Stereo2013年8月号付録 スキャンスピーク5cmフルレンジ使用 バックロードホーン製作 ~測定・試聴編1~

前回の記事でエンクロージャーがなんとか完成しましたので、測定と試聴を行います。

ボンド乾燥に3日間くらい使っています。本当は1週間くらいかけて乾燥させた方が良いのですが、早く音を聴きたい欲求に耐えられませんでした(笑)。

今回の記事ではスキャンスピーク 5F/8422T03というフルレンジが単独ではどのような音がするのかを確認したかったため、ツィーターを接続しない状態で測定・試聴を行います。


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Stereo誌2013年8月号付録 スキャンスピーク5cmフルレンジ使用 バックロードホーン製作
ユニット取り付け

前回作ったエンクロージャーは、ボンドの乾燥待ちで放置されていたためスピーカーユニットの取り付けはされていません。早速、取り付けを行います。


ScanSpeak 5F/8422T03(表面)
ScanSpeak 5F/8422T03(表面)

ScanSpeak 5F/8422T03(裏面)
ScanSpeak 5F/8422T03(裏面)

ScanSpeak 5F/8422T03(端子部)
ScanSpeak 5F/8422T03(端子部)

スキャンスピーク 5F/8422T03の写真を再掲載します。

写真で見るとそこそこの大きさがあるように錯覚しますが、5cmのユニットなので実際はかなり小さいものです。

また、この小さいサイズは端子部にしわ寄せがきているらしく、プラス端子とマイナス端子がフレームの左右に分離して配置されるという独特の構造をしています。端子そのものも大変小さくハンダ付けが難しいため、ファストン端子を使うのが無難だと思います。写真に写っている端子の穴も非常に小さいです。

しかし、スピーカーハンダ付け原理主義者の私としては、なんとしてでもハンダ付けしたい(笑)。

という訳で、こんなことをやってみました。

スピーカーユニット接続・取り付け(スキャンスピーク 5F/8422T03) 図1
スピーカーユニット接続・取り付け(スキャンスピーク 5F/8422T03) 図1

まず、接続するスピーカーコードの先端にすずメッキ線をハンダ付けしておきます。


スピーカーユニット接続・取り付け(スキャンスピーク 5F/8422T03) 図2
スピーカーユニット接続・取り付け(スキャンスピーク 5F/8422T03) 図2

すずメッキ線をスピーカー端子の小さな穴に通してハンダ付けをします。このすずメッキ線は太さが0.5mmなので、その程度の太さの線しか通らないサイズの穴なのです。


スピーカーユニット接続・取り付け(スキャンスピーク 5F/8422T03) 図3
スピーカーユニット接続・取り付け(スキャンスピーク 5F/8422T03) 図3

反対側の端子も同様に接続します。

写真を撮るのを忘れてしまいましたが、この後、ハンダがむき出しになっている部分には融着テープを巻いて絶縁対策をしています。


スピーカーユニット接続・取り付け(スキャンスピーク 5F/8422T03) 図4
スピーカーユニット接続・取り付け(スキャンスピーク 5F/8422T03) 図4

ユニットをバッフル穴に取り付け、付属しているネジで固定して完成!。

ユニットサイズとバッフル穴サイズがぎりぎりのため、スピーカーコードが接続されているとバッフル穴のふちに干渉してしまいなかなかうまく取り付けられません。干渉する部分を削るなど、現物に合わせて対応する必要があります。


スピーカーユニット接続・取り付け(スキャンスピーク 5F/8422T03) 図5
スピーカーユニット接続・取り付け(スキャンスピーク 5F/8422T03) 図5

[2013/09/18]ユニットを取り付け後の全景写真を追加しました。

周波数特性の測定

ホーンが動作しているのかを確認するために、周波数特性の測定を行いました。

使用ソフトウェア:
多機能 高精度 テスト信号発生ソフト WaveGene V1.40 efu氏
高速リアルタイム スペクトラムアナライザー WaveSpectra V1.40 efu氏
入力信号:サインスイープ20Hz~20kHz
マイク位置:ユニット軸上1m

