨エンクロージャーにバックロードホーン型が含まれているため、冒険というとオーバーになってしまいますが、このユニットのQ0は0.64なので、バックロードホーン型向きなのか?と言われると疑問があります。まあ、M800はQ0が0.75なので、それよりは向いていると思いますが。

      バックロードホーン型で使用する場合、中高域に対して低域が出過ぎ(いわゆるブーミーな音)で、ゆったりとした低音になると思います。

      もし作るとしたら、これもM800と同じで良いと思いますが、スロート絞り率は0.5付近、空気室のカットオフ周波数は150Hz前後、ホーン長は1.5m~3mくらいでしょうか?。ホーン長は完成時のエンクロージャーサイズや板取サイズにも影響するので、エンクロージャーを置くスペースや再生したい低域の下限周波数で決めると良いと思います。



      [参考]バックロードホーンエンクロージャーの構造
      [参考]バックロードホーンエンクロージャーの構造


      [参考]カットオフ周波数
      [参考]カットオフ周波数



    使いこなしに関してはこんな感じになると思います。



    一応、ムックは「フォステクス編」、「パイオニア編」とも購入する予定です。


    ->「パイオニア編」へ移動


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