pioneer(パイオニア)スピーカー S-F21-W-LR を買ってみました。~その4(ネットワーク改造・試聴編)~

ウーハー、およびツィーター単体での周波数特性を測定して、その結果を元にネットワークの改造(改悪(笑))をやってみたいと思います。

各ユニットの測定は補修を行うことにより特性が変化してしまい、ネットワークを作るときの参考にできなくなる恐れを避けるために、補修の後に行いました。まあ、変化といっても誤差の範囲だとは思いますが。

また、このスピーカーはジャンクのようなコンディションのもの購入しています。歴史的な名機ならともかく、一般的な製品なのでレストアにお金をかけても仕方がないですから、ネットワークで使用する部品は手持ちのもので間に合わせています。そのため、こったネットワークは作れないと思います。

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レビュー編
分解編
補修・改造編
ネットワーク改造・試聴編(この記事)



(参考)オリジナルの周波数特性


使用ソフトウェア:
多機能 高精度 テスト信号発生ソフト WaveGene V1.40 efu氏
高速リアルタイム スペクトラムアナライザー WaveSpectra V1.40 efu氏
入力信号:サインスイープ20Hz~20kHz
マイク位置:ユニット軸上1m

pioneer(パイオニア)スピーカー S-F21-W-LR(周波数特性)

参考として購入した直後の周波数特性(システム)を掲載します。老朽化や破損などの影響により本来の性能を維持できておらず、悪化した特性になっていると思います。

ツィーター単体の周波数特性


ツィーター単体の周波数特性を掲載します。ハイパスフィルタ用コンデンサーの容量を変えた下記の3ケースについて測定しています。
  • コンデンサー:1μF(カットオフ約25kHz)
  • コンデンサー:2μF(カットオフ約13kHz)
  • コンデンサー:3μF(カットオフ約9kHz)
ツィーター単体 周波数特性 測定回路
ツィーター単体 周波数特性 測定回路


pioneer S-F21-W-LR ツィーター周波数特性(1μF)
ツィーター周波数特性(コンデンサー 1μF, カットオフ周波数 約25kHz)

pioneer S-F21-W-LR ツィーター周波数特性(2μF)
ツィーター周波数特性(コンデンサー 2μF, カットオフ周波数 約13kHz)

pioneer S-F21-W-LR ツィーター周波数特性(3μF)
ツィーター周波数特性(コンデンサー 3μF, カットオフ周波数 約9kHz)

どの測定結果でもおおむねフラットなのですが、音圧の細かな凹凸が目立ちます。10kHz以上はわりときれいな特性ですが、10kHz以下は凹凸の振幅がかなり大きくなっています。これは、ダイアフラムがダメージを受けている影響のようです。

こちらの記事で紹介しているケンウッド製スピーカー(KENWOOD LS-SK3-L)に付いているドーム型ツィーターの特性と比較してみると分かりますが、ダイアフラムにダメージがない場合では凹凸の振幅が小さいきれいな特性になっています。

また、15kHz以上では上で掲載した補修前の特性よりもレベルダウンしています。ダイアフラムの補修を行ったときに液体絆創膏を塗布しましたが、その影響により重量が増加したため能率が少々低下したようです。

ウーハー単体の周波数特性


ウーハー単体の周波数特性を掲載します。ここではウーハーのマグネット部分をクランプで固定して、宙吊りに近い状態で測定しています。バッフル効果がまったくありませんので、低域はだら下がりの特性となっています。

測定を行ったケースは以下のとおり。
  • フィルタなし(スルー)
  • コイル:0.56mH のみ(直列)
  • コイル:0.56mH(直列) + コンデンサー:1μF(並列)
  • コイル:0.56mH(直列) + コンデンサー:2μF(並列)
  • コイル:0.56mH(直列) + コンデンサー:2.2μF(並列)
  • コイル:0.56mH(直列) + コンデンサー:3μF(並列)

ウーハー単体 周波数特性 測定回路
ウーハー単体 周波数特性 測定回路


pioneer S-F21-W-LR ウーハー周波数特性 フィルタなし(スルー)
ウーハー周波数特性 フィルタなし(スルー)

個人的に一番見てみたかったウーハーのフィルタなし(スルー)の周波数特性。

オリジナルのネットワークでは、ウーハーに対して0.56mHのコイルが直列に入っていました。コイルはローパスフィルタの構成要素として不可欠なのですが、音の立ち上がりが鈍くなるという副作用があります。

フィルタなしの特性が高域に変なピークがなく、できれば5kHz、高くても8kHzくらいで素直にレベルが落ちていれば、コイルをはずしてしまってフルレンジ的な使い方ができるかな?と期待していたのですが・・・、

4.5kHz付近にピークがありますね。また、レベルが多少低下はしていますが10kHz付近まで再生できています。ウーハーで10kHzまで使うのはちょっと厳しいですね。再生できていたとしても、本職のツィーターのようなきれいな音ではないので、できることなら4.5kHzのピークを含めてそれより上の帯域をごっそりと削ってしまいたいところです。その部分の帯域はツィーターに担当させた方が絶対に音が良いです。