まずは比較のために、スキャンスピーク 5F/8422T03単体での周波数特性を再掲載します。


ScanSpeak 5F/8422T03 周波数特性(単体) 1本目
ScanSpeak 5F/8422T03 周波数特性(単体) 1本目

ScanSpeak 5F/8422T03 周波数特性(単体) 2本目
ScanSpeak 5F/8422T03 周波数特性(単体) 2本目

60Hzにあるピークはノイズなので無視してください。7kHz~19kHzの範囲が落ち込んでいる独特の特性になっています。1本目と2本目で19kHz付近のグラフの形が違いますが、個体差のようです。

ユニット単体の測定ではマグネット部分をクランプで固定して、宙に浮かしたような状態で行っています。そのためバッフル効果が期待できないので、2kHz付近から低域にかけてなだらかにレベルダウンしています。


続いて、バックロードホーンエンクロージャーに取り付けた周波数特性を掲載します。

バックロードホーン型スピーカー周波数特性 1本目(スキャンスピーク 5F/8422T03使用)
バックロードホーン型スピーカー周波数特性 1本目(スキャンスピーク 5F/8422T03使用)

バックロードホーン型スピーカー周波数特性 2本目(スキャンスピーク 5F/8422T03使用)
バックロードホーン型スピーカー周波数特性 2本目(スキャンスピーク 5F/8422T03使用)

ユニット単体と比較して、2kHzより上の帯域には違いがありませんが、下の帯域の音圧レベルが上昇しています。40Hz~1kHzの範囲ではグラフに凹凸がありますが特にレベル高くなっており、ユニット単体でレベルが一番高かった中高域(2kHz~7kHz付近)よりも5dB~15dBくらい高くなっています。(180Hz付近は原因が不明ですが23dBくらい高くなっています。)

ステレオ誌2013年8月号の35ページにあるスキャンスピーク 5F/8422T03の周波数特性(公式)によると、中高域(2kHz~7kHz付近)の能率は82~85dBくらいのようなので、それに対して5dB~15dBくらい高いのですから90dB~100dB近くありそうな感じです。

1本目、2本目両方のグラフにある110Hz付近の落ち込みは、どうやらユニット背面から出た逆相の音がユニット正面の正相の音と合流して作っているようです。音道(ホーン)長は約3mなので波長が3mの音波の周波数を計算すると約113Hzとなり、ほぼ一致します。

再生周波数帯域は40Hz~7kHzといったところ。7kHz~19kHzの落ち込みがなければ40Hz~20kHzだったので、ちょっと残念です(笑)。これは後日ツィーターの追加で補う予定です。

実のところ、設計をしているときは60Hzまで何とか再生出来ていれば良しとしようと思っていました。何しろ、5cmのユニットなので低域再生には絶対的に不利なのです。

ユニットが小さいためスロートの断面積も非常に小さくなってしまい、音道が3mもあるのにあまりホーンが広がっていません。正直、音響迷路の動作になってしまうのでは?と思っていました。

しかし、うまいことホーンが動作してくれたようで、40Hzまで中高域と同等以上のレベルで再生出来ています。もうこれだけで個人的には大満足・大成功です!(笑)。

色々と妄想(笑)の記事で書いたとおり、能率の低いユニットのため中高域に対してホーンが再生している低域のレベルが高くなってしまっています。完全に低域が出過ぎの特性です。

フォステクスのFEシリーズではコーンが軽く、磁気回路が強力なため、中高域の能率が非常に高くなっています。バスレフ型エンクロージャーで使用した場合、ダクトによる低音増強では中高域の能率に追いつかず低音不足の周波数特性になってしまいますが、バックロードホーンではちょうど良くバランスします。

まあ、フォステクスFEシリーズに5cmユニットはないので、このエンクロージャーに取り付けて動作を確認することは残念ながらできませんが。

試聴

「所感」では、鳴らしはじめ直後(第一声)からの音の変化を掲載しています。「ミュージックソース別インプレッション」では、半日程度のウォーミングアップ(エージング)を行った後にピックアップしたミュージックソースを試聴した感想を掲載しています。

所感
私は以前に2回ほどバックロードホーン型エンクロージャーを作成しているのですが、それらのときの第一声はオーディオ評論家の長岡鉄男氏が著書で言われているとおり、非常にひどいもので、低音はボケボケで音圧レベル的には出ているのですが、ホーンの制動が効いておらずボーボー鳴っているだけで、音階になっていないという感じのものでした。

