スピーカーシステムの製作[エレクトロボイス 209-8A使用] ~測定・試聴編~

前回の記事で共鳴管型エンクロージャーが完成しましたので、今回は測定・試聴を行います。



関連記事



測定

使用ソフトウェア

多機能 高精度 テスト信号発生ソフト WaveGene V1.40 efu氏
高速リアルタイム スペクトラムアナライザー WaveSpectra V1.40 efu氏
入力信号:サインスイープ20Hz~20kHz
マイク位置:EV 209-8Aユニット軸上1m


先ずは、209-8AのEV公式資料と、実測のユニット単体特性を参考のために再掲載します。
209-8Aについてのレビュー記事はこちらにあります。

EV 209-8A(f特 EV公式)

周波数特性(EV公式):1.8FT^3(≒51L)密閉箱(実線)、1.0FT^3(≒28L)バックカン(点線)
200Hz~4,000Hzの平均出力音圧レベル94dB、2.3kHz付近が特にレベルが高く、99dBくらいありそうです。



周波数特性(実測)

EV 209-8A(f特 実測)

やはり2kHz付近が一番レベルが高いです。

ユニット単体をクランプに取り付けて宙吊りのような状態で鳴らしているため、バッフル効果が全く効かず200Hz以下は徐々にレベルダウンしています。

高域も3kHz以上でレベルダウンしていますが、急降下ではなく徐々にレベルダウンをしていて、一応20kHz付近までレスポンスがあるようです。





ここからは、完成したエンクロージャーに取り付けた状態の周波数特性を掲載します。


1.ステレオペア1本目(完成直後)

周波数特性(ステレオペア1本目、完成直後)

中高域は違いが見られませんが、700Hz以下が上昇しています。100~500Hzが特にレベルが高いです。

43Hz付近にあるピークがパイプ共振と思われます。また、125Hz付近のピークは43Hzの3倍共振でしょう。共振周波数を低く取りすぎたため、50~60Hz付近に落ち込みができてしまっています。

この結果からすると、やはり共振周波数は60Hz付近に設定するのが適当でしょう。パイプの共振周波数が43Hzになっており、計算値よりかなり低いです。パイプ長を約1.75mで計算すると共振周波数は48Hz、開口端補正込みで約1.83mとしても46Hzとなり計算が合いません。おそらく、パイプの開口部が床に近い位置のため、床がパイプの延長として動作して実効長を伸ばしていると思われます。

195Hz付近に深いディップがありますが、これはユニットの背面から出た逆相の音がパイプを通過してユニット正面からの音に合流して作っているようです(音響迷路としての動作)。計算では194Hzの波長が、ちょうどパイプ長と同じ1.75mでした。

全体ではかまぼこ型の特性ですが、80Hz~3kHzあたりはほぼフラットになりました。この特性だとツィーターが欲しくなりそうです。



2.ステレオペア2本目(完成直後)

周波数特性(ステレオペア2本目、完成直後)

ステレオペアのもう一本の方の周波数特性です。

基本的に同じになるはずなのですが、まったく同じ位置で測定したわけではないので、部屋の影響を受けているのかピーク、ディップの大きさ、位置が微妙に違います。ユニット個体差、エンクロージャー組み立て誤差の影響かもしれません。



3.ステレオペア1本目(3日目)

周波数特性(ステレオペア1本目、3日目)

エージングの影響が周波数特性に出てくるのか調べる目的で3日目に再測定してみました。30Hz付近にピークがありますが、これはノイズ(自動車の音)なので無視してください。

しかし、ほとんど誤差の範囲ですね。視聴上では高域が滑らかになったり、低音の解像度があがっているのですが…。視聴上の細かい変化は測定には現れないようです。



4.ステレオペア2本目(3日目)

周波数特性(ステレオペア2本目、3日目)

こちらも、誤差の範囲ですね。



5.ステレオペア2本目(3日目 EAS-5HH10追加 0.68μF 正相接続)

周波数特性(ステレオペア2本目、3日目、EAS-5HH10追加 0.68μF 正相接続)

3日目の測定時に、ちょうど使っていないホーン型ツィーター(テクニクス EAS-5HH10)があることを思い出したのでつないでみました。

先ずは、元々付いていた0.68μFフィルムコンデンサー(カットオフ周波数が29kHz)のままで同相接続してみました。10kHz以上のレベルが上がってきていますが、まだ容量不足しています。



6.ステレオペア2本目(3日目 EAS-5HH10追加 3.68μF 正相接続)

周波数特性(ステレオペア2本目、3日目、EAS-5HH10追加 3.68μF 正相接続)