・・・というわけで、フルレンジ的な使い方はあきらめることにしました。4.5kHzのピークだけだったらまだ良かったんだけどなぁ。

低域はバッフル効果がない宙吊りの状態にもかかわらず、55Hz付近から十分なレベルで再生できています。エッジレスユニットのため、振幅を十分に大きく取れるのが効いているのかもしれませんね。
このバスレフ型エンクロージャーの共振周波数を調べてみたのですが・・・、
容量:約9.1リットル
共振周波数:約50Hz

・・・となっているようでした。

ウーハーがユニット単体で55Hzまで再生できていますし、元々、中高域に対して低音が出すぎているスピーカーなので、ダクトの面積をもう少し狭くするか、または、ダクトの長さを長くするなどして共振周波数を45Hzくらいまで下げても良いような気がします。


pioneer S-F21-W-LR ウーハー周波数特性(0.56mH)
ウーハー周波数特性(コイル 0.56mH のみ:カットオフ周波数 約1.7kHz)

pioneer S-F21-W-LR ウーハー周波数特性(0.56mH, 1μF)
ウーハー周波数特性(コイル 0.56mH:カットオフ周波数 約1.7kHz, コンデンサー 1μF:カットオフ周波数 約25kHz)


pioneer S-F21-W-LR ウーハー周波数特性(0.56mH, 2μF)
ウーハー周波数特性(コイル 0.56mH:カットオフ周波数 約1.7kHz, コンデンサー 2μF:カットオフ周波数 約13kHz)

pioneer S-F21-W-LR ウーハー周波数特性(0.56mH, 2.2μF)
ウーハー周波数特性(コイル 0.56mH:カットオフ周波数 約1.7kHz, コンデンサー 2.2μF:カットオフ周波数 約12kHz)

pioneer S-F21-W-LR ウーハー周波数特性(0.56mH, 3μF)
ウーハー周波数特性(コイル 0.56mH:カットオフ周波数 約1.7kHz, コンデンサー 3μF:カットオフ周波数 約9kHz)

6kHz以上の帯域はおおむねカットできましたが、4.5kHzのピークが曲者ですね・・・。これ以上容量の大きなコンデンサーを持ち合わせていないので対処しようがないですね・・・。

ネットワークの改造


いろいろと試行錯誤してみました・・・が、手元にあったパーツがオリジナルのネットワークに付属していた コイル:0.56mH(2個)、バイポーラ電解コンデンサー2.2μF(2個)と、買い置きしてあったフィルムコンデンサー1μF(4個)だったので、コンデンサーの容量が足りず4.5kHzのピークを削ることはできませんでした。コスト除外なら4.5kHzのピークを徹底的に削りたいところですが、今回はこれで良しとしました。

完成したネットワーク回路図は以下のとおりです。
改造後のネットワーク回路(正相接続)
改造後のネットワーク回路(正相接続)

ツィーターが-6dB/octのハイパスフィルタ、ウーハーが-12dB/octのローパスフィルタという変則的な構成になってしまいました。ツィーター再生帯域の下端がウーハー再生帯域の上端に比べてシャープにレベルダウンしていないのと、ツィーター側とウーハー側で使われている回路素子の違いによる位相の影響で、クロスオーバー付近であばれが出てしまいそうですが・・・、どうなることやら。

また、せっかくフィルムコンデンサーがあるのでフィルムコンデンサーをツィーター側に、バイポーラ電解コンデンサをウーハー側に使ってみました。

周波数特性を測定してみましたので、以下に掲載します。

パイオニアS_F21-W-LR 補修後 周波数特性(正相接続)
パイオニアS_F21-W-LR 補修後 周波数特性(正相接続)

パイオニアS_F21-W-LR 補修後 周波数特性(逆相接続)
パイオニアS_F21-W-LR 補修後 周波数特性(逆相接続)

ウーハーに対してツィーターを正相接続したもの(上段)と、逆相接続したもの(下段)の2ケースについて測定を行いました。入力レベルが上で掲載したオリジナルの周波数特性より小さくなっています。そのため、グラフの描画位置が全体的に下がっています。

逆相接続はクロスオーバー周波数付近で干渉を起こしてレベルダウンしています。

正相接続も多少干渉していますが、上で掲載したオリジナルの周波数特性でもみられるので、これ以上フラットにしたかったらツィーター側にもコイルを入れないとダメそうです。4.5kHzのピークは予想していたより小さいですね。これくらいなら実害なさそうです。

中高域は思いのほかフラットになっています。オリジナルの周波数特性はちょっとかまぼこ型ですね。箱や、ダクトパイプの補強で付帯音が減ったのと、吸音材を追加したことにより、ダクトからの中域漏れが減ったのが影響しているのかもしれません。