今回もどうせそうだろうなと、ちょっと楽しみにしていた(笑)のですが、なんだか出だしから比較的まともな音です。たしかに、多少はよけいな音がまとわり付きますが、ボーボー鳴っているだけということはありませんでした。ホーン開口部にフェルトを多めに貼ったのが良かったのでしょうか?。

第一声がひどいバックロードホーンでも、鳴らしこむことによって次第に良くなっていきます。このスピーカーの場合、第一声もそれほどひどくなく、2時間くらいウォーミングアップしていたら、よけいな音も気にならない程度になってしまい、拍子抜けしてしまいました。個人的には、第一声のひどい音から徐々に音が良くなるのを楽しむのが自作スピーカーの真骨頂だと思っているので、非常に残念です(笑)。

小口径ユニットなので耐入力が小さいですから、近所迷惑になるような大音量再生は無理ですが、一般家庭で通常使用するくらいの音量は可能です。

また、小口径ユニットのメリットとして音場感が良いということがあります。5cmのユニットなのでほとんど点音源ですから、ソース次第では十分な広がり感がえられます。ただし、高域が出ていればもっと音場感が良かっただろうなぁ、と思うとちょっと残念です。

ホーンによる40Hzからの低音再生が効いていて、5cmとは思えない雄大な音がします。これを大型スピーカーの脇に置いてこのスピーカーだけを鳴らしたら、大型スピーカーが鳴っていると勘違いしそうです。このスピーカーだけを置いて鳴らしていても、中にウーハーが入っているのでは?と思う人もいそうです。

しかし、7kHz~19kHz付近の落ち込みと低音が出過ぎる関係で、高域が不足している感じはあります。そのため、ちょっとこもったような音がします。音場感の件もそうだけど5cmのユニットなんだし、もう少し高域をがんばって欲しかったです。

中域はフルレンジの得意帯域なので張りのある音が楽しめます。試聴する前は振動板が少々重めなのでトランジェント特性に影響がでるかな?と思いましたが、それは口径5cmのユニットにしては重いという話ですし、ネオジム磁石の強力磁気回路のおかげなのか特に問題はなさそうでした。

ミュージックソース別インプレッション

クラシック

  • Karl Böhm:Vienna Philharmonic Orchestra:Beethoven Symphony #9
    カール・ベーム、ウィーン・フィルによるベートーベン交響曲第9番です。カール・ベーム晩年の演奏でテンポがゆったりしているために世間では評判がよろしくないようですが、私はゆったりしたほうが好みなので、たまに聴いています。1~3楽章を中心に試聴しています。

    これは去年のステレオ誌2012年8月号付録のスキャンスピーク10F/8422-03にも言えますが、ストリングスが滑らかで良いですね。やはりヨーロッパの音響機器はいわゆるハイファイ志向ではなく、音楽をいかにして楽しく聴くかということをテーマにして作っている感じがしますね。音響機器というより楽器を作っているイメージでしょうか?。

    ティンパニーの打撃音やコントラバスの低音も出るので、5cmのユニットとは思えないスケール感でています。そのため、ボリュームをもう少しあげたいという欲望と、これ以上ボリュームを上げるとユニットが壊れるというジレンマに葛藤すること請け合いです(笑)。

    やはりオーケストラには高域が出ないと、さびしく感じますね。



  • マリー=クレール アラン:バッハ オルガン名曲集
    マリー=クレール アランのパイプオルガン演奏によるJ.S.バッハ オルガン作品集です。

    このスピーカーはパイプオルガンのようなゆったりした低音には合っていますね。40Hzまで再生できるのでペダルの音もそこそこ再現できますし、音場感も良いので教会堂の残響成分が豊かな音も再現されます。

    教会堂の録音は倍音成分も豊かに含まれていると思うのですが、意外と高域不足とは感じませんでした。



  • Jose Miguel Moreno:Pieces Pour Theorbe Franc
    クラシックギターの楽曲が収録されています。クラシックギターは弦を弾いたときの独特の張りがある音が出ると思うのですが、それが良く再現されているように感じました。弦の音が減衰して行く余韻も良く出ます。