5と同じ条件で、コンデンサーの容量を3.68μF(カットオフ周波数が5.4kHz)に増やしてみました。

この状態で20kHzまでほぼフラットになりました。驚いたことに全然ハイ上がりになっていません。このEAS-5HH10というツィーターは出力音圧レベルが100dB(メーカー発表値)あるので、ツィーターの再生帯域だけがボコっと盛り上がると予想していたのですが、中域とバランスしています。

また、中低域(100~500Hz付近)はツィーターの再生帯域よりも更にレベルが高いです。ツィーターの真正面にマイクを置いている訳ではないので、指向性の関係で高域は多少レベルダウンをしているとは思いますが、それでも中低域は100dB以上ありそうな感じです。



7.ステレオペア2本目(3日目 EAS-5HH10追加 3.68μF 逆相接続)

周波数特性(ステレオペア2本目、3日目、EAS-5HH10追加 3.68μF 逆相接続)

コンデンサーの容量は6と変更なしで逆相接続してみました。特性は正相接続の方が良さそうです。

6の状態(EAS-5HH10追加 3.68μF 正相接続)でしばらく聴いていたのですが、209-8Aの高域がエージングで滑らかになっていくにつれて、EAS-5HH10のメタリックで派手な音色と合わないことが気になってしまいました。

結局EAS-5HH10は外してしまいました。また、ツィーターなしの状態でもサブコーンががんばっているため、視聴上はそれほど高域不足に感じないということもあります。

余談ですが、テクニクスEAS-5HH10ついてはオーディオ評論家の長岡鉄男氏が著書で、「フレームから飛び出しているホーン開口部の肉厚が薄いので、粘土、ブチルゴムなどで整形すると良くなる」と書かれているので、そのような対策をすればメタリックな音が抑えられて、209-8Aの高域補正に使えるのかもしれません。



テクニクス(パナソニック)EAS-5HH10

テクニクス EAS-5HH10
ホーン型ツィーター
インピーダンス:8Ω
出力音圧レベル:100dB
周波数特性:3k~25kHz
推奨クロスオーバー周波数:5kHz以上
許容入力:50W




8.ステレオペア2本目(5日目)

周波数特性(ステレオペア2本目、5日目)

一応、5日目も2本目のみ測定してみました。

やはり、試聴上は良くなっているのですが、測定ではあまり変化が現れないようです。1ヶ月とか、1年、2年くらいの長い期間観測すれば変化が確認できるのかもしれないですが、5日くらいではダメみたいですね。



試聴

ここからは、完成直後から5日目にかけて行った試聴での所感を書いて行きます。

鳴らし始めは中域中心のカンカンしたような音で、高域も荒れていますし、低域も解像度不足で周波数特性では出ていますが、視聴上は出ているという感じがあまりしません。また、共鳴管の独特のくせも特定の音楽ソース(特にボーカル)で感じられます。

しかし、次第に高域が滑らかになっていくのが分かります。低域は1時間くらい鳴らしていると徐々に解像度が増してきました。共鳴管のくせは2日くらい鳴らしていると気にならない程度になりました。もっと酷いくせが出るかな?と思ったのですが、意外と出ませんでした。パイプをなめらかに整形したのがよかったのでしょうか?。まあ、私が共鳴管スピーカーの音を聴き過ぎているので、慣れてしまっているのかもしれない(笑)。

以前紹介したダイトーボイス DS-16DF バスレフスピーカーに切り替えると低音は明らかに控えめなのですが、このスピーカーだけ聴いているとあまり気にならないです。慣れてしまうのかもしれない。



ジャズ

  • Sonny Rollins: Volume One, Volume two
アルテックサウンドの流れを汲むスピーカーということなので、まずはジャズを聴いてみました。

サキソフォンの音に張りがあり、前に出てきて良い感じです。スネアドラム、ハイハットも良いです。ウッドベースはもう少し出て欲しいですが、今後エージングで変わってくる可能性もあるので今は様子を見ています。

ただし、壁からかなり離して配置しているので、壁に接近させる等、工夫次第で現時点でも低音はもう少し改善できる余地はありそうです。





  • Organ-ized All-Star Tribute To The B-3 Organ
ハモンドオルガンが心地よいです。このスピーカーは中域に独特の張りがあるので、楽器の音をくっきりと再生するように感じます。特に楽器ソロものに合っている感じですね。





クラシック

  • Marie Claire Alain: Bach Organ Masterpieces
能率が高いので微小な信号も再生するため、パイプオルガンの広がり感はよく出ます。開放的な音のスピーカーなのでこのような曲には合っているとは思いますが、さすがにペダルの音は無理のようです。