低域では、オリジナルにあった40Hz付近のピークがなくなってしまいました。しかし、逆に70~160Hz付近がやたらと盛り上がっていますね。ただし、50Hz付近まで中高域と同レベルで再生できているので、低音不足と感じることはあまりないと思います。

オリジナルの40Hz付近のピークは何だったのでしょうか?。合成樹脂製のフロントパネルが共振していた?。オリジナルの40Hzピーク消失と、補修後の70~160Hz付近の盛り上がりの原因については、今回行った補修作業ではバスレフの共振周波数が極端に変わるようなエンクロージャーの改造をしていないので分かりませんねぇ。

試聴

ここからは、ミュージックソースを使った試聴を行います。

  • ジャズ

  • The JazzTimes Superband:Bob Berg



    高域のひずみ感がとれて滑らかになったので、ハイハットの音が気持ちよくなりました。これはツィーターを補修したからなのか、それともフィルタコンデンサーを 電解 -> フィルム に変更した影響なのか。まあ、両方の影響でしょうけど、コンデンサー変更のほうがウェイトが大きいかな?。

    中域も張りが出てきたような気がします。合成樹脂製のフロントパネルが余計な音を出さなくなった影響なのでしょうか?。でも、音がすっきりした影響で少しおとなしくなってしまって、面白みというか、個性が減退したような感じもしますね。聴いているうちに慣れてしまうとは思いますが。

    ウッドベースはちょっと甘めな感じがします。もう少し輪郭がしっかりして欲しいです。

    ソフトドーム型ツィーターの音はウェット過ぎでジャズには相性が悪いですね。あくまで個人的な感想だけど、ジャズにはコーン型ツィーターの乾いた音の方が相性が良いような気がします。


  • クラシック

  • Pachelbel・Canon & Gigue:The English Concert:Trevor Pinnock


    大ケガをしていたツィーターが息を吹き返したので、元々荒れていたバイオリンの音がだいぶ滑らかになりました。クラシックはソフトドーム型のウェットな音が適していますね。

    オリジナルの状態ではメリハリが効いた音だったので、ポップス、ロック向きのような印象を持ちましたけど、ツィーターのひずみ感や、エンクロージャーの付帯音が取れた影響だと思いますが、ハイファイ的な音に近づいたためクラシック向きの音になった印象がありますね。低域がゆったりしている、ということも影響しているのかもしれない。


    J.S.BACH・ORGELWERKE:TOCCATEN&FUGEN:TON KOOPMAN


    上述のとおりゆったりした低域なので、パイプオルガンの雰囲気はそれなりに再現できている感じです。

    低域が50kHz付近まで再生できているので、倍音が再生できているからでしょうか?。ペダルの音もそれなりの雰囲気があります。しかし、頭を押さえつけられるような20~30Hz付近の基音は当然ながら無理ですね。


  • テクノポップ

  • 救済の技法:平沢進


    ボーカルものがまったくなかったので、最後に平沢師匠の救済の技法を聴きました。

    エンクロージャーの補強により付帯音減ったため、軽快に張りのある鳴り方をするようになりましたが、コーンが重いウーハーなので、ボーカルの伸びはやはりフルレンジユニットには一歩譲る印象です。軽快に鳴るようになった要因はツィーターのひずみ感が取れたのもかなり影響しているみたいですね。

    バッフル面積が狭く、音源が集中しているコンパクトスピーカーなので音場感は良いです。

まとめ

パイオニア S_F21-W-LR 補修完了後の様子
パイオニア S_F21-W-LR 補修完了後の様子

記事を執筆しながらサイズの「鎌ベイアンプ Kro」というデジタルアンプ(10w+10w 8Ω)を使って、パソコンを音源にして音楽を聴いていますが、能率が比較的高めのスピーカーのため十分な音量で鳴っています。

元々衝動的に(笑)買ったスピーカーでしたが、レストアのお勉強には良い教材だったと思います。ダイアフラムがつぶれたソフトドームツィーターの超オリジナルな補修方法(笑)を確立できたのと、ダイアフラムがつぶれていても補修することによりある程度は音質が改善することが確認できたのは収穫でした。あとはボイスコイル断線の補修をやってみたいですね。

スピーカーはオーディオ製品の中でも特に進化が遅く、過去の製品の方がお金がかかっていて音が良かったりします。また、今回のエッジレススピーカーのように、現在ではなくなってしまったユニークな方式があったりするので、過去の製品は観察するだけでも楽しいです。今は、古いスピーカーがジャンクとしてハードオフに転がっていますし、オークションで手に入れるという方法もあります。

個人的には色々と過去の製品を手にとってみたいのですが、置き場所がないのが難点(汗)。でも、アルテックのバイフレックス方式スピーカーとパンケーキ、テクニクスのげんこつ、ヤマハのナチュラルサウンド方式(通称ぽんせんべい)のスピーカーだけは生きている間に一度は聴いてみたい(笑)。
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