    バックロードホーンはユニットの裏側(空気室)からエンクロージャーの外へ音道(ホーン)がつながっています。そのため、密閉型エンクロージャーに比べて、エンクロージャー内部にある空気の圧力がかかりにくい構造なので、振動板が自由に動けてダイナミックレンジが広いです。それが音の張りや余韻につながるようです。

    低域も40Hzまで出るので、胴鳴りもきちんと再生されます。この曲では高域不足がデメリットになりにくいですね。特に不足を感じませんでした。




ジャズ

  • Sonny Rollins:Way Out West
    これもスキャンスピーク10F/8422-03と同じような感想になってしまいますけど、ジャズに関してはエレクトロボイスの209-8Aには一歩及ばない感じです。

    サックスがなんだか滑らかな音になってしまっていて、よそよそしく感じます。ジャズを聴くならもっと荒削りだけどストレートなサウンドの方が合うような気がします。

    バイオリンなどの弦楽器には合うのでやはりクラシック向きなのかもしれません。そういえば、ウッドベースは胴鳴りも聞こえてなかなか良い感じでした。バイオリン、クラシックギター、コントラバスはみんな弦楽器なので、弦楽器が得意なのかもしれません。





ボーカル

  • エンヤ:フォー・ラヴァーズ 「冷静と情熱のあいだ」テーマ曲集
    エンヤの曲には自分の声を多重録音したコーラスだと思いますが、風のような音が収録されています。この音は当然ながら人の声なのですが、かなり周波数が高いようで、高域が20kHzまで伸びているスピーカーと、このスピーカーで聴き比べすると印象が結構違いますね。やはり、こもった感じに聴こえてしまいます。

    オーケストラもそうでしたが、聴く曲によってはツィーターが欲しいと感じます。




  • 平沢進:救済の技法
    最後は平沢師匠の救済の技法。

    打ち込みサウンドは電子的に発生している音なので、やり方次第で可聴周波数帯域をフルに使えますから、ツィーターがないとちょっとさびしいですね。ボーカルはフルレンジの強みが出て伸びやかで、小音量でもボケません。

    師匠のサウンドはいろいろな音(コーラスだったり、楽器だったり、ピコピコ電子音だったり)が何重にも重ねられていますが、このスピーカーで聴いたら、いままで良く聞こえなかった音が分離して聴こえてきてびっくりしました。



まとめ

正直に白状すると、私はバックロードホーンの音が苦手です。

初めて作って聴いたバックロードホーンスピーカーは松下電器(現パナソニック)からテクニクスブランドで発売されていた、EAS-10F20という10cm(実際は12cmクラス)のフルレンジユニットを使ったものです。音道(ホーン)長が4mあり、3尺×6尺板を2枚使って作ったと記憶しています。

EAS-10F20というユニットは以前エッジの修理記事を掲載しましたが、バッフル開口径がφ106mmなのにφ100mmのフェライトマグネットがついているような代物で、ようするに磁気回路が非常に強力なユニットなのです。

強力な磁気回路のユニットでホーンを強力にドライブするため、10cmフルレンジの1発のスピーカーシステムでしたが能率が非常に高く、低域もよく再生するため雄大で迫力のある音がしました。

しかし、音が悪い訳ではないのですが中域に独特の緊張感があり、聴いていてリラックスできるような音ではありませんでした。実際、聴いていて疲れました。

そんな訳でバックロードホーンの音は苦手なのですが、今回作ったスピーカーはそのような変な緊張感はないですし、ホーンの癖も少なく、なにより5cmのユニットで40Hzまで再生できたので、自画自賛(汗)になってしまいますが個人的には大成功です。

正直なところ5cmのフルレンジユニットを侮っていたのかもしれません。また、バックロードホーン型エンクロージャーも作り方、ユニットの選び方次第で苦手ではない音が出せることを発見でき、勉強にもなりました。

このスピーカーは、刺激的な音が出るタイプではないので音楽垂れ流しのBGMのような長時間視聴にはもってこいです。バックロードホーンの割には小さく作れたので、10w+10wくらいのデジタルアンプと組み合わせてパソコンスピーカーにしてiTunesや、WINAMPなどで音楽を垂れ流すのは悪くないかもしれません。とはいっても、一般的なパソコンスピーカーよりははるかに大きいんですけどね(笑)。

次回はツィーターを接続して音の変化を確認します。続く・・・




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