  • Trevor Pinnock The English Concert: Pachelbel Canon And Gigue U. A.
バイオリンに近づいて聴いている感じですね。人によってはきつく感じるかもしれない。明るく開放的な音なので、もうちょっと落ち着きが欲しいです。個人的にはそんなに悪くないと思うので、惜しい感じがします。



  • Jose Miguel Moreno: Pieces Pour Theorbes Francaise
クラシックギターソロはこれぞこのスピーカーの真骨頂って感じがしますね。ギターの弦がはじける感じ、胴鳴りがきれいに広がる感じが良いです。





ボーカル

  • 平沢進: 賢者のプロペラ,時空の水,白虎野
個人的にお気に入りの平沢師匠。ボーカルものは、声を張り上げたときののびが良いですね。テクノポップに限らず、打ち込み系の曲には開放的に飛び出してくる音質なので合っていそうです。





まとめ

あまり参考にならないレビューをだらだら書いてきましたが、まとめますと…

209-8Aは本来の使用目的が放送用ということで、軽いコーン、動きにくいフィクスドエッジのため高いf0、ほどほどの強さの磁気回路、中域重視、高能率で低音が出にくいタイプのスピーカーで、最近主流のコーンを重く、エッジを動きやすくしてf0を下げて、強力な磁気回路で強引に低音を引っ張り出す低能率スピーカーとは180度違った感じの設計となっています。

そのため、低音を豊かに再生するのが難しく、エンクロージャーを小さくするのも難しいですが、得意の音楽ジャンルでは、気持ちよくのびのびと鳴ってくれる尖った個性のスピーカーと感じました。

やはり高能率のスピーカーは、低能率のスピーカーとは一味違った音を出しますね。能率が良いということは微細な信号でも音になりますから、音場感も良いですし、ダイナミックレンジも広いのでボーカルの声を張り出した時の伸びがとても良いです。

このスピーカーで音楽を聴きながらこの記事を書いていますが、音質については現時点でも発展途上という感じで、エンクロージャーのエージングを含めて今後の変化が楽しみです。209-8Aはエッジが硬いのでエージングに時間がかかり、効果も大きいユニットのように感じました。また色々なところで語られている、独特の魅力(アルテックサウンドの魅力?)はやはり存在することを確認できました。

周波数特性上では高域が不足しているように見えますが、中域と中高域の質が良いためか視聴上ではそれほど不足感はありません。

ツィーターの追加は効果があるとは思いますが選別が悩ましいところです。209-8Aは能率が高いため、そういう意味ではホーン型ツィーターが合っているのですが、3000円のユニットなので安価なホーンツィーターの選択肢がないのが困りどころ。

また前述のとおり、見た目に似合わずきれいな高域を出すのでメタリックな音は合わないと感じました。現行製品だと フォステクス FT17H あたりが価格的にもつり合いがとれて無難かもしれません。



ドーム型ツィーターは比較的安価で選択肢があり、音質的にも合いやすいとは思うのですが、能率が低いのが困ったところです。ドーム型ツィーターを2本並列に接続すれば、能率を合わせることが出来るかもしれませんですが、今度は相互干渉で高域が荒れるという問題があります。

209-8Aの上位機種として309-8A、409-8Eがありますが、これらのユニットはコーン型ツィーターが付いた同軸型ユニットなので、209-8Aもコーン型のツィーターが合うのかもしれません。しかし、コーン型ツィーターも能率が高いものが無いんですよね。

しかもドーム型全盛の時代なので、売られている機種がそもそも少なく選択肢がほとんどないです。出力音圧レベルが98~100dBクラスのコーン型ツィーターがあれば面白いと思うのですが。

インピーダンス測定編に続く...

関連記事


にほんブログ村 PC家電ブログ オーディオへ
にほんブログ村

にほんブログ村 PC家電ブログ ピュアオーディオへ
にほんブログ村

テーマ : オーディオ
ジャンル : 趣味・実用

tag : オーディオ スピーカー EV エレクトロボイス 209-8A

コメントの投稿

非公開コメント

広告
Google検索
プロフィール

meridianstar

Author:meridianstar
元システムエンジニアの成れの果ての姿。
詳しいプロフィール:はじめに

contact
※ブログ内容にそぐわない質問の場合、お答えできないことがあります。ご了承ください。

Twitter:meridian15
ニコニコ動画:ヤサコ
pixiv:ヤサコ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

記事一覧
最新記事
広告
カウンター
注目しているもの
リンク(企業)
リンク(お友達)
  • Bond's Lab
    音楽とオーディオとDIYをこよなく愛する ボンド君 氏 の趣味サイト。

  • 試行錯誤
    試行錯誤 氏 のプログラミングお勉強ブログ。

このブログをリンクに追加する
RSSリンクの表示
参考書籍
にほんブログ村
QRコード
QR
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

にほんブログ村